『アクセル、教えて貰った座標が燃えているわ』
ヴァサーゴのコックピットで待機していた俺に、マリューが通信でそう言ってきた。
一瞬マリューが何を言っているのか分からなかったが、マリューはそんな俺の様子を見てすぐにテンザン級の映像を回してくる。
するとそこには、森が燃えている光景があった。
このX世界は、ただでさえコロニー落としで多くの自然が破壊されているってのに、よくここまで大胆に環境破壊をするな。
いやまぁ、俺が言えるような事ではないのかもしれないが。
当然だが、森が燃えているのは自然に火が出て火事になった……って訳ではないのだろう。
偶然フリーデンがいた場所で山火事……山じゃなくて森だから森火事か? ともあれ火事が起きるというのは疑問だ。
それに俺が情報屋から聞いた話だと、ザコットというバルチャーによってフリーデンが襲われているという話だった。
それを思えば、恐らくこの火事はザコットの仕業だろう。
今の地球でこれだけの環境破壊をするのは、この世界的にどうかと思うんだが。
バルチャーにしてみれば、その辺はあまり関係ないという事か。
「映像を見る限り、フリーデンの姿はないな。だとすれば、この火事を嫌って移動したか。……GXやアシュタロンの姿もないしな」
『ええ、どうやらそのようね。どうする?』
「MS隊で出る。テンザン級は火事に巻き込まれないようにしていてくれ。それと、出来れば消火活動をしてくれると助かる」
『分かったわ。けど、ザコットとかいうバルチャーがいるんでしょう? そのバルチャーがこっちにも攻撃してくるかもしれないし、ザコットじゃなくても他のバルチャーが襲ってくる可能性があるから、3機はMSを残していって欲しいわ』
「3機か」
マリューのその判断は間違っていないだろう。
もっとも、テンザン級を操るのはミナトなのだ。
そう考えると、敵が襲撃してきてもミナトの技術でどうとでもなりそうな気がするのは俺だけか?
いや、シャドウミラーでミナトの操縦技術を知ってる者なら、多くの者が同意してくれると思う。
とはいえ、ミナトが優れているのはあくまでも操縦技術だけだ。
その上、テンザン級は武器も……ない訳ではないが、それでもそこまで強力ではない。
少なくてもMSの方が戦力的には上だろう。
そういう意味では、後でテンザン級を改修してもいいのかもしれないな。
現在は実弾だが、ビーム砲や対空機銃とかを増設してもいいかもしれない。
そうなると動力炉の出力が……俺達が使うんだし、やっぱりこれもブラックホールエンジンにするか?
けど、基地にある動力炉とは違い、テンザン級の場合は普通に移動したりする。
中には何らかの理由で動力炉を見るといった者が出て来ないとも限らない。
その辺を考えると、やっぱりブラックホールエンジンは不味いな。
普通の……現在使っている動力炉を改良するのがいいだろう。
テンザン級で使っているオクト・エイプが、普通のオクト・エイプよりも30%くらい性能が上がってるみたいな感じで。
『アクセル、誰を残すの?』
「3機となると、本来なら黒い三連星がいいんだろうけどな」
『断る』
俺とマリューの通信を聞いていたガイアが、そう言ってきた。
だろうなと、その言葉に納得する。
黒い三連星は基本的に攻撃に特化した存在だ。
勿論防衛戦もやろうと思えば出来るだろうが、それでもやはり攻撃の方が向いている。
この辺りは、パイロットの性質によるものだろう。
黒い三連星が駄目となると、残るのはシーマ、クスコ、モニク、クリス、マリオンか。
「シーマとクリスの2人がこっちに残ってくれないか?」
『あたしとクリスかい? 3人って話だろう?』
「そうだが、人選を考えるとそうなる」
フリーデンにはティファがいるから、ニュータイプのクスコとマリオンは連れていきたい。
フリーデンと何らかの交渉をする際には、モニクが必要となる。
あるいはザコットと交渉する必要もあるかもしれないし。
シーマの指揮能力はザコット達と戦う時には是非とも欲しいと思う。
しかし、今の状況を考えると黒い三連星も連れていく以上は、異名持ちになるだけの技量を持つシーマはこっちに残しておきたい。
それに2人だからこそ、より技量の高い奴を残したいという思いもある。
