堕姫と妓夫太郎という上弦の陸を倒してから数日……怪我をした炭治郎もある程度問題なく動けるようになったという事で、早速珠世に会いに行く事になったんだが……
「マリュー、何でお前がここに?」
「あら、おかしい? 鬼の医者……いえ、研究者かしら。とにかく、そんな相手に会いに行くんでしょう? なら、私が一緒に行ってもおかしくはないと思うけど」
そう言いながら、マリューは栗色の髪を掻き上げる。
そんな何でもない仕草だが、マリューの持つ女の艶をこれでもかと表し……
「ぐぬぬぬぬぬぬ……先生……嫉妬で人を殺せたら……」
そんな俺とマリューの様子を見ていた善逸が、血の涙を流しながら呟く声が聞こえてくる。
「善逸、聞こえているぞ」
ビクリ、と。
そんな俺の言葉に善逸は一瞬震えるものの、それでもそこから逃げるといったような真似はせず、血の涙を流しながら俺を見てくる。
善逸にしてみれば、マリューのような美人とそういう関係であるというのが羨ましいのだろう。
実際、マリューを含めた俺の恋人達は全員が魅力的なのは間違いない。
そういう意味では、善逸が嫉妬するのも分かる。
分かるが、それなら善逸も男を磨いて多くの女にモテるようになればいいだけだ。
もっとも鬼滅世界の日本では重婚とかは認められてないので、そういうのがOKな国に行くか、あるいはいっそシャドウミラーに所属するか。
その辺りについては、後々の話となるが。
ちなみに……本当にちなみにの話だが、善逸がいるのはここが炭治郎と待ち合わせをした蝶屋敷の前だからだ。
現在、炭治郎達……炭治郎、善逸、伊之助の3人は蝶屋敷を拠点としている。
それだけに、当然待ち合わせ場所に善逸がいてもおかしくはなかった。
「ふふっ、あの子ね? アクセルの弟子って」
「いや、弟子じゃなくて教え子な。……俺はその辺にあまり拘りはないが、エヴァはかなり拘ってるからな」
エヴァにしてみれば、師匠と先生というのは明確に違うらしい。
その辺の拘りは、俺には正直なところ分からない。
ただ、そういうものかと納得するしかなかった。
「で、その件はともかく……マリューも本当に行く気か?」
マリューは一体どこで情報を入手したのか、俺が待ち合わせ場所の蝶屋敷に来てみると、既にそこにいたのだ。
驚く俺をみて、してやったりといったような悪戯っぽい笑みを浮かべていたが……うん。まぁ、そうだな。この礼は今日の夜、もしくは今日は鬼滅世界に泊まるかもしれないから、ホワイトスターに戻った日の夜にさせて貰うとしよう。
「ええ。こう言ってはなんだけど、シャドウミラーの技術班の中で一番鬼について詳しいのは、多分私よ?」
「……だろうな」
その言葉には、俺も素直に納得するしかない。
藤の花の毒を強化し、それを使った銃弾と拳銃を用意するといったくらいの事が出来るのだから。
技術班の者達の大半が、オーラマシンの解析に夢中になっているというのも、この場合は大きいのかもしれないが。
技術班の者達にしてみれば、生体兵器のオーラマシンは興味深いのだろう。
問題なのは、今のところオーラマシンの技術をシャドウミラーの機体に流用するのが難しいという事か。
無理矢理搭載すれば、出来ない事はない。
しかし、そのように無茶な真似をしても機体性能は低下してしまう可能性が高い。
そういう意味では、オーラマシンの研究や解析というのはある意味で趣味的な代物であるのは間違いなかった。
「でしょう? なら、こうして私が一緒に行動してもいいでしょう? 珠世さんだったかしら。その人との話は弾むと思うけど」
「だといいんだが」
マリューは会話が弾むと言ってるものの、本当にそのような事になるのかはどうかは、微妙だろう。
珠世にとっても、藤の花の毒は致命的なのだから。
