結局ザコットの降伏によって得られた陸上戦艦やドートレスはその大半が俺達が貰う事になった。
ちなみに、このドートレス。正式にはファイヤーワラビーという名称らしい。
ドートレスの地上戦用高機動型の機体で、高出力のスラスターが内蔵されている脚部が特徴的だ。
勿論、火炎放射器を装備している点も大きな違いなのだが。
ともあれ、ドートレスの高機動型というのはそれなりに使い道があるのは間違いない。
基本的な設計はドートレスなので、基地にあるMS生産工場で製造出来るだろう。
基地に運んで分析させれば、恐らく設計するのは可能だと思われた。
また、ファイヤーワラビーよりも大きな収穫としては、ザコットの使っていた地上戦艦を入手出来た事だろう。
あの陸上戦艦の正式な名称は、トリエステ級水陸両用陸上戦艦。
水陸両用という名称があるように、水中……そう、他の陸上戦艦のようにホバー移動で水上を移動するのではなく、潜水する事が可能な陸上戦艦らしい。
俺やティファが予想したように、当初フリーデンが向かっていた湖の中に潜んでいて、火事によって追いやられたフリーデンを不意打ちするつもりだったらしい。
しかし、俺が半ば無理矢理……それこそビームライフルを撃ち込んでまで、フリーデンが湖に向かうのを止めさせた。
いつまで待ってもフリーデンがやって来る気配がないので、自分達の作戦が失敗したと判断し、それで湖から出て襲ってきたのだろう。
結局ヴァサーゴでブリッジに接近され、降伏する事になったが。
ちなみにファイヤーワラビーとトリエステ級水陸両用陸上戦艦についての情報は、フリーデンのキッドから得たものだ。
フリーデンのメカニックを纏めており、天才と自分で言うだけあってMSや陸上戦艦に対しての知識は結構なものがある。
「で、ガロードの件はどうなったんだ?」
「どうやらティファの世話係になったみたいね」
テンザン級にある会議室で俺の問いに答えるモニクの口調には呆れの色が強い。
まぁ、その話も分からないでない。
ガロードがGXを売ろうとした件についての詳細が明らかになったのだから。
元々の原因は、ガロードがティファに対する恋心を暴走させ、仕事を真面目にやらなかった事だ。
アルタネイティブ社の一件で俺達と一時的に別れたフリーデンが向かった、連邦軍の基地。
そこでの探索作業の最中に人の話を聞かないで基地にあった工場が半ば崩壊するような騒動を起こしたらしい。
幸いにして死人は出なかったものの、怪我人は多数出た。
それを気にしたガロードは、その失態を取り返そうとして別の基地に向かった。
だが、その基地は動力炉がいつ爆発してもおかしくはなかったらしく、そこでGXを狙ったバルチャーに襲われたらしい。
ちなみにこの襲ったバルチャーは、エニルだったとの事。
いつ動力炉が爆発してもおかしくなかった場所での戦闘だったが、そこにジャミルが駆けつけた。
この時、ジャミルが乗っていたのは基地で改修したMSだったらしい。
とにかくガロードとジャミルはその場から逃げ出したものの、動力炉の爆発に巻き込まれてジャミルは意識不明の重体。
幸いにも命に問題はなかったらしいが、その責任を感じてガロードはフリーデンにいられないと考え、出奔。……というか家出という表現の方がこの場合は正しいか?
