転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3052話

 耀哉との話が終わると、先発隊の面々は早速行動を開始する。

 とはいえ、鬼が出たという情報がある訳でもない現在は、先発隊の面々が鬼殺隊の剣士と訓練を行うといった感じだが。

 それこそ、ムラタはそんな訓練を嫌がって自分だけでも鬼を捜して行動するのかと思ったが……耀哉に言ったように獪岳を引き連れ、訓練を行っていた。

 正直なところ、ムラタが何故そこまで獪岳という人物を気に入ったのかは分からない。

 とはいえ、ムラタが気に入ったというのだから、取りあえず任せておいた方がいい。

 

「おい、アクセル。俺も訓練をするのはいいんだが、ペルソナを出してもいいのか?」

 

 困ったように、荒垣がそう聞いている。

 荒垣にしてみれば、戦闘というのはペルソナを使うのが大前提となっている。

 ペルソナを身体に宿せば、多少なりとも身体能力の類は上がるものの、それでもやはりペルソナあってこそなのだ。

 そういう意味では、他の面々よりもかなりやりにくいのは間違いない。

 

「そうだな。いざ鬼と戦闘という時にペルソナを使って、それで鬼殺隊の剣士が驚く……というのは、ちょっと面白くない。鬼殺隊の剣士にならペルソナを見せても構わないと思うぞ」

「分かった。なら、そうさせて貰うよ」

 

 そう言い、荒垣が俺の前から去っていく。

 そうして荒垣を見送ると、これからどうするべきかを考える。

 今の状況では特に何か緊急でやるべき事というのはない。

 なら、俺も訓練に付き合うか?

 そう思うも、今はただでさえ鬼殺隊の剣士達の多くが恐る恐るといった様子で先遣隊の面々と訓練をしているのだ。

 まだ試しているといったような感じである以上、俺が訓練に参加するのは少し不味い。

 

「アクセルさん、少しいいですか?」

 

 俺に声を掛けてきたのは、輝利哉。

 俺が暇をしていると思って、こうして声を掛けてきたのだろう。

 

「どうした?」

「竈門家に対する件で少し話しておきたいことがありまして」

 

 ああ、そう言えば竈門家について調べて欲しいと頼んでいたな。

 炭治郎の使う、未知の呼吸。

 育手に教えられたものでもなく、鬼殺隊の剣士として働き始めてから編み出したものでもなく、竈門家に伝わるものだ。

 竈門家に何故そのようなものが伝わっているのかは分からないが、過去に鬼殺隊の剣士がいたのかどうか、出来れば確認したいと頼んだのだ。

 呼吸というのは、鬼殺隊の剣士にとって極めて重要な技術だ。

 そんな中で未知の呼吸が出て来たというのは、大きな意味を持つ。

 ……まぁ、炭治郎はこの世界の主人公と思われる相手だ。

 竈門家にだけ伝わっている呼吸というのがあっても、ある意味ではおかしくはないのかもしれないが。

 

「で、どうだった? 炭治郎の先祖に鬼殺隊の剣士はいたか?」

 

 そう尋ねるが、輝利哉は首を横に振る。

 

「いえ、確認出来る限りは調べて見ましたが、それらしき人物は……」

 

 首を横に振る輝利哉を見て、ある意味では納得する。

 そもそも名字を明確に使うようになってから、まだそこまで時間は経っていない。

 そうである以上、実は炭治郎の先祖が鬼殺隊の剣士にいたとしても、竈門という名字を使っていたかどうかは微妙だ。

 また、鬼殺隊に残ってる資料も、鬼殺隊全体として考えると、とてもではないが完璧とは言えないだろう。

 その辺りの事情を考えると、輝利哉からの報告はそういうものかと納得するしかない。

 勿論、炭治郎の先祖が実際に鬼殺隊にいたと断定出来れば、それが最善だったのも事実なのだが。

 

「となると、炭治郎が新たに習得した……いや、しつつあるか? ともあれ、その呼吸は出来るだけ早く解明した方がいいな」

「アクセルさん、何故彼だけ特別扱いするのですか?」

 

 輝利哉の口から出たのは、不満というよりは疑問。

 輝利哉の性格を考えればそのように思ってもおかしくはない。

 とはいえ、まさか実は炭治郎がこの世界の主人公と思しき人物で、だからこそ炭治郎の呼吸がこの世界の流れに関わってくるかもしれない……とは、とてもではないが言えないしな。

 

「炭治郎が鬼殺隊の剣士として本格的に動き始めてから、まだ短い」

 

 炭治郎から聞いた話によると、それは間違いない。

 輝利哉も炭治郎やその先祖について調べた為か、俺の言葉を聞いて素直に頷く。

 