クリスの方は……うん。万能というか器用貧乏というか、何をやらせてもそつなくこなすというのが大きい。
少し心配なら、取りあえずクリスはそっちに入れておけというのが俺の認識だった。
『しょうがないね。言っておくけど、これは貸しだよ』
『あら、じゃあ私もアクセルに貸し1つという事でいいのよね?』
シーマとクリスのその言葉に頷いておく。
この2人に借りを作るのは……うん、そこまで悪い話じゃないと思う。
無茶な事を言ってくるとは思えないし。
そんな訳で、問題はないと判断しておく。
『あっ、ちょ……それなら私も……』
『クスコ、今はそんな事を考えているような場合じゃないでしょう? 早くフリーデンを見つけないと』
クスコとモニクのやり取りを聞きながら、俺は口を開く。
「じゃあ、出撃するぞ。シーマとクリスはテンザン級の護衛を。それ以外はフリーデンに向かうぞ」
こうして素早く判断出来るのは、テンザン級に搭載されているMSの全てが空を飛べるからだろう。
「アクセル・アルマー、ヴァサーゴ、出るぞ!」
テンザン級から出撃すると、空中に浮かぶ。
後はフリーデンのいる場所だが……
『炎の燃えている方向が、一直線に進んでいるな。そっちに向かえばフリーデンがいるんじゃないか?』
ガイアのその言葉に、森の燃えている光景を見る。
上から見ると、ガイアの言う通り一直線に向かっている。
そっちに向かったのは、恐らく間違いはないだろう。
「そうだな。ガイアの言葉が正しいと思う。そっちに向かうぞ」
そう言い、俺達は炎の燃えている森の上空を飛んで移動するが……
幸いな事にフリーデンが移動を始めてからそこまで時間が経ってなかったらしく、移動してからそんなに時間が経っていない状態でフリーデンの姿を確認出来た。
「いた。……けど、エアマスターとレオパルドもいるな」
空というか、森のすぐ上辺りを飛んでいるエアマスターを、フリーデンの側で護衛をしているレオパルドの姿を見つける。
アルタネイティブ社の一件が終わって、ウィッツとロアビィはフリーデンからいなくなった筈なんだけどな。
ああ、でも考えてみればそうおかしな話でもないのか。
フリーデンのMS戦力はGX1機だけだった。
しかし、そのGXはサン・アンジェロ市で売りに出したのだ。
つまりフリーデンにはMSの戦力がなかった事になる。
もっとも、フリーデンはGXを入手する前からMSの戦力は有していなかった。
そんな状況でウィッツとロアビィを雇うといった真似をしたのは……多分、GXが原因だろうな。
フリーデンがGXを入手する前までなら、フリーデンはMSを所有しないバルチャーだという風に周囲に認識されていた筈だ。
しかし、アルタネイティブ社の件でフリーデンはGXの戦力を大々的に使った。
それを知った情報屋からその情報を買ったフリーのMS乗りやバルチャーは何を考えるか。
ガンダム1機だけを所有しているフリーデンを拿捕するなり、動けないようにするなりすれば、そのガンダムを入手出来ると考えてもおかしくはなかった。
そうである以上、フリーデンとしても狙われる可能性が高いのだから、護衛を雇う必要があったのだろう。
X世界の状況を考えると、ガンダムを2機雇うというのはどうかと思うが。
ガンダムは高性能MSだが、それだけにガンダム乗りを雇うとなると報酬も高くなる。
それなら、俺達に連絡をしても……いや、ここと俺達がいた場所は結構離れてるから、連絡が出来なかったのか。
あるいは一緒に行動する上で俺達に借りを作りたくないと思ったのかもしれないが。
ともあれ、フリーデンを見つけたのは大きい。
「ウィッツ、そのままだと地上から狙われるぞ。もっと高度を取れ」
『アクセル!? 何でここにいるんだ!?』
地上からの攻撃を回避しつつ攻撃していたウィッツは、いきなりの通信に驚いた様子で上空に向かう。
どうやら俺達の存在に気が付いてはいなかったらしい。
「色々とあってな。それよりフリーデンはどこに向かってるんだ?」
『湖だ。この先にあるらしい』
「……湖?」
ウィッツのその言葉を聞いて、疑問を抱く。
ザコットの部隊は、地上を見る限りジェニスに火炎放射器を装備している機体だ。
森が燃えている理由は、これだったらしい。
その件はいいとして……湖?
火炎放射器を使っているのに、湖の方には戦力がいないのか?
