え? と。
正直なところ、一体何故ティファが俺を見て恐怖の表情を浮かべたのかは分からなかった。
しかし、俺を見たティファは間違いなく恐怖の表情を浮かべていたし、それによって入って来たばかりの扉から外に出たのは間違いない。
そんな真似をされれば、当然のように部屋の中にいた者達の視線が俺に向けられる。
明らかにティファは俺を見て部屋から出たのだ。
そのような状況を思えば、俺が責められる視線を向けられてもおかしくはない。
おかしくはないのだが……それで俺が納得出来るかと言われれば、その答えは否だ。
「言っておくが、俺はティファに何もしてないぞ?」
というか、俺がティファと会ったのはこれが初めてだ。
……いや、実際にはアルタネイティブ社から救出した時にも俺はいたが、その時のティファはガロードだけを見ていて、俺に気が付かなかったらしい。
あるいはその時と今とでは条件そのものが違っていたりするのか?
生憎と自分ではその辺について分からない。
だが、今のこの状況を思えば、何となくだが理解出来ることがあるのも事実だ。
今までの経緯から考えると、ティファは恐らくニュータイプで間違いないだろう。
そして俺がニュータイプと接すると、ニュータイプは様々な反応をする。
例えばセイラの場合は、元々高いニュータイプの素質があったのか、それとも相性が良かったのかは分からないが、未来の光景を見る事が出来てニュータイプとしての能力が飛躍的に増した。
アムロやシャアがUC世界ではニュータイプとして知られているが、MSやMAの操縦技術というのを抜きにして、純粋にニュータイプとしての力を見た場合、恐らく最高のニュータイプはセイラだろう。
アムロは俺と握手した瞬間に恐怖して、半ばトラウマ状態となった。……そういう意味では、ティファとアムロは似たような反応なのか?
他にも色々とあるが、とにかくニュータイプというのは俺と接触することによって様々な影響が起こる。
ティファに起きたのも、そんな影響ではないのか。
そんな風に思っていると、再び部屋の扉が開き……そこからティファが顔を出す。
俺と視線が合うと、すぐにまた驚いた様子を見せて扉が閉まる。
……待て。驚いた?
最初に俺を見た時、ティファの顔に浮かんでいたのは恐怖だ。
だというのに、改めて顔を出した時は恐怖ではなく驚きだった。
この短時間で何があったのかは分からない。
分からないが、それでもティファが浮かべていたのが恐怖から驚きに変わったのが影響してか、部屋の中にいた面々が俺に向ける視線も責める色ではなくなった。
「おい、今のは一体……」
「待て、ガロード」
ガロードが俺に向かって何か言おうとするのを、ジャミルが止める。
ガロードにしてみれば、俺が何かをしてティファを怖がらせたといったように思えたのだろう。
俺がティファに何か出来たのかと言えば、そんな時間はなかった。
なかったのだが、ガロードにしてみればそんなのは関係なかったといったところか。
ガロードは、俺が見ても分かるくらいティファに好意を抱いている。
それこそ友情といった意味の好意ではなく、男女間の好意……恋心と呼んでもいいくらい、露骨に。
だからこそ、理由はともあれ俺がティファに何かをしたとガロードには思え、それが許せなかったのだろう。
そんなガロードに対し、ジャミルは思慮深かった。
「その件に関しては、今ここで話す必要はない。……ただ、後で色々と話を聞かせて貰えると助かる」
「そうだな。それは俺も構わない。こっちも色々と聞きたい事があるし」
俺としては、この世界の原作において重要な意味を持つだろうフリーデンと一緒に行動したい。
その為にジャミルには色々と話しておいた方がいいのは間違いない。
ただ、問題なのはこの世界の主人公が誰なのか未だに分からない事なんだよな。
普通に考えれば、GXのパイロットのガロードで決まりだろう。
ニュータイプであるティファがヒロインといったところか。
だが……ガロードがこの世界の主人公としては、ニュータイプ能力がないのが気になるんだよな。
ガロードが主人公なら、ニュータイプ能力を持っているのが普通だと思うんだが。
あるいは、素質はあってもまだニュータイプとしては覚醒しておらず、将来的にニュータイプとして覚醒するのか?
