転生とらぶる   作:青竹(移住)

339 / 4302
0313話

 目の前に広がる光景は圧倒的な絶景だった。遠くに見える山々や京都市内が一望出来る。そして森に包まれるようにそびえ立っているかのようなその姿。即ち、清水寺。

 

「うわぁ……」

 

 俺の隣にいる釘宮もまた、その絶景に息を呑んでいる。

 とは言え、ただの女子中学生がその光景をぼーっと眺めている筈も無く……

 

「これが清水寺かぁ」

「飛び降りるアレか!」

「誰か飛び降りれ!」

「では、拙者が」

「おやめなさい!」

 

 さすがは3-Aというべきか、ノリだけで長瀬が清水寺の舞台から飛び降りようとしてあやかに突っ込みを食らっていた。

 そのすぐ近くでは何かのスイッチが入ったかのように綾瀬が清水寺の説明をぺらぺらと口に出している。どうやら清水寺の舞台から飛び降りても生存率は85%とかなり高いらしい。本当に意外だな。良く『清水の舞台から飛び降りる』という言い回しがあるだけにその生存率は予想外だ。

 

「アクセル君、この先に恋占いの石があるという話ですので是非一緒に行きましょう!」

 

 そんな風に考えていると、いつの間にか隣にやってきたあやかが俺の手を引っ張って先へと進んでいく。もう少し景色を眺めていたかったんだが……そうも思ったが、既にクラスの殆どが先に進んでいる以上は俺だけ残っても皆を困らせるだけだろう。

 

「分かったからそう引っ張るな」

 

 そう言いつつも、清水寺の順路と書かれている通路を通りえんむすびの神、地主神社と書かれている場所へと辿り着く。

 と、通路の真ん中に何やら大きめの石が埋まっているのが見える。

 

「これは何だと思う?」

「さぁ、なんでしょう?」

 

 あやかと共に首を傾げていると、明石がこちらへと近寄ってきて答を教えてくれた。

 

「いんちょ、いんちょ。この石から向こうの石まで目を瞑って辿り着けば恋が成就するんだってさ」

「何ですって!?」

「恋が成就、ねぇ」

 

 パッと見、向こうの石までの距離はざっと20m程度はある。この距離を目を瞑って進むというのは一般人にはちょっと厳しいんじゃないんだろうか。

 

「では、早速私が挑戦しますわ!」

「あ、いいんちょずるい。私もやるー」

「わ、私も……」

 

 あやかがそう立候補すると、佐々木や宮崎もやる気になったのか目を瞑って進み始める。あやかはともかく他の2人の目的はネギだろう。

 

「ほら、円も」

「いや、だから私は……あぁ、もう。分かったわよ。でもいい? 別に私はいいんちょの同類じゃないんだからね。あくまでも修学旅行の記念にやるだけだから、そこの所を勘違いしないように」

「はいはい、分かったからほら早く。まき絵や本屋ちゃんはともかく、このままだと委員長に先を越されちゃうよ?」

「あー、もう!」

 

 釘宮もまた、柿崎に焚きつけられて目を瞑って前へと進んでいく。

 宮崎や佐々木はあっちへフラフラこっちへフラフラといった感じに、よろよろと進んでいく。その後を追う釘宮もまた似たような感じだ。そんな中。

 

「いいんちょ、目を開けてるんじゃないの!?」

 

 明石の言葉に周囲のクラスメイトがあやかへと視線を向ける。その先にいるあやかは、まるで目を瞑っているとは思えない程にスタスタと目的の石へと進んでいくのだ。

 

「ホーッホッホッホ! これこそが私の持つ愛の力ですわ。……っと!」

 

 高笑いをしながら、何を思ったのか唐突にその場からジャンプして数m先へと着地する。

 

「何でジャンプする必要があるんだろ」

 

 明石のそんな声を聞きながらも、俺はあやかの快進撃の秘密を薄々感じ取っていた。恐らく土の精霊に魔法で何らかの干渉をしているのだろう。

 だが、すぐにその場で振り向いて自分の後を追って来ていた3人へと声を掛ける。

 

「のどかさん、まき絵さん、釘宮さん。ストップですわ」

「え? 何?」

「委員長?」

「どうしたの?」

 

 戸惑いながらもその場に止まる3人。そんな3人をその場に残し、たった今あやかが飛び越えた地面を軽く叩く。すると……

 

「えーーーーっ! 落とし穴!?」

 

