フリーデンで行われてた諸々の説明をし終えると、次はすぐに外に出る事になった。
こうしてフリーデンの外に出て何をするのか。
それは空間倉庫に収納されているパトゥーリアを出すという事だ。
フリーデンの格納庫は当然だが、X世界において最大級の陸上戦艦であるテンザン級であってもその格納庫にパトゥーリアを出すような真似は出来ない。
フォートセバーンの政庁の地下で開発されていたパトゥーリアだけに、迂闊な場所で出す訳にはいかないのだ。
幸い、今は雪が止んでいるのでパトゥーリアを出しても問題はない。
これで吹雪とはいかずとも、普通に雪が降っている状態ではパトゥーリアを出す訳にはいかない。
「雪が降り始めたら、すぐにパトゥーリアは収納するからな。……出来ればもっとしっかりとした場所で調べるといいんだろうけど」
最善なのは、やはりホワイトスターにある魔法球の中だろう。
だが、当然ながら魔法球はシャドウミラーにとって重要機密の1つだ。
そうである以上、フリーデンの面々にそう簡単に教える訳にはいかない。
「分かったから、早く見せてくれよ!」
キッドがそう急かす。
天才を自称し、実際にそれだけの能力を持つキッドにしてみれば、百m級のMAというのは興味深いのだろう。
エアマスターやレオパルドの修理。そして半ば中破に近いGXの修理とか、キッドにはやる事が色々とある筈なんだが。
それでもパトゥーリアに興味津々となってしまうのは、キッドの性格上仕方のないことなのだろう。
「分かったから、少し落ち着け。……マリューも準備はいいな?」
「ええ、問題ないわ」
キッドと違って、マリューは落ち着いてそう言ってくる。
この辺りは技術者としての経験の違いだろう。
キッドが幾ら天才だからといって、それでも技術者としての経験はどうしても人生経験と比べるとマリューには及ばない。
それにマリューは、シャドウミラーで今まで百m級の機体というのはそれなりに見る機会が多かった。
「よし、出すぞ」
そう言った次の瞬間、雪原の上にはパトゥーリアの巨体があった。
『おおおおお』
その光景を見ていた多くの者が、驚きの声を上げる。
俺の説明で知ってはいても、実際に自分の目で見るのとは大きく違うのだろう。
まさに百聞は一見にしかずって奴だな。
「じゃあ、調べるのは任せた。ニュータイプ用の機体だから、フラッシュシステム……は連邦の技術か。宇宙革命軍のニュータイプ用の制御システムとか、そういうのがあると思う」
ニュータイプ用の制御システムという点では、何気にフラッシュシステムってかなり高性能なんだよな。
機体制御に武器制御、それだけではなくGXのようにサテライトキャノンを使う際に必要な登録とかも出来るし。
ある意味万能なシステムと表現しても、そう間違ってはいないだろう。
「うおおお! 行くぜぇっ!」
「あ、ちょっと待って下さいよチーフ!」
「俺達も行きますから!」
キッドがパトゥーリアに向かって走り出すと、太ってる男と痩せている男がキッドを追う。
あの2人もフリーデンのメカニックで、年は自分達よりも下だが有能なキッドの事を信頼しているらしい。
「マリューは行かないのか?」
「そうね。行ってくるわ」
そう言うと、マリューはその場で軽く跳躍すると空中を蹴って移動していく。
ネギま世界ではそれなりに難易度の高い虚空瞬動だが、シャドウミラーにおいては多くの者が普通に使いこなす。
何しろ技術班に所属する技術者も使ってるしな。
というか、これがないとエキドナ、茶々丸、セシルといった面々から逃げられないのだから。
マードックも確か使えるようになっていた筈だ。
「うお……な、なぁ、アクセル。あれって……一体何なんだ?」
「虚空瞬動だな。ホワイトスターに行った時、誰か使ってるのを見たりしなかったか?」
ウィッツの疑問にそう答える。
フリーデンの何人かは、俺の言葉に納得した様子を見せた。
多分、ホワイトスターで虚空瞬動を使った光景を見たんだろうな。
出来ればその光景は、技術班のメンバーが逃げ出したといったようなものでないといいんだが。
「それでも……まさか、艦長の彼女がそのような真似を出来るとは……」
ジャミルの口からも驚きの声が出る。
同じ艦長だからこそ、マリューが虚空瞬動を使うといった真似をしたのを見て思うところがあったのだろう。
