転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3250話

「おう、アクセル。久しぶり……って訳でもないけど、元気そうだったか……って、大分疲れてるな」

 

 俺の顔を見たメンテ親父がそんな風に言ってくる。

 メンテ親父にしてみれば、本来なら元気よくやり取りをしたかったのだろう。

 だが、俺が疲れている様子を見て、少し困った様子でそう告げる。

 俺が疲れているのは、当然だが部屋でやり合ったクリスとシーマの件が原因だ。

 結局半ば逃げ出す形で飛び出してきたのだが、この一件が終われば、それはそれでまた面倒が待っていそうな気がするんだよな。

 

「ああ、ちょっとあってな」

「ふーん。まぁ、フリーのMS乗りが人を率いてバルチャーをやるってのは大変なんだろうな」

 

 どうやらメンテ親父は俺がフリーのMS乗りから人を率いてバルチャーとして行動する事になったのが原因で疲れていると思ったらしい。

 実際、その言葉は決して間違ってはいない。

 ただし、それはあくまでも俺が普通のフリーのMS乗りならばの話だが。

 だが、幸か不幸か俺はとてもではないが普通ではない。

 元々がシャドウミラーを率いる立場である以上、人を率いるのは……いやまぁ、政治の事は政治班に任せているし、戦いになった時も全体の指揮はコーネリアに任せて俺は単独行動をする事が多いとなると……

 取りあえず最強というシャドウミラーの象徴となっているのは間違いないので、その辺は特に突っ込まなくてもいいか。

 

「まぁ、色々とあるんだよ。それより、そっちの方も元気一杯といった風には見えないが?」

 

 本人は表に出していないつもりでも、メンテ親父との付き合いはそれなりに長い。

 そうである以上、メンテ親父の様子にちょっと思うところがあったのだ。

 

「ん? ああ、分かるか? 実はアクセルのおかげで俺の名前が広まったらしくて、ガンダムが来たんだよ。もっとも、整備の依頼じゃなくて場所を貸して欲しいって奴だったけど。それも2機も」

「……へぇ」

 

 もしかして、これはビンゴか?

 言うまでもなく、X世界においてガンダムというのは高性能なMSだが数が少ない。

 そうである以上、ガンダムを持っている者も少ない訳で……メンテ親父にガンダムを置く場所を貸して欲しいと言ってきた相手は珍しい。

 けど……2機か。

 そうなると、ウィッツとロアビィか?

 シャギアのヴァサーゴは俺が奪ったので、アシュタロンだったら1機だし。

 GXはフリーデンと一緒に行動している筈だしな。

 

「そんな状況で、何で落ち込んでんだ?」

「いや、それがな。1機の方は一緒に写真を撮ったんだけど、もう1機の方は写真を撮ることが出来なかったんだよ」

 

 この時代、当然ながらネットのようなインフラは全滅している。

 そうなると情報のやり取りは口コミが主なものとなる。

 情報屋とかが仕事として成り立っているのも、この辺が関係していた。

 ……いやまぁ、ネット環境が整っていれば、それはそれで情報屋としてやっていけるだろうけど。

 ともあれ、そんな風に口コミが主である以上はガンダムと一緒に撮った写真を店に貼っておけば、それは宣伝として十分な効力を発揮するのだ。

 そういう意味ではメンテ親父が少しでも多くのガンダムと一緒に写真を撮りたいと思ってもおかしくはない。

 いっそ、ヴァサーゴやベルフェゴールの写真を撮らせるか?

 そうも思ったが、それは却下する。

 ヴァサーゴやベルフェゴールの写真を撮らせれば、メンテ親父は満足するだろう。

 だが、ベルフェゴールはGXやエアマススター、レオパルドと違い、かなり希少なガンダムだ。

 そんなガンダムの写真を貼っておけば、間違いなく面倒な事になるだろう。

 最悪、そのガンダムを欲して俺と繋がりのあるメンテ親父を人質に……といったような事があってもおかしくはなかった。

 そしてヴァサーゴにいたっては、何らかの組織が関係しているベルフェゴールの後継機だ。

 もしそんな機体の写真を貼っておけば、ベルフェゴールの写真を貼った時よりも面倒な事になってもおかしくはない。

 

「そうか。残念だったな」

 

 結果として、俺はそれだけを言うことにした。

 

「ああ。とはいえ、GXを売るって話も結局なくなって……」

「待て」

 

 メンテ親父の口から出たのは、俺にとっても予想外の言葉だった。

 GX、と。

 間違いなくそう言ったのだ。

 であれば、それは恐らくガロードのMSだと考えて間違いない。

 まさか、連邦軍の切り札と呼ばれたGXが、実はこの近くにもう1機あったというよりはガロードがGXを売りに来たといった方が納得出来る。

 納得は出来たのだが、それはそれで疑問があった。

 何故ガロードはGXを売るなんてことを考えた?

