「これは……普通に凄いな。おい、見てみろよ」
興奮したように言う男の言葉に、俺達はその男のいじっているコンピュータを覗き込む。
かなり苦労をして入ることが出来た、連邦軍の秘密基地。
そんな場所において、俺はダイラスからの要望により4人の男達と基地の調査に向かった。
正直なところ、何でMS乗りとして雇われた俺がわざわざ生身で調査の助けを? と、そんな疑問を抱いていたのは間違いない。
だが、今回の基地の探索の報酬としてMS3機だったのが、MS5機という……まさに俺にしてみれば非常に大きな報酬に惹かれ、それを受け入れた。
……まぁ、このX世界は科学技術の世界だ。
ネギま世界やペルソナ世界のように魔法がある訳ではない以上、生身の俺を殺せるような何かがある訳ではない。
その辺の状況も考えて、こうしてダイラスの部下達と一緒に基地の探索をしていたのだが……最初の部屋から当たりだったらしい。
以前ロッソと共に探索した基地では、コンピュータは使い物にならなかった。
部品とかはある程度金になったのかもしれないが。
その件はともあれ、この基地のコンピュータは戦後15年という時間が経っていても普通に使えるらしい。
半ば地下にあるという点では同じだったと思うんだが……この辺は一体どの辺が違ったんだろうな。
そんな疑問を抱くも、今はそれよりもこの基地について調べる方が先立った。
コンピュータの画面を見ると、そこにはMSの生産工場についての諸々が書かれていた。
この基地の規模を考えれば、もしかしたら……とは思っていたのだが、どうやら本当にこの基地にはMSの生産工場があるらしい。
「機種は……やっぱりドートレスか」
画面を見てそう告げる俺に、コンピュータを操作していた男が当然だといった視線を向けてくる。
「ここは連邦軍の基地なんだぜ? そんな場所にあるMS工場なんだから、ドートレスに決まってるだろ? ジェニスの生産工場でもあると思ったのか? いやまぁ、俺達としてはそっちの方がいいんだけどよ」
その言葉に、そう言えば俺が基地の施設内に入った時に見た残骸……ダイラスの部下達が自動迎撃装置にやられたと思われる残骸には、ジェニスの物が多かったなと思う。
単純にダイラスの部下はジェニスに統一していたのか、もしくはジェニスの方が使いやすいと思っていたのか。
その辺は生憎と俺にも分からなかったが、取りあえずコンピュータを操作している奴がドートレスよりもジェニスの方を好きなのは間違いないらしい。
「ああ、その辺は俺も理解している。だが……これだけの基地の規模だ。それこそガンダムの生産工場があってもおかしくはないだろ」
「ガンダムが……? 本気か?」
近くで話を聞いていた男の1人が、ガンダムという単語に反応する。
どうやらこの男達にとっても、ガンダムというのは特別なのだろう。
このX世界において、ガンダムというのは高性能MSの代名詞だ。
自分達の戦力にしてもいいし、あるいは売り払っても高値で売れるのは間違いない。
その辺の状況を考えると、ガンダムという単語に反応するのは当然の話だった。
「今も言ったように、これだけの規模の基地だ。それも山の中に大部分を埋めて隠してあるような基地だぞ? そんな場所だけに、ガンダムの生産工場があってもおかしくはないと思うけどな」
あるいはもっと別の何かを隠す必要があって、このような基地を製造したのかもしれない。
正直なところ、その辺の事情については俺は分からない。
分からないが、それでも今の状況を思えばこの基地に何かがあるというのは、間違いのない事実だった。
「おい、ちょっと調べてくれ。もし本当にガンダムの生産設備があったりしたら、とんでもねえ事だぞ!?」
叫ぶ男に、コンピュータを操作していた男も真剣な表情になって調べ始める。
その部屋にいた皆が……俺も含めて男の行動に集中する。
当然だろう。もしこの基地にガンダムの生産設備があり……その上でそれがまだ使えるとしたら、それは非常に大きな意味を持つ。
ダイラスがバルチャーの間で頭1つ抜け出すどころか、この辺の全てのバルチャーを率いるといったような事になってもおかしくはない。
俺は結局雇われのMS乗りでしかないが、この部屋にいる俺以外の連中はダイラスの部下だ。
