転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0297話

 エヴァの家で一騒動あった翌日。学校へと登校してくるとそこにはエヴァの姿があった。

 いや、エヴァが登校しているのはそうおかしな話ではない。何しろ、登校地獄の呪いが掛かっている為に昨日のように病欠という正当な理由が無い限りは殆ど強制的に学校へと登校させられるのだから。

 ……そう考えてみると、一見お馬鹿な呪い以外の何者でもない登校地獄だが実は結構凄いのかもしれない。まぁ、真祖の吸血鬼であるエヴァに呪いを掛けられるのはサウザンドマスターと呼ばれる程の魔力あってだろうが。

 

「……何を見ている」

 

 俺を見ると若干不機嫌そうに口を開くエヴァ。

 やはり昨日魔法で夢を覗いた為だろうか。直後の襲撃では『必殺! ネギの盾』で何とかやり過ごしたのだが。

 

「いや、この時間に席に着いているという事は真面目に授業を受ける気になったのか?」

「ふん。何だかんだ言っても昨日は世話になったからな。その礼代わりだ」

 

 そんな風に話していると、ネギが教室へと入ってくる。

 その後は、教室にいるエヴァに驚いたり、授業に出る気になったエヴァに上機嫌になったりとあったが特に何事も無くその日の授業は終了した。

 

 

 

 

 

「アクセル」

 

 授業が終わり、教室を出ようとした所で後ろから声を掛けられる。

 声の主は当然エヴァだ。

 

「どうした?」

「じじぃに頼まれたぼーやとの模擬戦だが、今夜決着を付けるぞ」

「いいのか?」

「ああ。模擬戦は所詮模擬戦だ。ダラダラと長期間やっても意味が無いからな」

「学園長には?」

「茶々丸が連絡してある。……それにしても、あのじじぃ。良くも今まで隠し通したものだ」

 

 ニヤリ、とでも表現できそうな笑みを口元に浮かべるエヴァ。

 

「エヴァ?」

「いや、何でも無い。それよりも今日の夜だ。今日の夜には面白い現象を見せてやろう」

「面白い現象?」

「ああ。ま、内容は秘密だがな。見てのお楽しみって所だ。行くぞ、茶々丸」

「はい、マスター。ではアクセルさん、これで失礼します」

 

 ペコリと頭を下げた茶々丸を従え、教室を出て行くエヴァ。俺はその様子を微妙に嫌な予感を覚えつつも見送るだけだった。

 まぁ、何だかんだ言っても冷酷になりきれないエヴァの事だ。どんなサプライズを用意しているのかは分からないが、まさかネギを殺すような真似はしないだろう。

 

「アクセル君、ここでぼーっとしてていいの? 今夜の準備は出来てる?」

 

 後ろからそう声を掛けられる。振り向くとそこには大河内の姿があった。

 近くにはいつもの如く明石や和泉、佐々木の姿もある。

 にしても、今夜の準備? まさかネギとエヴァの模擬戦に関してでは無いだろうが。

 

「ちょっと、アキラ。アクセル君は転校して来たばかりだから知らないんじゃない?」

 

 不思議そうな顔をして大河内を見つめる俺に気が付いたのか、佐々木がそう大河内に声を掛ける。

 

「あ、そっか。それもそうだよね。えっと、今日は夜の8時から深夜12時まで停電するんだ」

「学園都市で年2回行われるメンテなんやて」

「へぇ。メンテによる停電ねぇ。あやか達からは何も聞いてないが」

「多分、いいんちょ達が前もって準備してるんだと思うよ」

「あー、確かに委員長とか那波さんならそのくらいの準備はしてそうだよね」

 

 佐々木の言葉に頷く大河内。

 

「ま、それもあって今夜は外出禁止になるから気をつけてね」

「……何で俺にそれを?」

 

 頭を撫でてくる大河内へと尋ねる。

 

