転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3140話

 珠世が蝶屋敷に住むことになってから、数日……ちなみにその数日の間に、予想通り伊之助と愈史郎が衝突したらしいが、途中で炭治郎や善逸が止めた事によって、大きな騒動にはならなかったらしい。

 炭治郎にとっても、蝶屋敷でそのような騒動は起きて欲しくなかったといったところか。

 ともあれ、そんな感じで蝶屋敷は問題なく動いており……

 

「不思議ですね。身体がいつも以上に軽いような気がします」

 

 藤の花の毒の解毒が終わったしのぶが、自分の身体の様子に興味深そうに呟く。

 

「いや、当然だろ。そもそも身体の中に毒があった状態で、柱として行動してきたのが異常なんだよ」

「あら、アクセルさんに異常と言われるのは少し不満ですけど」

 

 何でだよと突っ込みたくなったものの、今まで俺がやってきた諸々を考えると抗議出来ないような気がするのも事実。

 

「藤の花の毒は、鬼に対して強力な効果を持つが、人間にはそこまで毒でもない。……しのぶが無事だったのは、そういう理由もあったんだろうが」

「そうね。後はマリューが開発した、強化された藤の花の毒を使ってなかったのも大きいわ」

 

 レモンのその言葉には納得出来るものがあった。

 マリューの開発した藤の花の毒を使っていれば、恐らくしのぶはもっと致命的な状態になっていただろう。

 そのようなことにならなかったのは、しのぶが自分の身体に入れた毒は今までしのぶ自身が開発してきた毒だからに他ならない。

 

「こうして聞くのもなんだが、何でマリューの開発した藤の花の毒を使わなかったんだ? しのぶにしてみれば、強力な藤の花の毒というのはあって困るものでもないだろう?」

「そうですね。自分で開発した毒ではなかったから、でしょうか。……私が毒によって身体を侵したのは、あくまでも姉の仇討ちの為です。そうである以上、自分の毒だけで対処したかったからでしょうか」

 

 それは、しのぶにとって姉の仇を取る為の譲れない一線だったのだろう。

 俺にとっては無駄な……とまではいかないが、別にそこに拘る必要もないと思うんだが、そのおかげでしのぶが助かったのなら、それは喜ぶべき事だろう。

 

「マリューの件はともかくとして、解毒はこれで終了よ。しのぶは鬼滅世界に戻ってもいいわ」

「ありがとうございました。このご恩はいずれ……」

 

 そう言い、しのぶは頭を下げるのだった。

 

 

 

 

 

「そう言えば、刀鍛冶の里に行くという話でしたが、それはいつになるのですか?」

 

 エアカーで転移区画に向かっていると、しのぶがそんな風に尋ねてくる。

 耀哉から誘われた、刀鍛冶の里。

 正直なところ、俺がそこに行く必要があるのか? という思いもあったのだが……それでも耀哉がそのように言ってきた以上、そこには何らかの理由があるのだろうというのは容易に予想出来た。

 あるいは、刀鍛冶の里に俺が宇宙から持ってきた岩塊を運んで欲しいという依頼もあるのかもしれないが。

 現在、何だかんだと鬼殺隊の隠れ里には刀鍛冶がかなり集まっている。

 その目的は、当然ながら俺が太陽の側から拾ってきた岩塊。

 より強く、より長時間太陽の光を浴びていた岩塊は、地球で採れる猩々緋鉱石とかよりも純度が上の金属だ。

 実際、その岩塊から抽出した金属を使って作った俺の日輪刀は、明らかに普通の日輪刀よりも威力が強いのだから。

 そうである以上、鬼殺隊にしてみれば俺の日輪刀と同じ性能を持つ日輪刀が多数欲しいと考えるのは当然だろう。

 それ以外にも、単純に俺に刀鍛冶の里を見せたいという思いもあるのかもしれないが。

 耀哉にしてみれば、ちょっとした心遣いといったところか。

 

「いつになるんだろうな。耀哉の方で予定を合わせると言ってたから、それ待ちだな」

「……え? お館様も刀鍛冶の里に?」

「ああ、いや。違う。俺達以外にも何人か刀鍛冶の里に行く予定らしい。多分、炭治郎達だけど」

 

