「わあああああああ、凄いですね、これ」
用意された夕飯に、蜜璃は心の底から嬉しそうに叫ぶ。
俺がいるのは、宿の中でも広い部屋。
本来なら部屋で食事をしてもよかったのだが、温泉で炭治郎に誘われて一緒に食事をする事になった
ここに集まっているのは、俺、蜜璃、炭治郎、五飛、善逸、伊之助の5人。
いや、正確には禰豆子が寝転がっているのだが。
ちなみに無一郎は修行を求めているのか、宿に戻ってきていない。
五飛は俺が引っ張ってきた。
それなりに呼吸を使えるようにはなっているものの、それでもまだ満足していないので、色々と修行をしていたかったらしいが……まぁ、それはそれだ。
獪岳は、無一郎と同様に宿に戻ってきていない。
とはいえ、それでもこの状況において獪岳が逃げるといったようなことはないだろう。
ムラタの強さや、何よりも容赦のなさを知っていれば、もしここで逃げた場合、ムラタによって地獄の底まで追撃される事になるのは確実なのだから。
その辺の事情を考えれば、獪岳にここで逃げるという選択肢はない。
「そうですよね。凄いです。松茸ご飯とか鹿肉の鍋とか……」
蜜璃の言葉に、炭治郎が嬉しそうにそう言う。
ちなみに、本来なら猪の肉を使った料理になる予定だったらしいのだが、伊之助に遠慮した結果として鹿肉になったらしい。
まぁ、伊之助は猪の頭を被っているから、猪に対して思うところがあるのは間違いない。
そんな伊之助に猪の肉の料理……ぼたん鍋とか、そういうのを出すのを躊躇ったのだろう。
まぁ、鹿と猪なら猪の方が食う機会は多いし、そういう意味では鹿肉を食べられるのは嬉しい限りだ。
そうして一通り騒いだところで、皆が用意された席に座り……食事が始まる。
「美味しい、美味しい、美味しい! きゃーっ! こんなに嬉しいことがあってもいいのかしら!?」
夕食として出された松茸ご飯を美味そうに食べてはお代わりをする蜜璃。
ひょっとこのお面を被った女が次々にお代わりを持ってきていた。
山の中にある刀鍛冶の里だけに、松茸ご飯とかは最大限のもてなしなのだろう。
戦国時代とかは松茸よりも椎茸の方が高価だったって話をペルソナ世界で学校に通っていた時……いや、ネギま世界の麻帆良でだったか?
どこで聞いた話なのかは忘れたが、とにかく椎茸はそんなに高価だって話は間違いない。
けど大正時代になると椎茸は栽培出来るようになったのか?
まぁ、俺にしてみれば松茸の方が高価だという認識なので、こうして松茸ご飯を食べ放題になっているのは嬉しいのだが。
松茸は薄切りにされており、出し汁によって濃すぎず、薄すぎずといった味となっていた。
具材はあくまでも松茸だけで、それ以外に炊き込みご飯の具はない。
そんな松茸ご飯は、俺だけではなく他の者達も美味そうに食べていた。
「それにしても、玄弥はこっちに来なかったんだな。……炭治郎は誘いに行ったんだろ?」
「あ、はい。でも無視されてしまって……」
そう言い、申し訳なさそうに頭を下げる。
玄弥の性格を考えると、炭治郎が誘いに行ってもそれを受け入れるといったようなことはなかっただろう。
あるいは、俺が直接呼びに行けば、もしかしたら来たかもしれなかったが。
「そうか。まぁ、玄弥は色々とあるんだろうな」
「……炭治郎、玄弥ってあれだろ? 俺達と一緒に最終試験を達成した」
「ああ、そうだよ」
善逸の問いに、炭治郎はそう頷く。
その事に少し興味が出て詳しい話を聞くと、どうやら炭治郎の同期となるのは、善逸、伊之助、カナヲ、そして玄弥らしい。
玄弥以外は蝶屋敷で一緒に生活しているのに、玄弥だけが仲間外れだったらしい。
勿論炭治郎達が蝶屋敷で一緒に暮らすようになったのは、偶然そんな感じになったというのが大きいのだろうが……
「もしかして、玄弥って自分が仲間はずれになっていたから拗ねてるとか、そういうのじゃないか?」
「それはさすがに……っていうか、炭治郎がその玄弥って奴の腕を掴んで険悪な雰囲気になっていたから、それが原因なんじゃ?」
そんな風に言ってくる善逸。
過去の因縁……という言葉はどうかと思うが、もしかしたら炭治郎に対する当たりがきつかったのは、その辺も理由にあるのかもしれないな。
「うーん、皆で仲良く出来ればいいんだけど」