その後、何をどう考えたのかは分からないが、ガロードはGXを売る事を考え……そこでも色々とあった――メンテ親父に聞いた、ガロードを襲った奴がいた云々も含む――ものの、最終的にエニルに売るという事になったのだが、最終的には売らないでフリーデンが襲われているというのをオルバから聞いてやって来たらしい。
そのオルバと何故戦いになったのかとか、まだちょっと分からないところはあるが。
最終的にはガロードが戻ってきて、話は上手く纏まったといったところか。
「ふーん。でもまぁ、そのティファって子の事が好きなんでしょ? なら雨降って地固まるって奴じゃない?」
面白そうな様子で告げるミナト。
ミナトにとっては。10代半ばの恋愛模様というのは興味深いものなのだろう。
ちなみにそんな風に思っているのは他にも何人かいるらしい。
「俺達としては、今回の結果は悪くなかったけどな。何よりもファイヤーワラビーが入手出来たのは大きい」
「そうね。これなら基地にあるMSの生産工場を少し弄るだけで設計出来ると思うわ。もっとも、出来ればMSの生産工場はもっと規模を大きくした方がいいと思うけど」
マリューの言葉には納得出来るところが多い。
今のMS生産工場は、あくまでもドートレスを作る為のものなのだ。
オクト・エイプも作れるようにしてはいるものの、そこには当然無理がある。
そうである以上、オクト・エイプ専用の生産ラインを用意してもいいだろう。
「そうだな。じゃあ、増やすか」
あっさりとそう告げる。
普通なら、そう簡単にMSの製造ラインを作る事は出来ない。
資材を集めるのも大変だし、実際に製造ラインを作るのにも手間取るだろう。
だが、それはあくまでも普通の組織の場合だ。
シャドウミラーの場合は、量産型Wやコバッタ、バッタ、メギロート、イルメヤがある。
普通の組織の場合は、建築作業を行う者を多数集める必要がある。
その場合でもまさか24時間働くといった真似は出来ないだろうし、人数が多ければそれだけ人件費も多くなってしまう。
しかし、量産型Wや無人機を使った場合は24時間働き続ける事も可能だし、何より人件費の類はいらない。
数も人を集めるといったような真似をしなくても、数百、数千、数万単位で人手を集められる。
……いやまぁ、数万単位で人手を用意しても、邪魔なだけになると思うんだが。
それでも、それだけの人数を用意出来るというのは、大きな意味を持つ。
「羨ましいねぇ」
シーマがその言葉通り羨ましそうに言う。
ルナ・ジオンから出向している身としては、MSの生産ラインをあっさりと作れることが羨ましく思うのだろう。
今でこそ、シーマは俺達と行動を共にしているが、ルナ・ジオンにおいては重要な顔役の1人であるのは間違いない。
ジオン公国……そしてジオン軍によって運命を弄ばれた、悲劇の美女。
それがUC世界における、一般的なシーマのイメージだ。
だからこそ、シーマはルナ・ジオンの政治にも関与せざるを得ない。
勿論政治は政治家達の仕事だし、コバッタや量産型Wがいる以上は違法な真似は出来ない。
そういう意味で問題はないのだが、それでも政治家は政治家だ。
軍について知ってはいるものの、それはあくまでも知識での話だ。
実感というのは、この場合どうしても足りなくなってしまう。
そんな中で、シーマはルナ・ジオンの顔だけに政治に関与する必要も出て来る。
そのような立場のシーマから見て、俺達がこうしてあっさりとMSの生産ラインを作るというのは羨ましいだろう。
勿論、ルナ・ジオン……というか、その首都のクレイドルにも、量産型Wやコバッタは多数いる。
だが、それはあくまでもシャドウミラーから貸し出されている存在だけに、俺達のように自由に使うといった真似は出来ないのだろう。
「シーマの気持ちは分かるわ。シャドウミラーって金銭的な意味で不足する事はないみたいだし」
モニクもまた、基本的には政治家だ。
いや、どちらかと言えば政治家よりは役人寄りか?
MSの操縦技術も高いので、今はMS乗りをやってはいるが。
交渉を任されているのも、その辺の理由があっての事だし。
「金に困る事はないな」
そんな2人にそう告げる。
実際、金という意味では宝石や金塊ならキブツで作る事が出来るし、それ以外の資源も金で他の世界から買わなくてもキブツで作る事が出来る。
キブツに投入する為の材料は、マブラヴ世界からはBETAが、UC世界からはスペースデブリが大量に来るので、困る事はないし。
ちなみにマブラヴ世界からのBETAは、既に地球からは殆どない。
一応BETAを資源としてシャドウミラーに輸出する為、幾つかのハイヴはそのままにしてるが……その大半は、火星にあるハイヴからの物となる。
ただ、火星のハイヴも無限ではない。
このまま時間が経過すれば、やがて火星のBETAも全滅してしまうだろう。
そうなった時、また別の世界から資源を入手する必要があるな。
と、会話の途中でいきなり通信が入ってくる。
「アクセル、ジャミルからよ」
「繋いでくれ」
クスコは俺の言葉に頷いて通信を繋ぐ。
『アクセル、少しいいか?』
「ああ、構わない。こっちはザコットの件を話していたところだからな。その様子だと何かあったのか?」
『そうだ。ティファが絵を描いた』
「……は? えーっと……?」
ティファが絵を描いたという事を、わざわざ俺に知らせる必要があるのか?