 ガンダムの希少性は、この世界において言うまでもない。

 だから売ろうと思えば当然ながら結構な値段で売れるだろう。

 しかし、GXはフリーデンにとって非常に大きな……というか、唯一の戦力だ。

 何故ガロードがそんなGXを売ろうなんて考える?

 

「どうした?」

「一応聞いておくが、GXを売ろうとしてきたのはガロード……10代半ばくらいの男か?」

「ああ、そんな感じだったな」

 

 どうやらGXを売りに来たのは、ガロードで間違いないらしい。

 ……正直なところ、何がどうなってそうなったのかは、俺にも分からない。

 ただ、もし本当にガロードがGXを売るのなら俺は是非とも購入したいと思う。

 ああ、でもGXを売るという話が結局なくなったのか。

 

「で、GXを売る話がなくなったって話だったが、それは結局どうなったんだ?」

「何だか知り合いらしい奴が乗ってきたガンダムが移動したら、それを追って行ったぞ」

「知り合いらしい奴が乗っていたガンダム?」

 

 ガロードの知り合いでガンダムに乗っているとなると、それは俺かウィッツ、ロアビィの3人だろう。

 しかし、当然ながら俺は少し前まで別の場所にいたので違うとして、そうなると考えられるのはウィッツとロアビィか。

 あの2人はフリーのMS乗りだ。

 そう考えると、ここでガロードと会ってもおかしくはないのだが……それでも一体何があったのかが全く理解出来ない。

 何がどうなってそんな感じになったんだ?

 

「ああ。それにしても変形するガンダムがあるって話は聞いたんだが、まさか実際に見られるとは思ってなかったよ」

「変形? そうなると、ウィッツか。エアマスターなら……」

「いや、違う」

 

 メンテ親父が俺の言葉を遮る。

 それは俺にとって完全に予想外だった。

 変形するガンダムとなると、エアマスターくらいだろう。

 それ以外となると、オルバのアシュタロンしかない。

 

「俺も直接見た事はないが、エアマスターについては知っている。戦闘機型に変形するガンダムだろう? けど、あの坊主が追って行ったのは、変形は変形だが戦闘機というよりは……こう……そう、何か生き物っぽい感じに見えた」

 

 やっぱりアシュタロンか。

 だが、一体何がどうなってそうなったんだ?

 アルタネイティブ社の一件から考えると、ティファを連れ去ったオルバをガロードは決して許さないだろう。

 なのに、そんな2人が一緒に行動してるのか?

 そもそも、ガロードがティファに惚れているのは俺が見ても分かった。

 なのにガロードがフリーデンから離れるのは、何がどうなってそうなる?

 何がどうなっているのか、全く理解出来ない。

 だが、どうなっているのか理解出来ないからといって、このまま放っておく訳にいかないのも事実だろう。

 それに俺達にちょっかいを掛けてきたバルチャー達の事も気になる。

 あの連中を唆したのは、恐らくはシャギアで間違いない。

 だとすれば、フリーデンとオルバ、ガロード……これは何がどうなってそんな感じになったんだ?

 

「まさか情報屋に接触する前に、ここで必要な情報を得られるとは思わなかった」

「ふふん。俺もサン・アンジェロ市では顔役の1人になったからな。……まぁ、アクセルのおかげなんだが」

 

 メンテ親父の言ってる事は事実だ。

 俺がサン・アンジェロ市でフリーのMS乗りとして活動している時、メンテ親父の店を頻繁に使っていたから、それが理由でメンテ親父の影響力は強くなっていったのだろう。

 そういう意味では、俺がメンテ親父の恩人といった風になってもおかしくはない。

 

「俺が欲しかった情報は入手出来たが……そう言えば、サン・アンジェロ市で購入が決まったMSはもう届いたか?」

 