「だって、たまにアクセル君とか委員長とか夜に寮から出掛けてるでしょ?」

「あー、確かに。ウチも何度か出掛けているのを見た事あるなぁ」

 

 和泉もまた同意するように頷く。

 夏美が寝た後に魔法の練習をする為に何度か外に出掛けていたのだが、その辺を見られていたらしい。幸いなのは実際に魔法の練習をしている所を見られた訳ではないという事か。まぁ、実際に魔法の練習をする時には認識阻害の魔法を使ってるからその辺は安心出来るが。

 とは言え、今度からはその辺も気をつけた方がいいだろう。

 

「話は分かった。取りあえず今夜は大人しく寝た方がいいって事だな」

「うん、それが一番いいと思う。アクセル君はまだ小さいんだし夜は早く寝ないと」

「そうそう。寝る子は育つっていうし。じゃないとアキラみたく大きくなれないよ」

「ちょっと、ゆーな……」

 

 大きいというのが一種のコンプレックスになっているのか、どこか不満そうに明石を見る大河内。

 それを横目に、俺も帰る支度をする。

 

「じゃあ、俺はこの辺で。停電するにしても色々と準備があるしな」

「あ、うん。またね。それと、停電セールとかやってるから必要な物があったらそこで買えばいいと思うよ」

 

 大河内の言葉を背に、教室を出るのだった。

 

 

 

 

 

 そして夜、夕食を食べている時に唐突に部屋の電気が消える。チラリと窓から外を見ると、麻帆良中の建物から電気が消えている。ただ、蝋燭や懐中電灯の灯りがちらほらと見えているので完全に真っ暗という訳では無い。まぁ、普通の人間には見えない程度の明るさだが。

 

「うわぁ。停電始まったねぇ」

 

 夏美の声が暗闇の中に響く。

 

「あらあら、ちょっと待ってね。すぐに蝋燭に火を付けるから」

 

 千鶴がそう言いながらテーブルの上に置いてあったマッチで蝋燭へと火を付ける。

 蝋燭の火で周囲の様子が判別出来るようになると、何故か俺のすぐ近くにあやかの姿が。

 

「どうした?」

「いえ、アクセル君が怖がらないようにと」

「いいんちょ、こういう時にもすかさずアピールとか……」

 

 夏美がそう言った時だった。唐突にソレを感じたのは。

 

「っ!?」

 

 反射的にソレ――強大な魔力――を感じ取った方へと視線を向ける。これは……女子寮の中、だと? しかもこの魔力から感じられるのはエヴァのものだ。

 そして同時に、頭の中に蘇るエヴァが放課後に言った言葉。

 

「面白い現象、か」

「アクセル君? どうかしまして?」

 

 俺の様子に何かを感じたのか、あやかが不審そうに尋ねてくる。千鶴の方を見ると、こちらも俺の様子を窺っていた。この魔力を感じない……のか?

 あるいは、魔法については初心者の2人だからその辺の感覚はまだ未熟なのかもしれない。

 だが、これは……模擬戦とは言えネギに対抗可能なのか?

 先日の夢の中ではサウザンドマスターにおちょくられるようにやられていたが、その本来の実力は幾多もの通り名が示している。封印された状態ならまだしも……いや、待て。それ以前にどうやって封印を解いたんだ? 確か登校地獄の封印を解呪するにはネギの血が大量に必要だった筈だ。そもそも近右衛門が提案した模擬戦にしてもエヴァが勝ったら賞品的な意味合いでネギの血を入手出来る約束だったのだ。

 

「……行くしかない、か?」

 

 何がどうなっているのか全く不明な以上は、いざという時にはネギを助けるという契約をしている俺としては現場に出るしかないだろう。

 だが……

 

「あれ? アクセル君、どこかにいくの?」

 

