転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3195話

 MSのパイロットから聞いた情報を元に、森ではなく丘の向こう側の様子を確認してみる。

 当然ながら、MSで移動した場合はその大きさから基地にいるというバルチャー達に見つかるかもしれないので、生身でだ。

 こういう時、空間倉庫って便利だよな。

 倒したジェニスのパーツはオクト・エイプも含めて全て空間倉庫に収納すると、影のゲートを使って丘のある場所に移動する。

 幸いにもこの地形では俺が影から姿を出すような場所には困らない。

 そして念の為に気配遮断を使い、基地の様子を確認する。

 難点なのは、気配遮断はあくまでも生身の目しか誤魔化せない事だろう。

 X世界においては、MSを……いや、陸上戦艦とかを使ったりしての偵察が一般的だ。

 そういう映像モニタの類には、気配遮断は効果がなく、あっさりと映し出されてしまう。

 その為に、敵には見つからないように注意しながら基地を見たのだが……

 

「やっぱり聞いた通りか」

 

 ジェニスのパイロットが言っていたように、基地には既にバルチャーが陣取っていた。

 ロッキー級が2隻。

 その2隻が同じバルチャーの一味なのか、それとも別々なのかは分からないが……それでもMS同士で戦っていたりしないのを見ると、敵対関係にはないのだろう。

 ジェニスやドートレスの姿も何機か見える。

 

「倒そうと思えば倒せる戦力だが……問題なのは、ロッソがどう判断するかだよな」

 

 基地の大きさはそこそこだ。

 あそこにあるロッキー級がそれぞれ違う勢力であっても、そこにロッソのロッキー級が混ざるくらいは問題ない。

 にしても、ロッソは自分のロッキー級は足自慢だと言っていたのだが……見事に先を越されてしまったな。

 元々が早い者勝ちという事だった以上、ロッソがここに噛ませて貰おうと思っても、ちょっと難しいか?

 そんな疑問を抱いたが、とにかく今はまずロッソのいる場所に戻るとするか。

 そう判断し、俺はそこから撤退するのだった。

 

 

 

 

 

「そうか、基地を見つけたが先を越されていたか」

 

 俺の説明を聞くと、ロッソは艦長席にどしりと座り込む。

 ロッソにしてみれば、自分が最初にここに到着すると思っていたのだろうが……その当てが完全に外れた形だ。

 

「それで、どうする? 俺は雇われのMS乗りだから、どうこうといったように指示は出せないが」

「そうだな、取りあえずちょっと顔を出してみるか。アクセルが言うには、結構広い基地なんだろう? なら、俺達にもMSや部品を探す場所はあるかもしれん。……いや、MSは無理だろうがな」

「だろうな」

 

 ロッソの言葉に俺は頷き……いや、俺以外にもブリッジにいた多くの者達が頷いていた。

 バルチャーが欲しい物の1つが、MSだ。

 自分達の戦力にしてもよし、あるいは整備したり修理したりして売り飛ばしてもよし。

 そういう意味では、バルチャーにとってMSというのは十分なお宝だ。

 それ以外にも、ロッキー級を始めとした陸上戦艦とかがあれば、言う事はないだろうが……当然ながら、MSや陸上戦艦ともなれば、かなりの大きさだ。

 隠しておけるような場所もそう多くはないし、先に探索をしているバルチャー達がその辺は真っ先に探しているだろう。

 勿論、隠し倉庫とかそういうのがあれば話は別だが……だからといって、そう簡単にそのような場所を見つける事が出来る訳もない。

 

「……よし。取りあえず行くか。向こうに話を通して、それで問題ないなら俺達も基地を探索する。それが無理なようならサン・アンジェロ市に戻るぞ」

 

 ここで力で強引に基地にいたバルチャーを追い出したり、あるいは攻撃をしたりといったような真似をしないのがロッソらしいよな。

 そういう真似をしないからこそ、ロッソは他のバルチャーに一目置かれているのかもしれないが。

 ともあれ、ロッソはロッキー級を基地に向かわせるように命令する。

 

「アクセル、大丈夫だとは思うが、向こうから攻撃をしてくる可能性がある。その時に対処して貰いたいから、MS格納庫で待機していてくれ」

「分かった」

 

 俺にしてみれば、この状況で基地にいるバルチャーが攻撃してくれるのなら、寧ろ願ったり叶ったりだ。

 攻撃してくれば反撃出来るし、ジェニスやドートレスを入手出来る可能性も高い。

 MS格納庫に移動すると、ロッソからの命令が下ったのだろう。

 他のMSパイロットも自分の機体に向かって乗り込んでいくのが見える。

 俺もオクト・エイプのコックピットに乗り込み、いつ出撃してもいいように準備を整えていると……

 