珠世が研究しているのは、禰豆子を人に戻す薬だ。
そう考えると、会話が弾むかどうかは別の話だろう。
ちなみに珠世は人じゃなくて鬼なんだが、その辺は今は突っ込まないでおこう。
そうしてマリューと話をしながら待っていると、やがて蝶屋敷から炭治郎が姿を現す。
「すいません、アクセルさん。お待たせしてしまって……えっと……」
いつものように禰豆子の入った箱を背負っている炭治郎だったが、その炭治郎は俺の横にいるマリューを見て戸惑った表情を浮かべる。
まぁ、それも仕方がない。
炭治郎にとって、マリューは初めて見る相手なのだから。
炭治郎はこの世界の原作の主人公なんだし、善逸や伊之助と一緒にホワイトスターに招待して、シャドウミラーの面々と顔を合わせておいた方がいいかもしれないな。
禰豆子もホワイトスターの中ならそこまで窮屈な思いをしなくてもいいだろうし。
「マリュー・ラミアス。シャドウミラーの中では、鬼についての研究に詳しい。藤の花の毒を強化したりな」
「あら、紹介は研究者としてだけ? 恋人だというのは隠しておくの?」
俺の説明に悪戯っぽい笑みを浮かべたマリューがそう言ってくる。
炭治郎はマリューが俺の恋人だという言葉に驚いた様子を見せるものの、それでも僅かにだけだ。
それ以上は特に驚きの様子は見せていない。
俺には恋人が複数いると、知ってるからだろう。
「竈門炭治郎です。アクセルさんにはいつもお世話になっています」
そう言い、頭を下げる炭治郎。
礼儀正しい姿に、マリューも好感を持ったのだろう。俺に向けていた悪戯っぽい笑みとはまた違う笑みを浮かべて口を開く。
「そう、よろしくね炭治郎君。それにしても……何だか炭治郎君を見ていると、キラ君を思い出すわね」
「……そうか?」
炭治郎とキラが似ているとは、ちょっと思えない。
ちなみにそのキラは……現在どうなってるんだろうな。
俺が最後に何かでキラの現状を聞いた時は、ラクスとフレイの2人と同時に付き合っていたとか、そんな感じだったと思うが。
何かでそのうち重婚OKなシャドウミラーに引っ越してくるといったような話もあったが……今のところ、そのような話は進んでいない。
まぁ、キラにしてみれば美人な恋人2人がいるんだから、そういう意味では悪い話ではないだろう。
「ええ、優しそうなところとか」
なるほど。
優しそうなところという意味では納得出来る。
ただし、同じ優しそうという意味であっても炭治郎と俺が知り合った頃のキラは違う。
鬼はきちんと殺す炭治郎と、人を殺すという事を怖がって殺さなかったキラ。
まぁ、それでも最終的にはキラもきちんと戦うようになったのだから、そういう意味では今のキラと炭治郎なら似てるのかもしれないが。
「その、どういう事ですか?」
自分の事が話されているのは分かるのだろうが、それでも話している内容が分からず、炭治郎が不思議そうに尋ねてくる。
「俺とマリューの知り合いに炭治郎と似たような奴がいるんだよ。……もしかしたら、いつか炭治郎がキラと会う事があるかもしれないな。その件はともかくとして、そろそろ珠世に会いに行くか。場所については聞いてるのか?」
「大体の場所は聞いてます。近くまで行けば、隠の人が案内してくれると」
「そうか。なら、その大体の場所に行くか。……で、その大体の場所ってのはどこだ?」
「浅草からそう離れていない場所ですね。元々最初に珠世さん達に会ったのもその近くですし」
浅草か。
炭治郎が珠世に会ったという事は、鬼舞辻無惨に遭遇した場所の近くでもある訳か。
それに青い彼岸花を探している貿易商もあの辺にあったな。
珠世は鬼舞辻無惨と敵対してる以上、当然だが遭遇するのは避けたい筈だ。
だというのに、何故鬼舞辻無惨がいた場所の近くにいるんだ?
