転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3237話

 ヴァサーゴの性能を確認してテンザン級の格納庫に戻ると、そこに待っていたキッドに声を掛けられる。

 一体何故フリーデンのメカニック……それもただのメカニックではなく、メカニックを纏めているキッドがここに? と若干疑問に思うものの、キッドの目が輝いているのを見れば何となく理解出来た。

 前に会った時もそう思ったのだが、どうやらキッドは生粋のMS好きらしい。

 あるいはMSに限らず機械の全般が好きなのかもしれないが。

 そんな状況だけに、今こうして俺の前にいるのも何となく予想は出来る。

 

「ヴァサーゴの件か?」

 

 そう尋ねると、無言で頷く。

 ……にしても、テンザン級の格納庫には量産型Wとかコバッタ、精霊の卵のエルフ達がいるのに、そっちに全く興味を示していないのは、それだけヴァサーゴに興味を持ったのだろう。

 機械に興味があるのなら、コバッタ辺りには興味を示してもいいと思うんだが。

 ちなみに精霊の卵のエルフ達は、帽子や髪型でその特徴的な耳が見えないようになっている。

 キッドの今の様子を見れば、もしその辺りが見えていても特に気にしたりといったような事はなかった気もするが。

 

「ああ、そうなんだよ。ヴァサーゴって凄いMSだったろ? だから色々と見せて欲しいと思って。それに……ベルフェゴールってMSにも興味はあったし」

 

 その言葉に一瞬どうするかと考えるも、別にMSを見せても不都合はないかと思い直す。

 ダイラスの時のように、妙な仕掛けをしたりといった事は心配しなくてもいいだろうし。

 

「構わないが、ジャミルの許可は貰ってきたのか?」

「う……」

 

 言葉に詰まる様子からすると、どうやらジャミルには何も言わないで来たらしい。

 

「分かった。ならジャミルには俺から連絡をしておくから、機体は好きに見ていいぞ。ただし、フラッシュシステム搭載機だから……いや、GXを整備しているんだから、その辺は詳しく言わなくてもいいか」

「その辺は任せておいてくれよ。じゃあ、フリーデンへの連絡は任せたぜ!」

 

 そう言うと、キッドは早速ヴァサーゴに向かって突撃する。

 精霊の卵のエルフがこちらに視線を向けてきたので、取りあえず問題はないと頷いておく。

 

「アクセル、本当にいいの? あの様子だとMSを壊したりするんじゃない?」

 

 格納庫にいたクリスが、そんな風に声を掛けてくる。

 クリスはただのMSパイロットという訳ではなく、MSの開発者としての能力も持っている。

 それだけに、キッドがヴァサーゴやベルフェゴールをどうにかしないか心配だったのだろう。

 

「そこまで心配はいらないと思うけどな。キッドはフリーデンのメカニックなんだし、もし何か妙な真似をしようとしても、量産型Wやコバッタがいるから問題ないと思うし」

 

 その心配はまずないと思っていいが、もしキッドがヴァサーゴやベルフェゴールを盗もうとした場合、量産型Wやコバッタがそれを止めるだろう。

 コバッタはともかく、量産型Wは生身でも高い戦闘力を持っている。

 キッドがどうこうといったような真似は、まず出来ない。

 それ以前に、キッドがそういうことをするとは思えなかったが。

 

「そう? ならいいけど……それで、これからどうするの?」

「どうするって、何がだ?」

「フリーデンと一緒に行動するんでしょ? なら、それでどこに行くのかと思って」

「ああ、そっちか。そっちに関しては、ジャミルからの連絡待ちだな。……とはいえ、キッドの件も連絡しておく必要があるし、フリーデンに連絡するか」

「ブリッジに行くのなら、私も行っていい?」

「ん? それは構わないけど……何か用事があるのか?」

「そういう訳じゃないわ。ただ、何となくそうしたいと思ったの」

 

 クリスの言葉に少し疑問を感じつつも、別に断る理由もないのでクリスと一緒にブリッジに向かう。

 

「それにしても、あのヴァサーゴってMS……かなり高性能ね。それこそUC世界のMSよりも上なんじゃない?」

「どうだろうな。そういう一面があるのも間違いはないと思う。何しろX世界のMSは最低でも15年以上前に開発されたらしいしな」

 

 もっとも、その15年は戦後の事なのでMS技術の発展とかはなかったのだが。

 そういう意味では、もしX世界で起きた戦争がここまで酷い終わりになっていなければ……あるいは1年戦争程度の戦いになっていてお互いの間で終戦していれば、15年もあればMSはもっと発展していただろう。