UC世界においてフラナガン機関から得たデータの中には、死の恐怖が引き金になってニュータイプ能力に覚醒するといったようなものもあった。
それが事実なのかどうかは分からない。
それ以前にUC世界のニュータイプとX世界のニュータイプは、双方共にニュータイプという存在ではあっても、意味が違うし。
X世界においては、フラッシュシステムを使える事がニュータイプ能力としての最低条件となる。
だが、UC世界のクスコやマリオンは、ニュータイプであるにも関わらずフラッシュシステムを起動出来なかった。
それはつまり、クスコやマリオン……いや、セイラやアムロ、シャアといった面々であっても、このX世界においてはニュータイプと認められない可能性があるという事だ。
同じニュータイプという単語があるのが悪いんだよな。
UC世界かX世界において、どっちかがニュータイプではなくもっと別の単語だったら、面倒な事にはならなかっただろうに。
そんな風に考えている間に、ジャミルはロッソ達に向かって感謝の言葉を口にしていた。
そうして話が終わると、今回の騒動は終わりとなる。
「おう、アクセル。また機会があったら一緒に連邦軍の基地でも探索しようぜ」
ジャミルと挨拶を交わしたロッソが、俺に向かってそう言ってくる。
ロッソらしい、男臭い笑みを浮かべて。
「そうだな。以前とは違って俺もテンザン級を入手した。そうである以上、収納量で困るといったような事もないだろうしな」
「がははは、テンザン級があればそうなるか」
そう言って、ロッソは去っていく。
そして次に俺の前に姿を現したのは、グリーツ。
「今回は君にいいところを持っていかれたけど、次はこうはいかない」
「同じテンザン級、そしてオクト・エイプを主戦力としている身としては、その言葉には奮起しないといけないな」
俺の言葉にグリーツは自分も負けないといった様子を見せて立ち去る。
最後にやって来たのは、ローザ。
「いい男だね。ジャミルがいなかったら惚れてたかもしれないよ」
「それは残念……って、おい?」
ローザの軽口に軽口で返そうすると、何故かモニクが脇腹を抓ってくる。
そんなモニクに不満を言おうとしたものの、それを見たローザが笑みを浮かべる。
「馬に蹴られてなんとやらにはなりたくないし、これで失礼するよ」
そう言い、ローザは部屋から出ていく。
……ロッソ達が部屋から出ていった時も、ティファは扉に隠れながらこっちを見ていた。
何というか、その様子は嫌われているというより……怖いけど目が離せない? 多分そんな感じなのは間違いない。
とはいえ、それで解決をしろと言っても難しいしな。
にしても、馬に蹴られてって……俺とモニクの間でそんな表現は似合わないような気がするんだが。
その辺に関しては、ローザの勘違いといったところか。
ともあれ、こうして援軍に来た面々はいなくなり……この場に残ったのは、俺とモニク、フリーデンの面々とウィッツにロアビィ。
「で、詳しい話をするって事だったが、どうするんだ? このままここで話すのか? 俺はどっちでもいいが」
「そうだな。では艦長室で話そう」
「艦長、私も……」
サラがジャミルにそう告げる。
ジャミルを俺達と一緒には出来ないとでも思ったのか?