 俺の呟きを聞いた夏美がそう尋ねてくる。

 そう。ここにいるのが魔法について知っているあやかと千鶴だけならまだしも、何も知らない夏美もいるのだ。この状態でどうやって誤魔化して部屋を抜け出すか。

 部屋から抜け出す方法を考えていると、唐突にドアがノックされる。

 

「はーい」

 

 夏美がそう返事をしながらドアを開け……

 

「え? アキラ? 何でメイド服?」

「ゴメンね」

 

 その言葉と共に、ドサッと床へと倒れ込む夏美。

 

「夏美ちゃん!?」

「夏美さん!?」

 

 千鶴とあやかの声が部屋の中へと響く。

 

「心配はいらないよ。村上がいるとアクセル君が行動出来ないからエヴァ様にこうするように言われただけ。明日には普通に目を覚ますし、身体に悪影響も無いから心配しなくていい」

 

 エヴァ……様?

 

「大河内、お前」

 

 大河内の様子に妙な物を感じ、そう尋ねるがすぐに理解する。そう言えば近右衛門がエヴァに条件付きながらもクラスメイトを手駒にするのを許可していたんだったな。

 

「アクセル君。エヴァ様からの招待だよ。模擬戦を最前席で見物出来るようにと」

「……アクセル君、大河内さんは大丈夫なんですの?」

 

 心配そうなあやかの質問に小さく頷く。

 

「ああ。エヴァの事だ。女子供に危害を加えたりはしないだろうさ」

「操るというだけでも十分に危害になってるような気がするけど」

「千鶴のいう事も分かるが、後遺症を与えないという条件で近右衛門の許可も下りている」

「アクセル君。大浴場に」

 

 恐らくエヴァに操られている為だろう。いつもの大河内とは違い感情が平坦になっているような気がする。

 

「ま、折角の招待だし行くとするか。2人はどうする?」

「もちろんお供いたしますわ。何しろ私はアクセル君の従者なのですから」

 

 俺のその質問に何の躊躇いもなく頷くあやか。千鶴もまた同じように頷く。

 

「アクセル君の保護者としては、1人で行かせる訳にはいかないわね」

「出来れば千鶴には残って欲しいんだがな」

「あら? 何故かしら」

 

 俺の言葉に小首を傾げて尋ねてくる千鶴だが、それが正直な俺の本音だ。何しろあやかは仮契約をしているので俺の無尽蔵とも言える魔力を使った魔力供給を受けられるが、千鶴には特にそういった要素が無いのだ。魔法にしたって、1矢程度だが魔法の射手を使えるようになったあやかと違ってまだまだ火よ灯れとかしか使えない初心者だ。

 その辺を微妙に言葉を濁しながら説明すると、少しの間何かを考えていたがすぐに頷く。

 

「しょうがないわね。確かにアクセル君の話は筋が通ってるわ。それに夏美ちゃんをこのまま放っておく訳にもいかないし……」

「悪いな」

「いえ、でもこれだけは教えて頂戴。もし、私があやかと同じような立場だったらその時はきちんと連れていってくれた?」

 

 あやかと同じような立場? それは魔法の射手を使えるようになっていたらという事か。

 

「ああ、最低限自分の身を守れる程度に行動出来るのなら……な」

 

 本当の戦場に連れていくのはさすがに危険だが、一応今回は命の保証がされている模擬戦なのだ。まぁ、本来なら模擬戦なんだから今の千鶴を連れていっても特に危険は無いのかもしれないが、その辺は最低限の自衛程度は出来て貰わないと困るしな。

 

「分かったわ。……あやか、アクセル君の事、お願いね」

「ええ、アクセル君に関しては私に任せて下さいまし。それにネギ先生に関しても可能な限り手助けを……」

「いや、今回の俺達の立場はあくまでも観客だからな。手出しはしない方がいいぞ」

「……わかりましたわ。では、せめて精一杯応援させて貰います」

「じゃあ、大浴場に行こうか」

 

 大河内に先導され、俺とあやかは大浴場へと向かった。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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