転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3032話

 最初の交渉が終わる。

 今回の交渉では殆ど決まっていなかったように思ったのだが、レオンに言わせれば最初の交渉としては十分以上に話が進んだという事だった。

 ともあれ、交渉は別にこれで終わりという訳ではなく、これからも続く。

 というか、これからの交渉こそが本番と言ってもいいらしい。

 鬼滅世界側には、交渉出来る人物が耀哉くらいしかいないのがちょっとな。

 あまねとかも交渉は出来ると思うけど、

 ああ、でも耀哉がホワイトスターに来ると体調がよくなるというのを考えると、やっぱり耀哉がここに来る方がいいのか?

 ともあれ、これからどうするのかといったようなことはともかく、最初の交渉が終わったので次の出来事……ある意味、これが今回ホワイトスターに来た本題と言ってもいい、耀哉の治療や解呪をするというつもりだった。

 だが、それに待ったを掛けたのは耀哉。

 これが他の者が待って欲しいと言うのなら、不満を言う者もいただろう。

 だが、治療や解呪をする耀哉が待って欲しいと言った以上、その要望は大きい。

 勿論耀哉の体調が悪ければ、柱達もそんな耀哉の要望を聞いたりはせず、治療や解呪を優先するように言っただろう。

 だが、ホワイトスターに来て耀哉の体調が回復している以上、無理は言えなかったのだろう。

 そうして治療や解呪を先延ばしにした耀哉が何を望んだのかと言われれば……

 

「実働班の戦闘訓練か。……見るにしても、耀哉はしっかりと見る事は出来ないだろ? どうせなら、治療が終わって目が見えるようになってから見に来ればよかったんじゃないか?」

「それも考えたんだけど、やっぱりまずは自分の目で直接見えなくとも肌で感じておきたいと思ってね。そうすれば、目が見えるようになった時に実働班だったかな。その訓練を見た時に受ける感触も違うだろうし」

「そういうものか。けど、どうせなら生身の戦闘訓練とかを見たりはしないのか? PTは迫力があるのは間違いないが、鬼滅世界では使えないだろ?」

 

 大正時代に人型機動兵器が戦っている光景というのは、衝撃的だろう。

 それこそ、もしかしたら伝承とかで残ってしまいかねない程に。

 だというのに、耀哉が見たいと主張したのはPTを使った人型機動兵器の訓練光景。

 耀哉の判断に疑問を抱くのは当然だろう。

 

「それでも、感じてみたいんだよ。アクセルが私達に見せてくれた、ダーナ・オシーだったかな? あれと同じような存在が戦うのだろう?」

「ちょっと違うな。PTはダーナ・オシーとかと比べても、明らかに大きな存在だ。そういう意味では、迫力は更に上だな」

 

 オーラバトラーは小さいし、運動性や機動性に向いている機体だ。

 そうである以上、当然のように正面から戦うといったような真似は難しいだろう。

 オーラバトラー同士なら、その辺も問題はないんだろうが。

 そんな風に話をしている間にもバスは進み……やがて、目的の場所に到着する。

 

「アクセル、戻っていると聞いたが、私に会いに来るとは……嬉しいものの、少し照れるな」

 

 バスから下りた俺の姿を見て、コーネリアが俺に近付いてきてそう言ってくる。

 スレイと綾子の2人も、そんなコーネリアに続いてこっちに近付いて来る。

 柱の面々からは、色々と複雑そうな視線を向けられたりしていたが。

 

「ああ、耀哉達……鬼滅世界からやって来た面々に実働班の模擬戦を見せようと思ってな」

「産屋敷耀哉です。一応、鬼滅世界でシャドウミラーと協力体制になる予定ですね」

「それは……失礼した。私はコーネリア。ホワイトスターの実働班を纏めている。この場にいる者が実働班だな」

 

 そんなコーネリアの言葉、柱の中の何人かは微妙な表情を浮かべていた。

 まぁ、それも無理はない。

 鬼殺隊の人数も日本全体という国で戦うとなればかなり少ないのに、そんな鬼殺隊と比べても圧倒的に少ないのだ。

 

「言っておくが、ここにいるのは実働班の中でも幹部級だぞ。基本的に実働班の主力は量産型Wや無人機だ」

 

 一応、その辺については知らせておく。

 とはいえ、無人機と言ってもその意味をしっかりと理解出来ている者は少ない。

 一応転移区画でコバッタや量産型Wは見てるんだけどな。

 

「そっちは見ることは出来ねえのかァ?」

 

 実弥が不満そうに言ってくる。

 実際に自分達と組んで戦うことになるとすれば、量産型Wやコバッタといった者達なのだから、そちらを見たいと思うのは当然だが。

 

