UC世界の月の首都、クレイドル。
その政庁は大きく、その内部には当然のように食堂や喫茶店の類が複数ある。
もっとも、政庁で働いている者の中には昼食は政庁の外にある店で食べるといった者も少なくないのだが。
ともあれ、そんな政庁にある喫茶店の1つに俺とモニクの姿はあった。
セイラがモニクに少し休憩の時間を与えるから、俺と一緒に休んでこいと、そう言ったのだ。
「この紅茶……美味いな。こういう場所だけに、そこまで期待してなかったんだが」
「ここはルナ・ジオンの政庁よ? 場合によっては、ジオンや連邦の、あるいは企業の中でも高い地位にある人が使う可能性があるのよ? 質の高い茶葉を用意するのは当然でしょう?」
モニクが呆れの視線をこちらに向けてくる。
どうやらそういう事らしい。
「ルナ・ジオンに来る者は多そうだし、そうである以上はこういう店も必要なんだろうな」
「そうね。ルナ・ジオンは現在UC世界では大きな注目を浴びているわ。ブッホ・ジャンクからの話は聞いた?」
「かなり大きなジャンク屋だろう? それがどうしたんだ?」
「旧サイド2の場所にあるデブリ帯から、一緒にジャンクを回収しないかという話がきてるのよ」
「それはまた、随分といきなりだな。ただ、ルナ・ジオンにとっては悪くない話じゃないか?」
ルナ・ジオンの主力産業の1つに、ジャンクの回収がある。
ただし、この場合のジャンクというのは一般的な意味でのジャンク……具体的には戦艦やMS、戦闘機の部品の回収とかそういうのではなく、宇宙を漂っている岩塊とか、そういうのでも全く構わない。
普通ならそういう岩塊は特殊な鉱石の類でもない限り、あまり使い物にならない。
しかし、ルナ・ジオンはシャドウミラーのバックアップを受けており、シャドウミラーとしては岩塊の類でも使い道がある。
具体的にはキブツとか。
それだけに、ルナ・ジオンの中でもある程度自分の腕に自信がある者にしてみれば、ジャンク屋として働くというのは悪い話ではない。
……以前少し聞いた話によると、ルナ・ジオン軍のMSパイロットの中にも休日に小遣い稼ぎとしてジャンク屋をやってる者がいるという話も聞いている。
そういう意味では、ルナ・ジオンにとってジャンク屋というのは非常に馴染み深い職業でもある。
「そうね。悪い話じゃないわ。ただ……心配するべき部分もあるのよ。具体的には、ルナ・ジオンのジャンク屋は基本的に月の周辺でしか働いていなかったのに、サイド2に行ってもきちんとやっていけるのかといった事とか」
「あー……そっちの問題があるのか。とはいえ、宇宙船の着艦とか出撃とかはそこまで難しい訳でもないし、ある程度どうにか出来るんじゃないか?」
「慣れれば問題ないと思うけど、それに慣れるまでが大変なのよ。私やアクセルを始めとして、そのような作業に慣れているのならまだしも、そういうのに慣れていない人にしてみれば、慣れるまでに時間が必要でしょうし、慣れるまでに事故を起こす可能性もあるわ」
そう告げるモニクは、少し憂鬱そうな表情を浮かべていた。
モニクは強気なというか、厳しい性格をしているものの、何気に優しいところもあるんだよな。
「何よ?」
俺がモニクの顔を見ているのに気がついたのか、不満そうにそう言ってくる。
若干照れ臭くしているのは、見られているのが気になったかから?
