転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0299話

 ネギとエヴァ、茶々丸が大浴場を出てから5分程。ようやく大河内と和泉をどうにかしたのか俺の目隠しが外される。

 チラリと視線に入ったのは、恐らく脱衣場から持ってきたのだろうバスタオルを身体に掛けてネギの魔法で眠らされている状態の2人だった。

 

「アクセル君、女の子のあられもない姿を見るのはマナー違反ですわよ」

 

 そして当然の如くあやかに注意される。

 

「あー、悪い。とにかくその2人もどうにか出来たし、エヴァ達の後を追うぞ」

「そうですわね。裕奈さんとまき絵さんの事も心配ですし」

 

 さて、追うにしてもどうしたものか。ネギとエヴァの2人も魔法使いだ。恐らくこの前のように空を飛びながら魔法を撃ち合っているのだろう。一応今夜の戦いに関しては近右衛門に前もって連絡してあるので、認識阻害を使う為の人員に関してはあちらで準備してくれているとの話だが。

 

「ま、とにかく実際に追ってみないと何とも言えないか」

「アクセル君?」

 

 俺1人ならどうとでもあの2人を追えるのだが、魔法に関しては魔法の射手をようやく使えるようになってきたばかりのあやかに戦いの歌を使えというのはちょっと厳しいだろう。となると俺がどうにかするしかないな。

 

『戦いの歌!』

 

 身体強化系としてはそれ程難易度の高くないこの魔法程度なら、さすがに始動キーを省略しても使えるようになってきた。

 

「さて、心の準備はいいな?」

「え? え?」

 

 混乱しているあやかを強制的に横抱きにして持ち上げる。

 

「ちょ、ちょっとアクセル君!?」

「落ち着け。エヴァ達を追うにしても、俺はともかくお前は付いてくる手段が無いだろう? なら俺が運ぶしかない。……それとも、ここに置いていった方がいいか?」

「いえ! こうして運んで貰える方がいいですわ! あぁ、男の人に抱かれるなんて生まれて初めての体験ですわ。私の初めての人、アクセル君……」

 

 うわ、ここで暴走が入るか。

 ……まぁ、下手に暴れられるよりは断然いいが。

 

「じゃ、行くぞ!」

 

 戦いの歌と瞬動を同時使用し、周囲にある建物の屋根を蹴ってエヴァ達の後を追う。

 飛び出すのが少し遅れたが、派手にドンパチをやっているので目標を見失うなんて事は無かった。

 

「アクセル君、あそこですわ!」

 

 屋根を蹴ってエヴァ達の後を追っていると、唐突にあやかが口を開く。指さしている方へと視線を向けると、そこには気を失ったか、あるいは大河内達と同じく眠らされたのか。とにかく意識を失っている明石と佐々木の姿があった。

 だが、どうする? このままここに2人を寝かせておくというのは、見つけてしまった以上は無責任だろう。もし何か事件に巻き込まれたりしたら寝覚めも悪い。かと言ってネギとそう大して身長の変わらない俺があやか以外に2人も抱えて移動するのは無理がある。いっそのことスライムでも出すか? いや、近右衛門からこの件に関わっている限りはこの世界の技術以外は使用を禁止されていたな。それにもし俺がスライムを使っている時にこの2人が目を覚ましたら手の施しようが無い。……いや、どのみち今夜の記憶に関しては消されるのか?

