ホワイトスターで俺達と別行動をしていたシーマ達は、転移区画で合流した。
「何があったのか……ってのは聞かない方がいいのか?」
「教えて欲しいのなら、教えてもいいよ? けど、本当に聞いてもいいのかい?」
意味ありげな様子で尋ねてくるシーマに、俺は首を横に振る。
シーマの様子を見る限り、ここで俺が話を聞こうとした場合、その内容は決していいものではないだろうと思えるのだ。
「その方がいいわよ。女同士の会話だもの。アクセルにはちょっと刺激が強いかもしれないでしょうし」
モニクはそう言い、艶のある笑みを浮かべる。
生真面目な性格のモニクがこういう艶のある笑みを浮かべるのは、仮ではあっても恋人の俺としては喜ぶべきなんだろうな。
ただ、俺の知らないところで一体どういう風になってこうなったのか、分からないのはちょっと気になる。
気になるが、口を出すのは止めておいた方がいいのは間違いなかった。
「アクセル、人目を集めてるけどいいのか?」
ウィッツがそう声を掛けてくる。
その声に周囲の様子を見ると、確かにその言葉は間違っていなかった。
ゲートを通して転移してくる者はそれなりに多いのだが、そんな中でもフリーデンの面々やシーマ達を含めると、それなりに結構な人数になってしまう。
それだけの人数で転移区画にいるというのは、そうある事ではない。
結果として、転移区画にやって来た者達の多くは一体俺達がどういう集団なのかといったように興味深く視線を向けてくるのだ。
もっとも、その中には俺の顔を知ってる者もいるので、嬉しそうな表情を浮かべる者もいるのだが。
これは別に俺を見て嬉しいと思っている訳ではなく、単純に俺がまた新しい世界に行って、そこから誰かを連れてきた……つまり、異世界間貿易の対象国がまた増えると、そのように期待してのものだろう。
その考えはある意味間違っていない。間違っていないのだが……X世界と貿易をしても、何かを得られるのかという、唯一にして最大の問題がある。
MS技術の類は、兵器の輸出や輸入が禁止されているので不可能。
そうなると、戦後のX世界において一体何を輸出するのか。
X世界にしてみれば、輸入したい物資は幾らでもあるだろうけど。
ただ、それだと輸出出来ない以上、X世界と取引をする相手はいない。
シャドウミラーが相手なら、戦争で出来た瓦礫とかを買い取ってもいいのだが。
この辺はマブラヴ世界と同じような感じだな。
「まぁ、人目を集めるのはX世界にとって悪い話じゃないのは間違いない。ただ、いつまでも見られているのは何だな。そろそろ戻るぞ」
そう言い、俺達はX世界に戻るのだった。
「じゃあ、今日は基地に泊まりだな。それで明日フォートセバーンに出発するって事でいいよな?」
「うむ。私達はアクセルが言ったようにフリーデンで眠らせて貰う。基地で寝る事が出来ないのは残念だが、それはもう少し平和になった時に期待させて貰おう」
「そうなったら、俺としても悪くはないと思うんだがな」
そう言い、俺はジャミルと別れる。
シーマ達は俺と一緒にテンザン級へ、フリーデンの面々はジャミルと一緒にフリーデンへと……うん?
