転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3115話

「畜生、派手に見つけてきたのはアクセルだけかよ」

 

 天元が不服そうに呟く。

 忍んでいない忍者としては、敵の拠点――正確には会社だが――に忍び込んで自分よりも俺の方が重要な情報を見つけてきたのが悔しかったのだろう。

 

「しのぶの方はどうだったんだ?」

「私の方も生憎と。……ですが。青い彼岸花ですか。聞いた事がありませんね」

 

 しのぶもやはり青い彼岸花についてかなり気になっているのだろう。

 とはいえ、青い彼岸花は具体的にどのようにして使うのか、正直分からない。

 植物である以上、一番可能性が高いのはやっぱり毒とか薬とかなんだが。

 あるいは食料とか? ……いや、それはちょっと考えにくいか。

 

「藤の花からは鬼に対する毒が作れたんだよな? だとすればその藤の花に対抗する為に青い彼岸花が必要だとか?」

「それは……いや、けど……」

 

 俺の言葉はしのぶにとって予想外のことだったのか、ショックを受けた様子を見せる。

 

「そこまで動揺するな。これはあくまでも可能性でしかない。で、その藤の毒を作ったしのぶとしてはどう思う?」

「正直なところ分かりませんね。その青い彼岸花を調べてみないと」

 

 青い彼岸花、か。

 もし鬼がこれを必死になって探しているのだとしたら、鬼に対する罠に使える。

 青い彼岸花があるとなれば、鬼にとって大きな動きをするだろう。

 とはいえ、そのような真似をする場合は青い彼岸花を実際に用意する必要がある。

 必要があるのだが……この鬼滅世界においては不可能な事も、シャドウミラーの技術力があればどうとてもで対処出来る。

 レモンに頼めば、青い彼岸花を作るのはそう難しくない筈だ。

 ただし、当然の話だが鬼滅世界に存在する青い彼岸花ではない以上、シャドウミラーが作った青い彼岸花は鬼が期待する効能があるとは思えない。

 だが、それは実際に青い彼岸花の正体を知らない鬼にはどうしようもない。

 

「問題なのは、一体どうやって青い彼岸花を探すかだよな。……ともあれ、重要そうな情報は入手したんだ。ちなみに壺の作者については何か分かったか?」

 

 そう尋ねるも、残念ながら天元もしのぶも揃って首を横に振る。

 

「残念だけど無理だったな」

「私も同様に」

 

 壺の作者に関しては、かなり重要に隠されているらしい。

 

「しょうがないな。取りあえず情報を入手出来ただけでよしとして、後はもう蝶屋敷に戻るか」

 

 その言葉に2人が頷き、再び影のゲートを発動するのだった。

 

 

 

 

 

「青い彼岸花、ですか。……ちょっと思い当たるところはありませんが、何らかの情報が残っている可能性はあります。そうである以上、後でそちらを調べてみます」

 

 潜入から戻ってきた俺達の報告に、輝利哉はそんな風に言う。

 鬼殺隊としての歴史を考えれば、その辺の資料が何か残されている可能性もあるのだろう。

 

「それなら、煉獄家にもこの件は知らせた方がいいじゃないか? 日の呼吸の件もあるし」

 

 炭治郎の家に代々伝わっていた、ヒノカミ神楽。

 その正体が日の呼吸であると判明したのは、産屋敷家が持っている資料の類ではなく、煉獄家にある資料でその辺が明らかになっていた。

 そうである以上、青い彼岸花の件も産屋敷家に情報がなくても、煉獄家にそれが残っている可能性は十分にある。

 とはいえ、煉獄家と日の呼吸の場合は、煉獄家が火ではなく炎の呼吸だから、という可能性も否定出来ないんだよな。

 

「そうですね。日の呼吸の件を考えると、そうした方がいいでしょう」

 

 輝利哉が俺の言葉に頷く。

 

「蟲柱、音柱の2人も今回は助かりました。青い彼岸花の件は2人が協力したからこそ、判明したものです」

 

 その言葉に、天元としのぶは輝利哉に向かって頭を下げるのだった。

 

 

 

 

 

「さて、それで天元はこれからどうするんだ?」

「俺か? 俺は浅草に戻るよ。向こうの調査もしっかりとやる必要があるしな」

 

 浅草の件については、天元が任されている以上向こうに戻るのは当然か。

 

「なら、しのぶは?」

「私は蝶屋敷に戻ります。色々と研究をする必要もありますから。特に青い彼岸花……これが具体的にどのような効能を持つのか分からない以上、まずは普通の彼岸花で色々と調べてみたいと思います」

 