 そんな風に迷っている俺を見て、あやかが口を開く。

 

「アクセル君、あの2人は私が面倒をみます」

「……いいのか?」

 

 あやかが俺と行動を共にしている理由は、俺を心配していたり、あるいは俺の従者となったのが原因というのもあるだろう。そしてその複数の理由の1つにはネギが心配だというのもあった筈だ。

 

「ええ。私が無理についていってもどうやら足手纏いになるだけでしょう。なら十分な実力を持っているアクセル君が行くのが一番いいと思います」

「分かった」

 

 あやかの言葉に頷き、屋根を蹴って明石と佐々木が気を失っている場所へと降り立つと横抱きにしていたあやかを地面へと降ろす。

 

「じゃあこの2人については頼んだぞ。恐らく近右衛門が用意した者がそのうち来るだろうから、そうしたら引き渡してくれ」

「ええ、了解しました。アクセル君もネギ先生とエヴァンジェリンさん、茶々丸さんをお願いします」

 

 優雅に一礼をするあやかに見送られ、戦いの歌と瞬動術を使いながらネギとエヴァの後を追う。

 

 

 

 

 

 2人に追いついたのは、麻帆良の端も端。外部と繋がる麻帆良大橋の付近だった。エヴァとネギが戦っている場所から700m程離れた場所に俺の姿はあった。

 

「何とか間に合った、か」

 

 さすがにこの付近は女子寮近辺と違って住宅地が少なくなっており、普通に地面を移動していると一際大きい爆発音が聞こえてきた。同時に、ほんの僅かにだが周囲の温度が下がったような気もする。……エヴァの氷瀑か。

 今の氷瀑で撃墜されたのか、橋の上に倒れ込んでいるネギ。それに近付いていくエヴァと茶々丸だったが……

 

「ほう」

 

 次の瞬間にはエヴァの足下に魔法陣が展開し、エヴァと茶々丸を雁字搦めに絡め取る。

 なるほど。ここに罠を仕掛けておいて誘き寄せた、か。

 正面から戦うのを好むネギにしては良く決断した、というべきか。

 

「これは決まりか?」

 

 エヴァの別荘にある書斎で読んだ本によると、あの手の捕縛結界は一度捕まったらそう簡単に抜け出す事が出来無い筈。せめて茶々丸が離れた場所にいればまだ何か手はあったかもしれないが。

 

「ん?」

 

 だが、あるいはそれもエヴァにとっては予想の範囲内だったのか。エヴァと共に捕縛結界に捕まっていた茶々丸がキィィィンという甲高い音を立てたかと思うと、次の瞬間には捕縛結界が砕け散っていた。

 

「この辺の強かさはさすがに600年モノの吸血鬼といった所か」

 

 感心している俺の視線の先では、茶々丸が奪い取ったネギの杖をエヴァが橋の下へと放り投げている所だった。その様子に涙目で抗議するネギだったが、当然エヴァがそんな甘えを許すはずもなくその喉元へと牙を突き立てんとした時……

 

「コラーーッ、待ちなさーーーいっ!」

 

 ネギのパートナーであり、魔法無効化能力を持つ神楽坂が到着したのだ。……何故別行動を取っていたのかは分からないが。朝倉がここに来ていないのは身体能力で神楽坂に劣り、魔法無効化能力といった特殊能力も持っていない以上は足手纏いになると判断したからか。

 そのまま橋を常識外れの速度で突っ込んで来た神楽坂は迎撃に出てきた茶々丸へと肩に乗っていたカモを投げつける。

 

「うおっ!?」

 

 そして唐突に周囲を照らし出す光。特に用心も無く橋の様子を眺めていた為に、その光はまともに俺の目を焼く。

 

「ちぃっ」

 

 だが、さすが人間外のスペックを誇るアクセルの肉体。目眩ましの状態は数秒で元に戻る。その時、既に橋の上での状態は一変していた。橋の上に存在するのは地面に転がっているエヴァとその近くで待機する茶々丸のみで、ネギと神楽坂、カモの姿は消えていたのだ。

 

「一撃離脱というのは良い判断だが……逃げたのか?」

 

 まぁ、それもそれでありなのかもしれない。恐らくネギの奥の手だった捕縛結界も茶々丸に無効化され、ネギの魔法発動体である杖に関しても橋から放り投げられている。つまり現状ではエヴァに対する有効な攻撃手段は神楽坂の魔法無効化能力くらいしかない。そして、その神楽坂も身体能力はオリンピック選手並みと言ってもいいが正式な戦闘訓練を受けた訳でもない普通の女子中学生なのだ。だが……