そんな中、何故かティファがこっちに向かって走ってくる。
その視線の先にいるのは明らかに俺だ。
俺はティファには怖がられていた筈なんだが。
「あの……」
俺の側で足を止めたティファは、そう声を掛けてくる。
うん、俺を怖がっているのは間違いない。
こうして俺に声を掛けていても少し落ち着かない様子を見せているのだから。
だが、そうなると何故この状況で俺に声を掛けてきたのかが分からない。
ティファを追ってガロードがこっちに走ってきてるのは分かるが、ティファ本人はそんな事に気が付いた様子もなく口を開く。
「その……また、炎獣というのは……見せてくれますか?」
ああ、なるほど。それが理由か。
以前に何度か炎獣を見せた時、ティファはその炎獣に強い興味を示していた。
ニュータイプとして興味を示したのか、それとも女……というか少女として興味を示したのか。
その辺りは生憎俺にも分からない。
しかし、ティファの方から俺に歩み寄っているのだから、多少は譲歩した方がいいな。
ティファはこの世界のキーパーソンなのは間違いない。
そんなティファとの仲が友好的である方がいいのは、間違いなかった。
「ああ、ほら」
ティファの言葉に頷き、リスの炎獣を生み出す。
その炎獣は、ティファの方を見ると嬉しそうな様子で近付いていった。
「ふふ」
リスの炎獣を見て、嬉しそうに手を伸ばすティファ。
その手を登り、炎獣はティファの肩の上を自分の定位置と決めたらしい。
「その炎獣は……そうだな、今日一杯くらいは存在する。明日になればもういなくなるけど、また炎獣が欲しかったらこっちに来い。……まぁ、ティファだけで来るのは難しいと思うから、ガロードに連れて来て貰えばいい」
「え? ちょっ、俺かよ!?」
まさかここで自分に話が振られるとは思っていなかったのか、ガロードは驚きの声を上げる。
「ティファの世話係なんだろ? なら、お前がティファを連れてくるのは当然じゃないか?」
「いや、それはそうだけど……」
「ガロード……」
戸惑った様子を見せるガロードに、ティファが上目遣いで言う。
その右肩に乗っているリスの炎獣も、何となくガロードに向かってお願いをしているように見えた。
「わ……分かった、分かったよ! ティファが行きたいのなら、そうするから!」
ガロードにとって、ティファの願いを断る事は出来なかったらしい。
「ありがとう」
「い、いいって、いいって。ほら、俺はティファの世話を任されてるんだから」
そんな風に照れるガロードを、ゆっくりと眺めるのだった。
「それで、アクセルの方はホワイトスターでの行動はどうだったんだい?」
夜、テンザン級にある俺の部屋でシーマがそう尋ねてくる。
現在俺の部屋にいるのは、俺以外にはマリュー、ミナト、シーマ、モニク、クスコ、クリス。
ようは俺と関係のある女達が全員揃っていた。
とはいえ、俺の部屋は他の部屋よりも広いものの、ベッドでかなりの面積を使っている。
それだけに、当然ながらベッド以外の場所にシーマ達がいる事は出来ず……シーマも含めて、全員がベッドの上に座って話していた。
せめてもの救いは、シーマ達は普通の服装だったという事だろう。
もしシーマ達がスケスケのネグリジェとか、そういうのを着ていたら、暴走した可能性は否定出来ない。
シーマ達もその辺は十分に理解した上で俺の部屋にやって来ているという事か。
……普通の服装のままで、シーマ達がベッドの上にいるのも、それはそれで違和感があるのは間違いないんだが。
「そうだな。俺は狛治と一緒に行動していたな」
「狛治? シャドウミラーのメンバーかい?」
ああ、そうか。何だかんだと慣れてきていたが、シーマ達はあくまでもUC世界の人間だ。新しくシャドウミラーに加わった人員がいても、そう簡単に知る事は出来ないのだろう。
「ああ。鬼滅世界での一件でな」
「あ、鬼滅世界と言えば……輝利哉君だっけ? あの子は元気にしてるの?」
クリスのその言葉に、一瞬何と言えばいいのか迷う。
クリスにとって、輝利哉というのは自分に懐いてくれている男の子といったところだろう。
サイド6でも、クリスはアルに懐かれていた。
そういう感じで接しているのだろうが……それはあくまでもクリスの視点だ。
輝利哉にとって、クリスは懐いているのは間違いないし、好意を抱いているのも間違いないだろう。
しかし、その好意は恋心……つまり初恋だ。
当然ながら、クリスにとって輝利哉はそういう存在ではない。
何しろアルよりも年下の子供なのだから、そんな相手を恋愛対象として見られる筈もないだろう。
それに……俺が言うのも何だが、クリスは仮とはいえ、俺の恋人だ。
……うん。鬼滅世界に行って輝利哉にこの件を話したら、一体どういう事になるんだろうな。
輝利哉も今は耀哉が作った会社で忙しく働いている……というか、耀哉の後を継いで社長になる為の勉強をしているから、UC世界に行くような事はないだろう。