 本来なら、以前俺達がサン・アンジェロ市に来た時にモニクがサン・アンジェロ市と契約を結んだので、一度基地に戻って注文されたMSを運んでくる予定だった。

 しかし、ロッソに会ってアルタネイティブ社の一件に協力を頼まれ、それを引き受けたのだ。

 ロッソにはフリーのMS乗りとして活動していた時に色々と世話になっている以上、その依頼を引き受けない訳にはいかなかった。

 そして実際、ロッソからの依頼を引き受けたおかげで、恐らくこの世界の原作で中心となるだろうフリーデンと遭遇できたのだから。

 この世界のニュータイプであるティファとも遭遇出来たし。

 ……まぁ、そのティファは何故か俺を怖がっているようなのがちょっと予想外だったが。

 せめてもの救いは、ティファは俺を怖がってはいるものの、嫌ってはいないという事だろう。

 何故か俺を見て海を想像したというのは……うん。ちょっと予想外ではあったが。

 

「ああ、ちょっと前に届いた筈だ。とはいえ、MSはあってもそれを使える奴はそう多くはない。そもそもMSに乗れるのならフリーのMS乗りやバルチャーになったりする奴が多いからな」

「実際、俺が初めてサン・アンジェロ市に来た時は、フリーのMS乗りやバルチャー達からMSを借りて警戒していたしな」

「ああ、それそれ。その件でちょっと面白い事がある」

 

 メンテ親父は、ニヤリという表現が相応しい笑みを浮かべてそう言ってくる。

 

「何だ?」

「ほら、アクセルが最初にここに来た時に、揉めた奴がいただろ? お前がMSを奪った奴」

「ああ、あの」

 

 俺の乗っているのがオクト・エイプという、高性能で生産数もそこまで多くない――あくまでもジェニスとかと比べてだが――MSであるというのを知って、そのMSを奪おうとした奴がいたのだ。

 結果として、俺が逆にそいつを倒してその男が乗っていたMSを奪ったのだが。

 

「そいつがGXの件で坊主……ガロードだったか? そいつを襲ったらしいんだが、返り討ちにあったらしい」

「何をやってるんだ、あいつは。いや、もしかして俺がMSを奪ったのが原因だったりするのか?」

 

 MSというのは、当然ながらかなり高価な代物だ。

 色々と認識は違うが、日本で言えば高級外車といったような感じか?

 それくらいに高価な代物だけに、MSをなくしたからといって次をすぐに手に入れる事が出来るといったような代物ではない。

 だからこそ、あの男はMSを奪う為にガロードを襲った……という可能性も否定は出来ない。

 それで結局失敗してるのはどうかと思うが。

 いやまぁ、もし襲撃が成功していればGXはそいつに奪われていたんだ。

 そうである以上、失敗してくれて助かったのは間違いない。

 ……純粋に俺がGXを入手するというだけなら、あるいはいっそガロードがGXを奪われ、それから俺が奪うといった真似をしてもいいんだが。

 あ、でもあのGXはティファの力によってサテライトキャノンの登録がされているのか。

 そんなGXがああいう奴の手に渡ったら、それこそ一体どうなっていた事か。

 場合によってはサン・アンジェロ市が消滅していてもおかしくはない。

 

「それで、GXを奪うのを失敗した奴はどうなったんだ?」

「さあな。この街はもう出ていったらしいが、具体的にどこにいったのかってのは分からないな」

「ああいう奴だから、何だか盗賊になってそうな気がするんだよな」

 

 盗賊になれば、場合によってはMSを入手出来る可能性もある。

 

「それは……あるかもしれないな」

「だろう? まぁ、盗賊になって俺達を襲ってきたらすぐに倒すが」

「いやいや、テンザン級に乗ってるし、機体はオクト・エイプが多数だろ? そんな相手を襲うなんてのは普通有り得ないぞ?」

「あいつなら、そういう真似をしてもおかしくはないと思うけどな。……ともあれ、色々と話を聞かせてくれて助かった。ただ、フリーデン……ガロードが乗っていた船がどこにあるのか、そういうのは分からないか?」

「あのなぁ、言っておくが俺はあくまでも機械屋だぞ? 情報屋じゃねえ」

 

 メンテ親父が呆れたように言ってくる。

 その言葉は、そんなに間違っている様子はない。

 しかし、今の状況を思えばフリーデンがどこにいるのかを知りたいのも事実。

 ガロードがオルバと一緒に……あるいは一緒にではないのかもしれないが、とにかくどこかに行ったのは間違いない。

 そうなると、フリーデンと合流するのが一番手っ取り早いだろう。

 とはいえ、ガロードの件を考えるとフリーデンが約束の場所に時間通りやって来るとは思えない。

 

「やっぱり情報屋に顔を出すか」

 

 結局のところ、そういう事になるのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1750

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