 

「ここで逃げるというのは、正直期待外れだったな」

 

 思わず呟く。確かに現状で手が無い以上はその選択がベターなのだろうが、ベター過ぎて詰まらない選択だ。

 ……そう思った時、橋の影になっている場所から強烈な光が溢れ出る。とは言っても、先程のカモの時のような目を焼くようなものではなくどこか暖かい、柔らかな光だ。おかげで先程のように視界を奪われるような事は無かった。

 そして俺が気が付くという事は、俺よりも近くにいるエヴァ達も気が付く訳で……

 エヴァが振り向いて魔力を集中しようとしたその瞬間、先程の光があった場所からネギと神楽坂、カモが姿を現す。

 

「だが、捕縛結界は無効化され、魔法発動体の杖は既に無いこの状態でどうエヴァに対抗する?」

 

 そのまま2組の主従は睨み合い……前衛役を務める神楽坂と茶々丸が同時に地を蹴る! そして繰り返される激しい攻防。……とは言っても、デコピンでのやり取りなのが模擬戦である証だろう。

 前衛が前衛同士で戦っていれば、後衛は後衛同士。だが、ネギの魔法発動体の杖は……そう思った時、ネギが懐から何かを取り出すのが見えた。

 

「あれは……杖?」

 

 そう、ネギの持っているのは間違い無く杖だ。ただしエヴァに放り投げられた立派な杖ではなく、あやかや千鶴がエヴァから貰った初心者用の玩具のような杖だ。

 なるほど。確かに魔法発動体が今回のように敵に奪われる可能性がある以上は予備の杖を持っていてもおかしくはない。その辺はさすが魔法学校首席卒業って所か。

 そんな風に考えている間も、ネギとエヴァの魔法合戦は続いていく。

 エヴァが氷の魔法の射手を放てば、ネギが雷の魔法の射手で迎撃する。闇の魔法の射手を放つと光の魔法の射手で迎撃と言った感じだ。

 離れている所から見る限りでは、少し早めの花火を見ているようにも感じられた。

 だがそんな戦いもついに最終局面に入ったのか、ネギとエヴァの2人から今までよりも強力な魔力が放出される。

 

「いよいよ終局か」

 

 戦闘終了後には、この戦いがネギの戦闘経験を上げる為の模擬戦だったというのをネギと神楽坂に教えないといけないだろう。エヴァはその性格上素直に教えるとは思えないし何より戦闘相手が言った内容をそう簡単に信じるかどうかはちょっと難しい。いや、ネギだけなら意外にあっさりと信じそうな気もするが神楽坂とカモは疑って掛かる可能性が高い。

 なら、一応この戦いではネギ側に付いていると思われている俺が仲裁するのが一番穏便に話が進むだろう。……まぁ、ネギは俺とエヴァの関係を知っているが、それにしてもこの戦闘中に神楽坂とカモに話している時間は無かったと思うし。最悪、携帯で近右衛門に連絡を取るという手段もある。

 

「さすがにやるな」

 

 橋の近くまで近付いた所で、ネギからは収束された雷が。エヴァからは闇の吹雪が同時に放たれる。

 エヴァの魔法に関しては、以前俺が食らった奴と同じ魔法……か? あの時は俺の身体能力を考えて広範囲に展開した吹雪だったが、今回のそれはネギの収束された雷に対抗する為だろう、同じく収束して放出されている。

 お互いの魔法が丁度中間でぶつかり、相手の攻撃を呑み込まんと拮抗していた。

 だが、その危ういバランスも長くは続かなかった。どういう手段を使ったのかはここからではちょっと分からないが、ネギが追加で魔力を魔法へと注ぎ込んだのだ。

 

 ドォンッ! とばかりに重い音を立ててネギの雷がエヴァへと命中する。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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