転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3191話

 ロッソ・アラマント。

 そう名乗った男は、相応の貫禄があった。

 俺を案内してきた人物が、バルチャーの中でも有名な人物だと言っていたのが納得出来るだけの迫力を持つ。

 ちなみにこの場合、迫力というのは外見だけではない。

 外見だけを取り繕った奴もいるが、そういう奴は基本的に中身が伴っておらず、見た時に何となく分かってしまう。

 ロッソは外見は見るからに豪快な荒くれ者といった雰囲気だが、相応の人物でもあるのが理解出来た。

 また、ロッソの周囲にいる者達は、それこそ俺がロッソに危害を加えようとしたら何としても止めるといった様子を見せている。

 ……と、周囲の様子を見ていると、その中に1つ見知った顔があるのに気が付く。

 それこそ、昨日俺がサン・アンジェロ市にやって来た時に交渉した男だ。

 なるほど。あの男から情報が流れたと思っていたが、どうやらそもそもがロッソの部下だったらしい。

 なら、ロッソが俺の名前を知っていてもおかしくはないか。

 

「アクセル・アルマーだ。それで、俺に会いたいって話だったが……実際に会ってみてどうだ?」

「ふん、度胸はある。MSの操縦技術も高いって話だし……だが、見た感じバルチャーって雰囲気じゃねえな。お前さん、何者だ?」

 

 へぇ、俺を見てその辺を感じ取るか。

 X世界という、文字通りの意味で弱肉強食の世界で生きているだけあって、人を見る目はあるらしい。

 これが下手にそれなりに裕福な時代であったりした場合、相手の能力を見抜く目といったようなものは期待出来なかったりする。

 

「そうだな。俺も過去に色々とあったのは間違いない。だが……バルチャーやMS乗りには、そういう連中も多いだろう?」

「はっはっは。そう言えばそうだったな。そういう意味だと、お前さんも俺達の仲間って訳か」

 

 ロッソが豪快に笑う。

 このロッソにも、多分過去には人に言えない……もしくは言いたくないようなことがあったりするんだろうな。

 

「そんな感じだな。ともあれ、ロッソが言った通り俺がフリーのMS乗りになってから、そんなに時間が経ってないのも間違いない。どうやって仕事を探そうかと思っていたんだが……ちょうどそのタイミングで、ロッソの迎えに話し掛けられたんだよ」

「おう、そうか。そういう意味では、俺は恩人って事だな」

「恩人になるかどうかは、しっかりと話をしてからだろ。……それで、俺はお前の目から見て合格か?」

 

 そう言うと、ロッソは男臭い笑みを浮かべる。

 

「そうだな。元々腕は立つって昨日の件で聞いている。それを思えば、そっち方面では心配していなかった。後は人間性だが……まぁ、問題ないだろ」

 

 ロッソのその言葉に、周囲で話をしていた者達がそれぞれの反応を示す。

 中にはあからさまに気にくわないといった視線を向けてくる奴もいる。

 俺の存在を面白くないと思ってる奴もいるのだろう。

 とはいえ、全体的に見れば俺を歓迎している……というか、自分達を率いるロッソがそう言っているのなら受け入れるといったような奴が多い。

 つまり、それだけロッソは下の者に慕われているといった感じか。

 

「そう言って貰えて何よりだ。なら、仕事には俺も連れて行って貰えるんだな?」

「ああ、そのつもりだ。とはいえ、アクセルはあくまでも臨時の雇われって形になるがな。……俺としてはお前が正式に俺の船に来るのならそれで構わないと思うが」

 

 ざわり、と。

 ロッソの言葉に周囲がざわめく。

 周囲にいる者達……ロッソの部下にしてみれば、俺がフリーのMS乗りとして雇われるのは納得出来るものの、正式なロッソの部下になるというのは素直に受け入れられないのだろう。

 さっき俺をフリーのMS乗りとして雇うと言ってきた時点で俺を睨んでいた男は、半ば殺気すら漂わせながら俺を睨み付けていた。

 

「どうだ?」

「どうだと言われてもな。……周囲の様子を見てからそういう事は言った方がいいと思うぞ?」

「おう、そうか。……で、どうだ?」

 

 何だか無駄に押しが強いな。

 とはいえ、俺としてはこの状況で誰かの正式な部下になったりといったような真似をするつもりはない。

 そう遠くないうちにゲートを設置して、ホワイトスターとX世界を繋ぐ必要があるのだから。

 そうなった時に俺がロッソの部下になっていたりした場合、色々と不味いのは間違いない。

 

「悪いけど、断る」

 

 そう言うと、再びロッソの周囲にいた者達がざわめく。

 とはいえ、そのざわめきはさっきのざわめきよりは小さい。

 ロッソに誘われてまさか断る者がいるとは思わなかったといった様子の者もいれば、あるいは俺がロッソの誘いに乗らなくてよかったと思っている者もいる。

 そういう意味では、やはり今回の一件は半ばロッソの独断に近いのだろう。

 とはいえ、ロッソの様子を見る限りでは基本的にロッソが自分でどうするのかを決めているようだし……そう考えれば、急に俺を誘ってきたのもそんなにおかしくはないのか?

