転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0310話

 エヴァの別荘で獄炎煉我の訓練をした翌日。俺の姿は何故か女子寮でもエヴァの家でも、そもそも麻帆良ですらない原宿にあった。

 

「えっと、ゴメンねアクセル君。無理に引っ張って来ちゃって」

「まぁまぁ。美人なお姉さん達と一緒にショッピングデートだよ? 男の子としては歓迎すべき事態でしょ」

「ま、私は楽しければそれでいいんだけどね」

 

 上から、釘宮、柿崎、椎名の3人だ。

 そう、いつものチアリーダー3人組だ。今日は昨日の疲れもあって――結局近接戦闘では引き分けに持ち込めたが、疲労度は圧倒的にこっちが上だった――同居しているあやか、千鶴、夏美が出掛けた後も疲れを癒すべく睡眠を楽しんでいた。……否、楽しもうとしていたのだ。

 だがそこに突入してきたのがこの3人で、あれよあれよという間に着替えて――着替えさせられる所だったのを意地で阻止した――そのまま女子寮から引っ張って連れ出され、麻帆良から電車を乗り継いで原宿まで辿り着いてしまった。

 どうやら修学旅行用の買い物に付き合って欲しかったようだが……

 

「いや、まぁ、それは構わないんだけどな。せめて少しくらい説明してから連れ出して欲しかった」

「ごめんごめん、あ、そうだ。じゃあお礼にカラオケとかどう?」

「って、今日は遊びに来たんじゃなくて修学旅行用の買い物に来たんでしょうが」

「よーし、いくらでも歌っちゃうよぉ!」

「美砂も!」

 

 はっちゃける椎名と柿崎に突っ込みの釘宮。この3人の中では常識的な性格をしている為に、いつもブレーキ役なのは大変そうだ。

 そんな風に考えていると、周囲にキュルルルゥ、という音が鳴り響く。その音の出所は……

 釘宮達3人の視線は俺の腹へと集まっている。

 

「アクセル君、凄い音させてるね」

 

 いや、そもそもお前達が俺が寝ている所に突入してきて強制連行していったおかげで朝食を食い損ねたんだがな。冷蔵庫の中に千鶴の作ってくれた俺の朝食が入っていた筈なのに。

 

「あー、ごめんね。そだ、朝食代わりにクレープ奢るよ」

 

 柿崎とクレープ。その組み合わせを聞くと、どうしても俺はゴーヤクレープを思い出してしまう。

 

「と言うか、朝食に何故クレープ」

 

 いや、外国では朝からチョコレートを食べる地域もあると聞くし、そう考えるとそれ程おかしくはないのかもしれないが、ここは日本だ。

 

「あれ、アクセル君知らないの? クレープはクレープでも、ハムとチーズとかの軽食系のクレープもあるんだよ」

 

 椎名が自慢気にそう言ってくる。

 にしても、軽食系のクレープか。蕎麦粉のクレープでガレットとかいうのは聞き覚えがあるが、それとは違うんだろうか。

 そんな風に考えていると、柿崎が俺の手を引っ張ってクレープの屋台へと連れて行く。

 

「ほら、アクセル君。取りあえず食べてみようよ。えっと、この子に半熟卵とハムとチーズのクレープ。私はゴーヤクレープね」

「お、ゴーヤクレープかい。苦いけど大丈夫かい?」

「あ、あたしもゴーヤクレープで」

「あいよ。ゴーヤクレープ2つに半熟卵以下略1つだね」

 

 以下略って、客商売がそれでいいのか? そうも思ったが、柿崎達が特に気にしている様子も無いし特に問題無いんだろう。

 

「はいよ」

 

 それから数分。朝食前に掠ってきたという事で、俺のクレープの料金は柿崎達に奢ってもらった。柿崎と椎名はゴーヤクレープ。釘宮はベリースペシャルとかいうのだ。……何気に釘宮が一番気合の入ってるクレープを選択しているような。

