転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3175話

 無限城の中を、俺と狛治は移動する。

 そんな中……

 

「狛治」

「どうした?」

「向こうの方で誰か戦っている。一体誰が戦っているのかは分からないが……うおっ!」

 

 飛びながら狛治と話していた俺だったが、不意に戦闘が行われている方から何かが飛んできたのを見て、反射的に回避する。

 とはいえ、その何かは俺の側を通ってはいたが、俺に命中するコースではなかった。

 そして飛んできたのが何かを理解すると同時に、向こうで誰が戦っているのかを理解する。

 

「向こうで戦っているのは行冥だな」

「……分かるのか?」

 

 行冥であると断定した俺の言葉に、狛治は少しだけ不思議そうに尋ねる。

 俺はそんな狛治に対し、確信を抱きながら頷く。

 

「さっき飛んできたのは、レーザーだ。だとすれば、そのような真似が出来るのは行冥か耀哉しかいない」

 

 いやまぁ、凛、綾子、ムラタ辺りならレーザーっぽい何かを放つなんて真似が出来てもおかしくはないが。

 荒垣は……いや、本人は無理でもペルソナなら出来るかもしれないか?

 五飛は生憎とまだそういう飛び道具の類は使えていないから、排除してもいい。

 そうやって色々と考えたものの、それでもやっぱり最終的に可能性が一番高いのはやっぱり行冥なんだよな。

 耀哉が無限城の中にいれば、もしかしたら……という可能性もない訳ではなかったが。

 

「では、そちらに合流するか?」

「そうするか。……まぁ、行冥がいる以上、戦いの心配そのものはしてないけど」

 

 それこそ唯一残った上弦の壱である黒死牟と遭遇でもしない限り、行冥が負けるような事はないだろう。

 義眼の移植手術を行った事により、行冥は以前のように気配や音を察知して戦闘をするといった真似は出来なくなった。

 いや、出来ない訳ではないのだろうが、その精度はどうしても落ちてしまう。

 人間が得られる情報のうち、一番大きいのは視覚情報なのだ。

 その視覚を入手してしまった以上、どうしても行冥は以前と同じように戦うといった真似は出来なくなってしまった。

 とはいえ、行冥はそれならそれでいいと、戦闘スタイルを変えた。

 当初はまだ視覚情報を使って戦うといったことには慣れていなかった行冥だったが、それでも柱の筆頭的な存在であるのは伊達ではなく、今では盲目だった時よりも強くなっている。

 上弦の壱である黒死牟ならともかく、その辺の雑魚鬼と戦っても負けてるといった心配はまずない。

 それでも念の為という事で、俺と狛治はレーザーの飛んできた方に向かって進む。

 すると、その先にあったのは……

 

「やっぱり」

 

 目の前に広がっていた光景を見て、俺の口からはそんな声が漏れる。

 無数の鬼の死体……中には既に塵になってしまっている死体もあるが、その死体の真ん中に行冥が立っていた。

 

「南無阿弥陀仏。次に生まれてくる時は、きちんと人として生まれてくるがいい。哀れな鬼よ」

 

 そう言う行冥の目からは、当然のように涙が流れていた。

 汗も掻いておらず、かすり傷の1つもない。

 行冥がどれだけの強さだったのかを示すには、その姿を見れば明らかだった。

 

「さすがだな、行冥。無限城にいる雑魚鬼は、その全てが下弦並の力を持たされているって話だったんだが」

「アクセル殿、それに狛治か」

 

 俺と狛治に対する態度が違うのは、行冥としては仕方のない事なのだろう。

 狛治は基本的に人は殆ど食わず鍛錬によって今の強さを得た。

 しかし、それでも幾らかは人を食っているのだ。

 そうである以上、行冥としては狛治と友好的に接するといった真似は出来ないのだろう。

 耀哉から言い含められているので、狛治を攻撃したりといった真似はしないのが救いか。

 

「この程度の鬼では、相手にならんよ。確かにその辺の雑魚よりは強いが、自分の持つ力に振り回されて、満足に使いこなせておらん」

 

 行冥の口から出たその言葉は、狛治が俺に言ったのと同じような内容だった。

 戦いに通じている者同士、感じるのは同じという事らしい。

 

「そうか。それで……ここにはお前だけか? 他の奴はいないみたいだけど」

「うむ。この無限城の中を歩き回っていたところ、このような者達と遭遇してな。生憎と他の者とは合流していない」

「この無限城は予想していたよりも大きいのかもしれないな。狛治、その辺はどう思う?」

 

