オーラバトラーの騒動が一段落し……というか、騒いでいる技術班のいる魔法球から出ると、俺は久しぶりのホワイトスターを歩いて回る。
鬼滅世界の面々とバスで一緒に移動したりといったような真似もしたが、その時はあくまでも案内するというのを優先していたので、俺は十分に楽しむといった訳にはいかなかった。
そういう意味では、こうして周囲の様子を見て楽しめるのは俺にとって嬉しいことだ。
「あら、アクセル。もういいの?」
街中を見て回っている俺に、不意にそんな風に声が掛けられる。
声のした方に視線を向けると、そこにいたのは明日菜の姿。
「ああ、もう耀哉達は自分の世界に戻ったよ。今頃はシャドウミラーとどう付き合っていくのかを向こうの世界で考えてると思う」
鬼滅世界に戻った瞬間に呪いによって体調が悪くなった耀哉だが、それでも木乃香の回復魔法で多少なりとも回復している以上、以前よりはマシになっている筈だった。
「ふーん。見た感じ、向こうの世界の人とアクセルは仲がよかったみたいだし、あまり妙な心配はしなくてもいいのかもしれないわね」
「そうか?」
耀哉とは友好的な関係を築けたと思うが、それでも俺と耀哉では別の組織の長だ。
そうである以上、耀哉は耀哉で俺との友情よりも鬼殺隊の事を最優先にする必要がある。
組織の長である以上、それは当然の話だ。
……まぁ、イザークと似ているツンデレの実弥の事を考えると、明日菜の言ってる事も分かるが。
「そう言えば、明日菜1人なのか? ステラはどうした?」
超包子に行った時、明日菜はステラに仕事を教えているといったように言っていた。
だが、今ここにはステラの姿はない。
「今日の仕事はもう終わったもの。今はどこかで遊んでいると思うわ」
「ふーん。で、明日菜は何をしてるんだ?」
「何をしていると言われてもね。私も仕事が終わったから、ちょっと適当に見て回ってるのよ。……どう? アクセルが暇なら、一緒に見て回る?」
明日菜の誘いにどうするか考え、今日は夜に家に帰るまでやるべき事はないので頷く。
「いいぞ。俺も今は特にやるべき事はないしな。それでどこに行く?」
「うーん、そうね。今から他の世界に行ったりとかは出来ないだろうし、やっぱりホワイトスターの中を色々と見て回らない?」
「別の世界に行くなら、それはそれで構わないけどな。影のゲートを使えばどうとでもなるし」
影のゲートがあれば、移動するのに必要な時間というのはそこまで気にする必要はない。
だが、明日菜は首を横に振る。
「やめておくわ。私の体質を考えると、色々と不味いかもしれないし」
「あー……うん。そうだな」
まだ明日菜が中学生だった頃、魔法無効化能力という、魔法使いにとっては最悪の能力を持っていたものの、ネギとのトラブルでその服を吹き飛ばされて下着になったり、全裸になったりといったようなことが何度もあった。
中学生の時だから……そして麻帆良の中だったからこそ、そこまで大きな騒動にはならなかった。
しかし、今の明日菜は中学生ではなく、十分に大人の女だ。
その外見は間違いなく美人と呼ぶに相応しく、その身体も豊かな曲線を描いており、非常に女らしい。
だからこそ、明日菜のような美人が影のゲートを使った事によって全裸や下着姿になったらどうなるか。
中学生の時はまだ何とか冗談といったような事も出来たかもしれないが、さすがに大人になった今ではそのような真似が出来る筈もない。
「……何か妙な事を考えてない?」
俺の視線に何かを感じたのか、明日菜がジト目でそう尋ねてくる。
相変わらず女の勘というのは鋭いな。
そう思いながらも、俺は表情に動揺を出さないようにして首を横に振る。
「いや、別に何も考えてはいないぞ。それより、いつまでもここで話していても意味はないだろうし、そろそろ動かないか?」
「そう、ね。……じゃあ、そうしましょうか」
先程の様子に完全に理解した様子ではなかったが、それでもこれ以上突っ込むような真似はせず、明日菜は俺と一緒に歩き出す。
最初に向かうのは、公園。
交流区画に行けば、店も多数出ているのだが。
それでも特に公園に行きたくない訳でもないので、特に反対したりはせず、そのまま公園に向かう。
公園は、基本的にエルフ達が多数いる場所だ。