炊き込みご飯を食べるのが一段落した蜜璃が、そんな風に言ってくる。
蜜璃の性格を考えれば、そういう風に認識してもおかしくはない。
あるいは、玄弥の性格を考えると……
「何だ?」
俺の視線を感じた五飛が、表情を変えずにそう言ってくる。
俺達は話しながら食事をしていたのだが、五飛はそんな中でも淡々と食事をしていた。
何気に食事の作法はかなり綺麗だし、背筋を伸ばして食事をしている様子を見ると、五飛の育ちがいいのが分かりやすい。
「五飛から見て、玄弥をどう思う?」
「その人物を直接見た訳ではないのだから、俺がその相手に対して何か言える訳もないだろう。ただ……そうだな。話を聞いた限りでは、群れるのを好まないといったところか」
五飛はそれだけを言うと、再び食事に戻る。
蜜璃を見ても、五飛が何かを言う様子はない。
最初に会った当初、五飛は女は戦うなというようなポリシーを持っていた。
持っていたのだが……うん。シャドウミラーには女が多い。
実働班の中にいる女達は、その多くが五飛よりも強い。
それもちょっとやそっとではなく、圧倒的なまでに。
それこそシャドウミラーでは戦闘をする訳ではなく、ある意味で雑用担当とも言うべき明日菜も五飛よりも強かった。
いやまぁ、普通に考えてロボットがメインの原作出身者が、魔法とか気を使って生身で戦闘するバトル漫画出身の相手と生身で戦って勝てというのが無理がある。
ましてや、明日菜は身体強化という点では単純に気や魔力で強化されるよりも圧倒するだけの実力を持つ、咸卦法の使い手だ。
明日菜本人がああいう性格だが、もし明日菜が真面目に戦闘訓練をした場合、生身限定だがシャドウミラーの中でトップクラスの実力を持ってもおかしくはない。
咸卦法というのは、それだけのスペックを持つ。
伊達にネギま世界で究極技法と評されている訳ではないのだ。
もっとも、明日菜本人が戦いを好まない性格をしているのは事実だが。
ともあれ、そんな諸々の経験から五飛の中にある女は戦うなといったようなポリシーは既にない。
……明日菜もそうだが、エヴァと訓練をしているというのも、この場合は関係しているのかもしれないが。
「群れるのが嫌いか。温泉で遭遇した時の会話からすると、そんな風に見えた事も事実だな」
「先生から見ても、そう見えたんですか?」
善逸がそう尋ねてくるも、視線は胸元が大きく開いた浴衣を着ている蜜璃の方に向けられているのが分かる。
善逸に突っ込もうとかと思ったが、善逸の様子を考えると今は言わない方がいいか。
女にモテたい善逸にしてみれば、ここで蜜璃の胸元をじっと見ているというのは言わない方がいいだろうし。
とはいえ、女は男の視線に敏感だというのはよく聞く話だ。
もしかしたら蜜璃も善逸の視線に気が付いているのかもしれないな。
とはいえ、蜜璃がそんな善逸の視線に気が付いていれば、即座にその剛力で善逸を殴り飛ばしてもおかしくはなかったが。
「ああ。一匹狼といった感じだったな。それでも俺の言葉には答えたから、無理に連れて来ようと思えばどうにかなるかもしれないが……そういう真似をしても、玄弥は当然面白くないだろ」
そんな俺の言葉に、善逸は納得したように頷く。
善逸にとっても……いや、ある意味では気が弱い一面のある善逸だからこそ、そういう感じに無理矢理玄弥を連れてきても、ギスギスとした雰囲気になって最終的には決していい事にはならないと思ったのだろう。
「むー! むー、む!」
俺と善逸がそんな風に話していると、不意に禰豆子の嬉しそうな声が聞こえてくる。
取りあえず食事が一段落した蜜璃が、禰豆子と一緒に遊んでいたのだ。
禰豆子は鬼になった事により、敵と味方を見分ける能力は鋭くなった。
そんな禰豆子が完全に蜜璃に懐いているのは、蜜璃が自分にとって敵ではない……味方だと、そう判断しているからなのだろう。
「まぁ、玄弥がいなくてもこうして皆が喜んでいるんだし、そう思えば今のこの状況でも決して悪くはないだろ」
五飛が言っていたように、群れるのが嫌いならわざわざこっちに連れてくる必要もないだろうし。
そう思って五飛の方を見ると、何故か獪岳と一緒に部屋を出ていくところだった。
獪岳と五飛?
