「おい……本当にこれだけで異世界に転移出来るのか?」
基地の前に用意されたゲートを見て、ウィッツが訝しげな様子で尋ねる。
実際に口に出したのはウィッツだけだったが、他の面々もそれは同じだ。
何だかんだと、フリーデンからは結構な人数がホワイトスターに行く事になった。
ブリッジの面々にティファ、ガロード、ウィッツ、ロアビィ。
メカニックからはキッドとその部下2人が一緒に行く事になり……そして俺が初めてみる顔としては、テクスという医者がいた。
フリーデンの全員が来るのかと思っていたが、ジャミルとしてはフリーデンを完全に手放す訳にはいかないと判断したのだろう。
その気持ちは分からないでもない。
シャドウミラーの面々だけならともかく、商人やバルチャーといった面々も結構な数が集まっているのだから。
X世界の人間としては、そんな状況で自分の船を完全に空けるといった真似をしたいとは思わないのだろう。
実際には、量産型Wやコバッタが結構な数いるので、この基地で犯罪行為を行った場合は即座に捕らえられるのだが。
事実、基地に侵入しようとしたり、MSを奪おうとしたり、はたまた何を勘違いしたのかMS生産工場を破壊しようとした者達が捕らえられている。
とはいえ、捕らえた相手は今は基地にある独房に入れてるだけなんだよな。
これがホワイトスターで何かをやったのなら、その世界にペナルティを与えればいい。
UC世界なら、強制労働として農業をさせるといったこともある。
だが……このX世界においては、そういう犯罪者にやって貰うような事は特にない。
あるいは基地の側に農場でも作るか?
X世界において、食料というのは決して潤沢ではない。
食料を増産すれば、シャドウミラーの目玉が1つ増える。
……とはいえ、本当に食料をどうにかするのなら、それこそホワイトスター経由で他の世界から食糧を輸入して売ればいいだけなんだが。
罰として農場を用意するのは悪い話ではないと思う。
そんな風に思うが、今はまずホワイトスターに転移する事だな。
「ほら、準備はいいな? そろそろ転移するぞ。ウィッツは怖がっているのかもしれないけど、心配はいらないから安心しろ」
「おい、ちょっと待て。俺は別に怖がっていねえぞ!」
「ウィッツは少し落ち着きなよ。今はゆっくりと待つしかないだろ」
騒ぐウィッツをロアビィが落ち着かせるように言う。
だが、ウィッツはそんなロアビィの言葉に不満そうな様子を見せていた。
「なぁ、ティファ。異世界ってどんな場所だと思う?」
「分からない。けど……少し、楽しみです」
ウィッツとロアビィとは違い、ガロードとティファはどこか微笑ましい会話をしている。
他にも多くの者が異世界というのがどういう場所なのか楽しみなのだろう。
近くにいる者達と話していた。
……特にキッドはかなり興奮している様子を見せていた。
元々が機械いじりとかが好きで、MSの改造とかも好むキッドだ。
ホワイトスターに行けば、色々な機体を見ることが出来ると考えているのだろう。
実働班の訓練風景を見せてもいいかもしれないな。
あるいはKMF……それとも戦術機? もしくはオーラバトラー辺りを見せても面白いかもしれない。
そんな風に思いつつ、俺はゲートの操作を任されている量産型Wに声を掛ける。
「そろそろやってくれ」
「了解しました」
その言葉と共に量産型Wがゲートの操作をし、やがて転移フィールドが生成され、次の瞬間にはホワイトスターの転移区画に転移が完了する。
「これが……転移……」
転移区画を見回しながら、ジャミルが呟く。
転移区画は他の世界からやって来る者達も多く、俺達以外にも相応の人数が集まっていた。
とはいえ、それでもそこまで注目を浴びてはいない。
人数が結構多かったので多少は注目を浴びているが、それだけだ。
鬼滅世界から耀哉達を連れてきた時は、服装が服装だったから凄く注目を浴びたんだが。
そう言えばしのぶはホワイトスターで研修……修行? 訓練? まぁ、とにかくそんな風にしているらしいという話を聞いていたが、どうなってるんだろうな。
久しぶりに顔を出してもいいかもしれないなと考えていると、量産型Wが気を利かせたのだろう。バスを持ってくる。
とはいえ、それを見ても驚く者はいない。
フリーデンを始めとする陸上戦艦はホバー移動しているのだから、バスがホバー移動していてもおかしくはないのだろう。
