転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3141話

 しのぶが鬼滅世界に戻ってくると、耀哉に帰還の挨拶をしてから蝶屋敷に戻る。

 帰還の挨拶に関しては、しのぶと耀哉がホワイトスターの話題で盛り上がったりしたが、聞いている俺にしてみればそれのどこにそこまで騒ぐ要素が? と思うような光景だったので……若干取り残されているような感じがしないでもなかったが。

 大正時代の人間にとって、やはりホワイトスターというのは色々と特殊な場所なのだろう。

 それでも喜んで貰えたのなら何よりだ。

 とはいえ、それはある意味で当然の話だったのかもしれないが。

 しのぶや耀哉を含めて大正時代の人間に、平成時代の話をしても、それが日本だとはとても信じられないだろう。

 大正、昭和、平成という時代によって発展する文明は、それだけ大きな違いがある。

 ともあれ、耀哉との会談が終わって俺としのぶは蝶屋敷に向かっているのだが……

 

「珠世さん、でしたか。信用出来る性格なのですよね」

 

 念の為といった様子でしのぶが尋ねてくる。

 珠世の件については、当然ながら既にしのぶにも話している。

 しのぶの本拠地とも言うべき蝶屋敷に珠世が住む事になるのだから、それは当然だろう。

 もっとも、しのぶにとってはお館様である耀哉の言葉は絶対だ。

 もししのぶが珠世を蝶屋敷に入れたくないと思っても、耀哉が許可をすれば自分を無理矢理納得させるだろう。

 

「そうだな。珠世は炭治郎の妹の禰豆子を人に戻す研究をしているし、人を食わなくても少し血を接種するだけで生きていけるらしいから、そういう意味で信用は出来ると思う」

 

 そう言えば、猗窩座には結構他の世界の食べ物を渡していたけど、珠世にはやってないな。

 後でちょっと試してみてもいいかもしれない。

 ……とはいえ、珠世と愈史郎だけならともかく、禰豆子がいるのを考えるとちょっとな。

 禰豆子の前で珠世達だけが料理を食べて、禰豆子には何も食べさせないというのは可哀想だし。

 炭治郎が禰豆子に料理を食べさせてもいいと許可をすれば、俺も特に問題なく禰豆子に料理を食べさせたり出来るんだが。

 

「そういう意味で、と言うと……何か他に不安な事でもあるのですか?」

「ない……とは言えないな。珠世の身内に愈史郎という奴がいる。そいつはかなりのトラブルメーカー……いや、問題児だ。一応俺と最初に遭遇した時に、多少はその辺を直すように言ったが。それで本当に直るかどうかは、もっと様子を見る必要があるな」

「……大丈夫なのですか、その人は」

「それについては、しのぶの目で見てみればいい。それでどうしても駄目なようなら、しのぶの方でどうにか対処してくれ」

 

 この場合の対処というのは、殺す……とまではいかないものの、実力行使については許容するといったようなものだ。

 しのぶの性格を考えれば、愈史郎が迂闊な真似をした場合、どういう結果になるのかは何となく予想出来る。

 

「分かりました。では、そのように。……さて、見えてきましたね」

 

 しのぶが蝶屋敷を見て、そんな風に呟く。

 ホワイトスターで解毒をしていた時間は、そんなに長かった訳ではない。

 それでもしのぶにしてみれば、こうして久しぶりに見る蝶屋敷に思うところがあるのだろう。

 実際にはホワイトスターからこの世界に戻ってきた時、ゲートは蝶屋敷からそう離れていない場所にあったので、その時にも蝶屋敷を見る事が出来たと思うんだが。

 それでもしのぶにとっては、最初は耀哉に会いに行くのを優先していたのだろう。

 そういう意味で、耀哉に帰還報告をした今は、改めて蝶屋敷をゆっくりと見る事が出来るようになったらしい。

 

「どうやらお出迎えがいるみたいだな。カナヲやアオイ、それに子供3人組も蝶屋敷の前で待ってるみたいだぞ」

 

 しのぶが戻ってきたというのを一体どこから聞いたのか。

 多分、俺としのぶがゲートから出て来たのを見ていた奴が話を広げたのかもしれないな。

 ともあれそんな感じでしのぶの帰還を知っていたアオイ達は、しのぶが戻ってくるのを待っていたのだろう。

 

「あら……全く。今は色々と忙しいでしょうに」

「簡単な怪我の治療なら、量産型Wとかでも出来るしな」

 

 ちなみに現在一番多い怪我人は、遊郭の一件で援軍に来た者達だ。

 とはいえ、それでも誰も死ななかったので、怪我人は多かったが上々の結果でもある。

 また、それ以外にも俺達が知らない場所で鬼と戦って怪我をする者も当然おり、そのような者達の治療が必要となるのも当然だった。

 

