連邦軍の基地から飛び出た俺が見たのは、予想通りの光景だった。
ロッソのロッキー級が、見知らぬMSの群れと戦っていたのだ。
MS隊ではなくMSの群れと表現したのは、そのMSの群れは統率された意思のようなものがあるようには思えなかったからだ。
また、俺達よりも先にこの基地に到着していたバルチャーも、襲ってきたMSの群れと戦っている。
MSがいる以上、どこかに母艦があってもおかしくはないんだが……というか、敵のMSの中には俺が見た事がないMSがいるな。
勿論、バルチャーやMS乗りというのは自分の存在を目立たせる為にMSの外見を改修する。
しかし俺が見たのは、そういう意味で普通のMSと違うのではなく、全く違うMS。
宇宙革命軍の使用するMSの中で一番多く使われているのは、ジェニスだ。
そのジェニスに似ているものの、足に巨大なスラスターがあるのが特徴だ。
最初に見た時は、腕利きのメカニックがジェニスを改修したのか? と思ったものの、足のスラスター以外にもジェニスと違う場所は多々ある。
だとすれば、多分あれは……そう、ロッソの部下のMS乗りから聞いた情報を思い出す。
ジェニスをベースに重武装、高機動を目的に開発された機体、セプテム。
ジェニスをUC世界のザクとして考えた場合、グフ的な機体……いや、違うな。ザク改的な機体と思った方がいいのか?
ジェニスの上位互換と考えればいい。
欲しいな。
何だかんだと、ジェニスはもう入手した。
連邦軍の量産MSのドートレスもロッソから今回の報酬として貰う約束をしている。
オクト・エイプは俺が使っているので問題はないのだが、それらを抜きにしてもやはり少しでも多くの未知のMSは欲しい。
勿論俺が使うのではなく、技術班のお土産的な意味で。
とはいえ、X世界のMSは正直なところそこまで魅力はないんだよな。
この世界ならではの特殊な技術が使われている訳でもないし。
オクト・エイプのように普通に空を飛べるというのは、MSとして考えれば凄いのかもしれないが。
それでも未知のMSだけに欲しいと思ってしまうのは……一種の職業病だったりするのか?
そんな風に思いつつ、俺はロッキー級に向かう。
ただし、当然ながら俺の正体を隠している以上、空を飛んだり瞬動を使ったりといったような真似は出来ないので、走ってだ。
ロッキー級は当然一ヶ所にじっとしている訳ではなく、動きながら戦っている。
そんな動きを読み……近くまで来たところで、一気にロッキー級の装甲に飛び付き、そのまま艦内に入る。
「おわぁっ!」
「落ち着け、俺だ。アクセルだ」
ロッキー級の中に入った俺の姿に驚きの声を上げた男にそう告げる。
幸いなことに、向こうは俺のことをしっかりと覚えていた。
これで拳銃の類を持っていれば、反射的に俺に向けて撃ってきた可能性も否定は出来ないものの、武器は手にしていなかったので驚くだけですんだらしい。
「ああ、アクセルか。……何だってこんな場所にいるんだ? 基地に行ってるって聞いてたぞ?」
「基地に行ってたのは間違いないけど、敵が攻撃をしてきたのを察知してこうして戻ってきたんだよ。……そんな訳で、悪いが俺は格納庫に行く。すぐに出撃する必要があるからな」
「分かった、頼む」
ここで無駄に話をしても、俺の邪魔をするだけ……それはつまり自分達を危険にするというのを理解しているからだろう。
その辺りをしっかりと判断しているのは、ロッソの下にいるだけあって有能なのだろう。
男とはその場で別れ、俺は格納庫に向かうのだった。
「ロッソ、俺だ、アクセルだ。俺も出撃する」
『何ぃっ!? アクセル、お前一体いつの間に戻ってきたんだ!?』
映像モニタに表示されたロッソは、俺がオクト・エイプのコックピットにいるのを見て、驚きの表情を浮かべていた。
「MSに襲撃されているのを見てな。それより、今のままだと戦力は足りないんだろう? 俺も出る。……ただ、倒した敵のうち、状態のいいセプテムを1機欲しい」
『分かった。それで構わねえから、出ろ。お前が敵を倒して、その報酬がセプテム1機だけなら、俺にとっても利益が大きいしな』
ロッソは俺の言葉をあっさりと受け入れた。
まぁ、ジェニスとか他のMSはロッソに渡すと言ってるんだから、それはそれで十分利益が出ると思ったのだろう。
「話は決まったな。格納庫のハッチを開けてくれ」
そう言うと、すぐにロッソから指示がいったのだろう。
格納庫のハッチが開く。
「アクセル・アルマー、オクト・エイプ、出る!」
その言葉と共に、オクト・エイプはロッキー級の格納庫から外に出る。