「取りあえず、街中に移動するぞ。このままここにいても邪魔になるだけだし」
「アクセル、ちょっといいかい?」
バスに乗るようにフリーデンの面々に指示を出すと、不意にそんな風に声を掛けられる。
それが誰の声なのかは、それこそ考えるまでもなく明らかだ。
そして実際、声のした方に視線を向けると予想通りシーマの姿があった。
ただし、シーマ以外にもクスコ、モニク、クリスがいる。
そして他にもマリューとミナトの姿があるとなれば、それがどういう集まりなのかは考えるまでもないだろう。
ちなみに黒い三連星とマリオンはバスに乗り込んでいた。
ガイアとマッシュはともかく、オルテガとマリオンはデート出来る機会を逃すような真似はしないのだろう。
ただ、ホワイトスターの交流区画にはガイアやマッシュが好むような店は……ない訳ではないが、かなり少ないと思う。
料理店とかでも酒の類はあるが、そこまで強い酒とかはないし。
これはシャドウミラーと他の世界との交渉の折衷案といったところだ。
基本的に交流区画で店を出している者達も、夜になれば自分の世界に帰る。
そんな規則なだけに、下手に酒を出して客が泥酔した状態になれば、自分の世界に帰れなくなって、その結果ペナルティが課せられる事になったりもする。
あるいは泥酔して我を失って騒動を起こし、ペナルティが課せられるか。
シャドウミラー側としては……うん。俺が酒を飲むと、場合によってはホワイトスターが壊滅してもおかしくないしな。
そんな訳で、現在のように本格的に酒を出すような店はない。
もっともそう言いながらも店では普通に自分の世界の酒を売っていたりするので、色々と緩い規則なのは間違いない。
……酒云々について、現実逃避していてもしかたがないか。
「シーマ、どうしたんだ?」
「ちょっとあたし達は別行動をさせて貰いたくてね。マリューとミナトが一緒に来てくれるって言ってるし、それで構わないかい?」
ここで駄目だと言えば、多分シーマは引き下がるだろう。
だが、それはあくまでも今回引き下がるだけで、後日また別の機会を作るのは間違いない。
それに、俺の恋人になるというのが、どういう事なのか。
それを他の面々からしっかりと話を聞いて、きちんと理解して欲しいという思いがあるのも事実だ。
「分かった。なら、マリューとミナトに任せる。何かあったら連絡をしてくれ」
「ええ。何かあったらね。……そういう意味では、特に何か問題らしい問題は起きないと思うけど」
マリューがそう言うのなら、恐らくはそこまで大きな問題は起きないのだろう。
そう判断し、俺はこの場を立ち去るマリュー達を見送ってからバスに乗る。
「おや、アクセル。他の花はどうしたんだい?」
ロアビィの言う花が何を意味しているのかは理解出来る。
少し離れた場所に座っているサラが厳しい視線を向けているのに気が付いてるのかどうか。
ロアビィにしてみれば、以前言い寄っていたモニクを始めとしてテンザン級には美人が揃っている。
それだけに、出来れば一緒に行動したかったのだろう。
ロアビィの性格を考えると、俺達がフリーデンと一緒に行動している場合、フリーデンではなくテンザン級の方に乗り込んできてもおかしくはない。
……とはいえ、もしマリオンに言い寄るような真似をした場合、オルテガに襲われてもおかしくはない。
シーマ達は、フラれるだけで特に何かが起きるとは限らないが。
「ちょっと他に用事があってな。その為に俺達とは別行動だ」
「……そうなのか」
見るからにがっかりした様子のロアビィ。
ロアビィに向かって何か言おうかと思ったが、今はまずバスだな。
「じゃあ、そろそろ出発する。まず向かうのは、交流区画だ。そこから色々な場所に行って貰う。お勧めは牧場だな」
「牧場?」
ガロードが不思議そうにそう言う。
せっかく異世界に来たのに、何故牧場を見に行くのかといった様子のガロード。
声には出さないが、他にも同じような表情を浮かべている者がいる。
「安心しろ。牧場は牧場でも、ただの牧場じゃない。シャドウミラーの牧場だ。牧場には牛や馬、羊、山羊といったような普通の動物だけじゃなくて、ドラゴンもいる」
「……はぁ?」
間の抜けた声を上げたのは、トニヤ。
サラの隣に座っているトニヤは、俺が何を言ってるのか理解出来ないといった様子を見せている。