 普通の彼岸花を調べて、青い彼岸花の何かを見つけられるとは思わない。

 だが、それでも何もしないよりはマシだと思ったのだろう。

 特にしのぶは、鬼に対して複雑な思いを抱いている。

 そうである以上、青い彼岸花というのがどのような代物なのか、強い興味を抱くのは当然だろう。

 

「うちの技術班に頼めば、青い彼岸花を用意する事も出来るけど、どうする?」

「今はいいです。今すぐに青い彼岸花を貰っても、それでどうこう出来る訳ではないですし、何よりもその青い彼岸花は鬼が探しているのとは違うのでしょう?」

「そうだな。鬼が探してるのは普通……という表現が相応しいかどうかは分からないが、とにかく自然に生えている青い彼岸花だ。だが、俺が用意するのはそういう風になるように作った青い彼岸花となる」

 

 あるいは……本当にあるいはの話だが、青い彼岸花をこの世界に持ってきた事によって、鬼が探してる青い彼岸花と同じ効果を持つようになる可能性はある。

 それ以外にも、鬼の求める効果があるからこそ、それによって彼岸花が青くなるといった場合は、俺達が作った青い彼岸花であっても鬼が求めているのと同じ可能性は否定出来ないが。

 

「まずは普通の彼岸花を研究してみて、それによってどのような効果があるのかを調べてみます」

 

 そういうしのぶに分かったと告げると、しのぶは早速彼岸花を調査するべく俺と天元の前から去っていく。

 しのぶの後ろ姿を見送っていると、天元が不意に口を開く。

 

「じゃあ、俺も浅草に戻る。またな」

「ああ。気を付けろよ。……貿易商には結局鬼や十二鬼月はどこにもいなかった。そうなると、遊郭で鬼が本格的に動いている可能性も否定は出来ないし」

 

 そんな俺の言葉に、天元は軽く手を振り……そして、その場から走り去るのだった。

 

「さて、こうなると俺だけになったけど……一体どうするかな」

 

 今この状況で自分は一体何をすればいいのか。

 そう考えたのたが、もう夜であるというのを考えればホワイトスターに戻った方がいいだろうと判断するのだった。

 

 

 

 

 

「青い彼岸花? まぁ、作ろうと思えば作れるけど」

 

 ホワイトスターの俺の家。

 そこで俺だけが少し遅れた夕食を楽しみつつ、紅茶を楽しんでいたレモンに青い彼岸花の件を話したのだが、予想外にあっさりと答えられる。

 この手の花の改良というのは、青い薔薇というのが有名だ。

 実際青い薔薇がもう存在しているのか、それとも存在していないのか。

 その辺については俺も分からなかったが、もしまだ作られていなくてもレモンに頼めばその辺はどうにか出来そうだな。

 

「なら、一応作ってくれるか? それが具体的にどういう効能を持つのかは分からないが、それでもいざという時に青い彼岸花がないという事になれば、洒落にならないんだよな」

「作るのはいいけど、それを鬼滅世界に持っていっても……アクセルが思ってるような結果になるかどうかは分からないわよ?」

「ああ、それで構わない。鬼が青い彼岸花を探しているのなら、それを使えばそれだけで相手に対するブラフに使える。それに……鬼が本気で青い彼岸花を欲しているのなら。場合によっては十二鬼月……いや、それこそ鬼舞辻無惨を誘き出せる可能性もある」

「なるほど。そういう事なら分かったわ。だとすれば、青い彼岸花はすぐに作れるようにしておくわね」

 

 そう言い切るレモン。

 この頼もしさは凄いよな。

 

「頼む。……そう言えば、耀哉の方はどんな感じだ?」

「問題ないわ。今日アクセルも会ったんだから、大体は分かるでしょう?」

「分かるけど、だからといって俺が分からないような何かがあるかもしれないと思ってな」

 

 例えは悪いが、病気の類は初期症状では分からないという事も珍しくはない。

 そういう意味では、耀哉の件の詳細については自分で勝手に予想するよりも、レモンに聞いた方が確実だった。

 

「そういうのは今のところないわ。私の治療と木乃香の解呪よ? それこそもっと重傷や重病であっても全快になるわ」

「だろうとは思っていたけどな。……ああ、ちなみに。呼吸の方はどうなんだ? 凛と綾子が習得出来ないらしいけど」

「あら? そっちの方に連絡はいってないの? 書類で提出した筈だけど」

「……何?」

 

 レモン予想外といった様子でそう尋ねてくるが、書類?

 何かそれらしい書類はあったか?