 そういう意味では、色々と大変なのは間違いない。

 MSの性能という点では、X世界の方が進んでいる一面が強いのは間違いない。

 例えば、クリス達が使っているオクト・エイプだ。

 普通に空を飛べるMSが量産されている点では、ジオン軍や連邦軍よりも上となる。

 勿論、ジオン軍や連邦軍にも空を飛べるMSはある。

 だが、それはあくまでも試験機や実験機が大半だ。

 オクト・エイプのように、本格的に量産されたといったMSはない。

 グフ・フライトタイプとかその辺は一応多少は量産されているが、それでも少数だし。

 

「そう考えると、私達の世界は悪い世界じゃないのね」

「そうだな」

 

 そう言いつつも、もしかしたらUC世界で起きた1年戦争がああいう風にどっちにもまだ余力のある状態で終わったのは、シャドウミラーが関係しているのでは? という思いもある。

 もし俺達がUC世界に干渉し、ルナ・ジオンという国家を月に作っていなければ、X世界と同じような結末を迎えていた可能性も否定は出来ない。

 あるいは逆に、ルナ・ジオンが存在したせいで原作よりも戦死者が多くなったという可能性もあるのだが。

 

「とにかく、X世界のMSはUC世界のMSについて考える上でも、決して悪くはない。そういう意味だと、クリスが進んでX世界に来た理由にも納得出来るな」

「え? ……ふふっ、そうね」

 

 俺の言葉に一瞬意表を突かれたような表情を浮かべたクリスだったが、すぐに笑みを浮かべて俺の言葉に同意してくる。

 今、何かあったか?

 そんな風に思いつつも、クリスの方には特に問題がないようだったので、話をしながら通路を進み、やがてブリッジに到着する。

 

「あら、アクセル。ヴァサーゴの方は……クリス? ふーん……」

 

 ミナトがブリッジに入ってきた俺を見て何かを言い掛け、やがてすぐクリスの方を見ると面白そうな様子を見せる。

 そんなミナトに、クリスは何か思うところがあったのか早足で近付いていった。

 一体何なんだろうな。

 そう思いつつ、マリューに声を掛ける。

 

「フリーデンに通信を入れてくれ。ジャミルに連絡しておく必要がある」

「フリーデンに? ああ、あの子の件ね」

 

 当然だが、艦長のマリューはキッドがテンザン級にやって来た事を知っていたのだろう。

 俺の言葉にすぐに頷き、量産型Wに指示を出す。

 するとすぐにフリーデンと通信が繋がる。

 

『アクセル、どうした? ガンダムに何か問題でもあったのか?』

 

 ヴァサーゴの件で連絡をしてきたと思ったのか、ジャミルがそう尋ねてくる。

 普通に考えれば、このタイミングで連絡が入ったんだからそんな風に思うのも当然か。

 フリーデンにはGXがあるので、ガンダムについて何か知りたいと思って連絡をしてきたといった可能性もある。

 しかし、俺はそんなジャミルの言葉に首を横に振る。

 

「いや、ヴァサーゴについて問題はない。ただ、お前のところのキッドがガンダム見たさに俺のところにやって来てたからな。一応知らせておこうと思っただけだ」

『む……そうか。キッドは迷惑を掛けてないか? 何か問題があるようなら、呼び戻すが』

「構わない。別に見られて困るようなものはないしな」

 

 いやまぁ、量産型Wやコバッタ、精霊の卵のエルフ達は見られて困るのでは? と思わないでもなかったが。

 それでもあの様子だと問題はないだろうし、最終的には俺達が異世界の存在だと知っているジャミルやサラには問題がない……と思う。

 

『感謝する』

「ああ。幸い、今はこれからどう行動するのかはまだ決まっていない。そうである以上、キッドがMSを見るくらいは問題ないだろ」

 

 アルタネイティブ社からのデータや資料の回収はもう大体終わっている。

 それ以外にも色々と使えそうな物資は奪ってきた。

 だからこそ、今のこの状況ではキッドに好きなように動いて貰っても構わない。

 とはいえ、ガンダムの方はともかくオクト・エイプを見られるのは……そこまで問題ないか?