 この無限城について一番詳しいのは、当然ながら上弦の参だった狛治だ。

 無限城での行動も、以前は普通に使っていたのだから。

 しかし、狛治はそんな俺の言葉に首尾を横に振る。

 

「この無限城はその名の通りどこまでも広がっている。……いや、本当の意味で無限に広がっているという訳ではないのだろうが、それでもかなりの広さなのは間違いない」

「つまり、広すぎて他の面子と合流するのが難しい訳か」

「だろうな。他の奴のいる場所と合流出来るかどうかは、完全に運となる。あるいは何らかの連絡手段でもあれば……いや、それでも現在自分がどこにいるのか分からない以上、合流するのは難しいか」

 

 そんな狛治の話を聞いて、そういう意味では行冥に合流出来たのが幸運だったのかもしれないな。

 

「行冥はこれからどうする? 俺は狛治と共に敵のいる場所を探すけど」

 

 黒死牟、鳴女、鬼舞辻無惨……この3匹のどれかと遭遇出来れば助かるのだが。

 

「アクセル殿は飛べるが、俺にはそのような真似は出来ん。残念だが、個人で動かせて貰おう」

「そうか? 何なら俺が連れていっても構わないけど」

「アクセル殿と一緒に行動するとなると、俺の存在が邪魔になるだろう。もし移動している途中に敵と遭遇した時、邪魔になってしまう。それに……アクセル殿と共に行動するよりも、別に行動した方が他の者に遭遇する確率が上がるだろう」

 

 そう告げる行冥。

 言葉ではそう言ってるものの、実際には狛治と一緒に行動したくないという思いもあるのだろう。

 狛治もそんな行冥の様子には気が付いているのか、積極的に口を開いたりはしない。

 元々狛治が積極的に喋る方じゃないというのも、事実なのだが。

 

「分かった。行冥がそのつもりなら、俺からは何も言わない。そっちの方も頑張れよ」

 

 他の柱にしても、狛治に助けられるよりは行冥に助けられた方が喜ばしいだろう。

 

「感謝する」

 

 そうして短く言葉を交わし、俺と狛治は行冥と別行動を取る。

 行冥の実力を思えば、その辺の雑魚鬼と遭遇しても何も問題はないだろう。

 

「それで、狛治。どこか他に当てのある場所はあるか?」

「そう言われてもな。見ての通り無限城の中はどこであっても大きな違いはない」

 

 狛治のその言葉には納得出来るものがあるのだが、俺が最初に狛治と戦った時……下弦の壱が起こした汽車の一件の後は無限城の中にいる事が多かった筈だ。

 発信器のおかげで、狛治が無限城から出ればすぐに分かったのだから、それは確実だ。

 もっとも、最終的には発信器はいつの間にかなくなってしまったのだが。

 もし狛治が無限城から出た時に発信器が取れた……もしくは何らかの理由で破壊されたのなら、地上で発信器の反応はあった筈だ。

 だがそれがなかったというのを考えると、発信器は無限城の中にある筈。

 産屋敷家に置いてある受信機を使えば、もしかしたらこの無限城のどこかに発信器があるのを察知する事が出来るのかもしれないが……いや、意味がないか。

 無限城の中で発信器を見つけたとしても、それが何らかの役に立つとは思えない。

 だとすれば、わざわざそんな事をする必要もない……か。

 

「なら、やっぱりどこか適当に見て回る必要があるな。それで誰かと遭遇出来ればいいんだが」

「俺もそれで構わない。だが……鳴女の血鬼術はこの無限城の中でも使われる。それはつまり……っと」

 

 狛治がそう言いながら、翼を羽ばたかせて上に移動する。

 俺もまた迫ってきた存在を感知し、上に移動した。

 すると一瞬の前まで俺と狛治のいた場所を襖が通りすぎていった。

 襖がただの襖なら、俺にとっては何の意味もない。

 それどころか、吹き飛ばすといったような真似をしてもおかしくはないだろう。

 だが、血鬼術の襖である以上、それが普通の襖であると考えるのは難しい。

 大丈夫かもしれないが、大丈夫ではないかもしれない。

 そうである以上、念の為にそのような存在には触れない方がいいのは間違いなかった。

 

「こういう風に攻撃をしてくる可能性もある訳だ」

 

