転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3040話

「アクセルは暫くクレイドルに来ていなかったから分からないかもしれないけど、クレイドルの店の入れ替わりはかなり激しいのよ」

「だろうな。まぁ、人が集まる場所なんだし、店を出したいって奴は多いだろ」

「正解。けど、商売をしたいからといって、上手くいくかどうかというのは、また別の話よ。何より、コバッタや量産型Wがいるから違法な行為は出来ないし」

 

 企業の中には違法行為を平然と行っているような場所もある。

 そのような企業にしてみれば、コバッタや量産型Wという存在はかなり鬱陶しいものだろう。

 

「その辺りが理由で、クレイドルに出店してもすぐに撤退する店もある訳だ」

 

 シーマが追加で告げ、その言葉には納得出来た。

 

「そういう訳で、暫くクレイドルに来ていなかったアクセルはクレイドルのお店については知らないと思うわ」

「だから、その辺を知ってるクリスやシーマに任せろと。……けど、ちょっと意外だったな」

「何が?」

「クリスもシーマも、服装にそこまで拘るようには思えなかったからな」

「へぇ……ねぇ、アクセル。それは一体どういう事だい? 私達を女として見ていないと、そういう話なのかしらねぇ?」

 

 今の俺の言葉を聞いて、何故かシーマが笑みを浮かべてそう言ってくる。

 とはいえ、その笑み本当の意味の笑みではなく、獲物を見つけた肉食獣といった様子の笑みだ。

 

「いやいや、そんな訳がないだろ。シーマを女として見ないなんて事は、有り得ない」

 

 これはお世辞でも何でもなく、俺の正直な気持ちだ。

 シーマは顔立ちが整っており、美人と呼ぶに相応しい。

 また、その身体も非常に豊かな曲線を描いており、大人の女としてこちらも十分以上に魅力的だった。

 ましてや、女というのは人に見られる事で美しくなるといったように言われる事があるが、シーマはその典型だろう。

 ジオン軍の犠牲者として知られ、宇宙の蜉蝣の異名を持つシーマは、セイラとはまた違った意味でルナ・ジオンの象徴の1人と言ってもいい。

 そんなシーマに憧れて海兵隊への入隊を希望する者も多いらしいし。

 

「そ……そうかい?」

 

 少し照れた様子でそう告げるシーマ。

 そして何故かそんなシーマの隣ではクリスが不満そうにしていた。

 

「ねぇ、アクセル。私は魅力的じゃないのかしら?」

「そんな事はないだろう」

 

 シーマとは違った意味で、クリスもまた十分に魅力的なのは間違いない。

 クリスはMSの設計も出来るし、操縦技術も高い。士官学校も優秀な成績で卒業しており、まさに才色兼備といった表現が相応しい。

 顔立ちも整っており、身体の曲線は……うん。まぁ、そっちではシーマに圧倒的に劣ってそうだけど、取りあえずその件については言わない方がいいだろう。

 そう思った瞬間、クリスの手が俺の顔に伸びてきたのを見て、反射的に後ろに下がる。

 

「アクセル。今、私を見て何を思ったのかしら?」

「別に何も思っていないぞ。それより輝利哉の服の問題だろ。……輝利哉が女装するのは魔除けなら、やっぱり女物の方がいいのか?」

「え? ここで僕に話を持ってくるんですか!?」

 

 輝利哉が慌てたようにこっちに言ってくるが、クリスの一件を誤魔化す為には輝利哉に頑張って貰う必要がある。

 そういう意味では、ここで躊躇する訳にはいかず、頷く。

 

「輝利哉の服装の問題は重要だろう? ここは別の世界だから、魔除けで女装する必要はないのか、別の世界であっても魔除けは魔除けとして女装するのか」

 

 個人的には、ここは別の世界だから女装しなくてもいいと思うんだが。

 その理由としては、やはり耀哉の呪いの件がある。

 耀哉の呪いは、ホワイトスターに来た事によって効果を発揮しなくなった。

 それはつまり、鬼滅世界の呪いとかはあくまでも鬼滅世界の中でしか効果がない事を意味している。

 であれば、魔除けに関しても鬼滅世界の外では意味もないような。

 とはいえ、魔除けはあくまでも魔除けだ。

 効果のあるなしもそうだが、ある意味で歴史のあるものでもある以上、輝利哉が女装をするのなら、それはそれでいいと思う。……セイラ辺りに誤解されたりしたら、問題だが。

 

「えっと、その……では、女物の服でお願いします。何かあった時の事を考えると、やはりそちらの方がいいと思いますので」

 