「にも関わらず、十二鬼月と互角に近い戦いをしているし、その上で無惨とも直接会っている。そして言うまでもなく禰豆子は鬼としてもかなり特殊だ。……これだけの条件が整っている以上、炭治郎を特別扱いするのはおかしな話ではないだろう?」

 

 そんな風に波瀾万丈といったような状況なのは、まさに主人公だからこそなのは間違いない。

 

「それは……そうですね」

「それに炭治郎は、嗅覚が異常に鋭い。浅草で無惨を見つけたのも、無惨に襲われた家に残っていた臭いが理由らしいかな。そんな炭治郎だけに、また臭いで無惨を見つけられる可能性は否定出来ない。ここまで条件が揃っている以上、特別視してもおかしくはないだろう?」

「そう言われると、否定出来ませんね」

「だろう? ……ちなみに、本当にちなみにだが、俺が聞いた限りだと炭治郎の家というのはかなり山奥にあったらしい」

 

 炭を作って売るという関係上、山に家があるのは当然の話だった。

 だが……それが俺が疑問を抱く原因となった理由でもある。

 

「なのに、何故無惨はそんな山奥に行ったんだ?」

「それは、人を食べる為では? 無惨も鬼である以上、人を食う必要があります。しかし、街中で人を喰い殺すといったような真似をした場合、かなり目立つかと。なら、山奥にある家を襲って……という事になれば、発見も遅くなるでしょう」

「その可能性はあるかもしれないな。ただ、そうなればそうなったでまた別の問題も出て来る。……無惨と炭治郎が遭遇しなかったのは何でだ?」

「それは……偶然なのでは?」

 

 偶然か。

 まぁ、その可能性も否定は出来ない。

 炭治郎から話を聞いた限りでは、家に帰る途中で夜になったので、知り合いの家に泊めて貰ったらしいし。

 そして鬼が活動するのは、日中ではなく夜。

 そう考えると、炭治郎と無惨が遭遇しなかったのは当然の事ではある。あるのだが……それでも、無惨が1人で山道を登って炭治郎の家まで人を喰い殺しに行くというのは少し疑問が残る。

 だとすれば……そう考え、血鬼術は個体によって大きく違うというのを理解する。

 

「輝利哉、血鬼術の中には、瞬時に場所を移動させるような効果を持っているって話は聞いた事がないか?」

「え? 瞬時にですか?」

「ああ。転移、テレポート、神隠し……はちょっと違うか。とにかく、そんな風に瞬時にどこかに移動出来るとか、そういう血鬼術だ」

 

 その事に考えが及んだのは、俺自身が影のゲートという転移魔法を自由に使っているからだろう。

 使っているからこそ、血鬼術で俺の転移魔法と同じような能力を持っている個体がいるかもしれないと、そう思ったのだ。

 

「それは……聞いた事がないです」

「ならいないか、もしくは単純にまだ誰にも見つかっていないだけなのか」

 

 いないだけならいい。

 単純に俺の気のせいだというだけですむのだから。

 だが、もしそのような相手が存在しており、まだ鬼殺隊で認識されていないだけだとしたら……これは正直なところ、かなり面倒なことになるだろう。

 そして俺の勘というか、無惨の件を考えると……多分、いるような気がするんだよな。

 

「鬼殺隊の方に連絡して、そのような能力を持った鬼と戦ったことがないのかどうか、調べてみます。それと資料の方も探してみた方がいいでしょうね」

「そうした方がいいだろうな。……そういうのを知る為にも、やっぱり鬼は殺すんじゃなくて捕らえて情報収集をしたいんだよな」

 

 鬼殺隊の剣士達にとって、鬼は殺すべき相手であって捕らえるべき相手ではないのだろう。

 それ以前に、鬼は高い身体能力や再生能力、血鬼術といったように危険な特徴を持つ。

 下手に捕らえようとしても、それこそ剣士達が被害を受けるだけになりかねない。

 しかし、それはあくまでも鬼殺隊の剣士であればの話だ。

 俺やシャドウミラーの実働班であれば、多少鬼が強力であっても、それを捕らえるのは決して難しくはない。

 だからこそ、こうして第一陣が来たところで鬼を捕らえるという事を考えてもいい筈だった。

 

「そう出来ればいいんですけどね。……ちなみに、鬼に鬼舞辻無惨の情報を喋らせようとした場合、呪いで死にますから注意して下さいね」

「それは、また随分と用心深い……うん? ちょっと待て、呪い?」

「正確には呪いというのは違うかもしれませんが。ただ、鬼が鬼舞辻無惨の情報……どころか、その名前を口にした瞬間に死ぬのは間違いありません。恐らく鬼になる際にそのようにされてるんでしょうね」