そしてエルフを見たいと思って交流区画から足を運ぶ者もいるし、そんな見物客やエルフを相手に商売をしている露天や屋台の類もある。
「以前と比べて、それなりに人が増えたな」
「そうね。この公園はエルフを見られるし、話せるし、直接触れあったりも出来るから、人気なのよ」
明日菜が少し自慢げにそう呟く。
俺よりもその辺が詳しそうなのは、生活班として色々な場所を歩き回っているから、この公園にもよく来る機会があったのだろう。
「触れるというのは……何か問題がないか?」
「問題が起きたりもするけど、そこまで大きな問題にはならないわね。ホワイトスターに来れるのは、しっかりとした人達だけだし。それに何か問題を起こせば、その世界にもペナルティがあるかもしれないでしょ?」
「ならいいんだが」
勿論ちょっとした問題を起こしたからといって、その者が所属する世界にペナルティを与えたりといった事はしない。
だが、ちょっとした程度ではすまないような問題が起きれば、話は別だった。
もしそのようなことになった場合、それこそ世界的なペナルティを追うことになる。
他の世界としても、そのような真似は絶対に避けたい以上、問題のある人物はホワイトスターに送り込むといったような真似はしない。
「あ、ねぇ、アクセル。ほら、ちょっと珍しいのが売ってるわよ? 食べてみない?」
明日菜の視線の先にあるのは、綿飴を売ってる屋台。
その周囲には何人かの客がおり、綿飴が作られている光景を興味深そうに見守っている。
「綿飴か。確かに珍しいな」
普通、こういう時はクレープ屋じゃないのか? とも思ったが、ゴーヤクレープを売ってるクレープ屋がいない分だけよしとしておこう。
「でしょ? 買っていきましょうよ」
そう言う明日菜と共に、俺は綿飴の屋台に向かう。
途中で公園の何人かのエルフが俺の存在に気が付いたが、俺に対して恭しい態度は取らないようにと以前から言ってる事もあってか、目礼するだけで跪いたりといったような真似はしていない。
そうして無事に綿飴を購入すると、俺と明日菜の2人はその場から離れて公園にあるベンチに座る。
「美味しい……けど、思ったより甘くないわね。前に麻帆良で食べた綿飴はもっと強烈な甘さがあった気がするけど」
「綿飴ってのは、砂糖だしな。そう考えれば甘いのは当然だけど……うん、確かにこの綿飴はあまり甘くないな」
明日菜の言う通り、この綿飴は全く甘くない。
一体何故なのか。
そんな疑問を抱くが、その答えは近くを通り掛かった男が教えてくれた。
「ああ、あの屋台の綿飴かい? 何でも特殊な砂糖を使ってるとかで、甘さは抑えられているらしいよ」
そう言うと、明日菜は男に感謝の言葉を口にする。
男はそんな明日菜に嬉しそうな様子を見せ……そして、俺に対して嫉妬の視線を向けると、その場を去っていく。
どうやら明日菜のファンだったらしい。
明日菜と話せたというのが嬉しく、同時に明日菜と一緒にいる俺に対して嫉妬したのだろう。
それについては、分からないではない。
明日菜が交流区画において人気が高いというのは、以前から分かっていたのだから。
「特殊な砂糖ね。どこの技術かしら?」
「どこだろうな。まぁ、この綿飴は食いやすいんだしいいんじゃないか?」
綿飴というのは、最初の一口はかなり美味い。
しかし元が砂糖である以上、その強烈な甘さによって食べ進めるとその甘さに飽きてくる。
かといって食べないで放っておけば、ベトベトになる。
そういう意味では、こうして食べやすい綿飴というのは俺にとって悪い話ではなかった。
……まぁ、俺の場合はどんなに食べても即時に腹の中で吸収されて魔力に変換されるので、無理して食べようと思えば食べられるし、甘すぎて胸焼けをするといったような事もないのだが。
「うーん、それはそうだけど。でも、やっぱり綿飴だったら、もっとこう……ガツンとした甘さがあった方がそれらしくない?」
「もっと小さい綿飴なら、それでもいいかもしれないけどな」
「えー、それはそれで何か損した感じがしない?」
唇を尖らせてそう言う明日菜に、そうか? と首を傾げる。
綿飴が小さくなった分、値段も安くすれば問題はないと思うんだが。
俗に言う、お手頃サイズになりましたって奴か?
