転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0290話

「げほっ、げほっ……と、とにかくこれが契約カードでさぁ」

 

 先程俺に握りしめられたダメージがまだあるのか、咳をしつつも2枚のカードを俺とあやかへとそれぞれ差し出す。

 ちなみに、あやかはネギの回復魔法の効果もあってか三途の川から現世へと舞い戻っていた。

 

「2枚?」

 

 神楽坂がカモの持っているカードを目にして、不思議そうに尋ねる。

 

「へい。オコジョ妖精の魔法には仮契約のカードを複製するってのがあるので、それを使わせて貰いました」

 

 こちらを見るカモの目には若干の恐怖が宿っているが、まぁ、握りつぶされそうになったんだしそれはしょうがないだろう。

 

「えっとですね。……パクティオーカードにはその人の特徴や特性なんかが表示されてるんですが……げ」

「げ?」

 

 カモのその言葉に、何やら不審なものを感じて渡されたカードへと視線を向ける。

 

名前:雪広あやか

称号:鮮血の乙女

色調:金

徳性:愛

方位:中央

星辰性:金星

 

「……いや、うん」

「な、なななななな、何ですの、これは!」

「え? どうしたの、委員長?」

 

 自分のカードを見たあやかが怒りの叫びを上げる。神楽坂が不思議そうにカードを覗き込むが、そこに書かれているのはラテン語だ。魔法を習っている俺やあやか。魔法学校卒業したネギや、妖精で魔法に深い関係を持っているであろうカモとは違いバカレンジャーである神楽坂にはそれを読む事は出来無かった。

 ちなみに、カードに表示されている絵は黒いパーティドレスを着たあやかが9条の鞭――アダマン・ハルパーのナイン・テールモードのようなもの――を振りかぶっているというものだった。これだけ見ると、どこのSM女王様だって感じだな。パーティドレスの露出度もそれなりに高いし。

 

「せ、鮮血の乙女って……なんで私の称号がそんなに物騒なものなんですの!?」

 

 改めて教室にあやかの怒声が響き渡る。

 

「あー、多分ですが。アクセルの兄貴の影響なんじゃないかと」

 

 カモの言葉に、皆の視線が俺へと集中した。

 

「アクセル君の?」

「ええ。仮契約は文字通り魔法使いとその従者の契約なんで、当然魔法使い側と従者側の2人の影響が出る訳で……」

 

 カモの説明を聞き、納得する。確かに俺がこれまで歩んできた道を考えると鮮血と表現されるのは分からなくもない。となると、鮮血が俺で乙女があやかを表していると考えていいのか?

 

「で、早速ですがパクティオーカードの機能について説明させてもらいます」

 

 そこからカモによる説明が始まる。

 

1:従者への魔力供給。

2:従者の召喚。

3:念話。

4:衣装の登録。

 

「後、これが最大の特徴と言ってもいいんですが『アーティファクトの召喚』というのがありやす」

「アーティファクトの召喚、ですか?」

 

 自分の持っているカードへ視線を向けながらあやかが尋ねる。

 

「はい。マスター側にある程度以上の魔力や気があった場合に行われた仮契約ではアーティファクトという一種のマジックアイテムが出るんでさぁ。アクセルの兄貴は常識外の魔力を持っているんで、まず間違い無くあやかの姐さんが持ってるのはアーティファクトカードだと思います。そのカードを持って『アデアット』と唱えてみてくれますか?」

 

 カモの言葉に従い、カードを構えるあやか。

 

「アデアット」

 

 そう唱えると、周囲に眩しいような光が一瞬閃く。そして次の瞬間にはあやかの手に9条に分かれた鞭が握られていた。それぞれの鞭の先端にはクナイのような小さな刃が付いており、より凶悪さを現している。ちなみに、パクティオーカードの絵であやかが持っているものと全く同じ鞭に見える。

 

「うわ、凶悪そうなのが出たわね。さすが委員長」

「う、うるさいですわね。これは……そう、あれですわ。私がアクセル君を守る為に授けられた武器!」

「いや、まぁ。確かにそういう面が無いとは言わないんですけどね」

 

 あやかの言葉にそう呟くカモだったが、そこに神楽坂が尋ねる。

 

「え? そうなの?」

「さっきも言ったけど、仮契約というのはマスターと従者の2人の影響が出るんですよ。なので、どちらかの強い思いや資質、能力なんかも影響する可能性は十分に考えられるんすよ。……これは俺っちも初めて見るアーティファクトだな。もしかして未発見の奴かも」

「で、カモさん。この鞭を消すにはどうすればいいんですの?」

「『アベアット』と唱えればカードに戻りやす」

「なるほど。……アベアット」

 

 あやかがカモの言った通りにそう唱えると、確かに鞭は消え去っていた。

 

「ささ。ネギの兄貴。次はネギの兄貴の番っすよ」

「え!? ぼ、僕も!?」

「そりゃそうっすよ。だって元々ネギの兄貴はマギステル・マギを目指してるんすよね? なら、パートナーの1人や2人いないと」

「でも、相手が……」

「へへ。それなら大丈夫っすよ。ここに来る前に兄貴のクラスの生徒達を風呂場で直接この目で確認してきました。すごくいい素材がいっぱいいるじゃないっすか」

「あーっ、じゃあさっきあんたが持ってた水着って!?」

 

 カモの言葉に、神楽坂がそう叫ぶ。

 