『向こうの基地にいるバルチャーと話がついた。俺達は他の場所から問題がない場所を探すぞ』

 

 ロッソの通信が格納庫に響き渡る。

 当然の話だが、それは格納庫以外にも伝わっているのだろう。

 ロッソの言葉を聞いた者達が、安堵した様子を見せていた。

 バルチャー同士で争うようなことにならなくてよかったと、安堵しているのだろう。

 俺としてはドートレスを入手出来なかったので、残念だったが。

 とはいえ、俺達がこれから漁るのは連邦軍の基地だ。

 何とかしてドートレスを見つけたい。

 既に探しているバルチャー達とは別方向を探すという事だったので、そういう意味ではMS格納庫もある……か?

 そんな風に期待をしていると、ロッキー級が動き出すのを感じた。

 さて、一体どんな事になるのやら。

 そんな風に思いながら、俺はこれからの展開に期待するのだった。

 

 

 

 

 

「は? 俺がか? 一応言っておくが、俺はあくまでもフリーのMS乗りとしてお前に雇われたのであって、生身の戦闘要員として雇われた訳じゃないぞ?」

「分かってる。だが、この基地は半分地下にある分だけ、思ったよりも広そうなんだよ」

 

 基地の探索に出て欲しいと言ってきたロッソにそう返す。

 勿論、俺は生身での戦いも得意としているし、ロッソはそれを知っている。

 何しろ自分の部下が俺に襲い掛かって、反撃を受けたのだから。

 ロッソもその一件があったからこそ、俺にも生身で基地の探索に向かって欲しいと言ってきたのだろう。

 

「それなら、別に急いで探索する必要はないだろう? もう少しゆっくりと探索すればいいと思うが?」

「それが出来れば、アクセルにこんな話を持ってきていねえよ。……いいか? 俺達が到着した時に、既に2隻のロッキー級がいた。だとすれば、俺達がいる場所にまた後から別のバルチャーがやって来ないとも限らねえだろ?」

「それは……まぁ、否定は出来ない。けど、それなら余計に何かあった時の為に、俺はいた方がいいんじゃないか? 自慢じゃないが……いや、自慢になるのか? ともあれ、お前の部下の中に俺よりも腕利きのMS乗りはいないぞ?」

 

 その言葉に、少しだけロッソが考え込む。

 自分の部下の腕が悪いと言われ、この場合は怒った方がいいのかどうか迷っているのだろう。

 これで実はロッソの部下に俺と同じくらいの強さを持つ者がいたと言ったら、それはそれで驚くだろうが。

 

「そうかもしれないな。だが、それでもアクセルが1人なのに対し、俺の部下のMS乗りは複数だ。そうである以上、ここはやはりお前に頼むしかない」

 

 1人だから、か。

 だが、正直なところ俺が1人でもロッキー級を1隻守る程度ならオクト・エイプで問題ない。

 しかし、ロッソにしてみれば自分の安全はやはり直属の部下に任せたいのだろう。

 

「分かった。だが……契約外の仕事だ。高いぞ? 具体的には、成功の有無に関わらずドートレスを1機、何らかの手柄を立てたら更にドートレスを1機。それで手を打とう」

「おいおい、それはちょっとぼったくりすぎじゃねえか?」

「そうか? 俺の実力をその程度で使えるんだから、悪くない話だと思うけどな」

 

 実際に俺の実力はかなり高いと思う。

 もしシャドウミラーの面々を含め、俺の実力を知っている者がいれば、MS2機で雇えるというのはかなり安いと判断してもおかしくはなかった。

 

「……ぬぅ。分かった。アクセルの実力が高いのは理解出来る。そうである以上、お前の条件を受ける」

 

 若干渋々といった様子ではあったが、それでもロッソは俺の言葉に頷く。

 本来なら俺の条件はそう簡単に呑めるようなものではないのだろう。

 だが、そんな条件を呑んででも俺を基地の探索に向かわせる必要があると、そうロッソは判断したらしい。

 ブリッジにいる者の何人かは不満そうな様子を見せていたものの、それでも不満を口にする様子はない。

 

「話は決まったな。それで、俺はどうする? ロッソの部下と一緒に行動するのか? それとも俺は1人で行動すればいいのか」

「こっちから人を出すから、一緒に行動してくれ」

 