 俺の隣を飛びながら、狛治がそう言ってくる。

 なるほど。つまり俺達は鳴女によって誰とも接触出来ないようにされてるかもしれない訳だ。

 だが、行冥と接触した時の事を考えれば、鳴女の血鬼術とはいえ無敵という訳ではないのだろう。

 鳴女がどれだけ凄い血鬼術の使い手であろうとも、結局1人であるのは変わらない。

 それに対して、現在この無限城の中には多くの者が存在している。

 そうである以上、その全ての動きを察知するといった真似は不可能だった。

 まぁ、別に全ての存在を把握するといったような真似をしなくても、俺を始めとして要注意の相手だけを確認していればいいのかもしれないが。

 とはいえ、それでも要注意と呼ぶべき相手は俺以外にも多くいる。

 結局のところ、やっぱり鳴女が1人であるというのが大きなミスだったのだろう。

 無限城を生み出した……生み出した? 作った? どっちなのかは分からないが、とにかくこの無限城を使っている時は、まさかこうして無限城に大量の戦力がやって来るというのは完全に予想外だったのかもしれないが。

 

「こうなると、それはそれで面倒だな。せめてもの救いは、鳴女が俺に集中している以上は他の戦力は無事……とは言い切れないが、それでもそこまでしつこく攻撃されたりはしないという事か」

「そういう意味では、アクセルがこうして無限城の中にいるだけで大きな意味を持っている訳だ」

 

 そう言いながらも、狛治は再び翼を羽ばたかせてその場を移動する。

 俺もまた自分に向かってくる襖を回避しながら……何だかもう面倒になってきたな。

 鳴女にしてみれば、俺は何としても倒したい相手なのだろう。

 俺に接近されると対処のしようがないのだから。

 狛治から聞いた話によると、別に俺じゃなくてもある程度の強さのある者なら鳴女に近付けばどうにかなると思うけど。

 ただ、延々と俺に攻撃をしてくるのは面倒なのは間違いない。

 だとすれば、どうにかこの状況を打破する方法はないか?

 そう考え、すぐに1つの方法が思い浮かぶ。

 この無限城の中は、別に本当の意味でどこまでも無限に広がっているという訳ではない。

 だとすれば、限界はある。

 なら、その限界以上の質量でこの無限城の中を埋めてしまえばいい。

 俺にはそれが出来るだけの手段がある。……多分だけど。

 それは、スライム。

 俺のスライムは何かを吸収するとその分だけ増える。

 そのスライムをこの無限城の中に流し込めば、どうなるか。

 恐らくは無限城の中はスライムで一杯になるだろう。

 ……問題なのは、無限城の中には鬼だけではなく鬼殺隊を始めとした多数の者達もいるという事だろう。

 手当たり次第に吸収するといったような真似をした場合、当然だが仲間も吸収してしまう。

 それをどうにかしないようにする為には……生き物には触れても吸収しないようにする必要がある。

 撃墜数が増えないのが欠点ではあるものの、ぶっちゃけPPは現在特に必要としていないので問題はない。

 経験値を入手出来ないのは、レベルアップを考えるとかなり痛いのだが。

 それでも今のこの状況で出来る最善の行動は、やはりスライムだろう。

 あるいは影のゲートで無限城の中を転移するといった方法もあるが……ぶっちゃけ、無限城のような特殊な場所で影のゲートを使った場合、一体どうなるのかが分からない。

 なら、やっぱりここは大人しくスライムを使った方がいいだろう。

 

「狛治、これから俺は奥の手の1つを使う。少し異常な光景になるかもしれないが、危害は加えられない。俺を信じろ」

「分かった」

 

 ……俺の言葉に、一瞬の躊躇もなく頷く狛治。

 いや、信じろと言った俺が戸惑うのもどうかと思うが、少しは迷ったりしてもいいんじゃないか?

 このような状況で俺にいきなり信じろと言われて、即座に信じるというのは……

 

「信じろと言った俺が言うのも何だが、そんなに素直に俺の言葉を信じてもいいのか?」

「俺はアクセルの召喚獣だ。なら、アクセルの言葉を信じないでどうする?」

 

 一切躊躇のない目を向けてくる狛治。

 これは信じて貰って嬉しいと言うべきか、それともそこまで躊躇なく信じるのはどうなんだと言うべきか。

 ともあれ、今の状況を考えればこうして狛治が信じてくれたのが助かるのは間違いなかった。

 

「そうか。……正直、そんな風に言われるのは少し照れるんだがな。とはいえ、狛治が俺を信用してくれた以上、俺もその信頼を裏切るような真似は出来ないか。襖とかは吸収しつつも、生きてる者は吸収しないようにするよ。……幸いなことに、呼吸とかそういうので攻撃されてもスライムに被害はないし」

 

 そう告げ、俺は意識を集中して口を開く。

 

「スライム」

 

 その言葉と共に空間倉庫からスライムが大量に姿を現すのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1815
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1731

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