転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3066話

 俺が戻ってきたというのが分かると、すぐに何人かの隠がこの場から離れていった。

 それを見送りながら、ニーズヘッグを空間倉庫に収納する。

 

「で、アクセル。目的の金属は入手出来たの?」

 

 興味津々といった様子で、凛がそう尋ねてくる。

 そんな凛の隣では、綾子もまた興味深そうにこちらを見ていた。

 凛にしてみれば、ここで日輪刀の素材を入手出来れば大きな利益になるというのを予想しているし、綾子の場合は物干し竿を使っているだけに、日輪刀には興味を持っているのだろう。

 日輪刀の持つ鬼に対する効果の大きな特殊性は、綾子も使ってみたいといったところか。

 俺も日輪刀にはそれなりに強い興味を抱いていたのは間違いないが。

 

「ああ。太陽の周辺を漂っていた岩塊は結構な数を入手出来た。ただ……その岩塊に金属が含まれてるかどうかというのは、俺にも分からないけどな」

 

 この辺はしっかりと知識のある者でなければ、判別出来ないだろう。

 そんな風に考えつつ、俺は取りあえずという事で空間倉庫の中から岩塊を取り出す。

 直径5mくらいの大きさを持つその岩塊は、かなりの熱気を放っていた。

 それこそ周囲の気温を何度か上げるくらいの熱気を。

 太陽の光に晒されていたので、このくらいの熱さも当然だろう。

 ちなみに空間倉庫の中に収納されている岩塊の中には、もっと熱い物も存在している。

 そんな岩塊の類は、もっとしっかりと冷ましてから渡す必要があった。

 

「ちょっ、アクセル。いきなりそんなのを出すと皆が驚くでしょ。取りあえずそれはしまってちょうだい」

 

 凛の言葉に、そうか? と疑問に思いつつも、俺は改めて岩塊を空間倉庫の中に収納する。

 

「驚かせてしまったみたいだな。今の岩塊は、俺が宇宙空間にある太陽から入手してきた物だ」

 

 いきなり周囲の気温が上がったことに驚いていた鬼殺隊の剣士達にそう告げる。

 俺の言葉を聞き、そして凛との会話を聞いていた鬼殺隊の剣士達は、ようやく我に返った様子を見せた。

 

「それで、俺が持ってきた岩塊を調べるのは、どうするんだ? 日輪刀を作ってるところには、直接行けないんだろ?」

 

 日輪刀は、鬼殺隊にとって非常に大きな存在だ。

 そうである以上、耀哉としては基本的に鍛冶師のいる場所はオープンにするといったような真似は出来ない。

 それは前もって聞かされて知ってるが、そうなると俺が持ってきた岩塊に日輪刀を作る為の金属……猩々緋砂鉄と猩々緋鉱石が混ざっているのかどうかを俺が判断する事は出来ない。

 レモンを始めとした技術班にこの岩塊を見せれば、色々と調べたりといったような真似もするのだろう。

 そうして猩々緋砂鉄や猩々緋鉱石、もしくはまだ鬼滅世界では見つかっていない別の金属を発見したりといったような真似が出来てもおかしくはなかった。

 それどころか、地球で見つかる猩々緋砂鉄や猩々緋鉱石とは違う、全く未知の金属、もしくはそれらの上位互換の金属といった物を発見する可能性も否定は出来ない。

 何しろ、猩々緋砂鉄や猩々緋鉱石には太陽が大きな意味を持っているのだ。

 そんな太陽の光を地球よりももっと太陽に近い場所で当たっていたのなら、そういうのが出来てもおかしくはない。

 まぁ、俺が見つけた岩塊は具体的にどのくらいの時間、太陽の光に当たっていたのかといったようなことは、まだ不明なのだが。

 場合によっては、それこそまだ太陽の近くに来てから数日といったような岩塊があるかもしれないし、数年、数十年、数百年、あるいは数千年、数万年も太陽の光に当たっていたという可能性も否定は出来ない。

 

「今日すぐにとはいかないけど、明日にはここに来られるようにしたそうよ」

「そうなのか? てっきり、俺が戻ってきたらもう準備が整っているかもしれないと思ったんだが」

 

 凛の言葉にそう言うと、話を聞いていた綾子が苦笑を浮かべる。

 

「鬼殺隊としてもそのつもりだったらしいけど、鍛冶師の方で誰がここに来るのか……具体的には、アクセルの持ってきた岩塊を調べるのかで、かなり争ったみたいだよ」

「それは……」

 

