部屋の中に入ってきたオルテガは、自分に視線が集まっているのを見て不思議そうな表情をする。
「アクセル、もしかして彼がニュータイプなのか?」
ジャミルが戸惑ったようにそう言う。
ニュータイプを呼ぶと言っていたところでやって来たのがオルテガだ。
ジャミルにしてみれば、そのように思うのは当然だろう。
とはいえ、戸惑った様子を見せるのはオルテガがニュータイプのように見えないからか。
「違う。オルテガはニュータイプの護衛だ」
一応この言葉は間違ってはないと思う。
実際にその役目があるのも事実なのだから。
ただし、実際には恋人のマリオンを1人で――クスコもいるのだが――フリーデンに向かわせるのを危険だと判断したのが正しいのだろう。
「おう、アクセル。マリオン達を連れてきたぜ」
オルテガは自分がどんな視線を向けられているのに気が付いているのか、いないのか。とにかくそんな風に言ってくる。
オルテガにしてみれば、部屋の中の安全を確認する必要があると思っての行動なのだろう。
「そうか。なら中に入れてくれ」
「分かった。……マリオン、入ってもいいぞ」
オルテガの言葉に、マリオンとクスコが部屋の中に入ってくる。
「っ!?」
入ってきたマリオンとクスコを見て、ティファは息を呑む。
先程クスコ達が近付いてきた時に反応していただけに、恐らくニュータイプが近付いてくるというのはティファも気が付いてはいたのだろう。
そんなティファの様子を確認してから、クスコとマリオンに視線を向ける。
するとクスコは俺に向かって笑みを向けてきて、マリオンは小さく頭を下げてきた。
そんな2人の様子を見てから、改めてジャミルに視線を向ける。
「どうやらティファはクスコやマリオンの2人をニュータイプと判断したらしいな。フラッシュシステムを使えないこの2人を」
「それは……」
ジャミルにしてみれば、俺の言葉は聞いていたものの、それでも完全に信じてはいなかったのだろう。
「クスコ、マリオン。こっちの男はジャミルだ。そして机の側にいるのがティファ。ティファの方はニュータイプだが、それが分かるか?」
その言葉に、クスコとマリオンは即座に頷く。
どうやらニュータイプ同士でお互いの存在は認識出来るらしい。
同じニュータイプというのは間違いないらしいが、それでもフラッシュシステムに対応しないのはちょっと疑問だが……同じニュータイプであっても、能力的には違っているのかもしれないな。
ただし、ニュータイプという事で能力的に重なっている部分とかはある、と。
「まさか……こんな事があるとは……」
ジャミルにしてみれば、フラッシュシステムに対応しないニュータイプというのは、想像出来なかったのだろう。
驚いたように呟きつつ、2人を見ている。
そのまま数分が経過し、やがて大きく息を吐き出しつつこちらに視線を向けてくる。
「ティファが感じた以上、この2人がニュータイプなのは間違いないのだろう」
どうやらフラッシュシステムを使えなくてもニュータイプであるというのは納得したらしい。
この数分で自分の固定概念が破壊されたのに対処出来るのはそれなりに凄いと思う。
「納得してくれたようで何よりだよ」
「ああ。それに……こうして見る限りでは、普通に活動しているように思える」
この場合の普通というのは、例えばフラナガン機関にモルモットにされるといったような事もなく、個人として普通に活動しているという事なのだろう。
「そうだな。俺は特にニュータイプ研究とかはやってないし」
実際にルナ・ジオンにはアルテミスというニュータイプ研究所がある。
しかし、アルテミスはフラナガン機関のように非人道的な行動をしたりといったような事は基本的にない。
それこそニュータイプの候補となっている人物にあまり負担にならないように注意して研究をしている。
実際にはそのおかげで被検者達はリラックスする事が出来て、研究者達との関係も良好で、それが影響してかニュータイプ研究はかなり進んでいるらしい。
それこそフラナガン機関の研究よりも。
フラナガン機関の方でもこういう風に研究をすればもっと効果があったんだろうが。
そうすれば、俺達がフラナガン機関を襲撃するといったような事もなかっただろうに。