いや、けどモニク程の美人ともなれば、男から見られるというのはそう珍しい事でもないと思うんだが。
「いや、何でもない。そう言えばモニクには弟がいたよな? 今どうしてる?」
1年戦争において、モニクがルナ・ジオンに投降する事になった大きな理由の1つは、その辺りにも理由があった筈だ。
本人は決して認めたりはしないだろうが。
「ルナ・ジオン軍で働いているわよ。とはいえ、まだ正式な軍人じゃなくて、学生だけど」
「元々学生だったんだから、それはしょうがないだろ」
モニクの弟……そしてその仲間はいわゆる学徒兵だ。
学生が最低限の訓練だけしたといった感じらしい。
……そういうの、ジオン軍には多かったらしいな。
ジオン軍の最新鋭量産型MSのゲルググも、本来ならガンダム以上の性能を持っていたのだが、それを操縦しているのが学徒兵だった影響か、カタログスペック通りの性能は発揮出来なかったらしいし。
ジオン軍に学徒兵が多くなったのは、ルナ・ジオンが大きく影響しているのも間違いないので、ここで俺がどうこう言ってもジオン軍の者にしてみれば、ふざけるなといった感じなのだろうが。
「そうね。私としてもそれは嬉しい限りよ」
何だかんだと優しいモニクの事だ。
弟がすぐ……それこそ必要最低限の訓練すらしないまま戦場に出るというのは、どうあっても避けたかったのだろう。
「1年戦争が終わったんだし、最初は少し混乱するかもしれないが、時間が経てば1年戦争の時のように最前線で戦うといったような事はそう起きないんじゃないか?」
「ジオン軍の残党が動いている限り、それは無理でしょうね」
憂鬱そうな様子のモニク。
その気持ちは分からないでもないが、かといってジオン軍の残党も連邦相手ならまだしも、ルナ・ジオンに攻撃してくるとは思えないんだが。
ルナ・ジオンの強さは、それこそ1年戦争で連邦、ジオン双方共に知っている。
そのような状況で、わざわざルナ・ジオンを敵に回すといったような真似をするとは思わない。
そもそも、ジオン軍にとって恨むべき対象はルナ・ジオンではなく連邦の筈なのだから。
……まぁ、最終的にルナ・ジオンが連邦に協力したのだから、ルナ・ジオンも全く恨まれていないという訳ではないと思うが。
「ともあれ、こっちの世界についてはセイラがいるし、モニクもいるんだから大丈夫だと思っておく。ただ、それでもどうしようもなくなったら、俺を呼べ。可能な限りの手段を使って駆けつける」
「そ、そう。ええ、そうね。覚えておくわ」
何故か頬を赤くするモニク。
自分達が侮られたと思っての憤りか?
そんな風に考えつつ、モニクとの会話を続け……
「さて、じゃあそろそろ仕事に戻るわね。アルテイシア様から休憩してもいいと言われたけど、それでもいつまでもって訳じゃないし」
「そうか? なら、俺もそろそろシーマとクリスに合流するか」
「……何でここでその2人の名前が出て来るの?」
俺の口からシーマとクリスの名前が出たのが予想外だったのか、モニクはそんな風に言ってくる。
「何でと言われてもな。俺がセイラに会いに来る前に一緒に行動していたし。それに輝利哉……鬼滅世界からこの世界に来た子供を預かって貰ってるんだ。合流するのは当然だろう?」
「ああ、なるほど。そういう事ね」
「何か予想していたのと違ったのか?」
「いえ、別にそういう訳じゃないわ。じゃあ、私はそろそろ行くわね。アクセルも気をつけなさいよ。……まぁ、アクセルの事だから、気をつけるも何も全く問題ないんでしょうけど」
そんな風に言われつつ、会計をするのだった。
「さて、シーマとクリスに会いに行く前に、もう少しクレイドルを見て回っておくか」
久しぶりにクレイドルにやって来ただけに、色々と見ておきたいと思うのは当然の話だった。
シーマとクリスに合流するだけなら、それこそ通信機を使えば即座に連絡が取れるのだから。
そうしていつでも連絡を取れる以上、今はまず適当に見て回って時間を潰すくらいはしてもいいだろう。
それに、輝利哉はクリスに対して憧れを抱いているように思える。
今日帰ったら、もうクリスと輝利哉が会う機会はない……とまではいかないが、それでも気楽に会うというのは難しい。
そうである以上、今日のうちにクリスと話をしておいた方がいい。
鬼滅世界の人間が自由にゲートを使えるようになれば、あるいは輝利哉もUC世界のクレイドルに来る事が出来るかもしれないが、大正時代の人間だけにそれ以外の世界についての勉強とかをしっかりとやって貰う必要がある。
そうなると、鬼殺隊を引き継ぐ輝利哉としてはそう簡単に時間を取るといった真似も出来ない。
「アクセル? おい、アクセルじゃねえか! 久しぶりだな!」
変装をしているのに、何故か再び名前を呼ばれる。
そうして聞き覚えのある声に振り向いた視線の先にいたのは、カイだった。
