転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3258話

 山の中に存在する基地。

 そこに到着したのだが、少しだけ驚いた。

 まだこの基地が活動を始めてから、そこまで時間は経っていない。

 にも関わらず、バルチャーと思しき者達が存在していたのだ。

 勿論、ここにいるバルチャーは精霊の卵達が活動しているバルチャーという訳ではなく、もっと別の……俺も初めて見るような、そんなバルチャー達。

 他にもバルチャーではなく商人と思しき存在も結構な人数いる。

 

「これは、また……予想していたよりも随分と盛況だな」

「そうね。バルチャーがいるのはいいけど、商人は……どこかの街から来たのかしら」

「多分、精霊の卵が寄った街の商人がやって来たといったところかもしれないな」

 

 マリューが俺の言葉に納得した様子を見せる。

 そんな中でミナトが口を開く。

 

「アクセル、フリーデンから連絡があったわよ。これからどうするのかって」

「取りあえず基地の中に入れるか。ジャミル達がホワイトスターに行くのかを選ぶかどうかは、まだ分からないが」

「ホワイトスターに連れていく……ね。フリーデンの人達がそれを望むかどうかは、ちょっと分からないと思うけど」

「異世界の存在について詳しく知らない以上、実際に行ってみるとどう反応するのかちょっと楽しみではあるけどな」

 

 小さい頃が戦後の中で一番忙しかった事から、それこそ漫画やアニメ、小説、ゲームといったようなものを楽しむ事が出来なかった筈だ。

 いやまぁ、中にはそういう中でも問題なくそういうのを楽しむ者もいたかもしれないが。

 

「ともあれ、基地に入れて休憩させるわね」

 

 ミナトのその言葉に俺は頷くのだった。

 

 

 

 

 

「ホワイトスターだったか。そこに行かせて貰おう」

 

 基地の中でジャミルに会ったところ、不意にそう言われる。

 最初に話した時には、あまり気が進まない様子を見せていただけに、これは正直なところ驚いた。

 

「本当にいいのか?」

「ああ。……アクセル達の事を皆に話した。勿論、ウィッツやロアビィ達にもだ」

「それはまた」

 

 純粋にフリーデンの面子、それにティファに惚れているガロードになら、シャドウミラーについて教えても問題はないだろう。

 だが、今は専属で雇われているとはいえ、ウィッツとロアビィは基本的にフリーのMS乗りだ。

 シャドウミラーについての情報を誰か他の相手に話したりといったような真似をされると、ちょっと困る。

 とはいえ、普通の……いわゆる常識的な者なら、異世界とか言われてもそう簡単に信じるような真似はしないだろうが。

 それどころか、そんな話をしたウィッツやロアビィを怪しい奴と思うだろう。

 

「正直なところ、まだ半信半疑といったところだ。いや、これはフリーデンの面々も同じだろう」

「ジャミルは信じてるのか?」

「……魔法などというものを見せられてはな。それに、ティファの言葉もある」

 

 ティファか。

 未だに俺が姿を見せると、すぐに隠れるんだよな。

 ただし、隠れながらも頻繁に視線を向けてくるのを思えば、決して嫌われてる訳ではない……と思う。

 

「話は分かった。なら、いつホワイトスターに行く? こっちはいつでもいいけど」

 

 実際、ゲートを使って転移すればそこは既にホワイトスターだ。

 そしてゲートを使うのは、俺ならそう時間は掛からない。

 もし今すぐにでも行くとジャミルが言えば、その通りに出来る。

 

「こちらも色々と準備が必要だ。そうだな、二時間程欲しい」

 

 そういう事になるのだった。

 

 

 

 

 

「あ……」

 

 ジャミルの部屋を出て、取りあえず時間までフリーデンの食堂で時間でも潰そうかと思っていたのだが、ちょうどそのタイミングでティファと合う。

 この様子からすると、艦長室に向かうところだったのか?

 その辺りについては俺にも生憎と分からない。

 ただ、俺を見た瞬間にティファは数秒固まり、慌てて周囲を見回す。

 恐らく隠れる場所を探してるのだろう。

 だが通路の中にそう簡単に隠れるような場所はなく……結局通路の端に寄って、俺から距離を取る。

 それでいながら、何度もこっちに視線を向けてくるのは変わらない。

 これは……うーん、どうしたらいい?