何だか妙な組み合わせに思えるが……まぁ、そういう組み合わせて関係を深めるような者がいてもおかしくはない。
獪岳はムラタとの約束があるし、五飛はあくまでも自分は呼吸の修行をする為にこの鬼滅世界にいるというのは十分に理解している。
そうである以上、ここで下手に問題を起こす……態度が気にくわないから痛めつけるとか、そんな馬鹿な真似はしない筈だ。
というか、獪岳はいつの間に宿に戻ってきてたんだ?
多分腹が減って戻ってきたのだろう。
「ふぅ」
獪岳が部屋から出たのを見て、善逸はどこか複雑な様子で……それでいながら、安堵した様子で溜息を吐く。
善逸にしてみれば、獪岳には色々と思うところがあるのだろう。
獪岳の方も、善逸に対しては思うところがあるのだろうが、基本的に無視してるしな。
この2人は一応兄弟弟子とでも言うべき間柄なんだが……一度ホワイトスターで呼吸を教えている慈悟郎を連れてくるか?
育手の慈悟郎に言われれば、2人もお互いに無視するといったような真似は出来ないだろうし。
「何だ、何だ、何だ! どうしたんだ!」
料理を食べていた伊之助が、息を吐いた善逸を見て何か思うところがあったのか、勢い込んで尋ねる。
そんな伊之助に対し、善逸は何とか誤魔化そうとしているものの、どうだろうな。
何となくだが、五飛と獪岳の様子を見てきた方がいいだろうと判断し、その場から立ち上がる。
「アクセルさん? どうしたんです?
「ちょっと涼みに行ってくる。炭治郎は……禰豆子がいるし、ここに残った方がいいだろ?」
「あはは、そうですね」
炭治郎は禰豆子と蜜璃の様子を見て、この場に残ると言う。
それは別に蜜璃が禰豆子を害するといったように思っている訳ではなく、単純に妹を見る必要があるからこそ、この場に残ると言ってるのだろう。
そんな連中をその場に残し、俺は部屋を出る。
向かう先は……と少し考えたものの、特に考える必要もなく、自分が行くべき場所を理解する。
何しろその刀同士で打ち合う金属音が聞こえてくるのだ。
そちらに向かえば、獪岳と五飛が何かをしているのは明らかだろう。
とはいえ、剣戟の音はお互いに敵対して殺し合っている……といったような可能性もあるので、そういう意味ではしっかりと注意する必要があるのかもしれないが。
あ、でも別に殺気の類は感じないし、そういう意味では恐らくただ訓練してるだけなのだろうが。
五飛にしてみれば、呼吸を習熟するという意味で。
獪岳にしてみれば、強敵を相手にするという意味で。
五飛は確かにまだ呼吸を完全に使いこなしている訳ではないが、純粋に気を使うという意味ではホワイトスターで行われている訓練によって、全く問題なく使いこなせる。
それはつまり、獪岳にしてみれば強力な鬼と同じような仮想敵として模擬戦を行う事が出来るのだ。
そうして模擬戦をやっている場所に到着すると、そこでは俺の想像通りの光景が広がっていた。
……ただし、少し予想と違ったのは五飛も獪岳もお互いに笑みを浮かべているという事だ。
獪岳とはまだそこまで深い付き合いではないが、それでもムラタと一緒にいる時に見た感じではそうすぐに笑みを浮かべるようには見えなかった。
そして五飛は生真面目というか……そんな性格で、仏頂面がデフォルトの表情なのではないかと思うような存在だ。
そんな2人が笑みを浮かべながら模擬戦を行っているのだから、驚くなという方が無理だろう。
少しの間、そんな模擬戦を眺める。
だが、5分もしないうちに五飛の持っていた青竜刀が獪岳の日輪刀を弾き、その切っ先を眼前に突きつける事で勝負は終了する。
「五飛の勝利、か」
「アクセル!? ……いつから見ていた?」
俺の言葉に真っ先に我に返り、叫ぶ五飛。
獪岳はどこか微妙な表情を俺に向けている。
承認欲求の強い獪岳にしてみれば、自分の負けた姿を俺に見られたのは面白くないのだろう。
とはいえ、ムラタとの修行であったり、行冥とのやり取りを俺に見られている以上、その辺についてもう気にしても仕方がないと思うのだが。
「少し前からだな。最初は珍しい組み合わせで出ていく2人を見て、ちょっと気になっただけなんだが。……いつから仲良くなったんだ?」
「刀鍛冶の里に来てからだ。適当に見て回っていたところで、獪岳と遭遇してな」
「ああ。それでお互いに特に何かを急いでやる必要もないので、一緒に訓練をするようになった」
五飛の言葉に続けて、獪岳がそう告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730