「鬼舞辻無惨がその都度……ってのは、考えにくいか。何だかんだで、鬼は結構いるんだろ? だとすれば、そんな鬼の様子を常時全て把握しているというのは難しいだろうし」

 

 これで、鬼の数が10匹や20匹程度なら、あるいは常時監視するといったような真似も出来るかもしれないが、無惨が生み出した鬼はそんな程度ではない。

 そこまで考え、ふと気が付く。

 もし常時把握とまではいかないまでも、何らかの手段で無惨が鬼の状況を知る事が出来るのなら、あるいは無惨は俺やシャドウミラーの存在に気が付いている可能性があるな。

 俺達……特に俺は、鬼殺隊の剣士と違って日輪刀を使わなくても鬼を殺す事が出来る。

 それはつまり、鬼にとって鬼殺隊の剣士や太陽以外に新たな脅威が現れたという事を意味していた。

 しまったな。もしこの予想が当たっていれば、無惨は今までよりも更に慎重に隠れるといったような真似をするかもしれない。

 

「アクセルさん? どうしたんです?」

「いや、もし本当に鬼が無惨について話すと死ぬのが呪いなら、鬼を捕らえた後ですぐにホワイトスターに連れていけば、無惨についての情報を入手出来るかもしれないと思ってな」

 

 耀哉がホワイトスターに行ったところ、呪いの効果が消えて健康になった。

 それこそ、耀哉が軽くジャンプしたりするくらいには。

 勿論、耀哉の呪いが消えたからとはいえ、鬼の呪いも消えるとは限らない。

 そもそもの話、耀哉……いや、産屋敷一族に掛けられた呪いは、別に無惨が掛けた呪いではない。

 運命、神、世界……あるいはそれ以外の何かによって掛けられた呪いだ。

 ああ、でもそんな存在の呪いでもホワイトスターに来れば無力化されるんだから、無惨の呪いもホワイトスターでは無力化される可能性が高いという意味か。

 その辺、実際に試してみる必要があるな。

 とはいえ、問題なのはいつ新たな鬼の情報が集まるかだな。

 ましてや、鎹鴉を使って情報のやり取りをしてるのだから、必然的に情報の入手は遅くなる。

 こういう時に通信機があれば便利なんだが……それは今の状況で言うべき事じゃないか。

 耀哉と政治班の交渉が上手く纏まれば、少なくても柱達のように相応の強者は通信機を持つようになるかもしれないのだから。

 

「色々とやるべき事が多いな、お互いに」

「そうですね。……ああ、そうそう。まずは先発隊のお礼として10本の日輪刀を用意しています。後で渡すので、持っていって下さい。この件を知らせる為に来たんでした」

 

 竈門家の一件だったり、それ以外にも色々とあって忘れていたらしい。

 にしても、鬼殺隊全体で考えても日輪刀というのはそれなりに貴重な代物の筈だ。

 それを10本……それだけ耀哉はシャドウミラーに対して感謝しているという証といったところか。

 

「助かる」

 

 シャドウミラーにとって、鬼滅世界の中で欲している物の1つが日輪刀だ。

 レモン率いる技術班の面々は、日輪刀にかなり強い興味を持っていた。

 何しろ握る者によって色が変わり、更には太陽以外で鬼を殺す唯一の手段。

 そのような特性を持つ武器を、技術班が興味を抱かない訳がなかった。

 

「いえ、こちらも10本しか用意出来ずに申し訳ありません。もう少ししたら、鉱石の方も用意出来るとの事でしたので」

 

 鉱石か。

 日輪刀もそうだが、鉱石の方も当然ながら技術班にしてみれば興味深い筈だ。

 寧ろ日輪刀よりも鉱石の方に深い興味を抱いているのでは? と、そんな風に思うくらいに。

 

「鉱石の採掘に時間が掛かるようなら、こっちから手を回そうか? 量産型W……いや、バッタやコバッタ、メギロートとったような無人機があるから、採掘作業は人力でやるよりも素早く正確だし、何より危険もないぞ」

 

 日輪刀を作る為の鉱石が一体どんなのかというのは、正直なところ俺にも分からない。

 だが、一般的に鉱山での採掘となれば、かなり危険な仕事なのは事実。

 そうである以上、無人機でどうにか出来るのならそれがいいと思ったんだが……

 

「いえ、恐らくそれは出来ないでしょう」

 

 輝利哉の口から出たのは、予想外の言葉。

 とはいえ、それは輝利哉がそのように判断しているのではなく、誰が行っても駄目だと、そう言ってるように思えたが。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1730

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