瞬間、こちらに……正確にはロッキー級に向かってくるミサイルを発見し、それを胴体の50mmガトリングキャノンで迎撃する。
空中に浮かぶ爆発の花。
それを見ながら、ロケットランチャーを手にしたジェニスの姿を見つけ……ビームライフルのトリガーを引く。
真っ直ぐに伸びたビームは、コックピットを貫く。
これで1機撃墜。
動力炉に命中しないように、それでいながらコックピットを撃ち抜くのは、何気に結構な技術が必要になる。
俺の場合は、ガンファイトや技量の数値、これまでの戦いの経験から可能になっていたが。
「次は……セプテムはどこだ?」
今回俺が出撃した目的は、ロッソ達を守る為というのもあるが、それ以上にセプテムを入手するというのがある。
ただし、セプテムはオクト・エイプと同じく高機動型のMSだ。
当然ながら動きが鈍いといった訳もなく、戦場を素早く移動していた。
「っと!」
空中でセプテムを探している俺をいい的だと考えたのだろう。ドートレスがビームライフルを撃ってくる。
その攻撃を回避し、真っ直ぐにドートレスのいる方に向かって降下していく。
向こうはまさか自分の攻撃が外れるとは思っていなかったのか、あるいはこうまで突然自分が狙われるとは思っていなかったのか、焦ったようにビームライフルを連射してくる。
だが、向こうはMS乗りとしては決して技量はよくない。
いやまぁ、空にいた俺を狙った辺りはそれなりに見所があるのかもしれないが……それでも、ビームライフルの照準は甘い。
とはいえ、それがこっちにとっては予想外の射線となるのも事実。
一定以上の技量があれば、その射線を読む事は難しくない。
しかしバルチャーのMSは腕が様々だ。
高い技量を持っているMS乗りもいれば、素人とそう大差のないMSパイロットもいる。
素人だけに、その攻撃はかなり読みにくい。
まぁ、世の中にはアムロのように素人でも一流のパイロット並に操縦出来る奴もいるのだろう。
だが、そのような者は当然ながらその辺にありふれて……ありふれて……うん、キラという例外もあったな。
とにかく、そんな者は少ない。
このドートレスに乗っているパイロットは、相応の実戦経験はあるのかもしれないが、言ってみればそれだけだ。
こちらに向かってビームライフルの銃座を振り下ろそうとするその動きも、かなり鈍い。
あるいは銃座ではなくビームサーベルを使えば、もう少し対処出来たと思うんだが。
こちらに向かって振り下ろされた銃座を、オクト・エイプの背中に3つ存在するスラスターを使って回避、ビームサーベルをコックピットに突き込む。
これで2機。
次の敵はどこだ?
そう思ったが、俺が参戦したことによって戦力はかなり均衡し始めていた。
というか、襲ってきた連中が怖じ気づいているといった方が正しい。
襲ってきたMSの群れにしてみれば、まさか自分達がこうも簡単に倒されるとは思っていなかったのだろう。
『アクセル、ロッキー級がいるらしい場所を見つけた。そっちに向かってくれ!』
ロッソからの通信に頷き、送られてきたデータの方に向かう。
空を飛べるオクト・エイプだけに、移動という点では地上を移動しなければならない者達とは速度が違う。
データのあった場所には、すぐに到着する。
するとそこにはロッソからの情報通りロッキー級が3隻、存在していた。
向こうも当然ながら俺の存在に気が付いたのだろう。
ロッキー級を移動させて、俺から距離を取ろうとする。
同時に牽制の意味も含めて攻撃してくるものの、それはビームではなく、また口径の大きな実弾の類でもなく……近接防御用のバルカンとか、そんな感じの武器だった。
とはいえ、そんな攻撃であっても命中すれば装甲に傷がつく。
ロッソに雇われている以上、MSが損傷すれば修理をするという契約を結んではいるものの、だからといって俺としてはそう簡単に命中したいとも思わない。
別にこのオクト・エイプに愛着がある……って訳でもないんだが。
それでもやっぱり俺が乗っているMSが被害を受けるのは面白くない。
そんな訳で、次々に攻撃してくるバルカンを回避しつつロッキー級との間合いを詰めていく。
3隻から多数の弾丸が飛んでくるが、その全てがオクト・エイプには命中しない。
てっきり護衛のMSがいるのかと思っていたんだが、幸か不幸かロッキー級からMSが出て来る様子はない。
こういう時、普通なら護衛のMSを用意しておくんだが。
いや、バルチャーにしてみれば戦力を一気に集中させて、基地の周囲にいるロッソ達を倒してしまうつもりだったのか?