 そう思い、以前炎獣を見せた時の事を思い出す。

 あの時のティファは俺を怖がるよりも炎獣の方に興味が向いていた。

 なら……と。

 指をパチンと鳴らし、炎獣を生み出す。

 それも獅子や虎といったような凶悪なタイプではなく、子犬の炎獣を。

 ぱぁっ、と。

 子犬の炎獣が自分の方に向かって歩いて来たのを見ると、ティファの口元に笑みが浮かぶ。

 やっぱり炎獣が有効か。

 そんな風に思っている間にも、炎獣の子犬はティファの近くに到着すると顔を上げる。

 構って、構って、と。そんな風に態度で示しているかのような子犬の炎獣に、ティファはそっと手を伸ばす。

 そしてティファの手が触れると、その感触に目を細める。

 取りあえずこれで俺が怖がられるような事はないな。

 勿論、それは今の状況だけではある。

 もし炎獣が消えてしまえば、またすぐにティファは俺を怖がるだろう。

 それでも、この世界のキーパーソンなのは間違いない。

 そしてティファに惚れているガロードが、やはりこの世界の主人公っぽい感じがする。

 これでガロードがニュータイプなら、即座に主人公であると認識するんだかな。

 だが、ガロードはニュータイプでも何でもない……UC世界風に言えば、オールドタイプだ。

 オールドタイプだからといって、悪い訳じゃない。

 事実、ルナ・ジオンにはオールドタイプでも超一流の技量を持つMSパイロットは多い。

 X世界でバルチャーとして活動している、黒い三連星やシーマ、それに月にいるラルやハワイにいるガトー何かはまさにそんな感じだろう。

 連邦軍においても、1年戦争の時に俺と行動を共にしたヤザンなんかはオールドタイプではあっても下手なニュータイプパイロットには負けていない。

 しかし、それでもガンダム関係の世界の主人公というのは、基本的に特殊な能力を持ってる者が多い。

 そういう意味で、やはりガロードをこの世界の主人公と断定するのはちょっと難しい。

 そんな風に思っていると、通路の先からそのガロードが姿を現す。

 ジャミルに何か用があったのか、あるいはティファを探してきたのか。

 その辺りの状況は分からなかったが、ガロードはティファの姿を見ると顔を輝かせる。

 しかし、ティファから少し離れた場所にいる俺を見て、不審そうな表情を浮かべる。

 ガロードとは少し話したくらいで、そこまで友好的な関係ではない。

 それを思えば、俺とティファが一緒にいるのを見てガロードが怪しむのも当然か。

 妙な勘違いをして、怒声を発するといったような事がなかったのはよかったが。

 ガロードがこっちに近付いて来たのを見て、取りあえずもう一匹小鳥の炎獣を生み出す。

 

「うぇっ!?」

 

 炎獣を見たガロードの口から、奇妙な声が漏れた。

 普通に考えれば白炎で形作られた小鳥というのは存在しないのだから、この状況でそんな風に驚きの声を上げてもおかしくはないだろう。

 ガロードは自分の方に近付いてくる小鳥を見て、動きを止める。

 どうすればいいのかわからなくなったらしい。

 

「それは炎獣。俺の魔法で生み出した存在だ。別にお前を攻撃したりはしないから、安心しろ」

「魔法っ!? ……ジャミルやティファから聞いたけど、本当に魔法なんか使えるんだな、アクセル」

「異世界の存在だからな」

 

 正確には炎獣は魔法ではない。

 混沌精霊となった俺の能力の1つだ。

 とはいえ、今の状況を思えばわざわざ複雑な話をする必要もないだろう。

 普通に魔法だと認識させておけばいい。

 それに……ネギま世界で入手したこの力は、正確には魔法ではないものの、魔法に関係する力なのは事実だ。

 そういう意味では、ほぼ魔法と言っても間違いではない……と思う。

 フリーデンの連中がホワイトスターで魔法に興味を持って、こっちの世界のゴタゴタが片付いた後で魔法を習得したいと言えば、その時はもっと正確に魔法について説明してもいいと思うが、今の状況では普通にそれっぽい感じで言っておいてもいいだろう。

 

「異世界……そう言えば、その異世界に行くってジャミルが言ってたけど」

「ああ、ちょうど話を聞いてきたところだ。まぁ、俺の国はこの世界と違って平和……うん、普通に暮らしている分なら平和だぞ」

「……何だか言い直したところが凄く気になるんだけど」

「中にはヤンチャをする奴もいるって事だ」

 

 基本的に魔法球の中にいる事が多い技術班だが、時には魔法球から出て交流区画に来る事もある。

 その際に何かをやらかして逃げる技術班の者達を、エキドナ、茶々丸、セシルといった面々が追う。

 それだけなら、そこまで大きな騒動になったりもしないんだが……何しろ技術班の面々も虚空瞬動とかを普通に使えるので、空を飛ぶ……というか、走るか? とにかくそんな感じで空中を走り回る。