 そう言うロッソだが、実際には基地で何かを見つけても俺がそれを懐に入れたりしないようにしたものなのだろう。

 まぁ、空間倉庫の能力を知らないとそこまで本気で俺を疑うとは思えないが。

 

「分かった。なら、そっちの準備をよろしく頼む」

 

 こうして、俺はフリーのMS乗りとして雇われた筈なのに何故か生身で連邦軍の基地を探索する事になるのだった。

 

 

 

 

 

「アクセルさんの指示に従うように親分には言われてるんで、よろしくお願いします」

 

 そう言い、ロッソによって用意された3人の男達が俺に向かって頭を下げてくる。

 俺の指示に従うか。……ロッソからしてみれば、俺のお手並み拝見といったところか。

 

「分かった。なら行くぞ。ここで悠長にしていれば、他の場所にいるバルチャー達が来るかもしれないからな。あるいは、俺達よりももっと後発のバルチャーがやって来る可能性もある」

 

 俺の言葉に3人は素直に頷く。

 そして銃を手にした俺達は、連邦軍の基地の中を進む。

 カードキーが必要な扉があったが、そういうのは蹴飛ばして開けていく。

 

「って、凄いですねアクセルさん。普通なら拳銃を使って鍵を壊して中に入るとかするのに」

 

 ロッソの部下の1人が、蹴り1発で扉を破壊した俺を見て驚く。

 

「別にそんなに驚くような事でもないだろ? この程度なら、少し鍛えていれば誰でも出来る。お前達もやろうと思えば出来る筈だぞ?」

「それは……まぁ、そうかもしれませんが。下手に蹴ると、足を怪我する可能性がありますから」

 

 その辺は注意次第でどうにでも……いや、俺の場合は混沌精霊だから、その辺を軽く考えているという点もあるのかもしれないな。

 それに怪我をする代わりに1発の銃弾……あるいは数発の銃弾でいいのなら、それはそれで問題がないだろうし。

 

「その辺の判断は人それぞれか。とにかく進むぞ。この基地は中に何があるのか分からないから、出来るだけしっかりと見ておきたい。……そう言えば、今更の話だけどよく先に来ていたバルチャー達が、ロッソにこの基地を漁るのを許可したな」

 

 ロッソは一応聞いてみるといったような態度だったが、あの様子だと多分断られると思っていた筈だ。

 だが、実際に試してみるとこんな状況だ。

 それを不思議に思うのは当然だろう。

 そんな俺の疑問を聞いたロッソの部下は、得意げな様子で口を開く。

 

「先にここにいたバルチャーは、以前親分に助けられた奴だったんですよ。その一件で親分に恩義を感じてるので、親分なら特別にという事で許可をしてくれたようです」

 

 なるほど、ロッソに恩のある奴だったのか。

 そういう意味ではロッソにとってラッキーだったな。

 ロッソ本人は、自分が前に助けた奴だとは全く気が付いていないようだったが。

 

「なら、もしこの基地に別のバルチャーが来たらどうなる?」

「友好的な相手なら探索を許可するかもしれません。しかし、敵対的な相手……あるいは初めて接触するような相手なら、探索の許可は出さないでしょうね」

「それでも無理に探索をしようとしたら?」

 

 陸上戦艦を動かすにも、経費は掛かる。

 それ以外にもここまで改修して足自慢のロッソのロッキー級ですら、3日くらい掛かっているのだ。

 足の遅い陸上戦艦なら、当然だがもっとここにまでやって来るのに時間が必要となるだろう。

 そうして食費を含めた諸々が掛かっているとなると、そう簡単に諦めるといった真似は出来ない。

 ここで下手に諦めるような真似をすれば、それこそもう赤字だろう。

 勿論、中には多少の赤字は問題ないという余裕のある者もいるかもしれない。

 しかし余裕のないバルチャーがいれば……当然ながら、ここは先に到着した者達が探索をしているからといって、それで素直に諦めるような真似はしないだろう。

 

「戦いになりますね。バルチャーだけに、自分の仕事をする場所は自分で守る必要がありますから。勿論、向こうが何らかの見返りを支払って……というのであれば話は違いますが」

 

 そう言う男だったが、実際にそのような事になるようなことはまずないのだろう。

 残念そうな様子を見せつつも、首を横に振る。

 

「そうなると、俺達も巻き込まれる可能性があるな。出来ればそうなる前に探索を終わらせたいが……ちょっと難しいか」

 

 この基地はそれなりの規模だ。

 そこを歩いて探索してるのだから、当然のように相応の時間は必要になる。

 面倒な事にならないといいんだが。

 そう思いながら、俺は探索を続けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1830
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1734

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