 まぁ、分からないでもない。

 もしかしたら、日輪刀の性能をより上げられるかもしれないのだから。

 鍛冶師としては、その機会を見逃すといったような真似はしたくないのだろう。

 上手くいけば、それこそ日輪刀で首を切断しなくても、それこそ身体の一部を斬っただけで鬼を殺せるといったような日輪刀の上位種が出来るかもしれない。

 そう言えば日輪刀で思い出したが、結局のところ俺が日輪刀を握った時に起きた刀身が赤くなった件がまだ不明なままだったな。

 鬼と遭遇したらその辺りを確認する為にも、やはり日輪刀を持って鬼と遭遇する必要があるな。

 ムラタと獪岳が行冥がリハビリしている間、行冥の担当地区で鬼と戦っているが、そこに顔を出してみてもいいかもしれないな。

 

「そんな訳で、岩塊の件に関しては今日すぐにというのは無理よ。……鍛冶師のいる場所を教えて貰えば、アクセルなら影のゲートでそっちに向かえるかもしれないけど」

 

 そういう凛だったが、耀哉も多分そこは教えないと思う。

 とはいえ、耀哉の住んでいる産屋敷家の場所を俺に教えているというのを考えれば、鍛冶師のいる場所を教えてもいいと思うんだが。

 

「分かった。なら……そろそろ何でこんな状況になっているのか、教えて貰えるか?」

 

 凛に向けて、俺は改めて周囲にいる者達に視線を向ける。

 耀哉がもういなくなったにも関わらず、ここにはまだ鬼殺隊のかなりの数が存在していた。

 

「アクセルが戻ってくるのを待っていたんだと思うわよ? ニーズヘッグが転移したのは見たけど、戻ってくるのを見てみたかったんでしょうね」

「そういうものか?」

「そういうものよ。アクセルは自覚がない様子だけど、普通に考えて転移というのはとんでもない能力なのよ」

 

 呼吸では無理でも、鬼なら血鬼術で転移とか普通に出来そうな気がしないでもない。

 それを考えれば、鬼という存在はやっぱりかなり強力な存在なのは間違いないだろう。

 

「そういうものか?」

 

 凛が言うように、実際に俺は転移を普通に使っている。

 それはニーズヘッグのシステムXNについても同様だった。

 

「そういうものなのよ。そもそも平行世界に……いえ、今更アクセルにそんな事を言っても意味はないわね。私もこうして色々な平行世界に自由に行けるようになってるんだし」

 

 凛は途中で言葉を止める。

 そう言えば凛の世界……Fate世界においては、科学で実現出来ないことが魔法として扱われており、平行世界への移動も魔法の1つだった筈だ。

 しかし、シャドウミラーは普通に科学技術を使って平行世界に移動している。

 それどころか、平行世界間同士をホワイトスターの存在で繋げて、それによって平行世界同士で貿易すら行われていた。

 凛にしてみれば、魔法? 何それ美味しいの? といった感じなのだろう。

 

「その辺についてはともかくとして、俺を待っていたのが分かった。けど、そうなるとこれからどうするんだ? これ以上、ここで何かをやったりといったような事は出来ないだろ? いやまぁ、何かをやれと言うのなら、俺も適当に何かをしてもいいけど」

 

 この場合、一体何をするべきなのかを考えつつ凛にそう言うが、凛は呆れた様子で息を吐く。

 

「別に特に何かこれといったようなことはしなくてもいいわよ。ニーズヘッグとアクセルが無事に戻ってきたのを見ただけで、ここにいる人達は十分に満足してるんだから」

 

 どうやらそういう事らしい。

 刈り取る者を召喚……とまではいかなくても、グリを召喚するのはやってもいいかと思ったんだが。

 

「ともあれ、アクセルも戻ってきたんだから今日は解散よ。この後もここに残りたい人は残ってもいいけど、特にこれといって何かがある訳じゃないからね」

 

 言葉の後半については、俺ではなく周囲にいる鬼殺隊の面々に言ったのだろう。

 鬼殺隊の面々にとっても、もう今日の祭り……祭り? まぁ、皆で集まって騒ぐのが終わったというのは分かったのか、それぞれ散っていく。

 結構な人数がいるけど、この辺でどこか寝泊まりする場所があるのか?