 そう、カモフラージュとして被せてあった布きれがその底に落ちて落とし穴が姿を現したのだ。

 しかも中には新幹線の中で見たような蛙が無数に入れられている。

 

「ちょっ、何でまた蛙!?」

 

 釘宮の驚きの声を聞きながら、俺はこの罠――というより悪戯――を仕掛けてきた相手を脳裏に浮かべる。恐らく……いや、間違い無く新幹線で売り子の振りをして潜入していたあの女だろう。あそこであれだけ脅してやったのに懲りない真似を。いや、あるいは脅したからこそ悪戯で済ませられる蛙入りの落とし穴に変更したのかもしれないな。

 

「ふーん、多分いいんちょがズルでもしたから罰が当たったんじゃないの?」

「ちょっと、アスナさん。こんな人為的な罰がある訳ないじゃないですか!」

「はいはい、気を取り直して音羽の滝に行こうよ」

 

 神楽坂のそんな声に、周囲の皆も大人しくその後を追う。

 

「……ん?」

 

 何気なくネギの方を見ると、何故か少し離れた所にいる桜咲の方へとどこか困惑したような視線を送っている。何か近衛の護衛に関して打ち合わせしていない事態が起きたとかだろうか。

 

「アクセル君、どうしたの? 皆もう音羽の滝の方に行ったわよ?」

「っと、悪い」

 

 千鶴に声を掛けられて周囲を見ると、確かに既に皆の姿は無くなっている。

 千鶴と、その隣にいる夏美と共に皆の後を追うべく音羽の滝の方へと向かう。

 

 

 

 

 

「……おい」

 

 その場の惨状を見て、思わず声が漏れた。何と、クラスの大半のメンバーが音羽の滝周辺で倒れ込んでいたのだ。最初は何が起きているのか分からなかったが、少し離れたここにいても分かるその匂い。周辺に明らかにアルコールと思しき匂いが充満していたのだ。つまり、この屍の山は酔っ払い集団な訳で……

 

「アクセル君、大変だよ! 音羽の滝にお酒が仕掛けられていたみたいで皆が酔っ払って……」

「らしいな」

 

 ネギが慌てた様子で俺へと声を掛けてくる。

 

「ねぇ、アクセル君。これって観光客を狙った悪戯かな? それともやっぱり……」

 

 ネギとしてもこの状況は不自然な事態であるというのは理解しているのだろう。だが、今はそれよりも。

 

「ネギ、それよりも今はこいつらを何とかしないと駄目だろう。取りあえず新田を呼んで来い」

「え、何で? 酔っ払ってるのが知られたら怒られるんじゃ?」

「そりゃまぁ、酒盛りでもやって酔っ払ってとかならそうかもしれないな。けどこれは誰かが仕掛けた為だろう? なら問題は無い筈だ。と言うか、この人数を俺達だけでどうにか出来ると思うか? もちろん魔法とかは無しでだ」

「無理だね」

「だろう? なら教師に正直に事情を話して手を貸して貰うのが一番だ。幸い、酔っ払って寝ていると言っても急性アルコール中毒になる程に酔っ払っている奴はいないみたいだし、旅館で寝てれば明日には元に戻るだろう。それに教師に話を通しておけばこいつらを隠す必要も無いだろうしな」

「うん、分かった。じゃあ新田先生を呼んでくるね」

 

 そう言い残し走り去るネギ。その後ろ姿を見送りながら酔っ払っている面子へと視線を向けると、夏美や千鶴が酔っ払って倒れ込んでいるあやかの面倒を見ている所だった。

 

「あやかもか」

 

 落とし穴に関してはともかく、まさか酒を混ぜ込んでくるとはさすがに予想外だったのだろう。ある意味ではしょうがない。

 そんな風に考えていると、ネギが新田を連れてこちらへとやってくるのが見える。

 

「うーん、確かにネギ先生の言う通りですな。その、仕掛けられていた酒樽というのは?」

「あ、はい。取り除いてあそこに」

「うむ。一応ここの責任者と、警察にも連絡を入れておいた方がいいかもしれませんな。ネギ先生は生徒達を連れて旅館へ向かって下さい。ここは私が後始末をしておきますので」

「はい。えっと、運ぶのを手伝って貰っていいですか?」

「そうだな、ネギ先生にはちょっと厳しいか。瀬流彦君、悪いが手伝って貰えるかな?」

「あ、はい」

 