「正確にはドラゴンじゃなくてワイバーンと呼ばれる種類だけどな。ファンタジー世界でお馴染みのワイバーンだ。ちなみにワイバーンに乗る経験が出来たりもするぞ」
「嘘でしょ……」
トニヤは戸惑ったような表情でそう告げる。
トニヤにしてみれば、まさかここでワイバーンが出て来るとは思わなかったのだろう。
俺が魔法を使えるんだから、ファンタジー世界の生き物がいてもおかしくはないと思う。
もっとも、俺が使う魔法――正確には違うが――はネギま世界の魔法だ。
それに対して、牧場にいるワイバーンは門世界で確保したワイバーンとなる。
「他にも博物館にはオーガの剥製とかファンタジー世界の生き物とかがいるから、そっちに興味があるなら行ってもいい」
「ちょっと待った! その博物館って、ファンタジー世界の生き物だけじゃなくて、MSみたいな他の世界の兵器もあったりするのか!?」
キッドのその言葉に、他にも何人か興味深そうな視線をこちらに向けてくる。
キッドにしてみれば、他のの世界の機動兵器を見られるのなら見てみたいと思っているのだろう。
だが、実際にはそのような真似は出来ない。
「いや、博物館にあるにはそういうのじゃないな。あくまでもファンタジー世界の資料とかそういうのだ」
「……なら、他の世界のMSとかを見るにはどうすればいいんだ?」
「それはちょっと難しいな」
一応他の世界の機動兵器の類は魔法球の中に技術班が保管している。
それ以外にも機動兵器の生産工場は各世界から多数購入したり譲って貰ったりしているが。
後は、実働班の戦闘訓練とかを見ればシャドウミラーの機体を見る事は出来るのだが。
「えー……」
不満そうな様子のキッド。
そもそもシャドウミラーにとっての国是というのが、多数の世界からそれぞれの技術を得るというものだ。
X世界は……まぁ、ガンダムとかフラッシュシステムとか、それなりに興味深い技術もあるのだが。
「一応考慮するから、運がよければ色々と見る事が出来るかもしれないな」
「ぶーぶー」
そんな様子のキッドを見ていると、やがてバスは交流区画に入る。
「これが、ホワイトスター……」
誰かが呟く声が聞こえてくる。
窓から見える建物は、実際にはそこまで珍しいものではない。
それこそX世界においても戦前には普通にあった代物だろう。
しかし、戦争によってその多くは失われてしまった。
サン・アンジェロ市やセインズアイランドのように、それなりに栄えている場所は多い。
特にセインズアイランドに関しては、こことそう違いはない感じだ。
しかし……セインズアイランドのような場所が、今のX世界にどれくらいあるのか。
バルチャーとして活動しているフリーデンやフリーのMS乗りとして活動してるウィッツ達だけに、真剣にこの世界の常識については理解出来て閉まっているのだろう。
そんな中、やがてバスが停まる。
「ほら、ホワイトスターに見惚れるのは嬉しいが、実際にどういう場所なのかを味わってみるのも大事だぞ。取りあえず5時間くらいは自由時間にする。それぞれ好きな場所に行ってくれ。ただし、基地にもいたのを見たと思うが、量産型Wやコバッタといったのがいるから、何か犯罪行為をした場合は即座に捕まるから注意しろよ」
「もし何かやって捕まったら、どうなるんだ?」
キッドがそんな風に聞いてくる。
もしこれで軽い罰といったような事を言えば、それこそ罰を承知でシャドウミラーが持つ機体を見に行ったりしそうだな。
実際、この状況で罰と言われても……
「これが他の世界の奴なら、その世界にペナルティを課すんだが、X世界はま異世界との間に貿易は行われてないしな。……そうだな。俺の部下に狛治という奴がいる。その狛治と生身の戦闘訓練でもして貰うか」
「……は?」
向こうにしてみれば、完全に予想外の言葉だったのだろう。
一体何を言ってるのかといった視線をこちらに向けてくる。
ウィッツは微妙にやる気を見せているが。
フリーのMS乗りだけあって、荒事にも慣れてるんだろうが……あ、ちょうどいい。
窓から見えた光景に、口を開く。
「ちなみに狛治ってのは……あれな」
そう言い、俺が指さした方向には、タイミングよく道を歩いている狛治の姿があった。
竜の翼を持ち、額から一本の角が伸びているそんな狛治を見て、ウィッツを含めた全員は何も言えなくなるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750