明らかに不自然な気がする。
「それを決めたのはジャミルか?」
『あ? いや、ジャミルはまだ意識が戻ってねえらしい』
意識が戻ってない?
一体何があったのか全く理解出来ない。
とはいえ、ガロードがGXを売ろうとしてサン・アンジェロ市にやって来たのは、その辺が関係してるのかもしれないな。
そんな風に考えているところで、フリーデンとの距離を近付いて来た。
「全機、フリーデンの援護を」
その指示に従い、黒い三連星を始めとした他の面々も地上に向かって空からビームで攻撃していく。
「フリーデン、聞こえているか? アクセルだ」
『アクセルさん!? 一体何故ここに……』
俺の通信で、映像に出たのはジャミル……ではなく、サラ。
ウィッツと同じような事を聞いてくるが、それも当然だろう。
元々日時を決めて待ち合わせをしていたのだ。
そうである以上、まだその日時になっていないのに俺がフリーデンに接触するというのは、サラにとって驚くのも当然だろう。
とはいえ、今の状況では色々と説明している暇はないのも事実。
「細かい話は後だ。それより、フリーデンの移動を停めろ」
そう言った瞬間、サラの表情が一瞬強張る。
……何で今の言葉でサラの表情が強張るんだ?
そんな疑問を抱くも、今はまずこの状況をどうにかする方が先だ。
「恐らくこのまま湖に向かえば、そこには罠が仕掛けてあるぞ。考えてみろ。火炎放射器を使って攻撃してくるような連中が、何で湖に逃げるフリーデンを自由にしてるんだ?」
『別に自由には……攻撃されてます!』
そう言いながらも、俺の言葉に多少の納得はしたのだろう。
フリーデンは移動するのは止めないものの、移動速度は間違いなく落ちた。
「それでもだ。敵……ザコットというバルチャーだが、そいつはフリーデンが火炎放射器の攻撃を嫌って湖に逃げるというのを読んでいたんだろう。いいから停まれ」
そんな俺の言葉に、しかしサラは不満そうな様子を見せる。
何故ここまで頑なになっているのかは、生憎と俺にも分からない。
しかし、このままだと敵の罠に掛かる可能性は非常に高かった。
『そうだ。アクセルの言う通りにしろ』
不意に聞こえてくるそんなジャミルの声。
あれ? 一体どうなってるんだ?
ブリッジにジャミルがいなかったから、ジャミルに何かあったんだろうと思っていたんだが。
その割にはこうしてジャミルの声が聞こえてくるというのは、一体どうなってる?
そんな疑問を抱くも、映像モニタから聞こえてきた歓声によって、俺の疑問は綺麗に消えてしまう。
『すまないな、皆。苦労を掛けた』
『いえ、キャプテンの目が覚めたのなら……』
サラのその言葉からすると、どうやらジャミルは気絶していたらしい。
一体何がどうなってそうなったのかは、正直なところ分からない。
だが、なるほどと納得もする。
火炎放射器によって相手を湖に誘導するというのは、結構ありふれた罠だ。
そんな罠を何故ジャミルが読めなかったのか。
単純にジャミルがブリッジにおらず、気絶なりなんなりして意識がなかったから、フリーデンの指揮が出来なかったらしい。
フリーデンの事情に納得している間にも、サラを含めたブリッジメンバーとジャミルの会話が続いていた。
『何故ですか、キャプテン! キャプテンは私よりもティファの方を信じるというのですか!』
そんなサラの声が聞こえてくる。
あー……なるほど。何となく事情が理解出来た。
何らかの理由でジャミルの意識がない状態でザコットに襲撃され、今の会話の様子からすると、サラが火事や火炎放射器から逃げる為に湖に行くように指示をした。
だが、それをティファが止めて、問題になっているところで俺がフリーデンに追い付いた。
そしてああだこうだとやっている時に、ジャミルの意識が戻った。
ざっと考えてこんなところだろう。
勿論、これはあくまでも俺の予想だ。
完全に合ってはいないかもしれないが、それでも恐らくそう間違っていないだろうと思える。
そしてサラは自分の意見が否定された事が面白くない。
だが……俺が知っているサラなら、この状況で意固地になるとは思えない。
いやまぁ、勿論俺はサラのことをそこまで詳細に知ってる訳ではない。
話をした回数も、そんなに多くないし。
ともあれ、まずはフリーデンを止めるのが先だな。
そう判断し、ストライククローのクロービーム砲をフリーデンの進行方向に向けて撃ち込むのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750