「それでも、何かあった時の事を考えれば……」

 

 そう不満を口にするしのぶだったが、その表情は笑みが浮かんでいる。

 それもいつも浮かべているような笑みではなく、本当に心の底から嬉しいと思っての笑み。

 そんな笑みを浮かべているしのぶと共に、蝶屋敷に向かい……やがて蝶屋敷の前にいた面々が、こちらの姿に気が付く。

 最初に子供3人組が、そしてアオイ……最後にカナヲがしのぶに駆け寄ってくる。

 しのぶにしてみれば、今の状況には色々と思うところもあるのだろう。

 それでも嬉しそうな様子を見せ、自分を慕ってくれる者達を見て嬉しそうな様子を見せる。

 とはいえ、治療もあるのに全員がここにいるという事について少し説教をしたりもしていたが。

 

「じゃあ、しのぶも無事に送り届けた事だし、俺はこの辺で失礼する」

「え? いえ、アクセルさんも少し蝶屋敷で休んでいかれたらどうですか?」

 

 まさかこの状況で俺が帰ると言うとは思っていなかったのか、しのぶが少し戸惑った様子でそう言ってくる。

 今この状況で俺が蝶屋敷にいる必要はないのだが……とそう思っていたが、恐らく珠世関係なのだろうというのは、予想出来た。

 しのぶにとっても、珠世というのはある意味で特別な存在だ。

 人間と共存共栄するという意味では、禰豆子もいる。

 だが、禰豆子の場合は精神年齢が明らかに後退しており、きちんとした鬼とは言い切れない。

 ……実際、色々な意味で特殊な鬼なのは間違いないしな。

 そんな禰豆子と比べると、珠世はしっかりとした鬼らしい鬼だ。

 それこそかなり昔に鬼にされた存在で、そのような相手と友好的にやれるのか? と、そう疑問に思ってもおかしくはない。

 とはいえ、だからといって俺がそこにいてもどうにかなるのか? という疑問がある。

 敢えて俺がそこにいる理由を考えるとすれば……愈史郎がしのぶに対して妙な事を言わないように釘を刺すという意味があるくらいか。

 とはいえ、しのぶと珠世がどのようなやり取りをするのか気になったので、蝶屋敷の中に入る事にする。

 

「分かった。なら、ちょっと入らせて貰うか」

 

 そう言うと、しのぶはほっとした様子を見せた。

 蝶屋敷の中に入ると、庭で模擬戦をしているのが分かる。

 エヴァと炭治郎達の訓練が久しぶりに行われているらしい。

 炭治郎達も堕姫や妓夫太郎との戦いで色々思うところがあったのだろう。

 戦いの中で強くなったのは間違いないが、それでも……多分、まだエヴァに勝ったりするのは不可能だろうな。

 エヴァの実力のどれだけを引き出せるのかというところに興味がある。

 そんな風に考えて蝶屋敷の中に入ると……玄関に入ってすぐの場所に珠世と愈史郎の姿があった。

 

「初めまして、珠世といいます。こちらは私の身内の愈史郎」

 

 そう言い、しのぶに向かって頭を下げる珠世。

 愈史郎も不承不承ではあるが素直に頭を下げる。

 そんな2人に向かい、しのぶは笑みを浮かべて口を開く。

 

「蟲柱、胡蝶しのぶです。珠世さんについてはアクセルさんから聞いています。色々と複雑なところもあるでしょうが、よろしくお願いしますね」

 

 しのぶの友好的な言葉に、珠世は頭を上げて笑みを浮かべる。

 

「そのように言ってもらえると嬉しいです。胡蝶さんの薬の技術はかなりのものだと聞いていますので、鬼舞辻無惨を殺す為の毒の研究には是非協力して欲しいと」

「ええ、勿論。その事に異論はありません。それに……私は鬼と友好的な関係を築ければと思って、今まで頑張ってきました。珠世さんとなら、それが叶うと信じています」

 

 しのぶのその言葉は、珠世を驚かせるには十分だった。

 その事を知っていても、知らなくても、それでも自分の前でそのようなことを堂々と言うとは、と。

 その後、数分程話したところで、一旦会話は終わる。

 

「では、しのぶさんも忙しいでしょうし、この辺で失礼しますね」

 

 最初に会った時は胡蝶さんと呼んでいたのだが、この数分で珠世はしのぶを名前で呼ぶようになった。

 お互いの相性はどうかと思っていたが、それなりにいいらしい。

 こればっかりは実際に会ってみないと何とも言えないので、そういう意味では悪くない結果だったと思う。

 