 そう言うと、しのぶは何故? といった視線をこっちに向けてくる。

 しのぶにしてみれば、何故耀哉が炭治郎達を特別扱いするのか分からないのだろう。

 実際、鬼殺隊の中には刀鍛冶の里に行った事がない者も多いらしい。

 また、実際に行くにしても目隠しをさせて、道を分からないようにしてるとか何とか。

 それでも俺にはあっさりと場所を教えるのは……うん、俺にはそういう真似をしても無駄だと理解してるからだろうな。

 何しろ俺はその場所が分かれば、影のゲートで転移出来るのだから。

 そんな俺に目隠しをして移動しても、それは全く意味がない。

 後は耀哉が俺に対してそれだけ信頼しているというのを示す為でもあるんだろう。

 耀哉にしてみれば、シャドウミラーが接触するようになってから鬼との戦いがかなり有利な方に進みつつある。

 だからこそ、今は少しでも自分達を信頼させる為に動くといったところか。

 個人的な関係という意味なら、俺と耀哉は友人と言ってもいいような関係を築いている。

 だが、公私を区別する耀哉としてはそういう風に俺達と接触するような事になってもおかしくはなかった。

 

「そうですか。アクセルさんが行くとなると、敵に襲撃されそうで……」

 

 しのぶのその言葉は、俺にとっても素直に否定は出来なかった。

 当然だろう。俺はトラブル誘引体質とでも言うべき体質をしている。

 そんな俺が刀鍛冶の里に行くとなれば、鬼の襲撃があってもおかしくはない。

 ……あるいは炭治郎達も刀鍛冶の里に行く以上、俺ではなく炭治郎が原作で体験した何らかの事件が起きる可能性も高い。

 

「もし刀鍛冶の里が鬼に襲われたら、どうなる」

「最悪ですね」

 

 一瞬の躊躇もなく断言するしのぶ。

 それだけ考えるまでもないことなのだろう。

 

「そんなに最悪か?」

「はい。何しろ鬼を殺す事が出来る唯一の武器が日輪刀です。その日輪刀を作っている人達が集まっているのが刀鍛冶の里です。……もっとも、今は鬼殺隊の隠れ里にもそれなりの数の刀鍛冶の人達がいますが。それでも、刀鍛冶の里が鬼に襲撃されるようなことになれば、鬼殺隊としての被害はかなり大きいです」

「だとすると、本当に鬼が来る可能性があるな」

「本当ですか?」

 

 俺の言葉を聞いてしのぶが疑わしそうに言ってくる。

 俺がいるから云々といったような事を口にしていたしのぶだったが、その言葉は決して本気だった訳ではないのだろう。

 

「分からない。分からないが、最近鬼はかなり被害を受けている」

 

 俺がこの世界に転移してきた時に倒した下弦の鬼。汽車では下弦の壱を倒して、上弦の参である猗窩座も俺に負けた。そして遊郭では上弦の陸の堕姫と妓夫太郎が死んでいる。

 また、こっちは鬼舞辻無惨が理解しているかどうかは分からないが、猗窩座は俺と何度も戦っては、全敗している。

 そう考えた場合、鬼殺隊の剣士が持つ最大の武器である日輪刀をどうにかしようと思ってもおかしくはなかった。

 

「そうすると、巻き返しをする為に刀鍛冶の里を? ……ですが、それはお館様も承知しています。その為、刀鍛冶の里は定期的に里のある場所を変えています。そうである以上、そう簡単に鬼に見つかるとは思えませんが」

「だろうな。だが、それでも刀鍛冶は1人や2人じゃない。結構な人数で生活している以上、調べる手段はあると思う」

 

 とはいえ、それを見つけるのは難しいと思うが。

 これが平成なら偵察衛星とかそういうのもある。

 あるいは食料とかそういうのを外部から購入している場合、その辺のデータを集めて情報収集するといった手段もある。

 しかし、大正時代の鬼滅世界においてはそのような真似は出来ない。

 とはいえ、夜になったら血鬼術で空を飛んで地上にある明かりを探すとか、もしくは捜し物をする血鬼術を使うとか……そういう手段でどうにかする可能性もあるが

 

「今までは見つかっていませんでした。そう言うのは愚か者の考えでしょうね」

「ああ。今まで見つかっていなかったから、これからも見つからないとは限らない。寧ろ、今まで見つからなかった以上はこれからどんどん見つかる可能性が高くなっていくと思った方がいい」

 

 鬼が科学技術を使うかどうかは分からない。

 だが、このまま戦いが長引いた場合、あるいは……本当にあるいはの話だが、鬼が偵察衛星を使うといったような事にもなりかねない。

 いや、偵察衛星が使えるまでなると、それこそまだかなりの時間が必要になるな。

 わざわざ偵察衛星を使わなくても、飛行機とかなら今はもう実用化されてるんだから、それを使えば地図にはない刀鍛冶の里を見つけるような真似も出来るかもしれない。

 貿易商に手を伸ばして青い彼岸花を探させているのを考えると、可能性としては飛行機を使うのも否定は出来ないよな。

 