 何かあった時というのは、具体的に何を意味してるのか。

 その辺は俺にもちょっと分からなかったが、本人がそれでいいと言うのなら、俺からは特に何も言うような事はない。

 

「そんな訳で、輝利哉に女物の服を買いたいんだが、どこの店に行けばいい?」

「……誤魔化したわね……」

 

 ボソリ、とクリスの呟く声が聞こえてきたが、取りあえずその言葉に関しては聞こえなかった事にしておく。

 

「シーマ、どこか適当な店を知ってるか?」

「こっちに聞くのかい? まぁ、幾つかは知ってるけど。ほら、こっちだよ」

 

 そう言い、シーマは俺の手を引き移動を始める。

 シーマやクリスにまだ慣れていない輝利哉は、素直に俺を追う。

 唯一その場に残されたクリスは、まだ不満そうにしていたものの、それでも置いていかれるよりはと、こっちに来た。

 

「それで、何でシーマとクリスが一緒にいるんだ? 随分と珍しい組み合わせだけど」

「そうかい? 最近は私もクリス達とお茶を楽しんだりする事もあるし、そう考えればそこまで珍しい話じゃないんだけどね。とはいえ、今日はそういうのじゃなくて、仕事の関係だよ」

「仕事の? そうなると、MSか?」

 

 シーマは海兵隊を率いており、クリスはルナ・ジオン軍のMSを開発するディアナに所属して、テストパイロットや新型MSの開発をしていた筈だ。

 そんな2人が仕事で一緒にいたとなれば、当然だがそこにはMSが関わってくると判断するのは間違いではないだろう。

 

「そんな感じね。アクセルが知ってるかどうかは分からないけど、現在のルナ・ジオン軍の主力MSはガルバルディβ。ただし、エースが乗る機体はギャン・クリーガーとなってるわ」

「その辺については聞いてる。……まさか、ガルバルディが改修されて主力機になるとは思わなかったけど」

「元々ガルバルディはかなりの高性能機だったもの。言ってみれば、ゲルググ+ギャンといった感じかしら。それを改修すれば、素性のいいMSになるわ」

 

 そう言うクリスの様子からすると、クリス自身もガルバルディβの開発には関わっているのかもしれないな。

 とはいえ、クリスの言いたい事も理解出来る。

 ガルバルディβというのは、言ってみればビームライフルを始めとした遠距離攻撃手段を持ったギャンといった感じの性能なのだから。

 純粋な性能という点では、ジオン軍の主力MSとなったゲルググをも上回る。

 そういう意味では、ルナ・ジオン軍としての主力MSとして採用されてもおかしくはないのだろう。

 

「ヅダとかはどうなってる?」

「勿論、未だに現役よ? 勿論、最前線で戦うといったような事は難しいから、高機動狙撃型のSP型がメインだけど。……ただ、中にはヅダに強い愛着を持っていて、未だに強襲型のA型を好んで使う人が多いわ」

「ヅダの速度を考えれば、最前線で戦うんじゃなくて強行偵察型のE型が一番便利だと思うんだけどな」

 

 ヅダは総合性能では、他のMSにも劣るだろう。

 だが、機動性の高さという点に関しては、間違いなく一級品だ。

 それだけにミノフスキー粒子が存在する中で行われる偵察……実際にMSで敵の姿を発見し、その情報を自軍に持ち帰るという点で考えれば、間違いなく一級品の実力を持つ。

 

「勿論、偵察型としても使う予定ではいるわよ。ただ……やっぱり新型機の方に機種変更していって欲しいと思うのは、ディアナの人間として当然でしょう?」

 

 クリスにしてみれば、自分達が開発したMSだけに活躍の機会は多くなればそれだけ嬉しいといったところか。

 

「シーマとしては、新型機はどうなんだ? シーマの事だから、ギャン・クリーガーに乗ってるんだろ?」

「当然さね。ギャン・クリーガーはいい機体だよ。ただ、ちょっと近接戦闘重視なのが気になるけどね。それより、そろそろ到着だよ」

 

 シーマの視線が向けられている先には、ビルがある。

 見たところ、複数の店舗が入ってるビルだ。

 クレイドルは基本的にビルが多い。

 かなり巨大ではあるが、それでも元々は移民船なのだから、少しでも多くの者が乗れるようにと考えられるのは当然だろう。

 その割には草原や山、川、林、森……といったような自然環境が多数があるが。

 ともあれ、ここは都市部であるという事もあり、一軒家の店舗というのはあまりない。

 シーマが示したビルも、そういう意味では標準的な店が入っているビルなのだろう。

 

