耀哉との話を終えた俺は、刀鍛冶達のいる場所までやって来ていた。
俺に用事があるといったような伝言を耀哉にしていたという事を考えると……赫刀について何らかの進展があったか、あるいは俺が宇宙から持ってきた鉱石の方で何かあったのか。
その辺りの事情は俺にも分からなかったが、とにかく今は刀鍛冶達に会っておいた方がいいのは間違いない。
そんな訳で、鬼殺隊の隠れ里に臨時として出来た刀鍛冶達の居住区……というか、鍛冶場か? そこにやって来たのだが、ひょっとこのお面を被った刀鍛冶がすぐに俺の方にやって来る。
「アクセルさん! 待ってましたよ! いつくるのかと思っていたら、思ったよりも早く来てくれて嬉しい限りです!」
「汽車の件もあって色々と忙しかったしな。それに鬼殺隊の方でもあの一件の後片付けで忙しいと思っていたし」
「そっちは確かに忙しかったみたいですね。ですが、こっちもまた同様に忙しかったのは事実です」
ひょっとこのお面で表情は分からないが、それでもかなり興奮して喋っているのが理解出来る。
さて、一体何があったのやら。
「赫刀について何か分かったのか?」
「……いえ、残念ながら赫刀についてはまだ何も。ただ、アクセルさんの持ってきた隕石から作った日輪刀が出来たんですよ!」
「へぇ、そっちか」
俺としては赫刀の秘密が明らかになったというのが、個人的には一番嬉しかった。
それでも俺が持ってきた鉱石から日輪刀が出来たというのは、非常に興味深かった。
興味深かったが……
「あの隕石から金属を精製して日輪刀を作ったのは分かった。分かったが、何でそれで俺を呼んだんだ?」
あの隕石は俺が持ってきたのは間違いないものの、所有権に関しては鬼殺隊に譲渡している。
そうである以上、俺を呼ぶ理由は一体何なのかと疑問に思ってもおかしくはない。
しかし、そんな俺の言葉に刀鍛冶は意外そうな表情……というか雰囲気で口を開く。
「お館様のお達しで、あの隕石から作った日輪刀の最初の一振りはアクセルさんに渡すようにと言われているんですよ」
「……そうか」
だとすれば、当然ながら俺にここに行くように言った耀哉はその件を知っていたな。
いわゆる、サプライズって奴か。
あるいは生どらのお返しなのか。
「はい。アクセルさんのおかげで、大量の猩々緋鉱石を入手することが出来ました。猩々緋砂鉄の方は無理でしたが」
「まぁ、隕石って言っても岩石だしな」
砂鉄というのは、基本的に砂から入手出来るというのが俺の認識だ。
あるいはもっと別の方法もあるのかもしれないが、俺は知らない。
そうである以上、俺が持ってきた隕石からは猩々緋鉱石の方は取れるが、それだけとなる。
「そうなります。とにかく、中に入って下さい。最初の一振りはそこにありますので」
話していた刀鍛冶に促され、鍛冶場に入る。
幸いにも鍛冶場ではあっても実際に鍛冶をする場所と生活をする場所は分けられているらしく、鍛冶場の熱気は伝わってこない。
その生活をする場所には何人もの刀鍛冶がいて、俺が入ってきたのを確認すると一斉に視線を向けてくる。
「皆、アクセルさんが来てくれた! そうなると、やるべきことは分かってるな!」
「おう!」
俺と話していた刀鍛冶の指示により、代表してその場で一番地位が高い……あるいは刀鍛冶としての技術が高いのかもしれないが、そんな人物が一振りの日輪刀を持ってくる。
それは、一目で他の日輪刀と違うと、そう納得出来るだけの迫力がある。
刀鍛冶達にもそれは分かるのだろう。
俺の前に捧げられるようにして持ってこられた日輪刀。
その日輪刀を受け取り、鞘から引き抜く。
ざわり、と。
俺が日輪刀を引き抜くのを見ていた刀鍛冶達がざわめく。
その理由は俺にも理解出来た。
何しろ俺が鞘から抜いた日輪刀は、全く色が変わっていないのだから。
聞いた話によると、一定以上の剣術の技量や呼吸の技量がなければ、日輪刀は色が変わらないらしい。
その一定以上というのが一体どのように判別されているのかは、俺にも分からない。
ただ……例えば、その剣術というのが鬼殺隊に伝わる剣術の技量なのか、あるいは鬼殺隊以外の剣術の流派であっても色が変わるのかは分からない。
だが、もし鬼殺隊に伝わる剣術でなければ駄目だというのなら、こうして日輪刀の色が変わらない理由は俺にも理解出来た。