何を考えて俺にそんな事を教えてくるんだ?
「それは一体どういう意味だ? それを俺に知らせる必要があるのか?」
『む、すまない。少し急ぎすぎたな。ティファの描いた絵というのは、ニュータイプ……アクセルのところにいる2人とは、また違うニュータイプのいる場所だと思われる』
「ああ、なるほど」
そういう意味なら、ティファが絵を描いたという話を俺に報告してきた事が理解出来た。
「それで、その絵は見せて貰えるのか?」
『ああ。アクセルはフリーのMS乗りとして、色々な場所に行ってると聞いている。私が知らない場所でも、アクセルが知っている可能性がある』
こういう風に言ってくるって事は、ティファの描いた絵の場所はジャミル達にも分からなかったのだろう。
フリーデンはバルチャーとして行動していたし、ウィッツやロアビィもいる。
そんな連中でも分からなかったからこそ、俺にも分からないのかと聞いてきたのだろう。
「で、その絵は?」
『これだ』
そう言い、ジャミルが一枚の絵を映像モニタに表示する。
画板……とか言うんだったか?
それを一枚と表現するのかどうかは、俺にも分からないが。
そう言えば明日菜は絵がそれなりに得意だった話だったが……いや、今は関係ないか。
絵は、自然を描いたものだ。
そこまで高くない山や丘が描かれ、道路っぽいのも描かれている。
正直なところ、これだけを見てどこなのかと言われても分からない。
「いや、これだけだと分からないな。何か他にヒントはないのか?」
『これは雪景色らしい』
「雪……か。そうなると、やっぱり俺には分からないな」
俺がフリーのMS乗りとして活動していたのは、サン・アンジェロ市を中心としての話だ。
勿論、季節が違えば雪が降ってきてもおかしくはないが……生憎と、俺がフリーのMS乗りとして活動していた時に雪は降っていない。
とはいえ、冬というか……季節そのものが、このX世界ではそこまで明確ではなかった。
コロニー落としの影響で、何年も太陽すら出て来なかったのだから。
そう考えれば、明確に冬になったりといったことがなくてもおかしくはない。
『ふむ。取りあえず雪景色だけに、北の方だとは思うのだが』
「北? 北だと……フォートセバーンって場所があった筈だが。そこじゃないのか?」
俺が知ってる北の村や街、都市だとフォートセバーンしかない。
とはいえ、それはあくまでも知識や情報として知ってるだけで、実際に行った事がある訳じゃないけど。
あくまでも聞いた話だが、フォートセバーンはかなり閉鎖的な場所らしい。
もっとも閉鎖的というのは、別にこのX世界ではそう珍しい話ではない。
戦後世界で、MSに乗った盗賊のような存在が普通に襲ってくるのだ。
外の人間を警戒をするのは当然だろう。
しかし、この世界では当然ながら完全な自給自足というのは難しい。
ただでさえフォートセバーンは北にあるのだ。
当然ながら食料とか、それ以外の物資とかも他の場所から入手する必要がある。
そしてこのX世界において、流通を司っているのは基本的にバルチャーだ。
……中には、バルチャーでも何でもない行商人といったような者もいるらしいが、そのような者は多くない。
そんな状況で閉鎖的というのは……
バルチャーにしても、商売に行った先で自分達を疎ましく思っていると感じれば、当然ながらそこに再度訪れるような真似はしないだろう。
フォートセバーンは北国で、ただでさえバルチャーも多くないだろうし。
『分からん。だが、私もそのくらいしか名前を知っている場所はない。……私達はそちらに向かうが、アクセル達はどうする?』
「勿論一緒に行くに決まってるだろ」
元々フリーデンと一緒に行動するつもりだったのだから、これで離れるつもりはない。
ただ……今回の一件を考えると、この世界の原作の主人公はガロードの可能性が高くなったんだよな。
GXを持ち出して家出をして、エニルと一晩のアバンチュール……まぁ、こっちに関しては未遂だったが。
そういうのをやるのは、やっぱり主人公っぽい。
年齢的にも、ガンダムの主人公らしいし。
だが……やっぱり気になるのは、ニュータイプ能力がない事だろう。
一緒に行動するんだし、その辺はいずれ明らかになるかもしれない、か。
「ただ、その前に……俺達の基地に来ないか?」
そう、ジャミルに尋ねるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750