 

「そうか。無理だとは思っていたんだが、それでもまさかこうもあっさりと断られるとは思わなかったな。ちなみに、何で断ったのかを聞いてもいいか?」

 

 無理だと思っていたというのは、それなりに本気だったのだろう。

 実際、俺に断られて残念に思っている様子は見せているものの、心の底から残念だったといったようには見えない。

 にしても、何で断ったか……か。

 まさか本当の事を言う訳にいかないし、そうなると適当にな理由をでっち上げる必要があるな。

 

「俺はさっきも言ったが、MS乗りになったばかりだ。今はまだ正式に誰かの下で働くんじゃなくて、フリーのMS乗りとして活動して……そうだな、視野を広げたい」

「……なるほど。まぁ、アクセルがそう言うのならそれで構わねえさ。なら、取りあえず今回の仕事に関してはしっかりと働いてくれよ。フリーのMS乗りとなると、正式に雇った時と比べると報酬は落ちるが」

「ああ、それで構わない」

 

 ぶっちゃけ、報酬そのものよりもこの世界でバルチャーとして働く上での知識が手に入れば、それで問題はない。

 宝石やら金塊やらは空間倉庫の中にたっぷりと入っているし、料理の類も結構な量が空間倉庫にはある。

 それに……ぶっちゃけ俺は混沌精霊なので、飲まず食わずであっても実は問題ないしな。

 俺にとっての食事というのは、あくまでも趣味や嗜好に近いのだから。

 

「へぇ、それでいいのか。まぁ……取りあえずMSの整備とかはこっちでやるから安心しろ。にしても、オクト・エイプとはな。俺の知り合いのバルチャーにも使っている奴がいるが、そう簡単に数を揃えられるような奴じゃないぞ」

「オクト・エイプを使ってる奴がいるのか?」

 

 俺としては、寧ろオクト・エイプを使っているバルチャーが多いのが驚きだった。

 オクト・エイプはUC世界のゲルググと同じような存在で、戦争末期に開発された機体だと聞いている。

 その分だけ、当然ながら生産数は少なく……そう簡単に入手出来る機体ではない。

 ああ、でも俺にオクト・エイプを譲った男も、改修して地上に最適化したオクト・エイプがあるって話だったし、そう考えればおかしな話ではないのか。

 あるいは俺にオクト・エイプを譲った男とロッソが言っている男は同一人物なのかもしれないな。

 

「ああ、俺の知り合いのグリーツ・ジョーって奴が使ってる。とはいえ……話を聞いた限りでは、お前のオクト・エイプは宇宙革命軍仕様のままなんだろう? よくもまぁ……」

 

 感心した様子のロッソ。

 また、周囲にいる他の面々もそんなロッソの言葉には同意見なのか、俺に向けて敵意を露わにしていた奴も含めて、頷いていた。

 つまり、それだけ宇宙革命軍仕様のオクト・エイプは珍しいのだろう。

 

「ロッソならそんな真似はしないと思うが、一応言っておく。俺のオクト・エイプが珍しいからって、奪おうとかは考えないようにな。もしそんなことをした場合……そうだな。こんな感じになるから、気を付けるようにな」

 

 そう言い、少し離れた場所にあった金属製のテーブルの端を指で摘まみ、捻り千切る。

 

「ば……嘘だろ……」

 

 通常の人間には、とてもではないが出来ないだろう行動。

 そんな俺の様子に、ロッソの近くにいた男の1人が信じられないといった声を上げる。

 自分の目で見た光景であるにも関わらず、それでもとても信じられなかったのだろう。

 

「見ての通り、俺はMS乗りだが生身の戦いも得意だ。……そうだな。お伽噺とかに鬼……オーガとか出て来るだろう? そういう鬼を倒そうと思えば倒せるくらいにはな」

 