 

「うわっ、ホントに苦っ!?」

 

 柿崎がゴーヤクレープを一口食べて思わず叫ぶ。やはりゴーヤクレープは苦いらしい。と言うか、以前お前は俺にそれを勧めてきたんだけどな。

 

「アクセル君、口直しに一口いい? 私のゴーヤクレープも一口食べさせて上げるから、ほら、綺麗なお姉さんとの間接キスだよ?」

「あー、はいはい。ほら」

 

 さすがに間接キス程度で頬を赤くする程にウブでもないので食べかけのクレープを柿崎の方へと差し出す。

 ちなみに俺の食べてるクレープは普通に軽食として食べれるし、それなりに美味い。まぁ、ファーストフードなんだから余程の失敗でもしない限りは不味くならないだろう。

 

「あーん。……ん、結構美味しいね。でも、ちょっとボリュームありすぎじゃない?」

「ちょっと、美砂。はしたないわよ」

「あれ、円ってば美砂に嫉妬してる?」

「してないわよ。ただ、ちょっとはしたないと思っただけで」

「そう? これくらい普通でしょ。私と円だってよくやってるじゃない」

 

 柿崎のその台詞に、釘宮が微妙に頬を赤くしながら抗議する。

 

「私と美砂は女同士。アクセル君は男の子でしょ!」

「あれあれー? やっぱり円はアクセル君を男の子として意識してるのかなー?」

「ちょっ、違っ」

 

 そんな風なやり取りをしながらも、俺達はクレープを食べながら色々な店を覗いていく。釘宮が自由行動で着る服を選んだり、椎名が道端で売ってるアクセサリーを衝動買いしてみたり、柿崎がスケスケのネグリジェを試着しようとして釘宮に突っ込みを入れられたりと、騒がしいながらも色々と楽しく買い物をしていた。

 俺の荷物に関しては、基本的な旅行用品は以前の千鶴との買い物で多少買っただけだが、空間倉庫の中には色々と雑貨も入っているので特に困っていない。なので俺の役目はもっぱら3人がどっちが似合うとかそういうのに答えているだけだった。

 そして、その声が聞こえてきたのは丁度買い物も一段落して、そろそろ昼食にしようかという頃合い。

 

「あれ、アクセル君?」

 

 その声は、麻帆良でここ暫く毎日聞いていた声。

 

「あ、ほんとやー。円に美砂、桜子もおるやん。どうしたん?」

 

 そして、麻帆良の魔法使いを統べる近右衛門の孫娘。

 すなわち、ネギと近衛の声だ。

 

「あれ、このか? 何でネギ君と……はっ! まさか、そういう事なの!?」

 

 そんな2人を見た柿崎が何やら迂闊な発言をし。

 

「ちょっと美砂、落ち着きなさいよ。普通に考えて……普通に考えて……え? まさか、本当に?」

 

 釘宮もまた柿崎の発言から桃色の想像を膨らませる。

 

「え? え? どうしたんです?」

「2人共、テンパりすぎ。ネギ君とこのかがそんな訳ないじゃん」

 

 珍しい事に、柿崎と釘宮の暴走――あるいは妄想――を止めたのは椎名だった。ボケ担当だとばかり思ってたんだが。

 そんな風に内心で考えていると、椎名がぐりんとばかりに首を曲げて俺の顔を覗き込んでくる。

 

「んー? アクセル君、今何か失礼な事を考えてなかったかにゃー?」

 

 ……さすがに勘が鋭いな。桜子大明神というあだ名は伊達じゃない。

 

「いや、特には。それよりもネギに近衛はどうしたんだ? やっぱり修学旅行の買い物か?」

 

 嫌な話題はスルーするに限る、とばかりにネギと近衛へと話題を振る。

 

「えっと、このかさん?」

 

 俺の言葉に、何故か近衛へと伺うように尋ねるネギ。近衛はそんなネギに少し考えた後、すぐに頷いた。

 

「そやね。皆になら話しても構わへんよ。どうせなら私やネギ君以外の意見もあった方がええと思うし」

「そうですね。えっと、実は明日ってアスナさんの誕生日なんですよ。だからバースデープレゼントをこのかさんと一緒に選んでいたんです。で、良ければ皆さんの意見も聞かせて貰えませんか?」

 

 神楽坂の誕生日?