 当然だがそれを追うエキドナ達も技術班に負けず劣らずの技術を持っているので、ある意味では交流区画の名物となっているらしい。

 あまりに暴れすぎると、咸卦法を使った明日菜によって技術班のメンバーが鎮圧されるらしいが。

 

「ヤンチャ……?」

「ああ。もっとも、GXに乗って家出をしたガロードみたいなヤンチャをする奴はそう多くはないけどな」

「げ……それは……」

 

 困った様子のガロードだったが、その肩に乗った小鳥の炎獣がガロードを励ますように顔を擦りつける。

 

「ははっ、こいつ……可愛いな」

「ふふ」

 

 そんなガロードの様子を見ながら、自分も子犬の炎獣を撫でていたティファが笑みを見せる。

 ガロードはそんなティファの笑顔に目を奪われる。

 もしかして、俺がここにるのは邪魔なんじゃないか?

 そう思ったが、取りあえずガロードとティファの微笑ましい……というか、どこかむず痒くなるような光景を眺めるのだった。

 

 

 

 

 

「おい、アクセル。あの話は本当なのか!?」

 

 ガロードとティファと別れた俺は、フリーデンにある遊戯室に顔を出す。

 するとそこにいたウィッツが俺を見るなりそう聞いてくる。

 いや、そのように思っているのはウィッツだけではないらしい。

 ロアビィもまた、声には出さないが興味津々……というよりは、半信半疑といった視線をこっちに向けてくる。

 

「俺が魔法使いで異世界の存在って事なら、本当だ。ちなみに、もう少しでジャミルから連絡があると思うが、その気のある奴はこの基地から俺の国がある世界に行く事になるぞ。興味があるのなら、お前達も来たらどうだ? 退屈はしないと思う」

 

 ホワイトスターは色々な意味で退屈をするといった事はないだろう。

 交流区画には魔法使いとかも普通にいるし、エルフ達もいる。牧場ではワイバーンに乗る事も出来るし、博物館には門世界のモンスターが剥製になって飾られていたりする。

 それ以外にもホワイトスターと繋がっている世界からやって来た商人達が店を出したりもしてるし。

 

「そう言われてもな。……なぁ、ちょっと魔法を見せてくれよ、魔法。やっぱり言葉だけで信じろって方が無理だろ」

「そうそう。俺も魔法を見てみたいな」

「見せるのは別にいいけど……そうだな。炎獣……いや、ウィッツとロアビィにはこっちの方がいいか」

 

 そう呟き、影槍を発動する。

 俺の影が先端の尖った数本の槍となり、真っ直ぐウィッツとロアビィの方に伸びていく。

 勿論、俺は別にウィッツやロアビィを攻撃するつもりはない。

 2人の1mくらい前で影槍は止まった。

 

『……』

 

 2人にとって、影槍というのは予想以上の代物だったのだろう。

 唖然とした様子で視線の先にある影槍を見ている。

 魔法を見たいと口にしたものの、まさかこんなにすぐ俺が魔法を使うというのは想像も出来なかったのか。

 理由はともあれ、今のこの状況にはウィッツとロアビィもただ黙り込むしかない。

 影槍を前にして、自分の目の前にある存在がどれだけ凶悪な威力を持っているのかが理解出来たのだろう。

 パチン、と指を鳴らして影槍を解除する。

 

「どうだ?」

 

 聞いたのは、たった一言。

 その一言でウィッツとロアビィは我に返り、ギギギという表現が相応しいくらい鈍い動きで俺に視線を向けてくる。

 

「えっと……夢、じゃないよな?」

「なんなら、もう1回ウィッツに影槍を使ってやるか?」

「いや、いらねえ!」

 

 そんなに嫌がらなくてもいいと思うんだが。

 影槍の鋭さを感じることが出来たという点で、ウィッツはMS乗りとしての実力がある……のか?

 影槍に危険を感じるのがMS乗りとしての実力に結びつくのかというのは、ちょっと疑問だが。

 ただし、操縦をする上で第六感とかそんな感じで危険を察知するといった事は、MS乗りとして有用な能力なのは間違いないだろう。

 

「そうか、取りあえず俺が魔法使いだというのは納得して貰えたか? もっとも、異世界に行くんだから、そっちに来れば俺の話が本当かどうかは分かると思うけど」

 

 そんな俺の言葉に、ウィッツとロアビィは難しい表情を浮かべるのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1750

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