 新田に頼まれた瀬流彦と呼ばれた教師が鳴滝姉を抱き上げるのを見ながら、周囲を確認する。この酒を仕掛けてたのは、恐らく落とし穴と同じで新幹線であった売り子だろう。ならもしかしたら、今の俺達の様子を見ているかも知れないと思ったのだが……

 

「そこまでドジじゃないか」

「どうしたの?」

 

 小さく呟いたその声が聞こえたのか、いつの間にか俺の近くに来ていた千鶴が尋ねてくる。

 

「いや、これを仕掛けた奴を探してみたんだが駄目だった」

「そう、せめてもの救いはこの後は旅館に向かうだけだった事かしらね。これがもし清水寺の後もどこかを見学してから旅館に向かう予定だったら酔っ払った子達は可哀想だったもの」

「まぁ、確かに。そういう意味では不幸中の幸いか」

「さ、ほら。アクセル君もそろそろバスに戻りましょ。今のアクセル君の外見じゃ皆をバスまで連れていくのはちょっと無理でしょ」

「無理っていうか、違和感を持たれるって所だな」

 

 俺の肉体は子供になっても身体能力自体は以前と変わっていない。なので、数人程纏めてバスまで運ぶのはそう難しくはない。だが、普通の子供が女子とはいえ中学生を運べるか? と問われれば答は否だろう。せめて麻帆良内なら認識阻害の結界があるのでどうにか誤魔化せたのだろうが、ここは京都なのでそれも無理だ。いや、認識阻害の魔法を使えば可能かもしれないが。

 

「こういう時は、自分の外見が子供なのを恨めしく思うな」

「まぁまぁ。ほら、あやかもぐっすり眠っているだけで危害を加えられてないんだし」

「ちづ姉、危害って?」

 

 千鶴の言葉に、近くにいた夏美が尋ねてくる。

 

「それはほら、うら若き女の子を酔わせて眠らせたのよ? それで危害って言ったら……分かるでしょう?」

「う。そ、それって……エッチな事?」

「まぁ、その辺は夏美ちゃんの妄想……想像に任せるとしましょう」

「今、妄想って言ったよね!?」

 

 そんな馬鹿らしいやり取りを聞きながらも、いつの間にか苦笑を浮かべている俺だった。

 

 

 

 

 

「アクセル君、時間いいかな。相談したい事があるんだけど」

 

 旅館について酔っ払い共を部屋へと寝かせて一段落し、自販機で缶の紅茶を飲んでいた俺へとネギが声を掛けてくる。その肩にはカモの姿が。そして隣には保護者然とした神楽坂の姿もある。

 ちなみに、千鶴と夏美は風呂に行っているのでここにはいない。と言うか、さすがに班が同じでも一緒の部屋で眠らせるというのは色々拙いと近右衛門を含む教師達も判断したらしく、俺は一人部屋となっている。

 ネギと同じ部屋なのかもしれないと予想していたが、一応教師と生徒という関係上違う部屋になったのだろう。

 

「あぁ、そう言えば話があるって言ってたな。今なら周囲に人もいないし構わないぞ。ほら」

 

 自販機で俺が飲んでいるとの同じ紅茶を買い、ネギへと放り出す。

 

「ありがと。……でも、缶の紅茶というのはイギリス人としてはちょっと歓迎出来ないかな。やっぱり紅茶は……」

 

 と、数分程紅茶について語るネギ。……スパロボOGsのユウキといい、ネギといい、どうして紅茶好きはこうなんだろうな。いや、俺の周囲にいる奴が特殊なだけか?

 

「兄貴、兄貴。紅茶はいいから、アクセルの兄貴に例の事を相談しにきたんでしょう?」

「あ、そうだった。えっとね。実はうちのクラスの桜咲さんが関西呪術協会のスパイって可能性があって」

「……は?」

 

 正直、俺にはネギが何を言っているのか全く分からなかった。桜咲が関西呪術協会のスパイ? 近衛の護衛をしながらか?