「うっ、いや。それよりも仮契約っすよ、仮契約。アスナの姐さんはどうっすか?」

 

 カモのその言葉に、言葉を詰まらせる神楽坂。どこか恥ずかしそうにあやかを見ながら口を開く。

 

「でも、その……仮契約ってようはキスでしょ? それはちょっと……」

「……ああ。もしかして明日菜の姐さん、中3にもなってファーストキスもまだとかだったりするんですかい?」

「なっ!?」

「そりゃあ……」

 

 恐らくカモの目論見としては、神楽坂を煽ってここで契約させるつもりだったのだろう。確かに頭に血が昇りやすい神楽坂に対しては上手い手だと言える。……ただ、誤算は、ここにネギと神楽坂以外の第3者がいた事だった。

 

「アデアット」

 

 その呪文と共に、再びあやかの手に現れる9条の鞭。カモもまた、ピタリと話を止めて恐る恐るあやかの方へと視線を向けている。

 

「あ、あやかの姐さん。その鞭をどうするつもりなんすか?」

「ホホホ。言わなければ分かりませんか?」

「一応、聞きたいなぁ……って、俺っちは思うんだ」

「そうですか、なら教えて差し上げます。乙女の唇を大安売りさせようとしている害獣に罪の重さを教えるのです……わっ!」

 

 バチーンッ!

 

 カモ目掛けて振り落ろされた鞭だったが、あやかがわざとか、あるいは使い慣れてないからか。とにかく9条の鞭はカモに当たる事無く床へと叩き付けられてその音を高く響かせる。

 

「……あら? 思ったよりも扱いが難しいですわね」

 

 ……訂正。どうやら扱い慣れていない方だったらしい。

 

「っ!?」

 

 カモもまた危険を察知したのだろう。素早く床に放ってあった水着を咥えて教室から走り去る。

 

「あ、待ってよカモ君っ!」

「ちょ、ネギ!? あー、もう。取りあえず今日の所はこの辺で話は終わりにしておくわ。朝倉やエヴァちゃんについてはまた明日って事でいいわね」

「あ、ああ」

 

 神楽坂の迫力に押され、勢いで頷く。

 

「じゃ、また明日」

 

 カモを追ったネギを追い、教室から走り去る神楽坂。その背中を見送り溜息を吐く。

 

「さて、何だかんだで色々あったが……帰るか」

「そうですわね。アベアット」

 

 あやかが頷き、アーティファクトをカードへと戻す。

 

「さ、行きましょうかアクセル君。……いえ、マイマスターと呼ぶべきかしら? それともいっそご主人様?」

「馬鹿を言ってるな。いつも通りでいい」

「はい、わかりましたわ」

 

 ニコリと笑って俺の隣を進むあやか。

 そのまま校舎を出て駅へと向かっていると、すぐ近くで既に見慣れた姿の吸血鬼が視界に入ってくる。そこから少し離れた場所では神楽坂が走り去っていった所を見ると、恐らく接触があったのだろう。

 

「エヴァ?」

「うん? あぁ、アクセルか」

「こんにちは、アクセルさん」

 

 エヴァに声を掛けると、茶々丸が丁寧に一礼をしてくる。

 

「……ん? 雪広あやか、お前の持ってるそれは……ふむ、なるほど。先程の魔力はお前達の仮契約だったか。……だが、良くお前達が仮契約の魔法陣を知っていたな」

 

 あやかの手に持つパクティオーカードを見ただけで大体の事態が理解出来たのだろう。感心したようにそう言ってくる。

 

「いや、ネギの知り合いのオコジョ妖精とやらがこの麻帆良に来ててな。そいつの仕業だ」

「オコジョ妖精?」

「ああ。以前ネギに助けられたとかで、その恩を返す為に来たとかなんとか」

「……なるほど。麻帆良に侵入してきたのはそいつか」

「侵入?」

「ああ。麻帆良には特殊な結界が張られているというのは以前言ったな?」

「認識阻害の結界だろ?」

「まぁ、それもある。だが、その他に魔力を持つ者が侵入してくれば分かる一種の警報のようなものもあってな。それの反応があったから探していたんだが……どうやらお前の言うオコジョ妖精とやらが犯人だったらしい」

「なるほど、そういう結界があるのか」

 

 俺の感心したような声に、どこか呆れたような表情を向けてくるエヴァ。

 

「そもそも、お前がこの麻帆良に現れたのを感知したのもその結界だったんだがな」

「ほう。エヴァがあの時、あそこに現れたのは偶然でも、高畑のように侵入者を追っていたのでもなくその結界で俺の転移を感知したからだった訳だ」

「そういう訳だな。……で、ぼーやとの話はどうなったんだ?」

「俺やあやかが魔法生徒であるという事にして誤魔化したよ。……全く、最初から俺を巻き込む気だったな?」

 

 俺のその言葉に、ニヤリとした笑みを浮かべるエヴァ。

 

「折角の祭りなんだ。参加者は多い方がいいだろう?」

「……で、俺がネギ側に付くのか?」

「ああ。ジジィから話は聞いている。お前がぼーやに協力するのは許可したが、色々と制限されての協力なんだろう? なら満月の日にある程度魔力を取り戻した私とでもそれなりにやり合えるだろうさ」

 

 そう言って笑うエヴァの笑顔は、自信に満ちたものだった。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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