「そっちは……後で見せてやるよ」

 

 そう言いつつも、どうするべきなのかを考える。

 いや、純粋に量産型Wとコバッタを見せるのはいい。

 だが、生身での戦闘訓練について見せてもいいものかどうか。

 耀哉達には、エヴァという吸血鬼が俺の仲間にいるというのは話している。

 だが、実際にエヴァを前にした時に鬼殺隊の面々……特に血の気の多い実弥と小芭内がどうするのかというのは、予想出来なかった。

 ちなみにこの場合、エヴァの身の安全を考えてこのようなことを言ってる訳ではなく、実弥や小芭内、それ以外に攻撃をした柱達が大丈夫かという意味での心配だった。

 エヴァのことだから、取りあえずいきなり殺すといったような真似はしないと思うが……うん、正直なところどうなるのかは分からないけど。

 出来れば鬼滅世界の鬼とネギま世界の吸血鬼は鬼という名前はついても違う種族であると、そう認識して欲しいところだ。

 リョウメンスクナノカミを吸収した俺を見ても鬼と認識しなかったんだから、多分大丈夫だとは思う。思うんだが……実際に見せてみないと分からないか。

 

「アクセル、色々と聞きたい事もあるが、まずは模擬戦を行う。その者達に見せればいいのだろう?」

「ああ、頼む」

「うむ、任せろ」

 

 そう言い、コーネアリアは俺の唇に自分の唇を重ね、数秒してから去っていく。

 

「あ、狡いぞコーネリア。なら私も……」

「綾子まで!? ……なら、私も負けてはいられないな」

 

 そう言い、綾子とスレイも俺と唇を重ねてから自分の機体に向かう。

 ……そうして3人の美女の唇を堪能した俺だったが、鬼殺隊の面々から微妙な視線を向けられていた。

 蜜璃はもの凄い熱い視線を向け、天元はやるなといったような視線を向け、しのぶはジト目を向けるといったような者達もいたが。

 

「あー、うん。何人かは既に知ってると思うが、俺にはこのホワイトスターに10人以上の恋人がいる。さっき会ったレモン達もそうだし、今の3人も同様だ」

「それはまた……随分と元気な……」

 

 耀哉の驚きの言葉に関しては、取りあえずそういうものだと頷いておくだけにする。

 

「とにかく俺の恋愛事情に関してはこの通りだが……ほら、始まるぞ」

 

 俺が指さす方向では、PTやMS、それ以外にも多数の人型機動兵器が動き始めていた。

 

「空を……」

 

 義勇が呆然とした様子で呟く。

 義勇にしてみれば、あれだけの数の人型機動兵器の全てが空を飛ぶというのは、予想外だったのだろう。

 それは他の面々も同様だった。

 そのおかげで、俺に向けられていた色々な視線が逸らされたんだから、これは俺にとっても運がよかったのだろう。

 

「これで驚いていると、これからもっと驚くことになるぞ? ……取りあえず、度肝を抜かれないようにはしておいた方がいいな」

 

 そんな俺の言葉を示すかのように、実働班の模擬戦が始まった。

 空中を走るビームや重力波砲。

 そしてビームサーベルを使った近接戦闘。

 それらは、鬼との戦いしか知らない鬼殺隊を驚かせるには十分以上の代物だったらしい。

 俺にしてみれば、見慣れたものではあるが。

 とはいえ、見慣れているからこそ分かる事もある。

 間違いなく以前よりも操縦技術が上がっていると。

 俺がいない間も戦闘訓練はきちんと続けていたんだし、当然の結果ではあるのだが。

 そうして、模擬戦が終わる。

 模擬戦は分かりやすく……俺ではなく鬼殺隊の面々にも分かりやすくする為か、特に複雑な条件ではなく、単純に二手に分かれて正面からの戦いというものだった。

 戦術の類は使えないこともないが、狭い空間での戦いである以上、純粋に本人の操縦技術であったり、機体性能であったりが重要な意味を持つ。

 ちなみに俺が一番驚いたのは、五飛のアルトロンガンダムが普通に空を飛んでいた事だろう。

 W世界の一件でシャドウミラーに所属することになった五飛だったが、本人の希望で別の機体に乗り換えるのは嫌だということだったので、シャドウミラーの技術でアルトロンガンダムは改修されている。

 そんな中でもやはり一番目立つのは、テスラ・ドライブを装備した事で自由に空を飛べるようになった事だろう。

 シャドウミラーの機体において、空を飛べないというのはそれだけで致命的なのだから。

 