ともあれ、クスコやマリオンもアルテミスでニュータイプ研究に協力はしているものの、その研究はかなり快適なものらしい。
「そうか。……では、聞きたいが、アクセルはこの2人とどうやって出会ったのだ? 私が知ってる限りでは、アクセルはフリーのMS乗りとして活動していた筈だ。それが連邦軍の基地を見つけると、すぐにバルチャーとして活動した」
そこで一旦言葉を切ると、ジャミルの視線はクスコやマリオン……ではなく、モニクやオルテガに向けられる。
「それとアルタネイティブ社との戦いの時に見せて貰ったが、全員が信じられない程の……それこそエースと言ってもいいような技量の持ち主だ。1人2人なら、まだ納得も出来るだろう。だが、全員が揃ってここまでの腕利きだというのは、納得出来ない」
「だろうな」
ジャミルのその言葉は、俺にも納得出来てしまう。
正直なところ、ルナ・ジオンにMSパイロットの援軍を求めるという事になったのはともかく、ここまでの精鋭揃いがやって来るとは思わなかった。
実はMSという事でSEED世界やW世界辺りにも話を通してもいいかも? と思ってはいたんだが……ここまで精鋭を送られてくれば、これで十分だと思ってしまう。
凛に言わせれば、SEED世界やW世界もシャドウミラーには恩や借りがあるが、UC世界はSEED世界やW世界とは比べものにならないくらいに恩や借りがあるから、という事らしい。
そう言われれば、その言葉には納得するしかない。
実際、UC世界のルナ・ジオンに対してシャドウミラーが行った援助は、とんでもない量になる。
ルナ・ジオンの首都となるクレイドルの貸与や、量産型Wやコバッタの大量派遣。
そもそもルナ・ジオンの建国もシャドウミラーの力があってこそのものなのだから。
そうである以上、ルナ・ジオンの恩返しは少しでも受け取っておいた方がいいと言われれば、俺としても拒否は出来なかった。
……その結果、これだけ大量のエースが送られてくるとは思わなかったが。
「では、聞かせて欲しい。アクセル、君は一体何者だ?」
改めてそう尋ねてくるジャミルの言葉に対し、さてどう反応したものかと悩む。
俺が何者かと言われて、素直に異世界からやって来た存在であると言ってもいいのかどうかは迷う。
とはいえ、確かにジャミルが言ってるように俺の状況は一般的に見たところでは間違いなく違和感しかない状態なのだ。
だが……それでも今の状況を思えば、言っておいた方が安心なのは間違いない。
「こことは違う世界の人……?」
不意にそんな声が響く。
ティファの視線が向けられているのは、オルテガ。
……ジャミルやサラはティファが一体何を言ってるのか理解出来ないといった様子だったが。
「お嬢ちゃん。そう簡単に人の心を読んでは駄目よ」
ティファが何をしたのか理解したのだろう。
クスコがティファに言い聞かせるように言い、マリオンは困った様子を見せており、オルテガは自分の心を読まれたと理解出来なかったのか、不思議そうな様子を見せている。
そしてクスコの言葉で、ジャミルもティファの言葉の意味を理解したのだろう。
俺の方を信じられないといった様子で視線を向けてくる。
「アクセル、ティファの言葉は……一体どういう事だ? こことは違う世界というのは、一体どういう意味だ?」
ジャミルのその言葉に、一体どう返事をすればいいのか迷う。
迷うものの、異世界という言葉が出ている以上は隠しようがないのも事実だ。
何しろオルテガの心を読んだのか、それとも直感的に理解したのかは分からないが、ティファは俺達がこことは違う世界……異世界から来たと理解しているのだ。
あるいはこれがティファだけしか聞いていないのなら、ジャミルに知られていないという事で何とか誤魔化すような真似も出来ただろう。
だが、ジャミルとサラがその言葉を聞いてしまっている以上、誤魔化すような真似は出来ない。
だとすれば、ここは話すしかない。
とはいえ、それはそれで問題がある。
まず、異世界という存在を信じて貰えるかというところからだな。
何しろこの世界は戦後15年だ。
ジャミルなら戦前の世界を覚えているだろうが、サラは……まだ10歳になったかどうかといった年齢だった。
だとすれば、当然ながら映画とか漫画とか小説とか、そういうのはまだあまり読んでいなかったと思う。