自分を率いている相手がそれだけの大物になるかもしれないとなれば、真剣になるなという方が無理だった。
だが……そんな期待は、やがてあっさりと潰される。
「駄目だ。あるのはドートレスの生産工場だけで、ガンダムの生産工場なんかない」
がっかりといった様子で呟く男。
他の者達も、全員がその言葉に残念そうな様子を見せる。
とはいえ、それでもガンダムの生産設備というのはあくまでも俺が口した戯れ言……万が一、億が一といった割合での話だ。
男達はすぐに気分を切り替える。
「ガンダムじゃなくてドートレスだが、それだって大きいよな。それに……」
「ちょっと待て。これは……何だ?」
会話をしていたところで、不意にコンピュータを操作していた男がそんな風に呟く。
一体何だ? と再び画面に視線を向けると、そこにはこの基地の地図データが表示されていた。
「うお、これは……これがあれば、楽に基地を探索できるじゃねえか!」
「おっしゃぁっ! 俺達のお手柄だ! これがあれば、今回の基地の探索の取り分はかなり増えるぞ!」
喜びの声を上げる男達をよそに、俺は基地の地図データを見る。
大体の場所にはきちんとその部屋がどういう場所なのかが表記されているのだが、地下にある一室……いや、一室というか、かなり広い空間があると表示されているものの、そこは具体的になんなのかというのは全く書かれていない。
「おい、この地下にある巨大な空間……一体なんだ?」
「え? ……何だ? ちょっと待ってくれ、少し調べてみる」
そう言い、コンピュータをチェックしていく男。
だが、10分程が経過してもそこに何があるのかは分からない。
「駄目だ、何も分からない。これだけ広い空間なら、何か重要なのがあるのは間違いないと思うんだが……ダイラスさんに知らせてみるか? そうすれば、そっちを調べるんじゃないか?」
「その辺をまず調べるのを優先した方がいいのは間違いないよな。俺もその意見に反対はしない」
「アクセルがそう言うのなら、やっぱり真剣にそっちを調べた方がいいんだよな」
そういう事に決まるのだった。
「なるほど、地下にある謎の空間か。……よくやった!」
ダイラスが嬉しそうに叫ぶ。
今は多くの者達が基地の探索をしているものの、そんな中で俺達は一際大きな発見をした訳だ。
MSの生産工場に、地下に存在する巨大な空間。
当然の話だが、もっと調べれば他にも色々と重要な秘密を見つけることは出来るだろう。
とはいえ……それでもやはり早めに見つけた俺達の功績は大きな意味を持つ。
だからこそ、俺はダイラスが乗っているロッキー級に直接やって来て、その辺について話をしていたのだから。
「で、どうする? 俺としてはこの基地がここまで厳重に護衛されていたのは、その地下にある空間が関係していると思う。……ドートレスの生産工場は、別にこの基地だけにある訳じゃないだろうし」
「そうだな。俺もアクセルの意見には賛成だ。ただ……部下の中には最初からそういう場所を調べていくのではなく、まずは上の方から順番に調べていった方がいいって言ってる奴もいる」
「だろうな」
その意見については、俺も否定はしない。
安全を重視するのなら、それこそ上にある部屋から調べていった方がいいだろう。
だが、地図を見た限り、この基地はUC世界のジャブローには及ばないものの、かなりの広さを持つのは間違いない。
そんな場所を上から順番に調べていくとなると、地下にある謎の空間を探すといったような真似をした場合、一体どれくらいの時間が必要となるのか分からなかった。
まぁ……俺以外のダイラスに雇われているMS乗りにしてみれば、特に危険な事もないまま報酬が増えるのだ。
そういう意味では、寧ろ望むところなのだろう。
だが、俺は違う。
金には困っていない以上、出来るだけ多くのMSが欲しい。
特にこの基地の一件ではMS5機を俺の所有物にするという事になっている以上、探索は出来るだけ早くしたい。
地図データにも載っていない地下空間。
ここが連邦軍の基地であると考えれば、そこにはもしかしたらガンダムが存在している可能性が否定出来なかった。
「けど、俺達はこの基地に対する侵入者だ。おまけに自動迎撃装置も大量に破壊している。基地の方で被害を受けていると判断し、この基地にあるかもしれない秘密兵器が侵入者に奪われそうになって危険だから、破壊する。……いや、最悪の場合は自爆するといったような事になったら、どうする?」