とはいえ……
ざわめく刀鍛冶達を眺め、改めて日輪刀に視線を向けてからその柄を握る力を強くする。
すると俺が柄を握るに従い、刀身の色は赤く染まっていく。
それは炎柱の杏寿郎の日輪刀や、今のところ鬼滅世界以外の者しか出来ていない赫刀とはまた別の赤。
そう、俺が実弥の日輪刀を握った時に起きたのと同じ赤い刀身だった。
『おお』
日輪刀の色が変わった事に再度ざわめく刀鍛冶達。
うーん、これは喜んでもいいのかどうか微妙だな。
いやまぁ、俺個人としては喜んでもいいと思うんだが、この現象は個人の資質にあった呼吸の刀身の色という訳でもないのだから。
とはいえ、これを言ってもいいものかどうか。
少し迷ったものの、この件に関しては話しておかないとこれから先、俺が拾ってきた隕石から精製した金属で作った日輪刀……ああ、そうだ。
「猩々緋鉱石って言ってたが、結局俺が拾ってきた隕石から精製された金属は猩々緋鉱石で間違いなかったのか? 場合によっては、猩々緋鉱石とは違う、もしくは上位互換の金属かもしれないって話があったが」
「あれ、その辺については聞いてないんですか? 猩々緋鉱石の一種であるのは間違いないですし、場合によっては上位互換の金属と言っても間違いありませんが、どちらかと言えば非常に品質の高い猩々緋鉱石という感じになります」
「そうか。それは喜んでいいのかどうか、微妙なところだな」
「いえ、喜んでもいいと思いますよ。上位互換とはいえ、猩々緋鉱石ではない鉱石となると、日輪刀にする際にも色々と勝手が違ってきますし。しかし品質が高いとはいえ、猩々緋鉱石であれば今までの私達の技術を多少は変える必要があるかもしれませんが、大体はそのまま使えるでしょうから」
猩々緋鉱石という同じ金属であれば、同じ技術を使えるのは当然か。
あるいは同じ鉱石であっても品質が高いので完全に同じ技術を使えないという点で、寧ろ驚くべきかもしれないな、
とはいえ、考えてみれば当然か。
何だかんだと、地球と太陽の間には圧倒的なまでの距離がある。
また、地球は自転しており、夜になれば当然のように太陽の光は存在しない。
そんな地球と比べて、宇宙空間に浮かんでいた岩塊は延々と太陽の光を浴び続けていたのだ。
それも地球よりも圧倒的に太陽に近い場所で。
そのような場所である以上、当然ながら鉱石としての品質に差が出て来るのは当然だろう。
寧ろ、そのように条件が全く違う状況であっても同じ鉱石に分類出来た事がある意味で驚きではある。
「そうか。で、俺が持ってきた隕石から精製した猩々緋鉱石で作った日輪刀は、普通の日輪刀よりも性能は高いのか?」
「はい。性能的には通常の日輪刀の1.5倍から1.7倍といったところになると思います。あくまでもこれは鍛冶師の意見ですが」
「それは……また、随分と凄い性能向上だな」
最大で1.7倍というのは、正直なところかなりの驚きだ。
この話を聞けば、2倍にも達していないのかといったように言うような奴もいるかもしれないが、そういう奴は恐らくギリギリの実戦を経験したことがないのだろう。
1.7倍というのは、それこそ驚嘆すべき数値と言っても決して間違いではない。
「そうですね。とはいえ、今も言いましたが、これはあくまでも鍛冶師としての見立てです。実際に鬼殺隊の剣士が使ってみた場合、性能の向上はもっと小さくなるかもしれませんし、あるいはもっと大きくなるかもしれません」
「後者だといいな」
そう言う俺の言葉に、刀鍛冶は真剣な表情で頷く。
鬼殺隊の剣士は呼吸によって身体強化を行い、鬼と戦えるだけの実力を持ってはいるのだが、それでもやはり鬼という種族は人間よりも高い性能を持つ。
そんな鬼と戦えば、鬼殺隊の剣士の中にも結構な数の死人が出る。
刀鍛冶達にしてみれば、この新しい日輪刀によって鬼殺隊の剣士の死ぬ可能性が少しでも減ればいいと、そう思っているのだろう。
俺個人としても、鬼殺隊の剣士には出来るだけ生き残って欲しい。
だからこそ神鳴流を雇うように提案し、現在結構な数の神鳴流が鬼滅世界にやって来ている。
そう考え、ふと疑問を抱く。
「そう言えば、お前達はここで俺の持ってきた隕石の研究をやってるけど、神鳴流用の日輪刀はいいのか?」
神鳴流が使う武器は基本的に大太刀だ。