 

「……あぁ、なるほど」

「アクセル君?」

 

 不意に納得した様子の俺に、釘宮が不思議そうに尋ねてくる。

 

「いや、ここ何日かあやかが微妙に怪しい行動をしていたんでな。何かと思ってたんだが……恐らく、神楽坂の誕生日プレゼントだったんだろうと思ってな」

「あー、いいんちょはツンデレだからねぇ。アクセル君やネギ君にはダダ甘なのに」

「はー、やっぱりいいんちょとアスナは仲悪そうに見えて仲ええんやなぁ」

 

 俺と釘宮の話を聞いていた近衛が笑顔を浮かべながら微笑んでいる。だが、どこかその瞳に寂しさを感じたのは俺の気のせいだろうか。

 

「という訳で誕生日プレゼントの件、お願い出来ますか?」

「当然構わないわ。円と桜子、アクセル君も構わないわよね?」

 

 柿崎の言葉に黙って頷く。他の2人も同様だ。

 基本、問題児揃いと言ってもいい3-Aだがチームワークとかそういうのは無意味に高性能なんだよな。……いや、無意味という言い方はちょっとアレか。

 

「えっと、まずアスナと言えば……言えば……うーん、なにかにゃ?」

 

 まぁ、チームワークがいいからと言って頭の巡りがいいかと言えばそうでもないんだが。

 

「確か新聞配達をしてるって話だし、運動用のシューズとかはどうだ?」

「あー、アクセル君の案はちょっと遅かったなぁ」

「遅い?」

「そうや。アスナ、この前新しい靴を買うてきたんよ」

 

 微妙にタイミングが悪いな。

 

「えっと、ならワンピースとかは? 対高畑先生用に」

 

 神楽坂が高畑を好きなのは既にクラスに知れ渡っている。……と言うか、一般常識の類だ。それを参考にした柿崎の意見に、それならありかもという事で服屋へと移動するが結局はいい服が見つからなかった。

 

「うーん、うーん。……ダンベル?」

「ちょっと桜子。それは嫌がらせにしかならないから」

 

 椎名へと突っ込みを入れる釘宮。

 

「そやねぇ。……あ、アレなんかどうやろか?」

 

 近衛の視線の先にあったのは、小物屋店頭に飾られていたオルゴールだった。

 そのオルゴールを開くと、どこか聞き覚えのある曲が流れてくる。

 

「ほら、この曲って確かアスナの好きな曲やし」

「なるほど、オルゴールか。アスナ的にも結構いけるかも。うん、私は賛成だな」

 

 柿崎が賛成すると、続いて釘宮、椎名も賛成する。当然俺としても特に文句等ある訳が無く、結局オルゴールを買う事になった。

 ちなみに、俺達もそれぞれ簡単な物だが誕生日プレゼントを買っている。

 ……椎名が全自動寿司握りマシーンを買おうとして血迷ったが、何とか皆で止めた。と言うか、女子中学生へのプレゼントしてそれはどうよ。いや、あれば便利なんだろうけどな。値段が中学生ではちょっと厳しかったのも事実だ。

 ちなみに俺が買ったのは水晶で出来た犬の置物だった。水晶という事で値段が心配だったのだが、3cm程度の小さなものだったので財布に優しい値段だった。

 

 

 

 

 

 翌日、この場にいる皆や連絡の付いたクラスメイトを呼んで神楽坂のサプライズパーティを開いて大いに盛り上がったとだけ言っておこう。……3-Aの特性上盛り上がりすぎて非常に疲れたが。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    ???

撃墜数:376

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