 いやまぁ、ここは鬼殺隊の隠れ里的な場所だし、そういう意味では鬼殺隊が寝泊まりするような場所があってもおかしくはないのか。

 中には、今日の一件が終わったからすぐに次の任務をこなすべく移動をする……といったような奴もいるのかもしれないな。

 

「そうなると、俺達もそろそろホワイトスターに帰るか。凛達はどうする?」

 

 ちなみに、当然の話だが先遣隊として鬼滅世界にやって来ている者達も、別に鬼滅世界で寝泊まりしている訳ではない。

 この隠れ里で訓練をしている以上、蝶屋敷の側にあるゲートを使えば即座にホワイトスターに戻れるのだから。

 勿論、絶対にホワイトスターに戻らなければならないという訳でもないので、鬼滅世界に泊まっていくといったような真似も出来るが。

 実際、獪岳を鍛えているムラタは殆どホワイトスターに戻っておらず、鬼滅世界で寝泊まりしている。

 行冥の担当地区で鬼と戦っているのも、ホワイトスターに戻っていない理由だろう。

 

「そうね。今日はもう訓練どころじゃないし、元々休日のつもりでもあったから、私も帰るわ。綾子はどうするの?」

「こっちも同じだね。この状況を考えると、今日はとてもじゃないけど訓練は出来ないだろうし」

 

 そんな会話を交わしていると、円と美砂もこちらにやって来る。

 

「アクセル君、お疲れ。この世界の宇宙は何か特殊だったりした?」

 

 美砂のからかうような言葉。

 だが、それはからかうような内容ではあっても、半ば本気で聞いているという一面もあるのは間違いない。

 美砂にしてみれば、鬼がいる世界である以上、宇宙空間が普通と違っていてもおかしくはないのだろう。

 ただし、それを言うのならネギま世界は鬼どころではなく、モンスターとかが普通に存在する。

 麻帆良の地下にはワイバーンとかいるし。

 そんなネギま世界であっても、宇宙空間は普通だ。

 そう考えると、この鬼滅世界であっても普通に宇宙には空気がない、どこの世界とも同じ一般的な宇宙であるのは間違いないのだが。

 あるいは、俺がシステムXNを使ってランダムに転移した場合、必ず何らかの原作のある世界に転移する。

 そうである以上、もしかしたら宇宙でも普通に空気のある世界とか、存在している可能性は否定出来ない。

 

「特に何もない、普通の宇宙空間だったな。太陽の力によって鉱石が生み出される以上、太陽は普通と違ってもおかしくはなかったけど、見た感じだと普通の太陽だった」

 

 猩々緋砂鉄と猩々緋鉱石はこの世界特有の金属だ。

 そうである以上、その根源とも言うべき太陽には特殊な何かがあってもおかしくはない……と思うんだが、生憎と俺が見た限りでは太陽は普通の太陽でしかなかった。

 ペルソナ世界の月のように特殊な天体であったりした可能性も考えたのだが。

 

「何だ、そうなの。少し興味深かったんだけど」

「それはいいけど、鬼殺隊との訓練はきちんとやってるんだろうな?」

 

 円はそれなりに真面目なところもあるものの、美砂の場合は結構その辺が適当だったりもする。

 鬼殺隊と訓練をやるにしても、他の面々と違って適当にやっている可能性は否定出来なかった。

 まぁ、訓練とはいえムラタはちょっと厳しすぎると思わないでもないが。

 ムラタの場合は、獪岳が十二鬼月や鬼舞辻無惨を倒せるくらいに強くならないと、鬼との戦いが終わった後でかなり厳しい状況になるしな。

 それを思えば、寧ろ獪岳が受けている厳しい訓練は獪岳を生かす為と言ってもいい。

 ……半ば以上ムラタの趣味であるというのも、否定は出来ないが。

 

「やってるわよ。もっとも、セイレーンの瞳を使う機会はあまりないけど」

「まぁ、それはそうだろうな」

 

 セイレーンの瞳は、美砂が俺との仮契約で使えるようになったアーティファクトだ。

 歌を媒介にして様々な補助効果を与えるという……いわゆる、バフやデバフといったような効果に特化している。

 鬼は基本的に物理攻撃を行うし、血鬼術にも補助効果というのは……聞いた限りでは、そう多くない。

 そう多くないという事はある程度の数はいるのだから、それなりにセイレーンの瞳を使った訓練は効果的だと思うんだが。

 

「純炎の涙の方は?」

 

 円にそう尋ねる。

 円のアーティファクト純炎の涙は両手両足に装備している腕輪と足輪で、それを使って空を飛んだり、もしくは仕草だけで炎を生み出したりといったような効果を持つ。

 俺が炎獣のように炎の魔法を得意にしているのを考えると、俺と円の仮契約に相応しいアーティファクトだと言ってもいい。

 

「ちょっと威力が強すぎるのよ。木乃香や千鶴がいれば、多少は無理をしてもいいんでしょうけど」

 

 木乃香は回復魔法に特化しているし、千鶴もまた回復魔法を得意としている。

 そういう意味では、炎で怪我をした時にすぐ回復出来るようにそんな2人がいて欲しいという気持ちは分かるが……俺としては、それは難しいだろうと思うのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1730

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