綿飴を食べ終わると、俺と明日菜は再び公園の散歩を始める。
天気はいいので、気持ちいい風が吹く。
とはいえ、ここはホワイトスターの中なのだから、その天気も当然のようにコントロールされているものなのだが。
「そう言えば、さ。結局アクセルは今日まであの人達の世界にいたの?」
公園を散歩しながら、明日菜がそう尋ねてくる。
あの人達というのは、当然ながら耀哉達鬼滅世界の面々の事だろう。
一瞬どう答えればいいのか迷うが、俺がどこの世界に行っていたのかというのは明日にでも……いや、早ければ今夜にでもシャドウミラーの面々には知らされるだろう。
だとすれば、別にここで無理に隠すような真似をしなくてもいいか。
「半分正解、半分間違いってところだな」
「どういう事?」
「簡単に言えば、最初はダンバイン世界という世界に転移したんだが、その世界には特殊な力が充満していて、ゲートを設置出来なかった。で、何だかんだとあってその世界からかなり強引な転移をする事になって、その結果が鬼滅世界だった訳だ」
「鬼滅世界、ね。……随分と物騒な名前の世界ね」
「向こうの世界には鬼がいるらしい。それも結構な数が。で、その鬼は人を食う」
人を食うという言葉に、当然ながら明日菜は嫌そうな表情を浮かべる。
聞いて気持ちのいい話じゃないしな。
「その鬼を殲滅するのを目的にしてるから、鬼を滅ぼす世界で鬼滅世界だな」
「それは、また……でも、鬼なのね。今まではPTとかで出撃してたけど、そういうのはないの?」
明日菜の口からPTという言葉が出るのは、どこか違和感がある。
違和感があるが……ただ、シャドウミラーの一員だと考えれば、そこまでおかしな話でもないのだろう。
「そうだな。PTとかじゃなくて人を派遣する形になると思う。幸い、シャドウミラーには生身での戦いが得意な連中も揃ってるしな」
特にムラタなんかは自分が行きたいと政治班の建物までやってくるくらいだったし。
「じゃあ、ネギま世界の人とか、ペルソナ世界の人とか?」
「そんな感じだな。……明日菜も行くなら推薦するぞ」
何気に明日菜は生身という点ではシャドウミラーの中でも実力者の1人だ。
咸卦法という反則染みた技術を使い、エヴァとの戦闘訓練も欠かしていないので、その実力は高い。
それ以外にも、普段はハリセン状態だが、その気になればハマノツルギを使うといった真似も出来る。
そんな明日菜だけに、純粋に戦闘技術や戦闘力という点では、十分鬼を殺せるだろうし、鬼殺隊の柱を相手にしても互角以上に戦えるだろう。
だが……それはあくまでも、技術だけの話だ。
本人の性格を考えれば、難しい。
「え? 私? うーん、やめておくわ。もし私が行っても、多分足を引っ張るだけになっちゃいそうだし。大正時代にはちょっと興味あるんだけどね」
明日菜の言葉に、それ以上突っ込んだ事を聞くような真似はしない。
明日菜の場合、仕事が忙しいというのもあるだろうし。
勿論、何らかの理由で鬼がホワイトスターに来るような事があった場合、そこに明日菜がいれば咸卦法を使って戦うだろう。
だが、明日菜の性格からして、自分から進んで鬼と戦いたいとは思わない。
それに実働班といった訳でもない以上、戦わないという選択肢は間違っていないだろう。
「そうか。けど、鬼の一件はなしとして考えても、時間が出来たら遊びに行ってみるのも悪い話じゃないんじゃないか? それこそ大正時代に興味があるなら」
「え? でも……いいの?」
「それは別に構わないと思うぞ。……ああ、でも大正時代だけに、平成時代の常識とかは通じなかったりするから、その辺は注意した方がいい」
大正時代、それも第一次世界大戦の真っ最中だ。
当然のように軍人は大きな権力を持っているだろう。
平成時代ともなれば、軍人……自衛隊の者達は礼儀正しいというイメージがあったりするので、大正時代で軍人を見るとちょっと戸惑ってもおかしくはなかった。
「なるほど。今度木乃香辺りを誘って行ってみようかしら。ああ、エヴァちゃんなら大正時代に興味津々じゃない?」
「エヴァは戦闘担当として向こうに行く事になると思う。……ただ、そうなればそうなったで、かなり目立つと思うけど」
「エヴァちゃんだしね」
俺の言葉に、明日菜は強く納得した様子でそう告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730