 鬼滅世界でのことを思い出しながらの言葉だったが、当然ながらロッソ達は俺の言葉の真意までは理解出来ない。

 実際に俺は鬼舞辻無惨を殺した……消滅させたのだから。

 とはいえ、この場合のオーガと鬼滅世界の鬼というのは同じ鬼でも随分と印象が違うんだが。

 それでも、俺が生身での戦いでも決して侮っていい相手ではないというのは理解したのだろう。ロッソの周囲にいる連中は、警戒の視線を俺に向けてくる。

 とはいえ、ロッソは面白そうな笑みを浮かべていたが。

 

「こりゃあ凄いな。最近はMS乗りでも、生身での戦いは弱いって奴が多いからな。そういうのに比べれば、アクセルの方が随分とバルチャーらしい」

「ちょ……ロッソさん? あんなの一緒に行動するつもりなんですか? 何かあったら、どうするんです?」

 

 俺を危険だと判断したのか、ロッソの近くにいた男の1人がそう言ってロッソに忠告するが……ロッソにしてみれば、そういうのは気にしないらしい。

 

「別に危険じゃねえだろう。ようは、俺達がアクセルのMSを奪おうとしなきゃいい話なんだ。なぁ?」

 

 ロッソの言葉に素直に頷く。

 実際、俺としてはここでロッソとの繋がりを作っておくというのは決して悪い話ではない。

 これからフリーのMS乗りとしてバルチャーに雇われたり、あるいは街や村の護衛として雇われたりといったようなことをする場合、バルチャーの中でも名の知られているロッソと繋がりがあるというのは、大きな意味を持つ。

 

「ああ。そっちが普通に接してくれるのなら、俺も普通に接するよ。それで、早速仕事の話をしたいんだが?」

「ん? そう言えばそうだったな。お前さんの信じられない馬鹿力を見て、すっかり忘れていたよ。……実は情報屋から連邦軍の基地の情報を買ったんだ。ただ、それが少し大きめな基地らしい」

 

 大きめの基地……普通に考えれば、その基地を漁るのにわざわざ部外者の俺を雇おうとは思わない筈だ。

 それはつまり、俺が必要な何かがあるということになる。

 

「その基地は……そう、例えば何らかの自動防衛装置があるのか、そういうのか?」

「いや、そういうのがあるって話は聞いてねえな。そもそもそういうのがあるのは、今回俺達が行くような基地じゃなくて、もっと大きな基地だったり、秘密裏の基地だったりだ。とはいえ、前の戦争が終わってからもう15年だ。自動防衛装置の類があっても、まともに動くかどうかは分からねえがな」

「なら、何で俺を?」

「そうだな。まず理由の1つとして、前の仕事でMSが1機損傷……そうだな、中破くらいになってな。修理出来ねえ訳じゃねえが、それには時間が掛かる。修理しているような余裕はないから、サン・アンジェロ市に置いていく。そうなれば、当然だがMSデッキが1つ空くだろう?」

「そうだな。けど、別に無理にMSの戦力を集める必要もないと思うが」

「そうでもねえんだよ。情報屋が基地の情報を売ったのは、俺達だけじゃなくて他にもいる。それが連中の飯の種だから、しょうがねえが」

 

 ああ、なるほど。そういう事か。

 情報屋というのがこの世界では具体的にどういう情報屋なのか……例えば俺が知ってる情報屋とどういう違いがあるのかは、正直なところ分からない。

 ただ、ロッソの話を聞く限りではそれなりに違いはないように思える。

 情報を一度に複数の相手に売って、それで荒稼ぎしているのはどうかと思うが。

 多めに金を支払って、ある程度他に情報を売るのを止めるといったような真似は出来ないのか?

 いや、出来るなら最初からやってるか。

 

「つまり、早い者勝ちな訳だ」

「そうだな。ただ、それだけじゃねえ。相手の妨害をしてもいい、そんなレースだ」

「邪魔者を倒せば、そいつが乗っているMSとかも自分の物に出来ると?」

「そうなるな。ただ、アクセルも俺に雇われている以上は、俺の指示に従って貰う。具体的には、向こうから攻撃を仕掛けてきたら反撃しても構わねえが、こっちから先に攻撃するような真似はするなって事だ」

 

「それは、俺にとっては少し不利じゃないか?」

「お前さん程の腕を持ってれば、問題ないだろ。……ただし、アクセルが倒したMSの所有権はお前に認める。どうだ?」

 

 倒したMSの所有権の俺に認めるのなら、俺が相手を挑発して向こうから攻撃させるといったような事をするとも考えないのか?

 いやまぁ、その辺も十分に承知した上での言葉なのかもしれないが。

 

「分かった。その条件で引き受けよう」

 

 俺はロッソに、そう答えるのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1830
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1734

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