「で、どうだった? 見る……ことは出来なかったみたいだけど、それでも何かしらは感じることが出来たのか?」

「ああ、そうだね。私には見ることは出来なかったけど、それでも雰囲気は伝わってきた。……これは凄いね」

 

 しみじみといった様子で耀哉が呟く。

 あまねや他の面々も、そんな耀哉の言葉には素直に同意していた。

 

「それが分かって貰えて何よりだ。……さて、じゃあ耀哉が見たかった模擬戦も終わった事だし、そろそろ呪いを調べたり解呪が出来るかどうかを試しに行くぞ」

「そうしようか。けど、アクセルはいいのかい? 恋人達との逢瀬を邪魔したんじゃ?」

「そっちは心配するな。俺はもう自分の国に戻ってきたんだ。今日は家に帰るから、そこでゆっくりと恋人達との逢瀬を楽しませて貰うよ」

「きゃあっ!」

 

 俺の言葉で何を想像したのか、蜜璃の口から悲鳴が上がる。

 とはいえ、その悲鳴は嫌がるという意味の悲鳴ではなく、俗に言う黄色い悲鳴という奴だ。

 恋愛に興味津々の蜜璃だけに、俺がどんな夜をすごすのかを知れば……うん、教えない方がいいな。

 蜜璃は服装こそ挑発的で恋愛経験豊富のようにも思えるが、それはあくまでも外見だけだ。

 本人にそういう経験はない。

 ……小芭内辺りが頑張れば、そういう関係になれるかもしれないが。

 

「そんな訳で、俺の事は心配しなくてもいい。それよりも、今は耀哉の呪いだろう? ホワイトスターに来てからは呪いが解除……というか届いてないから元気そうだが、それはあくまでも今のうちだけだ。鬼滅世界に戻れば、また体調は以前と変わらないぞ」

「それは分かってるんだけどね。それでも今のこの状態は……うん、色々と私にも思うところがあるんだ。どうにも新鮮でね」

「だろうな」

 

 耀哉が呪いで苦しんでいるのは、俺も知っているし、自分の目で見ている。

 だからこそ、耀哉は不意に訪れたこの元気な身体を使える時間に戸惑い、なくしたくないと思っているのだろう。

 呪いを解呪し、身体も治してしまえば、もうそういうのはあまり感じなくてもいいのだろうが……それが本当に出来るのかどうか、耀哉にしてみれば少し不安に思っているといったところか。

 俺はレモンや木乃香という存在を知っているし、その技術や魔法にも信頼している。

 だが、耀哉にしてみればレモンも木乃香も会ったばかりの人物であり、そういう相手を完全に信用しろという方が無理であってもおかしくはない。

 

「取りあえず、レモンも木乃香も腕は確かだから安心してくれ」

「……アクセルが言うのなら、そうなのだろうね」

 

 耀哉は俺の言葉を聞いて、しみじみとそう呟くのだった。

 

 

 

 

 

「あら、もういいの?」

 

 実働班の模擬戦が終わった後で、俺達が向かったのはレモンの研究室。

 それも魔法球の研究室ではなく、バルシェム生成チャンバーのある場所だ。

 今まで何人もがここで治療してきたんだよな。

 そして、その治療は俺達にとっても多くの利益をもたらした。

 ちなみに、ここには耀哉を始めとして鬼滅世界からやって来た全員がいて、俺とレモンがいて、耀哉の治療……の前に色々と検査をする必要があるので、その助手として木乃香がいて、木乃香の護衛として刹那の姿もあった。

 もう1人、治療……というか呪いについて詳しいだろうエヴァもいればよかったのだが、エヴァがここに来るとどうなるか分からないしな。

 それ以前に、エヴァを呼んだからといって素直に来る可能性は……ああ、でも大正時代の日本に連れて行くという交換条件ならあっさり来そうだが。

 

「ああ。模擬戦はもう見たし、満足したらしい。……にしても、かなりの人口密度だな」

 

 これだけの人数が集まっているというのもあってか、この部屋はかなり狭苦しく感じられる。

 とはいえ、耀哉の治療に関係する以上、柱達やあまねは是非とも聞きたいだろうし。

 そうなると、実はここからいなくなる方がいいのは、俺なのか?

 ふとそう思うも、俺も耀哉の呪いについては気になるしな。

 

「じゃあ、早速だけど……解呪をする前に、まず身体を色々と調べてみたいのだけど、構わない? 呪いの類であっても、身体に影響がある以上、その辺は問題ないのかどうかを確認する必要があるし」

「ええ、構いません。私のこの呪いがどうにか出来るのなら……私は……」

 

 決意を込めた目で、耀哉はそう告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1730

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