普通の日輪刀よりもかなり大きい。
……まぁ、行冥の持つガンダムハンマー的な日輪刀を作れるだけの技術はあるのだから、大太刀の日輪刀を作るのはそこまで難しくはないと思うが。
「そちらは、里に残った者達が対応している筈です。とはいえ、ここでも普通の日輪刀の修理くらいはしていますが」
「……何だかもう、ここは刀鍛冶の出張所みたいな感じになってるな」
「それは否定しません。……それにしても、アクセルさんの日輪刀はまだ色がそのままですね?」
俺と会話をしていた刀鍛冶は、俺の持つ日輪刀に視線を向けてそう告げる。
シャドウミラーの面々が発現させる赫刀は、性能こそ日輪刀の上位互換ではあるが、発現している時間は短い。
つまり一度赫刀でない状態になってしまったら、再び赫刀にする必要がある。
まぁ、シャドウミラーの面々の身体強化の性能を考えれば、赫刀でなくなったら再び柄を強く握って赫刀にすればいいだけだが……それでも赫刀ではない状態があるというのは、鬼と戦う上ではデメリットだ。
それに比べると、俺が握って赫刀とはまた違った意味で赤くなった日輪刀は長時間色が変わったままだ。
それは柱合会議の時に実弥の日輪刀の刀身を握って色を変えた時、数時間にわたって赤いままだった事が証明している。
「そうだな。以前試した感じでは数時間くらいはこのままだった。……問題なのは、この色の変わった日輪刀が一体どういう効果を持っているかなんだよな。実際に鬼に使ってみればすぐに分かるんだろうけど」
「そうですね。出来ればその日輪刀がどのような性能……いえ、性質を持つのかを知りたいです」
そう告げる刀鍛冶だったが、鬼はそう簡単には見つからない。
猗窩座が持っていたように、上弦の鬼の中には鬼舞辻無惨の血を持っている者もいるが、それでも簡単に鬼を増やすといった真似は出来ないのだろう。
神鳴流が張り切って鬼を殺して回っているというのもあるし。
ちなみにレモンに渡した鬼舞辻無惨の血は、かなり興味深く調べられているらしい。
人を鬼に変える血というのは、それだけ興味深いのだろう。
ただし、当然ながら人を鬼に変える以上、取り扱いは厳重な注意が必要となる。
シャドウミラーの技術班は、人並み外れた才能の持ち主達が集まっているので、1人であっても鬼になってしまうという事になれば損害は非常に大きい。
……不幸中の幸いなのは、鬼になっても他の者達が十分な強さを持っているので、被害はそう広まらないだろうという事か。
あるいは鬼滅世界以外の場所にいるので、鬼舞辻無惨の呪いの類も効果が及ばない可能性があった。
ちなみに何匹か生け捕りにした鬼はホワイトスターに連れていって色々と調べているものの、鬼舞辻無惨について聞こうとしても絶対に答えたりはしないらしい。
呪いは影響がないと言っても、鬼はそれを信じないんだよな。
それに鬼は自分達が人より上の存在であると認識している者も多く、そんな者達にしてみれば自分よりも下の存在の命令を聞くのは嫌だと思っている者も多い。
「取りあえず、何とか鬼と遭遇して試してみる必要があるな」
最悪、ホワイトスターにいる鬼で試し斬りをしてもいいんだが、数少ない鬼のサンプルだけに、出来れば鬼滅世界にいる鬼で試したい。
「そうですね。私達としても、出来れば赫刀とは違った現象のその日輪刀がどういう効果を発揮するのが見てみたいです」
そう言う刀鍛冶だったが、それは言い間違いではない。
俺が日輪刀を使って具体的にどのような効果があるのか、それこそ可能なら俺から話を聞くのではなく、自分でその光景を直接見たいと思っているのは明らかだ。
とはいえ、だからといって刀鍛冶達を戦闘の場に連れていくといったよう真似がそう簡単に出来る筈もない。
鬼殺隊にとって鬼を殺せる日輪刀という武器は、非常に大きな意味を持つ。
そうである以上、その日輪刀を打てる刀鍛冶を鬼との戦闘に連れていくというのは、どうあっても不可能だろう。
鬼殺隊……特に上層部の者にしてみれば、刀鍛冶を殺さない為なら剣士の方を犠牲にしてもいいと、そんな風に思っている者がいてもおかしくはないし、俺にも納得出来る事ではあった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730