けど、いつかその辺はきちんと説明する必要が出て来るか。
「ああ、元気にしてるよ。今も父親の下で勉強を頑張ってる。……で、狛治ってのはとにかく鬼滅世界出身の奴だ。もしフリーデンの面々が何かやらかしたら、狛治と模擬戦をするのが罰だと言っておいた。……UC世界もそうだが、この世界の連中も基本的に生身の戦いは弱い。それを考えれば、狛治と戦うのは嫌がるだろうしな」
額から角が一本伸びていて、背中には竜の翼がある狛治だ。
そんな相手と正面から戦いたいと思う者は、まずいないだろう。
「ふーん。それで問題なかったの? 初めてホワイトスターに行ったのなら、何か問題を起こしてもおかしくないと思うけど」
「正解」
クスコの言葉にそう告げる。
そんな俺に、他の面々はやっぱりといった様子を見せていた。
「とはいえ、そこまで大きな問題でもなかったけどな。それに狛治がどうこうするよりも前に、天罰は落ちたし」
「……何があったの?」
マリューが慎重に聞いてきたのは、もしかしたら技術班が何か関わってるのではないかと、そんな風に思ったからだろう。
技術班はシャドウミラーの中でも大きな特徴の1つだが、同時にトラブルメーカーでもある。
オクト・エイプの改良とかには、暴走した様子を見せなかったが。
それでも性能30%アップとなれば、本来ならそれはもう別の機種と呼んでもいいくらいだ。
「ロアビィが明日菜を口説こうとして言い寄って、殴り飛ばされて気絶したんだよ」
「それは……また……」
あまりと言えばあまりの出来事に、マリューはそんな声を出す。
ちなみにマリューだけではなくモニクも微妙な表情を浮かべている。
モニクは以前ロアビィに言い寄られた事があったので、今回の件に色々と思うところがあったのだろう。
「咸卦法を使った明日菜を前にしたら……X世界の人はどうにもならないでしょうね」
ミナトの口調には、どこか哀れむような色があった。
明日菜の使う咸卦法の力を十分に知ってるからこその行動だろう。
そんな風に会話を続け……そして、寝る頃になるとシーマ達は部屋から出て、俺はマリューとミナトの2人と熱い夜を楽しむのだった。
翌日……ジャミルとの予定通り、テンザン級とフリーデンはフォートセバーンに向かって進んだ。
しかし、そんな中でフリーデンからティファとガロードがやって来る。
昨日言ったように、ティファに渡した炎獣が消滅したからだろう。
それでまたティファは炎獣を欲してやって来たのだろうが……
「っ!?」
ブリッジに入ってきたティファが、その中を見回した瞬間に顔が真っ赤になる。
「ティファ?」
ティファから遅れて入ってきたガロードが、ティファの様子に疑問を抱く。
それはガロードだけではなく、ブリッジにいる面々……まぁ、殆どが量産型Wなので、俺とマリュー、ミナトも同様だった。
ミナトは操舵をしているので、当然ながら動けない。
そんな訳で、俺とマリューがティファに近付いたのだが……そうして近付いてくる俺とマリューを見たティファの顔が、余計に真っ赤に染まる。
「ちょっ、おい、ティファ!? もしかして何か病気に掛かったのか!? えっと、えっと、こういう時は一体どうすれば……」
「ガロード、大丈夫」
ティファの様子から病気か何かだと考えたガロードだったが、ティファの言葉で我に返る。
どうやら本当に病気とかそういうのではないらしい。
けど、それなら何でいきなり顔を赤く……そう考えたところで、ふと思いつく。
ティファはクスコやマリオンのようなUC世界のニュータイプとは違うが、それでもこのX世界でニュータイプと呼ばれている存在だ。
それだけではなく、俺を見て海といったように表現をする能力も持つ。
ある意味、相手の本質や記憶といったのを読めるのだ。
そして俺とマリュー、ミナト。
この3人でティファの顔が真っ赤になるようなこととなれば、思い浮かぶのはそう多くはない。
俺の心を読むといったようなことは、海と評したことから恐らく出来ないと思う。
そうなると、マリューとミナトが昨夜ベッドの上で体験した事を、恐らくティファは読んだのだろう。
……見るからにそういう事に興味がなさそうなティファが、いきなり昨夜の光景を見たのだ。
せめてもの救いは、ホワイトスターにいる時の記憶じゃなかったという事か。
ホワイトスターでの夜となると、それはもう色々な意味でもの凄い事になっているのだから。
とはいえ、この状況でティファが何を見たといったような事を言える筈もないので、それは気にした様子を見せずに尋ねる。
「それで、ティファとガロードが来たのは、炎獣か?」
赤い顔のまま、ティファは小さく頷く。
色々な意味でショッキングな映像を見ても、それでもなお炎獣を欲するか。
そんなティファの様子に免じて、俺は再び炎獣を生み出すのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750