戦力の集中運用という点では間違っていない。
母艦であるロッキー級も基地からそれなりに離れた場所にいたのだ。
そうである以上、まさか自分達が見つかるとは思っていなかったのだろう。
……ロッソの奴、一体どうやってここにロッキー級がいるって見つけたんだ?
普通に考えれば、偵察を出していたかなんだろうが。
それでも戦いが始まってからはまだそんなに時間は経っていない。
そうである以上、偵察を出していてもそう簡単に見つけるような真似は出来ないだろう。
この辺りがバルチャーの中でもロッソが一目置かれている理由なんだろう。
そうして間合いを詰め、1隻のロッキー級のブリッジにビームサーベルを振るおうとしたその時、不意にロッキー級から信号弾が上がる。
これについては、ロッソから話を聞いているので分かった。
バルチャーサイン。
色々な色の信号弾を組み合わせて自分の意思を伝えるという奴だな。
そしてロッキー級から上がった信号弾の色は黄色。
それはバルチャーサインとしては降伏を意味していた。
そして1隻が黄色の信号弾を上げると、他の2隻も同様に黄色の信号弾を上げる。
この様子を見る限りでは、この3隻のロッキー級はそれぞれが別のバルチャーで、ロッソ達を襲う為に一時的に手を組んでいたといったところか。
「ロッソ、敵が降伏してきた。どうする?」
『おう、信号弾はこっちからも見えた。どうするって言われてもな。まさかここで殺す訳にはいかねえだろ。こっちを襲ってきたMSも今のバルチャーサインを見て動きを止めたよ。これからそっちに行く……いや、こっちにはMSが大量にいるな。悪いがアクセルが敵をこっちに連れて来てくれ。MSはどのくらいいた?』
「0だな。いたのはロッキー級が3隻だけで、MSは全てそっちに送っていたらしい」
『そりゃあまた……』
護衛のMSを残していないというのはロッソにとっても驚きべき事だったのだろう。
「そんな訳で、戦いそのものは楽だった。そっちまで移動するのも、そんなに時間は掛からないと思う。それで構わないか?」
『ああ、それで構わん』
その言葉を最後に通信が切れると、次に俺はロッキー級の3隻に通信を送る。
「お前達の降伏を受け入れる。基地の方でロッソ……バルチャーの親玉が待ってるから、そっちに行くぞ。言っておくが、基地に到着するまで妙な真似はするなよ。もし何か妙な真似をした場合、即座にブリッジを撃ち抜く」
そう言い、3隻のロッキー級のブリッジにビームライフルを見せつける。
すると3隻のロッキー級からは素直にこちらに従うと通信を送ってくる。
ちなみに3隻のロッキー級のうち、2隻は見るからに盗賊といったような外見の厳つい顔立ちであり、もう1隻は悪賢そうな痩せている男が艦長だった。
それぞれが悔しそうな、それでいて恨めしそうな、絶望した……そんな表情を浮かべている。
まさか自分達がこの状況で負けるとは、思っていなかったのだろう。
相手がロッソだと……バルチャーの中で一目置かれている奴だと知っていたのかどうか。
その辺は生憎と俺にも分からなかったものの、とにかく今の状況を思えばこの連中にとってこれからどうなるのかは、非常に気になるところだろう。
俺もロッソがこの連中を相手にどんな処理をするのか、気になる。
「じゃあ、行くぞ。……お前達がどうなるのかは、俺には分からない。だが、何度も繰り返すようだが、降伏した以上は馬鹿な真似をするなよ。妙な真似をしたら、すぐにでもビームライフルで撃ち抜くからな」
そんな俺の言葉に、3人のバルチャーはそれぞれ色々と思うところはあるのだろうが、それでも頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1840
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1736