「言っておくが、マリューはまさに天才と呼ぶに相応しい人物の1人だぞ? 元技術者で、SEED世界……このX世界とは違う別の世界でガンダムを開発した技術者の1人だ。それも実弾攻撃を無効化するという、とてつもない高性能な装甲を開発した中心人物でもある」
マリューが開発したPS装甲は、永久機関の動力炉を多数持つシャドウミラーにしてみれば、非常に強力な装甲となる。
まぁ、無効化出来るのはあくまでも実弾だけで、ビームは無効化出来ないのだが。
それに装甲そのものにダメージはなくても、機体に衝撃はある。
その衝撃を上手い具合に使えば、PS装甲を使ったMSに乗ってるパイロットを気絶させるような真似も出来るのだ。
「他にも高い身体能力を持っていて、コーディネイター……遺伝子調整されて普通の人間よりも高い能力を持ってる連中と生身でも互角に戦う事が出来るし」
生身というのは、正確にはMSに乗ってない状態という意味で、銃とかの武器を持ってないという訳ではない。
「艦長としての能力は……まぁ、その優しさから果断な判断はちょっと難しいが、それでも一流と呼ぶに相応しいだけの判断力を持っている。それ以外にも料理が上手くてあの美貌だ。天は二物を与えずってのは何だったのかと思いたくなるような女だ」
勿論、それらはマリューが何もせず才能だけで入手したものではない。
訓練し、勉強し、鍛え……そうした結果として、才媛と呼ぶに相応しい女になったのだが。
出来ればそこに、俺という男の存在があったから……という風になってくれると嬉しいんだが。
「うわぁ……凄いわね。完璧じゃない」
トニヤが驚きと共に告げる。
嫉妬の色がないのは、俺にとっても助かる。
サラは……微妙な表情を浮かべているが。
生真面目な性格だけに、自分がマリューよりも劣っているというのあまり面白くないのだろう。
「ちなみに、マリュー程じゃないにしろ、シャドウミラーには他にも多数の天才と呼ぶべき者達がいるぞ」
何だかんだと、シャドウミラーには多くの才能のある者達が揃っている。
技術班は特にその点が大きいだろう。
「ああ、そう言えば。ホワイトスターに行った時は、ナンパした相手にボコボコにされたしね」
冗談っぽく言うロアビィだったが、明日菜は明日菜で色々と特殊な存在なんだよな。
明日菜は生活班として活動しているが、そんな人物が咸卦法を使うというのは、普通ならとてもではないが考えられないだろう。
そもそもシャドウミラーの中でも咸卦法を使えるのは、明日菜くらいだ。
そういう意味で、ロアビィは言い寄った相手が悪かったな。
明日菜に目を付ける辺り、女を見る目という点では決して悪い訳ではないのだが。
「そんな訳で、マリューはシャドウミラーの技術班の中でも2番目に偉い立場にいる。パトゥーリアの調査も任せておけるだろ」
「……技術班とやらで2番目に偉いのに、バルチャーをやってるのか?」
テクスのその質問は、普通ならそんなにおかしくはない……どころか、当然のものだろう。
高い地位にある人物が危険な場所にいるのだから。だが……
「それを言うなら、俺はシャドウミラーのトップだぞ?」
「私には、シャドウミラーという存在が全く理解出来ん」
しみじみとそう告げるテクス。
「俺達は普通とは違うからな。けど、テクスにとっては興味深いところもあるぞ? 具体的には、治療技術で」
シャドウミラーの治療技術は、ちょっとしたものがある。
具体的には、木乃香や千鶴の魔法であったり、レモンのバルシェム生成チャンバーを使った治療であったり。
勿論、一般的な……薬を塗ったり、手術をしたりといったような治療技術もあるが。
テクスのような医者にしてみれば、シャドウミラーはかなり興味深いと思ってもおかしくはない。
「ほう、それは……確かに興味深いな」
魔法やバルシェム生成チャンバーについての説明をすると、案の定テクスは興味深そうな様子を見せる。
「とにかく、俺はいつまでもここでこうしていてもいいけど、お前達はこの状況だと寒いだろう? キッドが満足するまで、一度戻ったらどうだ? ……ティファは安心そうだが」
そう言ってティファに視線を向けると、俺に視線を向けられたティファはジャミルの後ろに隠れる。
それでいながら、顔を出してこっちを見ていたりもしたが。
そんなティファの肩の上には、以前俺が渡したリスの炎獣がいる。
炎獣である以上は、当然ながらその身体は炎……白炎で構成されていた。