あるいは、灯台下暗しを狙ってるのか。
「分かった。まずは浅草だな。なら、俺の近くに来い。一気に移動する」
「え? どういう事ですか?」
「いいから、アクセルの近くにいれば分かるわ。ちょっと違和感があるかもしれないけど、そこまで動揺したりはしなくてもいいから」
マリューの優しげな言葉に、炭治郎は取りあえず俺の側までやって来る。
「じゃあ、行ってくる」
マリューの腰を抱いている俺に相変わらず血の涙を流しながら羨ましそうに睨み付けてくる善逸にそう言うと、影のゲートを展開するのだった。
「う……うわぁっ!? ……え? あれ?」
影に沈む感触に炭治郎の口からは悲鳴が上がる。
どうやら炭治郎もこの感覚には慣れなかったらしい。
それでも拒否反応といった感じではないので、恐らく何度か影のゲートを経験すれば慣れると思うが。
「ついたぞ。浅草だ」
「え……そんな……だって、さっきまで蝶屋敷にいましたよね?」
「そうだな。けど、エヴァとの訓練をしているのなら、魔法については知ってるだろう? 炭治郎に分かりやすく言えば、人の使える血鬼術といったところか」
人の使える血鬼術……それは魔法を表現するにはおかしくないものだと思う。
ただ、魔法と血鬼術では汎用性は魔法の方が圧倒的に上だが、特異性という点では血鬼術の方が上だ。
ある意味で尖ってると評してもいい。
帯に人を閉じ込めたりするのは、その最たるものだろう。
そして炭治郎は俺の説明で納得した様子を見せる。
「話が一段落したところで、行きましょう? その……隠だったかしら。その人に会えば、珠世さんという人の住んでいる場所に案内してくれるのよね?」
「え? あ、はい。そうです。じゃあ行きましょう」
マリューの言葉で我に返った炭治郎は、慌てて俺とマリューを案内する。
何だかんだと浅草に来る機会は多いのだが、どうせならマリューと2人でデートと行きたかったな。
今の状況ではそれは無理だけど。
「どうしたの、アクセル? 何か気になるお店でもあった?」
「いや、ただマリューと浅草でデートしたかったと思ってな」
「……ふふ」
嬉しそうな笑みを浮かべるマリュー。
マリューもまた、デートをしたいと思ったのだろう。
そんな俺とマリューの隣で、炭治郎は少し落ち着かない様子だったが。
ともあれ、炭治郎の案内で浅草から離れて……やがて一件の家に到着する。
「上から指示があったのはここですね。ここで隠の人と合流する事になっています」
「分かった。その辺のやり取りは炭治郎の方が慣れてるだろうから、任せる」
「じゃあ、行きますね」
そう言うと、炭治郎は家の中に入っていく。
俺もそれを追って家の中に入ろうかとも思ったが、珠世の住んでいる家に向かうという事はすぐに向かうのだろうと判断して家の前で待つ。
「ねぇ、アクセル」
そうして待っていると、暇になったのかマリューがそんな風に声を掛けてきた。
「どうした?」
「UC世界でのルナ・ジオンの次期主力MSの話、聞いた?」
「一般兵士用がガルバルディβで、エースとかはギャン・クリーガーって話を聞いたけど、何か変更があったのか?」
わざわざその話をするという事は、ルナ・ジオンのMSに何かあったのか。
「ええ。といっても、少し仕様変更があったくらいだけどね。ギャン・クリーガーって、基本的には近接戦闘を得意としているMSでしょう?」
「そうだな。ベースとなったギャンがまさに近接戦闘を得意としているMSだし」
「それは逆に言えば、中距離から遠距離攻撃が苦手という事になるじゃない」
「けど、ギャン・クリーガーはビームライフルを装備するようになっていた筈だろう? それにマシンガンとかそういうのも装備出来たと思うけど」
ノーマルのギャンは、射撃武器は全て盾に内蔵するという、ある意味で特殊な作りだった。
……何しろ盾の外側にミサイルとかの発射口があるんだから、マシンガンの弾丸が発射口の内部に命中すればどうなるのか考えるまでもない。
ツィマッド社も、一体何を考えてそんな作りにしたのやら。
普通にビームライフルとか、そこまでいかなくてもザクマシンガンとかを流用出来るようにしておけば、使い勝手も……いや、それでも結局はビームライフルを採用したゲルググとのコンペでは負けていただろうな。
そもそもゲルググの開発にはツィマッド社も協力している訳で……まぁ、この辺は追及しない方がいいか。
「ええ。でもどうせなら強力な装備をという事で、アクセルが1年戦争の時に確保したペイルライダーの使っていたシェキナーを量産して、希望者はギャン・クリーガーで使えるようにしたらしいわよ」
ペイルライダーの、シェキナー。
ジャイアントガトリング、メガビームランチャー、マイクロミサイルポッドという3つの武器を1つに纏めた武器。
俺好みの、いわゆる複合兵装という奴だ。
ただし、この複合兵装。複数の武器を1つに纏めるという意味では大きいが、それだけに使いこなすには技量が必要となる。
そちらはギャン・クリーガーに装備するという事だったので、エースが使うんだから問題ないのだろうが……整備性をどうするんだろうな。
そんな風に考えていると、炭治郎が隠――隊服は着ていないが――を連れて戻ってきたので、話は中断するのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730