「そう、ですね。見つからないと思うのは間違いでしょう。ですが、鬼殺隊として活動している以上、日輪刀は絶対に必要です。刀鍛冶の里はそういう意味でも非常に重要な場所と言ってもいいでしょうね」

「そんな場所である以上、守る必要はあるんだが……鬼殺隊にはそこまで戦力的な余裕がないか」

 

 俺の言葉に真剣な表情で頷くしのぶ。

 鬼殺隊の剣士は、それこそブラック企業? 何それといったような厳しさだ。

 違いはブラック企業と違って、鬼殺隊の場合はそれこそ剣士達が自分から進んでそんな風に動いているといった事か。

 そういう意味では、お互いの目的の為にしっかりと噛み合っている組織ではあるんだよな。

 

「とはいえ、今は違う。耀哉から要望があれば、量産型Wやコバッタ……いや、田舎なんだし、メギロートやイルメヤでもいいか? 防衛戦力として配置は出来る」

 

 護衛の戦力としては、十分だろう。

 コバッタやバッタは強い鬼と戦った場合負けるかもしれないが、メギロートやイルメヤなら十二鬼月以外であれば問題ないだろう。

 十二鬼月を相手にした場合であっても、相性によっては十分に勝利出来る可能性がある。

 

「そうですね。身体を慣らしている時にメギロートというのが戦っている映像を見せて貰いましたが、かなり強そうでした。正直、私達が戦っているのは何なのかと思ってしまうくらいには」

「それはそうだろうな」

 

 メギロートは、無人機……いわゆるロボットだ。

 それも宇宙規模の戦いで使われるような存在。

 そんなメギロートと比べると、鬼殺隊は地球の中にある日本という1つの国の存在にすぎない。

 鬼もまた、凶悪な性能を持ってはいるが、言ってみれば獰猛な野生の肉食獣が多数放し飼いにされている程度のものだ。

 実際にそこに住んでいる者にしてみれば、多数の獰猛な肉食獣が放し飼いになっているという時点でふざけるなといったように思うだろうが、地球規模で見た場合は結局その程度でしかない。

 それだけお互いに規模の違いがあるのだから、戦力的に大きく違ってもおかしな話ではない。

 

「鬼滅世界に戻って、お館様に帰還の挨拶をしたら、すぐに進言してみましょう」

「そうした方がいいだろうな」

 

 まぁ、俺達もそう遠くないうちに刀鍛冶の里に行くんだから、その間は防衛戦力というのは考えなくてもいいのかもしれないが。

 それでも刀鍛冶の里の防御が硬くなるのは、シャドウミラーとしても歓迎すべき事だった。

 何しろシャドウミラーにとって日輪刀というのはこの鬼滅世界での目玉技術の1つだ。

 そうである以上、俺達としてはその技術のある場所を襲撃されるというのは好ましい事ではない。

 それにまだ正式な貿易の契約をしていない今だからこそ、メギロートやイルメヤをかり出せるものの、正式に契約を結んでしまえば異世界間貿易に関する条約の1つである、兵器の輸出に引っ掛かる可能性もある。

 ……ある意味、神鳴流を鬼滅世界で雇えるようにしたというのも、兵器の輸出に引っ掛かるような気がしないでもないが……まぁ、その辺は気にしないでおくとしよう。

 

「っと、到着だ。……悪いな、本当ならもう少ししっかりとホワイトスターの中を見学させてやりたかったんだが、何だかんだと話の方に夢中になってしまった」

 

 そんな俺の言葉に、しのぶは首を横に振る。

 

「いえ、気にしないで下さい。色々と興味深いお話も聞けたので。それに……刀鍛冶の里が危険だというのは、十分に理解しました」

 

 しのぶのその言葉に、ならいいけどと思う。

 しのぶは以前から何度かホワイトスターの中を移動してるので、そういう意味ではどうしても見学したいという訳ではなかったのだろう。

 ホワイトスターの見学よりも、現在の鬼滅世界についての情報を得る方が先だと、そのように思うのは当然だった。

 

「そう言って貰えると俺としても助かる。……さて、じゃあ降りるか」

 

 荷物の類も一応は持ってきていたが、ホワイトスターの方で用意しようと思えば幾らでも用意出来る。

 そういう意味では、しのぶにとっては鬼滅世界よりもホワイトスターの方が暮らしやすいのは間違いなかった。

 それが慣れているのかどうかというのは、また別の話だったが。

 そんな風に思いつつ、俺はしのぶと共に転移区画から鬼滅世界へ向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1730

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