触れても火傷をしたりはしないが、暖かいのは間違いない。
それでいて、もし誰かがティファに襲い掛かって来た場合、炎獣としての能力を使ってティファを守るだろう。
今の状況で考えると、カリスがフリーデンから逃げ出す時にティファを連れていく……といったような事を考えてもおかしくはない。
アルタネイティブ社の前に俺がティファと接触していれば、オルバにティファが奪われるといった事もなかっただろう。
今更だが。
「そうね。このままだと寒いし、一旦戻りましょう。……けど、キッド達は寒くないのかしらね?」
トニヤのその言葉に、何人かが頷く。
「一応厚めの服を着てるし、パトゥーリアに興味津々である以上、そっちに意識を集中してるから、その辺は問題ないだろ。マリューの方は……まぁ、何とかなるだろ」
マリューは身体強化が出来る。
それによって、完全ではないが暑さや寒さを防ぐ事が可能なのだ。
咸卦法を使える明日菜なら、それこそこういう場所ではなくて山の中で吹雪に遭っても問題ないんだが。
「そうなの? ……随分と羨ましいわね」
「シャドウミラーにとって、その辺の能力は半ば必須だしな」
別に寒さや暑さに耐える為にそういうのが必要な訳ではなく、生身での戦いの際に魔力や気で身体強化をする必要があり、それによって副次的に暑さや寒さに耐える能力を得るのだ。
「ふーん。シャドウミラーって凄いのね」
「それは否定しない。……ちなみに、シャドウミラーに所属すれば太るという事は基本的にないぞ」
「ちょっと何それ詳しく教えて今すぐここで」
俺の言葉を聞いたトニヤは、一瞬にして……それこそ本当に瞬動でも使ったのではないかと思える速度で俺に近付くと、一気にそう言ってくる。
トニヤは、今はとにかくサン・アンジェロ市の付近にいた時は、結構露出度の高い服装をしていた。
胸元や腹が出ており、スカートもかなり短く太股が露出している。
そんなトニヤだけに、太るとかそういうのには強い興味を持っているのだろう。
ちなみにサラはトニヤのように近付いてきたりはしなかったが、それでも俺の言葉に興味があるのか、じっと見てきている。
いや、それはサラだけではない。
シーマを始めとしたUC世界の女達も同様だった。
特にマリオン何かはかなり強い視線をこちらに向けている。
オルテガはその辺はあまり気にしないと思うんだが。
シーマ達が俺に視線を向けているのは……うん。その理由は理解出来る。
俺に告白した以上、最高の自分を俺に見て欲しいと思っているのだろう。
「アクセル?」
俺が周囲の様子を見ていたのに気が付いたのか、トニヤがそう尋ねてくる。
かなりの迫力なのは間違いない。
それこそちょっとやそっと戦いの心得があっても、今のトニヤの迫力には負けるだろう。
ニュータイプが言う、プレッシャーって奴か?
「行っておくが、別にそこまで特別な事じゃないぞ? なぁ?」
「そうね。やろうと思えば誰でも出来る事だけど、それを実際にやるのは難しいでしょうね」
この場にいる中で、唯一俺の言葉を理解していたミナトがそう告げた。
そんなミナトの言葉に、改めて視線が俺に向けられる。
……いや、この場合は俺じゃなくてミナトに向けられるのが普通じゃないのか?
そんな風に思いつつも、このままだとトニヤから放たれるプレッシャーが増えるだけなので、口を開く。
「簡単な事だ。食った分だけ動けばいい。シャドウミラーに所属すれば、生身での戦いの訓練は強制的にする事になる」
その言葉を聞いた面々は、意表を突かれた表情を浮かべる。
まさか俺の口から出たのがそんな当たり前の事だとは思っていなかったのだろう。
実際には、レモンの技術なら脂肪吸引手術とか、そういう美容整形の類もやろうと思えば出来るだろう。
だが、やはり一番最適なのは運動して痩せるという事だろう。
そしてエヴァとの戦闘訓練は、間違いなく痩せる。
それどころか、いつも以上に食事をしないと痩せすぎて不味いことになってもおかしくはない。
そういう意味で、エヴァの訓練はダイエット効果という点では間違いなく一級品だった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1915
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1751