その言葉に、ダイラスは悩ましげな表情を浮かべる。
「そういう可能性はあると思うか?」
「間違いなくあるだろうな。理由としては、やはりこの基地が明らかに連邦軍の基地の中でも重要度が高く、そして機密度が高い基地だからだ。あれだけの自動迎撃装置が用意されている場所だぞ?」
まぁ、自動迎撃装置に関しては、何故か基地の中には設置されていないのが疑問なんだが。
外はあれだけ防御がしっかりとしていたんだ。
なら、基地の中にも自動迎撃装置の類があってもおかしくはない。
しかし、今のところ基地の内部で自動迎撃装置があって攻撃されたとかいう話は聞いた事がない。
外と中では、明らかに防御に対しての意識が違う。
一体何故こんな事になってるのかは、正直なところ分からない。
分からないが、それが俺達にとって有利になっているのもまた事実。
「ふむ……分かった。なら今は怪しい地下に向かうとしよう」
たっぷりと数分もの間考え込んだダイラスだったが、最終的には俺の提案を受け入れたらしい。
ダイラスにしてみれば、もし俺の言ってる内容が事実だったりした場合、非常に危険だと思ったのだろう。
「俺はどうする?」
「MSに乗って待機していてくれ。この基地が本当にアクセルの言うように危険な場所だった場合、その地下にある空間には何らかの自動迎撃装置がある可能性が高い」
その言葉に頷き、俺は自分のMSがあるロッキー級に戻るのだった。
「アクセルさん、整備の方しっかりとやっておきました。弾丸の補給も終わってるので、問題ないと思います。その、じゃあ俺は他にもやる事があるのでこれで」
一方的にそう言うと、メカニックは俺の前から立ち去る。
何もそんなに急ぐ事はないだろうに。
そう思ったが、ジェニスの1機……それも見覚えのある機体が格納庫に戻ってきたのを見ると、そこまで急いでいる事に納得出来た。
あのジェニスは、俺に絡んでくる奴のだな。
なら、わざわざここで挨拶に行ったりとか、そういう真似はしない方がいいだろう。
もしそんな真似をすれば、それこそまた面倒なことになりかねないのだから。
ダイラスからの命令が下ったのだろう。俺が乗っているロッキー級も動き出し始めた。
地下にある空間へ向かって移動しているのだろう。
というか、本当に今更の話だがこのロッキー級が通れる通路は地下まで続いているのか?
あるいは地上戦艦用のエレベーターとか、そういうのがあるのかもしれないが。
そんな風に考えつつも、オクト・エイプのコックピットで待機する。
すると自分の機体から降りた男が、何故かオクト・エイプの方に近付いてくる。
俺に徹底的に負けた影響で、とてもではないが自分だけで俺に近付いてくるといった真似はしていなかったんだが……一体何だ?
とはいえ、俺に憎悪の視線を向け続けているのだが。
ともあれ、その男は相変わらず憎悪の視線を向けたままオクト・エイプに近付いてくる。
いつもと違うのは、その目には憎悪以外に愉悦とでも呼ぶべきものがあることだろう。
一体何があってそんな視線を向けるようになったんだ?
もしかしたら、俺が基地の探索をしている間に何か見つけたのか?
それが上から褒められて、俺よりも自分の方が優れてると思ったとか。
手柄という点では、俺もかなりのものの筈なんだが。
この基地にドートレスと思しきMSの生産工場があるのを確認したり、この基地の地図を見つけたり、基地の地下に怪しい空間を見つけたり。
まぁ、俺が1人で見つけたのではなく、あくまでもダイラスの部下と一緒に見つけたのだが。
あるいはあの男は1人で相当な手柄を立てたのかもしれないな。
そんな風に思っていると、やがて男はその場から去っていく。
てっきり勢い込んで一気に俺に向かって絡んでくるのかと思っていたんだが、どうやら違ったらしい。
いやまぁ、それはそれで面倒がないのは間違いないのだが。
そんな風に思いつつ、俺は暇な時間を潰す為に空間倉庫から雑誌を取り出すのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1850
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1738