「それで、アクセル。シーマも。……いつまで手を繋いでいるのかしら?」

「っ!?」

 

 クリスの言葉に驚いたのか、シーマは反射的にこちらの手を放す。

 

「少し忘れてただけに決まってるだろう!? それよりほら、早く中に入るよ。でないと、輝利哉だったかい? その子が目立ち続けてしまうだろう?」

 

 そう言い、シーマがビルの中に入っていく。

 

「あら、少し意地悪だったかしら?」

「移動するのに集中していたから、手を繋いでいたのを忘れたんだろ」

「……そうね」

 

 何故か俺の言葉に溜息を吐き、クリスは輝利哉を連れてビルの中に向かう。

 何かおかしかったか?

 そう疑問を抱きつつ、俺もビルの中に入っていったのだが……

 

「なぁ、もうそろそろ買わないか?」

 

 ビルの中に入って30分程、

 2階にある店で、俺はうんざりとしていた。

 色々な服があるのは分かるものの、その服を見てああでもない、こうでもないと言っているクリスとシーマ。

 いや、それだけではなく……店の中にいた客の何人かがクリスの顔見知りだったらしく、輝利哉が実は女装している男だという話をすると、何故か燃え上がった。

 それこそ、次々に服を持ってきては輝利哉に着せて、キャーキャー言ってるのだ。

 正直なところ、この状況がいつまで続くのか非常に気になる。

 俺としては、もっと簡単に……それこそ、10分も掛からずに服を選び終えると思っていたんだが。

 女の買い物に付き合うと疲れるというのを、完全に忘れていたな。

 いや、自分達の買い物ならそのくらいの時間が掛かってもおかしくはなかったのだが、今回は自分達ではなく、あくまでも輝利哉の服だ。

 何故それにそこまで熱中出来るのやら。

 ちなみに輝利哉もそんな周囲の勢いに圧倒されているのか、時々こっちに助けを求めるような視線を向けてくるものの、ここで俺が何かを言えば多分また面倒な事になる。

 それどころか、場合によっては更に買い物の時間が延びる可能性があるので、俺はそっと視線を逸らす。

 そんな俺の姿にショックを受けた様子を見せる輝利哉だったが、今は大人しくクリス達の餌食になっていてくれ。

 というか……もうぶっちゃけ、輝利哉をクリスとシーマに任せて、俺はとっととセイラに会いに行った方がいいような気がしてきた。

 とはいえ、実際にそんな真似をしたら後でシーマやクリスから不満を言われるのは間違いないし、そういう意味ではとてもではないが出来ないが。

 

「これ、どうぞ」

 

 俺が暇そうにしているのが分かったのか、店の店員が缶紅茶を渡してくる。

 

「いいのか?」

「はい。アクセル代表に来て貰っただけでも嬉しいのですから」

「……よく分かったな」

「これでもプロですから」

 

 俺は一応変装をしていたのだが、服屋の店員……服を扱うプロにしてみれば、あっさり見抜くことが出来る程度のものだったらしい。

 さすがと言うべきか、それとも俺の変装が稚拙すぎたと反省するべきか。

 

「出来れば騒がないでいてくれれば助かるな」

「勿論そのつもりですよ。私もルナ・ジオンに救われた1人ですから。そのルナ・ジオンを建国してくれたアクセル代表には感謝しかしていません」

「そう言ってくれると、俺としても嬉しいよ。とはいえ、ルナ・ジオンを建国したのはあくまでもアルテイシアなんだけどな」

 

 セイラの本名を口にすると、店員は笑みを浮かべて頷く。

 

「勿論アルテイシア様にも深く感謝しています。ですが、アクセル代表がいなければ、恐らくルナ・ジオンを建国するような真似は出来なかったでしょう」

「それは否定しない」

 

 とはいえ、シャアの一件もある。

 小惑星を地球に落とすといったような真似は、国……とまではいかずとも、ある程度の規模の組織がなければ分からない。

 それはつまり、このUC世界の本来の歴史であればシャアが国家か組織かは分からないものの、それらを起ち上げたのは間違いのない事実だった。

 そう考えると、セイラが1年戦争の時点でルナ・ジオンを建国したというのは、非常に大きな意味を持っているのは間違いない。

 

「だからこそ、私達はアクセル代表に感謝するのです。……1年戦争が終わったとはいえ、今も地球はその復興や後始末で忙しいと聞きます。治安も相当に悪いとか。それに比べると、月はまさに天国と言ってもいいでしょう」

 

 そう告げる店員に、俺はどう答えるべきか迷うのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1730

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