「カイ? そう言えば、お前もクレイドルに来るって話だったけど……まさか、こんな場所で会うとは思わなかった」
カイ・シデン。
ホワイトベース隊で俺と一緒に1年戦争を戦った人物で、戦後は連邦軍を除隊して月にやって来るという予定は聞いていたものの、こうして直接月で会えば驚く。
「ああ。ミハルやその一家と一緒にな。……で、アクセルは何で月に? 暫く姿を見なかったが」
ああ、そうか。カイは俺の知り合いではあっても、別にシャドウミラーに所属している訳でもなければ、ルナ・ジオンの政府の一員という訳でもない。
そうである以上、俺が別の世界に行っていたというのも、全く知らなかったのだろう。
「そうだな。ちょっと忙しかったから、久しぶりにUC世界に来たんだよ」
これは別に嘘でもなんでもない。
実際にダンバイン世界や鬼滅世界に行っていて忙しかったのは間違いのない事実なのだから。
「ふーん。まぁ、いいけど。で、何か面白いネタはないか?」
「面白いネタ? 何だってそんな事を?」
「そりゃあ、俺がジャーナリストだからに決まってるだろ」
あー……そっちに行ったのか。
カイの性格には合ってるかもしれないが、だからといってそれを俺が好むかと言われれば、その答えは否だ。
正直なところ、俺はその手の職業をあまり好んではいない。
そうなると、これからカイに色々と話す時は注意が必要だな。
「そうか。そうなると、俺がカイと話せるような内容はないな」
「おいおい、ちょっと待てよ。戦友を前にしてつれないじゃねえか」
「スクープなら、自分の足で稼ぐんだな。とはいえ、クレイドルでそういうのは難しいだろうけど」
「そこを何とか」
コバッタや量産型Wによって、違法行為をした場合は即座に捕まる。
それだけに、クレイドルにおいて大きな事件のスクープというのは、かなり難しいのだ。
だからこそカイは俺に何か話のネタがないのかといったように言ってるんだろうが……ああ、そうだな。
「これからシーマとクリスに会いに行くけど、一緒に行くか? あの2人なら、何らかのネタを持ってるかもしれないぞ」
あるいは、輝利哉の件を知らせてみるとかしても面白いかもしれないな。
そんな風に思ってカイに尋ねたのが……
「え……シーマって……シーマ・ガラハウ? 宇宙の蜉蝣の?」
何故かシーマの名前が出た瞬間、カイの表情が強張った。
これは、カイとシーマの間に何かあったのは間違いないな。
とはいえ、具体的に何があったのかというのは分からないが。
「そうだ。で、どうする? 行くならこれから合流するからすぐに会えると思うけど」
「あ、しまった。そう言えばミハルから買い物を頼まれていたのを忘れてた。悪い、アクセル。そういう訳で、俺は一緒に行けない」
そう言うや否や、カイは即座に俺から離れていく。
うん、これは間違いなくカイとシーマの間には何かあったな。
カイの様子を見る限り、カイが何らかの理由でシーマを怒らせたといったところか。
シーマは、セイラとはまた違った意味でルナ・ジオンの象徴たる1人だ。
それだけに、普通ならシーマを怒らせるような真似はしないんだが……それをやったのがカイだと言われれば、不思議と納得してしまう。
取りあえずシーマにはカイに会ったってのは言わない方がいいだろうな。
そう考えつつ、俺はこれ以上適当に散歩をする気もなくなり、通信機を取り出すのだった。
「アクセル、こっちだよ」
レストランの中に入ると、不意にそんな声で呼ばれる。
声のした方には、当然ながらシーマの姿。
他にもクリスと輝利哉もいて、テーブルの上には幾つかの料理が並んでいた。
輝利哉がチョコパフェを食べているのは……その外見が女にしか見えないので、全く違和感がない。
「待たせたか?」
「おや、こういう時は……そうだね。今来たところだって言うんだったかい?」
悪戯っぽく笑うシーマだったが、そんなシーマの様子を見ていたクリスは呆れたように口を開く。
「その場合、男女逆だと思うんだけど」
その言葉は否定出来ない事実ではある。
「それで? 輝利哉はどうだった?」
「……凄かったです」
俺の問いに一言だけで答えた輝利哉だったが、だからこそ本気でそう言ってるのが理解出来た。
大正時代の鬼滅世界から来た輝利哉にしてみれば、UC世界の月というのは刺激が強すぎたのだろう。
それでも耀哉が言っていたように、今回の一件が輝利哉にとって大きな刺激になったのは間違いない。
にしても、月でこの様子だと、マクロス世界に行ったりしたらどうなるんだろうな。
UC世界はあくまでも地球圏の周辺……遠くても木星くらいなのに対し、マクロス世界では完全に別の銀河まで移動しているのだから。
そんな風に思いつつ、俺はシーマやクリス、輝利哉から色々と話を聞くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730