 

「あー……いや、何でそう思ったかをまず教えて貰えるか?」

「あっしが説明させて貰います。まず第一に学生名簿に京都かみなるりゅうと書かれているってのがあります」

「……スパイが自分の情報を誰でも見える所に残しておくか?」

「そ、それに今日の新幹線の中での騒ぎ。式神を使って兄貴から親書を奪ったのも奴の仕業だと思われます」

 

 新幹線の式神? アレは確か売り子の振りをしていた陰陽師の仕業じゃなかったか? ……いや、その辺をネギには話してなかったか。

 と言うか。

 

「残念ながらその推理は大外れだ」

「え? そうなの?」

「アクセルの兄貴!?」

 

 俺が言い切ったその台詞にどこか嬉しそうなネギと、信じられないといった様子のカモ。

 

「ほらやっぱり。桜咲さんがスパイだなんておかしいと思ってたのよ」

 

 どこかほっとしたような感じで神楽坂が安堵の息を吐く。

 

「で、でもアクセルの兄貴。そう言い切れる根拠は?」

「そうだな……」

 

 ここで桜咲の役割をこいつ等に教えてもいいものか。朝倉にでも……あぁ、そうか。そう言えば朝倉も酔っ払ってダウンしてるのか。

 まぁ、桜咲の情報は教えておかないとこいつら……と言うか、カモも納得しないだろう。

 

「ぶっちゃけるとだ。桜咲は近衛の護衛だな」

「えーーっ!? このかさんの護衛ですか?」

「ああ。学園長から直に聞いた話だから間違い無い」

「え? でもちょっと待ってよ。私、1年の時からこのかと一緒の部屋だけど、このかと桜咲さんが話している所なんて見た事が無いわよ?」

「あー、その辺は色々と事情があるらしい。何でも桜咲的には近衛と余り接触を持ちたくないとかなんとか」

 

 そんなんだから、護衛じゃなくて護衛? と認識してるんだが。

 

「それと、京都かみなるりゅうじゃなくて京都神鳴流な」

「え? アクセル君その神鳴流っていうの知ってるの?」

「ああ。と言っても、話だけだがな。神鳴流っていうのは一種の剣術の流派らしい」

「へぇ……ちょっと格好良いわね。でも、なんで桜咲さんがこのかの護衛を……」

 

 どこかずれた感想を呟いている神楽坂だったが、そこに源がこちらへと近付いてくると話題は自然と中断される。

 ……あれ? こいつらって源が魔法関係を知ってるってのを知らなかったっけ?

 

「ネギ先生、教員は早めにお風呂を済ませて下さいな。それとアクセル君もいっしょに」

「あ、はい。しずな先生」

「俺も?」

 

 頷くネギと、尋ねる俺。

 

「当然です。何しろ私達は麻帆良女子中ですよ? さすがに女子生徒と一緒にお風呂に入れる訳にはいかないでしょう」

「……ま、それもそうか」

 

 あやか辺りなら喜んで入って来そうな気もするが。

 

「じゃ、早めにお風呂に入っておいて下さいね」

 

 源がそう言い残して去っていく。

 

「私達の班もそろそろお風呂の時間だし、続きは夜の自由時間にしましょう。アクセルもいいわよね?」

「はい」

「OKっすよ」

「こっちも構わない」

 

 結局その場はそういう事で解散となった。

 

 

 

 

 

「えーっと、バスタオルに着替えと……」

 

 部屋へと戻り、入浴の為の準備をしているとノックの音が聞こえてくる。……襖にノック? とも思ったが、恐らく襖を直接ノックしたのではなく柱か何かをノックしたのだろう。

 取りあえず入浴道具を畳の上へと置き、襖を開けるとそこにいたのは釘宮と千鶴、夏美の3人だった。

 

「どうした? 珍しい組み合わせ……とは言わないが」

 

 そう、千鶴やあやか、夏美と釘宮、柿崎、椎名の3人は以前は仲が悪いとは言わないまでもそれ程親しく付き合ってはいなかったらしい。だが、俺を間に置く事で今では修学旅行の班で一緒になるくらいには親しくなっている。

 

「いや、美砂も桜子も例の悪戯でダウンしてるしね。……あの桜子がああいう悪戯に引っ掛かるってのはちょっと予想外だったけど」

「いいんちょも以下同文だし」

「で、ちょっと時間が出来たからこうやってアクセル君の顔を見に来たのよ」

 

 どうやら、班の中で俺1人だけ違う部屋になったのを気にしてくれたらしい。

 

「悪いな」

「あらあら、ここにあやかがいたら釘宮さんとのやり取りで面白くなったでしょうに。残念だわ」

「ちょっと、那波さん!? 那波さんまで美砂と同じく私をいいんちょの同類に仕立て上げるつもりなの?」

「さぁ、どうかしら」

「あー、釘宮さんもちづ姉に掛かっちゃお釈迦様の手の上かぁ」

「話はそれくらいにして、時間はちょっとしか取れないけど上がってくれ」

 