あるいは、ジャミルだけに任せておけば色々と面倒な事になるかもしれないと判断したのか。
生憎とその辺りについては分からなかったが、最終的には俺とモニク、ジャミル、サラ、ティファの5人で話をする事になったのだった。
「さて、詳しい話について色々と話したいが……アクセルはティファがこのような状況になっている理由が分かるか?」
ジャミルがそう言いながら、部屋の隅にいるティファを見る。
相変わらずティファは俺から距離を取っているが、その視線は俺に向けられていた。
ただし、俺と視線が合うと視線を逸らすが。
「そうだな。まずその前に……ジャミル、お前もニュータイプだな?」
『っ!?』
俺の言葉にジャミルとサラが揃って息を呑む。
まさか気が付かれているとは思わなかったのだろう。
とはいえ、俺がジャミルと接触した時の事を思えば、その辺りについて気が付いていてもおかしくはないと思うんだが。
「そこまで露骨に驚かれてもな。……俺と接触した時の感覚で分かるだろう? 俺にとっては、自然な事なんだが」
「それは……何故アクセルにそのような能力が?」
「そう言われてもな。それを聞くのなら、何故ジャミルはニュータイプ能力を得たのか分かるのか?」
そう言うものの、恐らくは念動力が関係してるんだろうと、予想はしている。
あるいは魔力も関係している可能性もある。
とはいえ、このX世界にはニュータイプ能力はあっても、念動力や魔力はない。
実は俺が知らないだけで、この世界にもそういう能力がある可能性は否定出来ないが。
しかし、その辺について大きく広まっていないのは間違いのない事実だった。
だからこそ、念動力や魔力については言えない。
……あ、でもそうか。もしガロードがこの世界の原作の主人公であった場合、ニュータイプではないが、また別の何か特殊な能力を持っている可能性は否定出来ないのか。
俺が会った様子だと本人にその辺の自覚はなかったようだが。
「分からない。私が何故ニュータイプになったのか……もしかしたら、私はそれを見つける為にこうして行動しているのかもしれないな」
「そうか。その辺については詳しく聞こうとは思わない。あくまでも自分の力だしな。……で、何だったか。そうそう、ティファがああいう風になっている理由だったな」
俺がティファという名前を口にすると、それだけでティファは驚いた様子を見せる。
けど、ティファには悪いがそんなことを気にしていては話が進まないので、スルーさせて貰う。
「ジャミルが俺と接触した時も、何かあっただろう? 微弱すぎて俺には感じられなかったが」
今までニュータイプと接した時は、必ず何らかの反応があった。
しかし、ジャミルとの接触では驚く程に小さな反応で、普通なら気が付かなくてもおかしくはない、そんな反応だった
……とはいえ、クスコやマリオンがフラッシュシステムを動かせなかったのを見れば分かるように、このX世界のニュータイプはUC世界のニュータイプとは違う。
もしかしたら、あの反応がX世界のニュータイプにとって共通するものなのかもしれないが。
とはいえ、その辺をしっかりと検証した訳ではない以上、今はニュータイプとして同じだという風にして説明するしかないが。
「うむ」
「ああいう風に、俺はニュータイプと接するとちょっと変わった風になる力を持っている。ティファは……多分、それを感じてるんだろう」
「そうなのか、ティファ?」
俺の言葉にジャミルがティファに尋ねると、ティファは無言で頷く。
離れていても、こっちの会話は普通に聞いていたらしい。
「そうなのか。……だが、私の時とは随分と反応が違うようだが?」
「その辺りは個人差があるしな。それにニュータイプ能力の強さとかも関係してくるし」
俺と接触してニュータイプ能力が強化される事もあれば、俺を見てトラウマを持つ者もいる。
そういう風に考えれば、ティファは……どちらかと言えばトラウマ系か?
ただ、結構な頻度で俺に視線を向けてきているのを思えば、決して嫌われている訳じゃないっぽいが。
「何故、そのような能力があると分かった?」
その言葉に一瞬どう返すかと考えるが、フリーデンと一緒に行動するのなら話しておいた方がいいだろうと口を開く。
「簡単な事だ。俺の部下にはニュータイプがいる。それも2人もな」
「な……に……?」
信じられないといった様子のジャミル。
まぁ、この世界でもニュータイプというのはかなり少ないらしいのに、そんな中でニュータイプが2人も俺の部下にいたと知れば、当然だろう。
もっとも部下と言ってはいるが、実際にはUC世界から派遣されている面々なのだが。
「ニュータイプが2人いる。……とはいえ、その2人がニュータイプだというのはあくまでも俺の認識でだ。ジャミルがニュータイプだと認識するかどうかは分からないが」
「どういう事だ?」
そう尋ねるジャミルの視線は鋭い。
いや、実際にはサングラスをしているので視線は分からないのだが、それでも俺を見てくる視線が鋭いというのは気配で理解出来た。
「簡単な話だ。フラッシュシステムだよ。ジャミルの言うニュータイプというのは、フラッシュシステムに対応している奴の事だろう? だが、俺の船にいる2人は、ニュータイプだがフラッシュシステムには対応していない」
そんな俺の言葉に、ジャミルは一瞬前の厳しい視線が消えて戸惑いの視線になるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750