 オクト・エイプは、この世界の標準の機体と比べると30%程性能が上がっている。

 ただし、その技術はシャドウミラー特有の技術を使ったりとかはしておらず、あくまでも一般的な技術を使ってのものだ。

 そういう意味では、キッドに見られても問題はない。

 ただ、そこで使われている技術を見て、キッドが何かアイディアを思いつく可能性は否定出来なかった。

 まぁ、キッドが何か新しいアイディアを思いついても、それでこの世界のMSの発展技術がどうこうなるとは思えない。

 元々この世界についてMSの発展は……いや、ヴァサーゴを考えれば、そうでもないのか?

 

「ジャミル、一応聞いておきたい。俺が奪ったヴァサーゴは、分類的にはガンダムだ。そしてガンダムというのは連邦軍において秘密兵器、切り札なのは間違いないな?」

『うむ、それは間違いない』

「なら、ベルフェゴールも当然そういうガンダムの1機……いや、ガンダムについて詳しいジャミルがその機体を知らなかったということは、GXやレオパルド、エアマスターよりも生産された機数が少なく、より機密度が高いガンダムの可能性が高い」

 

 その言葉に、ジャミルは素直に頷く。

 ジャミルにとって、今の状況を思えば色々と思うところはあるのだろうが。

 

「そしてヴァサーゴはベルフェゴールの後継機だ。これはヴァサーゴを操縦していたシャギアの口から聞いていたから間違いない。だとすれば……そんな機密度の高いガンダムの後継機を、一体誰が作った?」

『それは……なるほど。だが、そのような組織の話は私も聞いたことはない。これでも情報収集には力を入れているのだが』

 

 だろうな。

 ジャミルの場合、ニュータイプを救う為に少しでも情報は欲しい筈だ。

 実際、その情報によってティファをアルタネイティブ社から助ける事に成功しているのだから。

 そんなジャミルも、ベルフェゴールの後継機を作る事が出来る組織について知らない。

 それだけ裏に潜むのが上手いのか、それとも存在していないのか。

 いやまぁ、ヴァサーゴがあるんだから何らかの組織が存在しているのは間違いない。

 恐らく……本当に恐らくだが、連邦軍と何らかの関係があった組織のような気がするんだよな。

 ヴァサーゴとアシュタロンは、ベルフェゴールの後継機だ

 後継機を作るという事は、つまりシャギア達の組織はベルフェゴールを……それが実際の機体かデータだけなのかはともかくとして、所持していたのは間違いない。

 機体かデータかは分からないが、連邦軍にとって恐らく切り札だったのだろうベルフェゴールを持っていたという事は、連邦軍に連なる組織の可能性が高かった。

 勿論、俺みたいに偶然バルチャーが連邦軍の基地を探索していて、ベルフェゴールを見つけたという可能性も否定は出来ないが。

 ただ、どちらの可能性が高いのかと言われれば、やはり連邦軍に連なる者達だろう。

 

「連邦軍の生き残りがいるという話は聞いた事がないか?」

『連邦軍の? いや、そのような話は聞いたことがないな』

 

 俺の問いに、ジャミルは首を横に振る。

 

「そうか。ベルフェゴールの後継機を作れるくらいだから、ちょっとやそっとの組織って事はないと思うんだが」

『私が知らないだけかもしれん。その辺りについては、私も色々と調べてみよう。情報屋に情報を集めて貰ってもいいかもしれんな』

「ジャミルの場合は、情報屋もそうだがバルチャーに呼び掛けた方が手っ取り早いと思うけどな」

 

 アルタネイティブ社を攻めるということで、ジャミルはバルチャー仲間に応援を要請した。

 その結果集まったのが、バルチャーの中でも顔であるロッソに、俺と同じくテンザン級とオクト・エイプを使っているグリーツ、女バルチャーとして知られているローザの3人だった。

 実際には、その中に俺の姿もあったのだが。

 そうした人脈を持つジャミルなら、バルチャーに情報を集めて貰った方がいいのは間違いない。

 

『ふむ、そちらにも手を回しておこう。……もし本当に連邦軍の生き残りがいるのなら、色々と不味いことになる可能性も否定出来ないからな』

 

 ジャミルのその言葉に頷くと……

 

「アクセル、さっき話に上がっていたキッドって子が格納庫から通信を送ってきているけど、どうする?」

 

 そうミナトが言ってくる。

 何で操舵士のミナトが通信を? と思わないでもなかったが、それは別にいいか。

 

「キッドが? 何だ? こっちに回してくれ」

 

 そう言うとミナトはすぐに操作して映像モニタにキッドの顔が映し出され……

 

『なぁ、アクセル。ガンダムを改造しないか?』

 

 そう、告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1750

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