そんな存在に異世界とか言っても信じられるかどうか。
それを抜きにしても、ジャミルもまた異世界という存在を信じて貰えるかどうかは微妙なところだろう。
とはいえ、ティファから別の世界という言葉が出ている以上、それを誤魔化すのは難しいだろうが。
そうやって少し考え……最終的に、話す事にする。
ここで下手に誤魔化すような真似をして、それがジャミルに知られれば今後はこっちの話を信じて貰えないと思うし。
「そうだな。単純に言えば、俺は……俺達は異世界から来た。平行世界、パラレルワールドといった表現の方が分かりやすいか?」
「アクセル!?」
モニクが俺の方を見て驚いたように叫ぶ。
まさか、あっさり自分達の正体を言うとは思わなかったのだろう。
だが、ティファの言葉で恐らくこっちを訝しんでいるのは間違いない。
そうである以上、ここは素直に話した方がいいと思ったのだ。
「そんな……異世界だなんて……」
サラは俺の言葉が信じられないのだろう。
理解出来ないといった様子で……もっと言えば、俺が正気なのかどうかを確認するような視線をこちらに向けていた。
ジャミルはサングラスをしているのでどういう視線を向けているのかは分からないが、それでも半信半疑といったところらしい。
ティファは、特に表情も変えず……いや、相変わらず俺と視線が合うと机の後ろに隠れるものの、少しすると顔を出してこっちを見てくる。
「俺の言葉を信じるかどうかは、お前達次第だ。別に無理に信じろとまでは言わない。ただ、ここで隠しておけば後々面倒になるかもしれないから、素直に話しただけだ」
実際、俺にとっては異世界から来たという話を信じて欲しいとは思わない。
ティファが言わなければ、恐らくこの場で言うような事もなかったのだろうから。
「では……何故この世界に来たのか、聞いてもいいか? アクセルも知っての通り、この世界は人口の殆どが死んでしまった世界だ。滅びが間近にある世界であると言ってもいい。そんな世界に、何をしに?」
「そうだな。色々とあるのは間違いないが……取りあえずこの世界を支配する為とか、そういうありきたりな理由じゃないから安心しろ」
この世界に生き残った者の数を考えれば、世界征服をしようと思えば簡単に出来そうに思う。思うが……ぶっちゃけ、この世界を征服して一体どうする?
いやまぁ、人口が少なくなったのは間違いないが、この世界は普通に生活出来る。
コロニーが落ちた場所から離れれば、自然もそれなりにある。
そういう意味では、移住先として考えれば非常に魅力的なのは間違いない。
間違いないが、今のところ移住先を探している者はそういないしな。
あるいはネギま世界の火星とかにも移住は出来るし。
X世界にあるだろう未知の技術と、ニュータイプ研究についての諸々は欲しいが、それを入手する為には別に世界征服をする必要もない。
「つまり、今のようにバルチャーをする為にやって来たのか?」
「そんな感じだな。正直なところ、この世界にしっかりとした国とかがあれば、そこと貿易をするといった可能性もあったんだろうが。生憎とそういうのはないらしいしな」
セインズアイランドが国に近いが、わざわざ貿易をする程の旨みがあるとも思えない。
そういう意味では、やはり俺にとってこの世界は正直なところそこまで魅力的という訳ではないんだよな。
「……そうか」
「ん? 意外だな。それですませるのか? もっと色々と詳しい話を聞きたがると思ったんだが」
「勿論色々と聞きたい事はある。しかし、アクセルは私の質問に答えてくれるのか?」
「全ての質問に答える……って訳にはいかないが、ある程度ならな」
その言葉に、ジャミルは数秒沈黙した後で口を開く。
「では、聞こう。そこにいる2人。その2人もニュータイプだという話だったな? それはつまり、異世界にもニュータイプという存在がいるという事の証となる。アクセルの世界では、ニュータイプはどのような存在だった?」
「それに答える前に1つ訂正だ。俺の世界とクスコ達の世界は別の世界となる。色々と繋がりがあるのは間違いないがな」
そんな俺の言葉に、ジャミルは意表を突かれたかのように黙り込むのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750