転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0295話

「アクセル君!」

「おわっ!」

 

 柿崎や釘宮達と一緒に街へと出た翌日、つまり月曜日。学校へと登校した俺が教室のドアを開けた途端いきなりそう呼びかけられ、思わず驚きの声を漏らす。

 俺の後ろでは、いつものように一緒に登校してきたあやか、千鶴、夏美の3人が俺と同じく驚きの表情を浮かべていた。

 

「ど、どうした?」

 

 一昨日、茶々丸に攻撃を仕掛けて帰って行った時はかなり落ち込んでいたんだが、今のネギの様子は元気120%といった所だ。

 

「悪いんだけど、ちょっと付き合って貰えるかな」

「付き合う?」

「うん。エヴァンジェリンさんに話があったんだけど、どうやら今日もまたサボってるみたいで」

「サボってる……ねぇ」

 

 取りあえずネギの横を通り過ぎ、自分の席へと荷物を降ろす。チラリとエヴァの席を見るが、そこにはいつものように荷物が存在していない。

 おかしいな。エヴァは登校地獄の呪いが掛かってるだけに、サボるにしても最低一度は学校に来ないといけないんだが。

 

「で、エヴァンジェリンさんの家に行こうと思うんだけど、付いてきて欲しいんだ」

「エヴァの家に?」

「うん。茶々丸さんの事も謝りたいし。それに直接会って話をしたいし」

 

 まぁ、それは分かる。ネギのような真面目な性格なら自分の非を認めた場合は直接会って謝りたいと考えるのはおかしくはないだろう。だが……

 

「何で俺も?」

 

 そう。そこが不思議な所だ。俺とエヴァが一種の友好関係を結んでいるというのを知っているのなら、俺の伝手を頼ってエヴァに渡りを付けたいと考えるのもおかしくないだろう。だが、ネギは俺とエヴァの関係については知らない筈だ。

 

「だってアクセル君は茶々丸さんを身を挺して助けたでしょ。つまりあの件に関してはアクセル君も関係者な訳だし」

 

 なるほど、そう来たか。だが、その割には茶々丸襲撃事件に関わっていた神楽坂とカモの姿は無い。

 

「神楽坂とカモは?」

「あの件については、僕が主導でやった事だから」

 

 うーん、自分で全てを背負い込んでるように見えるが……まぁ、それに関しては高畑なり近右衛門なりに任せればいいか。俺が頼まれているのはあくまでもいざという時のフォローであって、ネギの性格改善に関しては職分の範囲外だろう。

 

「そうだな、ならエヴァの家に行くか」

「ありゃ、エヴァンジェリンさんの家に行くん?」

 

 早速エヴァの家に向かおうとした俺達にそう声を掛けて来たのは和泉だった。

 

「ああ、ネギがエヴァにちょっと用事があるって言うんでな」

「エヴァンジェリンさんなら何や風邪でお休みするて連絡あったんやけど……」

「風邪? エヴァンジェリンさんが?」

 

 和泉の言葉に不思議そうな顔をするネギ。俺としてもちょっと意外だ。600年を生きた真祖の吸血鬼に風邪を引かせるなんてどれだけ根性のあるウィルスなのやら。

 

「じゃ、じゃあちょっとお見舞いも兼ねて行ってきます。アクセル君、行こう」

「おい、ちょっ……」

 

 俺に最後まで言わせずに腕を引っ張って廊下を走っていく。

 と言うか、仮にも担任のお前が生徒の俺に授業をサボらせていいのか?

 そんな風にも思うが、そもそも学園長が関東魔法協会の理事なのだ。その辺の融通は利かせて貰えるんだろう。

 教室の中から『アクセル君!?』というあやかの声が聞こえたような気もするが、取りあえずその辺はスルーしてネギに付いていく事にする。

 決して、春特有の柔らかな日差しに教室で勉強をしているのが面倒になったからではないとだけは断言しておこう。

 

 

 

 

 

「えっと……エヴァンジェリンさんの住所は……」

 

 恐らくエヴァの家の住所が書かれている紙を見ながらそう呟くネギ。

 さすがにまだこの麻帆良に来てからそれ程経っていない為に詳しい住所等は分からないようだ。……いや、そう言う俺自身にしてもネギより1月程度早いだけなんだけどな。それでも、エヴァの家には何度か足を運んでいるので既にその場所は覚えている。

 

「そっちじゃないぞ。次の道を右だ」

「あれ? アクセル君、エヴァンジェリンさんの家を知ってるの?」

「何度か行った事があるからな」

 

 そうネギに言い、先導するようにして道案内をする。

 

 

 

 

 

「ほら、あそこだ」

 

 視界に入ってきたのは、既に見慣れた感のあるログハウスだった。だが、それに見慣れているのは何度か足を運んでいる俺だけで、初めてエヴァの家を見るネギはどこか驚いたようにログハウスを見上げている。

 

「うわ、思ったよりも普通の家だ」

「……どんな家だと思ってたんだ?」

「そりゃ吸血鬼のエヴァンジェリンさんが住んでる家なんだから、やっぱり墓場に棺とか?」

「いや、まぁ。確かにイメージ的に間違ってるとは言わないけどな」

 

 そんな風に言いながら、勝手知ったる感じにドアの近くにある鐘を鳴らす。

 カランコロンといった音が周囲に響くが、中から誰かが出て来る様子は無い。

 

「あれ? 留守かな?」

 

 そう言って何気なくドアへと触れるネギだったが、軽く触っただけでドアが開く。

 