「ええ、珠世さんも。……また後でお会いしましょう」

 

 そう言い、珠世達と別れたしのぶは、俺を含めて他の面々を引き連れて蝶屋敷を進む。

 その間にも、アオイから自分がいない間の話を聞きながら、カナヲは炭治郎達の訓練に参加する為にいなくなり、子供達3人はしのぶに懐いていた。

 うん、珠世の件が解決した以上、もう俺がここにいる必要はないと思うんだが。

 そう思っていたのだが、何故かしのぶは俺にもういいとは言わず……アオイは子供達3人を引き連れて仕事に戻り、最終的に俺だけがしのぶと共にとある部屋に到着する。

 

「この部屋は……仏間か」

 

 一際立派な仏壇がそこには用意されている。

 埃が落ちていたりしないのは、毎日のように誰かが掃除をしているからだろう。

 そこまで綺麗にされている仏壇……そして蝶屋敷にある場所となると、考えられる可能性は2つ。

 1つは、蝶屋敷に運ばれて来たが治療が間に合わず……もしくは怪我や病気が悪化して死んだ者達に対する仏壇。

 そしてもう1つは、元花柱にしてしのぶの姉である姉のカナエの仏壇。

 仏壇のあるのが蝶屋敷の中でも奥まった場所にあると考えれば、恐らく後者なのだろう。

 

「少し待っていて下さい」

「それは構わないけど、俺はもう帰ってもいいんじゃないか?」

「少し待っていて下さい」

 

 数秒前と全く同じ言葉。

 ただし、その笑みは先程の笑みとは違う種類の笑みのように思えた。

 

「分かった。俺は少し離れた場所でゆっくりしてる」

「ありがとうございます」

 

 俺の言葉に納得したのか、しのぶは仏壇の前に座る。

 それを見ていたのだが、姉に何らかの報告をしているのだろうしのぶを見ているのも不躾だろうと判断し、空間倉庫の中から雑誌を取り出す。

 シーフード料理店の特集で、どの店の料理もかなり美味そうだ。

 エビグラタンとか……プロの技量を持つ者が作ると凄いよな。

 今度超包子で作って貰ってもいいかもしれないな。

 そんな風に考えつつ、雑誌を読んでいると……10分程が経過し、仏壇の前に座っていたしのぶが立ち上がってこっちにやって来る。

 

「お待たせしました。……それは一体? 何だか凄く綺麗な写真が載ってますが」

「他の世界の雑誌だよ。シーフード……魚介類の料理を特集している雑誌だ。見るか?」

「ええ、では少しだけ」

 

 しのぶも他の世界、正確には未来の世界の料理には興味があったのか、俺が見ている雑誌を一緒に見る。

 

「これは……凄いですね。随分と煌びやかなお料理ですけど……味が想像出来ません」

「味の想像? ……ああ、そうか。まだそこまで料理とかは入ってきてないのか」

 

 特に写真に写っている料理は、どれもが写真を見た者が凄いと思えるように撮られている。

 だからこそ、その料理を見たしのぶの口からはそんな言葉が漏れたのだろう。

 ましてや、ここは隠れ里で海からも遠い。

 新鮮な魚介類を食べるのは、ここだと難しいだろう。

 もっとも、これが普通の剣士なら鬼退治をする為に移動し、その場所によっては美味い料理を食べられるかもしれないが。

 

「この白いのは何ですか?」

「魚介類を使ったクリームシチューだな」

 

 そう言えば、シチューとかカレーっていつくらいに日本で広まったんだ?

 カレーはイギリスから伝わったという話を以前何かで聞いた事があるが、それがいつなのかは分からない。

 明治か大正のどっちかだと思う。

 さすがに昭和って事はないだろうし。

 そうしてカレーについては朧気に理解しているものの、シチューは全く分からない。

 まぁ、どのみち隠れ里に近いここでは、そういうのを食べる機会はないのだろうが。

 そんな風に思いつつ、写真を見ていたが……そんな中で、ふと思い出して口を開く。

 

「そう言えば、解毒が終わったら月に行くって約束があったな」

「あら、覚えていてくれたんですね」

「そう簡単に約束を忘れる訳がないだろ? で、どうする? 刀鍛冶の里に行く前に、月に向かうか?」

「いえ、その後にして下さい。まずは珠世さんと薬の件で色々と話したいですし、研究についても進めておきたいので」

 

 しのぶのその言葉に、頷く。

 しのぶの性格を考えれば、恐らくそんな事になるのだろうとは予想していた。

 それを思えば、月に行くのが後回しになるのは当然だろうと納得出来たのだ。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1730

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