 襖を大きく開けて、3人を部屋の中へと案内する。

 本来なら風呂に入りに行く所だったが、10分程度なら構わないだろう。

 

「ありがと。……うわっ、1人用だから狭い場所かと思ってたけどそうでもないんだね。さすがに私達の部屋に比べると狭いけど1人なら十分な広さだわ」

「でも、1人だと折角の修学旅行なのに夜とか寂しくない?」

 

 まぁ、確かに修学旅行といったら夜に皆で騒ぐのが定番と言えば定番だ。

 

「そうねぇ。ならアクセル君はやっぱり私達の部屋に来る?」

「ちょっ! 那波さん!? 幾ら何でも男の子と一緒に寝るのはちょっと」

「あらあら、相手は子供よ? もしかしてやっぱり釘宮さん……」

 

 微妙に顔を赤くしながら慌てる釘宮を見ながら千鶴がからかうように笑顔を向ける。その横では夏美がご愁傷様、と言わんばかりに溜息を吐いていた。

 

「いや、だからそうじゃなくて……そう! 一緒に部屋で寝泊まりするって言うんなら私達だけじゃなくていいんちょ……は聞くまでもないか。美砂……も……あぁっ! 私が最後の防波堤!?」

「千鶴、あまりくぎみーをからかうなよ」

「くぎみー言わない! ……え? からかう?」

「うふふ、釘宮さんがあまりに可愛いものだから、つい」

 

 その様子に溜息を吐いて釘宮の肩を励ますように軽く叩く。

 

「そもそも、俺が別室になるというのは新田とかに決められたんだ。生徒がどうこうしたいからって勝手に変更出来る筈がないだろう」

「……あ」

 

 いや、3-Aなら面白そうだからという理由でそのくらいは平気でやりそうな気もするが、その場合俺が怒られるのはまず間違いないのだ。さすがにそれは勘弁して欲しい。

 

「それよりも、時間がちょっとしか取れないって言ってたけど何で?」

 

 夏美の言葉に、視線を畳の上に置いた入浴道具へと向ける。

 その視線を追う3人。

 

「あー、なるほど。お風呂行く予定だったのか」

「まぁ、そんな感じだ。ただ、特に急いでって訳でも無いから少しくらいなら構わない」

「あら? でも、そうなったら私達とお風呂の時間が被るんじゃないかしら? まぁ、私はアクセル君が一緒に入りたいというのなら全く構わないけど」

「ちょっ、那波さん!?」

「ちづ姉……」

 

 あれ? ここは男風呂と女風呂に別れてるんじゃないのか? そんな風に思いつつも、特に確認していなかった事を思い出す。それに、何しろ女子校なのだ。教師の時間帯と生徒の時間帯に分けておけばいいと旅館側が考えているとしても不思議は無い……のか?

 頬を赤くして俺へとジト目を向けている釘宮。苦笑を浮かべている夏美。そして一緒に入るのは全然構わないと言い切る千鶴。そんな3人の様子を見て、思わず溜息を吐く。

 

「風呂行ってくる」

「そ、そうだよね。幾らなんでもそれは無いよね。うん、お風呂に入る邪魔をしてゴメンね。ほら、那波さんも村上も部屋に帰るわよ」

 

 そう言い、2人を引きずるようにして自分達の部屋へと戻る釘宮だった。

 それを見送り、入浴道具を手に俺も部屋を出て浴場へと向かう。

 しょうがないとは言え、毎日女子寮の大浴場を使わずに部屋に付いているシャワーを使っている身だ。やはり大きな風呂というのは非常に楽しみ……

 

「っ!?」

 

 大浴場へと近付いたその時。唐突に廊下の先から殺気を感じ取る。同時に、何かを斬り裂くような音もまた。

 ちぃっ、もしかして関西呪術協会の侵入を許したのかっ!?

 瞬動を使い、廊下の角を曲がりそのまま風呂場に突っ込みつつ右手の腕輪へとSPを込めて無詠唱で魔法の射手を……

 

「え?」

 

 風呂場の中へと入った俺の視界に入ってきたのは、近衛を横抱きにした桜咲の姿だった。

 ……しかも2人共全裸で。 




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    ???

撃墜数:376

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。