「えーっと、誰かいませんかー? 担任のネギですけどお見舞いに来ましたー」

 

 そう言いつつ家の中を覗くネギ。

 そこにあったのは、大量の人形が所狭しと置かれている光景だった。

 以前俺が軽いボヤを起こした痕跡は既に一切見えなくなっている。魔法かはたまた超辺りの科学の力なのかもしれないが、大した物と言えるだろう。

 

「わ、思ったよりもファンシーだ。何か吸血鬼ってイメージと違うなぁ」

 

 部屋の中を見回して思わず呟くネギ。確かにそれは同感だが、それをエヴァに聞かれたら色々と酷い目に遭うと思うから気をつけた方がいい。……と、取りあえず内心でだけ注意する。

 

「どなたですか?」

「わっ!」

 

 突然声を掛けられて驚くネギ。声のした方へと視線を向けると、そこにはメイド服姿の茶々丸がお盆に水差しや薬を乗せて立っていた。

 

「こんにちは、アクセルさん。それとネギ先生も。マスターに何か御用でしょうか?」

「え? あ、ちゃ、茶々丸さんですか!? うわぁ。その服、とっても似合ってますね」

「ありがとうございます。それで御用はなんでしょう?」

「あ、その……この前は本当にすみませんでした!」

 

 ガバっとばかりに頭を下げるネギ。

 

「いえ、こちらこそ。それに私はアクセルさんに助けられましたので特に被害はありませんでしたし、気にしないで下さい」

「ほ、本当ですか……良かったぁ……」

 

 茶々丸を攻撃したのが余程の心的重圧になっていたのだろう、ネギは安堵の溜息を吐く。本当にこの休日で何があったんだ? 一昨日別れた時とは全く様子が違うが。

 

「あ、それでエヴァンジェリンさんは?」

「マスターは病気です」

「マジか」

 

 茶々丸の言葉に、反射的にそう返す。

 

「ええ、マジです」

 

 オウム返しのように返事をする茶々丸。どうでもいいが、茶々丸がマジとか言うと違和感あるのは俺だけか?

 とにかく可能性の1つとしては考えていたが、本当に病欠なのか。あのエヴァに感染する根性を持ったウィルスとか、下手をすると生物兵器になるんじゃないのか? イヤだぞ、こんな所でバイオハザードとか起きてゾンビとかに襲われるのは。……いや、吸血鬼がいるんだ。ゾンビとかも実は普通に存在しているのかも。

 信じられないという思いはネギも一緒だったのだろう。小首を傾げながら茶々丸と話を続ける。

 ちなみに、小首を傾げるその仕草はあやかがここにいたら一発でノックダウン間違い無しと思えるような代物だった。

 

「またそんな。真祖の吸血鬼で不老不死であるエヴァンジェリンさんが風邪なんか引く筈が……」

「その通りだ」

 

 言葉に割り込んできたのは、この家の主であるエヴァの声だった。二階にある寝室から俺達の声を聞いて降りてきたのだろう。パジャマ姿で階段の手摺りに腰を掛けてこちらへと視線を向けている。

 

「よく私の家に来たな。魔力が十分でなくても貴様如きひよっ子を殺すのは朝飯前だと分かっているのか?」

「マスター、ベッドを出ては……」

 

 茶々丸がそう呟くが、ネギにしろエヴァにしろどちらも茶々丸の話を聞かずに自分達で話を進めていく。

 

「エヴァンジェリンさん、これを受け取って下さい!」

 

 そう言ってネギが差し出したのは一通の封書。一瞬、まさかのラブレターかと思った俺は3-Aに毒されてきているのかもしれない。だが、それはある意味でエヴァも同じだったのだろう。怪訝そうな表情で口を開く。

 

「……何だ、ソレは?」

「決闘状です! 僕ともう一度勝負して下さい! そ、それにちゃんとサボらずに学校に来ないと卒業出来ませんよ!」

「だから呪いのせいで出席しても卒業出来ないんだよ」

 

 呆れたように呟く。なるほど、登校地獄に関しては既にネギに説明済みなのか。

 

「まぁ、いい。決闘なんてまどろっこしい真似をしなくてもここで決着を付けても私は一向に構わないが?」

 

 そう言いながら、どこからともなく取り出した試験管を左手に持ち、右手に魔力を集めるエヴァ。登校地獄と鬼の霍乱とでも言うべき病気で余程弱っているのだろう。その魔力は別荘で俺と戦った時はおろか、俺がこの麻帆良に転移してきた時に初めて相対した時より弱いものだった。

 だがネギにとってはそれがエヴァの実力と思っているのか、持っていた杖を構えてエヴァと向き直る。

 

「いいですよ。でも、僕が勝ったらちゃんと授業に出て下さいね」

 

 と言うか、そもそもはネギに経験を積ませる為の模擬戦として仕組まれた今回の騒動なのだが、どうして授業に出席する、しないという話になってるんだろうな。

 数秒睨み合い……次の瞬間、唐突にエヴァが階段の手摺りから1階へと落下する。

 

「マスター!」

 

 茶々丸がそう叫びながら素早く移動し、床へと叩き付けられる直前にきっちりと受け止めている。

 ……何が起こった?

 その様子を見た俺は正直、混乱していた。あるいはネギが何らかの魔法なり呪いなりを使ったのかとも思ったが、ネギ自身も惚けたような表情でエヴァと茶々丸へと視線を送っているのを見ると違うのだろう。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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