 

「言っておくけど、きちんと書類を見なさいよ。結論から言えば、ここにいる中で呼吸を習得出来るのはコーネリアとスレイだけらしいわ」

「……何?」

 

 数秒前と全く同じ疑問を口にする。

 

「まず、私は……身体にWシリーズの技術が使われている影響か、呼吸の習得は難しいわ。綾子と似たような感じね」

 

 なるほど。

 そう言われれば、レモンの言葉には納得出来る。

 俺が言うのも何だが、レモンの生まれは複雑なんだよな。

 簡単に言えば、死んだエクセレンをWシリーズの技術を使って生き返らせたのが、レモンなのだ。

 そういう意味では、レモンが純粋な人間ではないので、俺や綾子のように呼吸を使えないと言われても納得出来る。

 

「なら、他は?」

「単純な話よ。ここにいる中で、気を使えるのがコーネリアとスレイの2人だけだからよ。他は全員魔力を使うでしょう?」

「そう言えば、呼吸は気の亜種という説があったな」

「ええ。その為に魔力を使う者が呼吸を使おうとすれば、気そのものよりは多少はマシだけど、それでも反発するわ」

「そうなると、明日菜さんならもしかしたら呼吸を使えるかもしれませんわね」

 

 レモンの言葉にあやかがそう言ってくる。

 

「明日菜は咸卦法を使えるしな。そういう意味では、呼吸を習得出来てもおかしくはないのか」

 

 俺の恋人達の中で、気を使うよりも魔力を使う者が多いのは……気よりも魔力の方が魔法を使う上で重要だというのもあるし、それにこう言ってはなんだが、俺が気と魔力では魔力に特化しているからというのも大きかった。

 なお、当然の話だがコーネリアとスレイが気を主に使っているからといって、魔力を使えない訳ではなく、魔法も普通に使える。

 気と魔力は反発するが、その使い分けそのものは出来ない事もないのだから。

 

「そうなると、何気にシャドウミラーの中で呼吸を使えるようになるのはあまり多くなさそうだな」

「そうなるわね。呼吸というのがあると知っていれば、魔力だけではなく気を重視していた人達も多かったでしょうけど……それは本当に今更の話でしょうし」

「そうだな。今更か。……で、それはともかくとしてだ。コーネリアとスレイが呼吸を使えるのなら、習得具合はどんな形だ?」

 

 こちらの話を聞いていたコーネリアとスレイにそう尋ねる。

 すると2人は、満面の笑みを浮かべて口を開く。

 

「順調だよ。ただし、呼吸の訓練は習得まで時間が掛かる。……それでも私達の場合は、基礎が出来ている分、かなり有利なのだ」

「基礎という点では、エヴァに鍛えられている私達に敵う相手はそうそういないだろう」

 

 揃って自信満々といった様子で告げるが、実際その言葉は決して間違ってはいない。

 元々が皇女であるにも関わらず前線で戦い、その高い実力からブリタニアの魔女と呼ばれていたコーネリアと、プロジェクトTDのパイロット候補生で席次は1位にして、緋色の彗星の異名を持つスレイだ。

 そんな2人が、生身での戦いでは圧倒的な実力を持つエヴァに散々扱かれていたのだから、それで基礎が出来ていないと言われる訳がなかった。

 

「そうなると、後は2人がどういう呼吸を習得するかだな。……ムラタ辺りも鬼滅世界にいるだけじゃなくて、こっちに戻ってきて呼吸の習得をした方がいいと思うんだが」

 

 ムラタの能力は圧倒的ではあるものの、強さを求めるムラタだけに呼吸を習得出来るのならしたいと思ってもおかしくはない筈だった。

 とはいえ、ムラタは神鳴流の方が性に合っていると言ってくるかもしれないが。

 

「取りあえず……こうして見ると、実は呼吸はシャドウミラーの戦力強化にそこまで使えないのか?」

「どうかしら。量産型Wに呼吸を使わせられるようになったら、かなり便利だと思うけど」

「量産型Wに呼吸か。それは結構いいかもしれないな。ただ、使えるのか? 凛は魔術回路の影響で呼吸が使えないんだろ? なら、量産型Wも難しいと思うが」

 

 量産型Wは凛と同じ魔術であるガンドを使用出来る。

 ただし、当然ながら凛程の威力や連射性はないが。

 それを可能としているのが、魔術回路。

 ……魔術回路というのは、基本的に先祖から受け継ぐ筈のものであり、それをどうやって量産型Wに持たせる事に成功したのかは分からない。

 分からないのだが、レモンの技術力や凛の協力であるという事を考えれば、不可能ではないのだろう。

 普通に考えれば不可能だと思うのだが、実際に出来ているのだから。

 そんな風に思いながら、俺は会話を続けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1730

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