転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0322話

「アクセル君!」

 

 フェイトや千草といった敵対勢力も去り、桜咲と近衛も無事と、なんとか奴等をやり過ごす事に成功した。

 それを確認した俺は、脇腹の傷もあり地面へと腰を下ろす。そんな俺へと駆け寄ってきたのはあやか、千鶴、円、美砂の4人だった。奇しくも全員が俺と仮契約をしている相手だ。

 ちなみに朝倉はこちらを心配そうに見ていたが、近衛と桜咲の方へと行くように言ったのでそちらへと向かった。

 

「傷の方は大丈夫ですの!?」

 

 目の端に微かに涙をためているが、円と美砂が魔法に関して知らないというのを考えてか気丈に振る舞っている。千鶴もまた同様だ。

 

「……大丈夫?」

 

 美砂の言葉に軽く頷く。

 

「ああ、さっきも言ったが今のはあくまでも劇だったからな。確かに多少のアクシデントはあったが、俺に刺さっていた短剣……いや、ナイフにしても手品用の仕掛けが壊れたか何かしたせいだし」

 

 ちなみに、既に俺の脇腹にフェイトの短剣は刺さっていない。戦闘で邪魔になるという理由で抜き去ってあり、現在は筋肉を引き締めて傷を無理矢理ふさいでいる状態だ。

 現在のままでもジクリとした痛みは感じているが、幸いにして傷自体が深くないというのもあるし、チート的なアクセルの肉体だからもう数時間もすれば完治すると思われる。ただ、その数時間で何が起きるか分からない以上はなるべく早く回復した方がいいだろう。よって。

 

「劇のせいとは言っても、この貸衣装を汚してしまったのは間違いないからな。千鶴、悪いが付いて来てくれるか?」

「ええ。……あやか、ここはよろしくお願いね」

「分かりましたわ」

 

 千鶴の言葉に頷くあやか。俺が何を目的にして千鶴に付いて来てもらうのかを理解しているのだろう。

 

「へぇ、いいんちょがアクセル君に付いていかないというのも珍しいわね」

「釘宮さん、一応私にも立場というものがあるんですのよ?」

「……あれ? 美砂、どうしたの? いつもならここでこっちをからかってくるのに」

「え? ううん、なんでもない。アクセル君、本当に大丈夫……なんだよね?」

「ああ、問題無い」

「本当にあれは劇、だったのよね?」

「ああ」

 

 そこまで言ってもまだこちらを信じ切れていないのだろう。どこか心配そうに俺の腹を……より正確にはフェイトの短剣に刺された傷口を見ている。

 

「アクセル君、ほら、早くいかないと」

「っと、悪い」

 

 そのまま千鶴と貸衣装屋のある方へと向かう。

 ……背中に痛い程美砂の視線を感じながら。

 

 

 

 

 

「……ここでいいかしら」

「ああ。ちょっと待っててくれ」

 

 貸衣装屋の少し手前。人の目の届きにくい脇道へと千鶴と共に隠れるように入り、認識阻害の魔法を使用する。

 

「アデアット」

 

 同時に千鶴もまたアーティファクトを召喚する。右腕に付けている7色の魔法石がついている腕輪がそれだ。あやかのアーティファクトのように攻撃力には優れていないが、強固な防御フィールドを形成する守護領域や指定した領域にいる敵の魔力を吸収したりと多才な能力を持っている。それに現在ではまだ使えないが、この先千鶴の能力が増していけば虹色領域の腕輪というアーティファクト名の通りに今はまだ使えない色の能力を使うことも可能になるだろう。だが、今必要なのは現在千鶴が使える能力のうちの一つ。

 

「私を中心に半径1mに領域を指定。橙の石よ、その力を示せ」

 

 その言葉を発するのと同時に、千鶴を中心にして橙色の領域が展開される。この橙の魔石の力は自動回復効果。FFとかで言うリジェネのようなものだ。実際、俺の脇腹から感じられる痛みは徐々にだが収まっていく。

 

「傷の具合は大丈夫?」

「ああ、大分楽になってきた」

 

 心配そうにこちらを見る千鶴にそう言葉を返す。

 傷自体はそこまで重症といえるものでは無かったので、そう時間を掛けないで完治出来るだろう。……まぁ、それでもアクセルの身体能力があってこその軽傷なんだが。

 そのまま10分程経つと、痛みはすっかり消えていた。

 

「もう大丈夫だ。後はこの衣装だが……」

 

 俺が貸衣装屋で借りた陰陽師の衣装である狩衣は白を基本にしている。つまり、それだけ俺の血が目立つ訳だ。そしておまけと言ってはなんだが、小道具として借りた呪符モドキに関してもフェイトとの戦いで無くしてしまっている。

 

「そう、ね。恐らく買い取りになるんじゃないかしら」

「だよなぁ」

 

 俺の傷が治ったので安心したのか、ようやくいつもの様子に戻った千鶴がそう言ってくる。俺としてもそうだろうと半ば予想していたので半ば諦めの溜息を吐きながら頷いて貸衣装屋へと向かう。

 

 

 

 

 

 ちなみに、結局狩衣は2万円程で買い取りになった。

 

 

 

 

 

 陰陽師の貸衣装を買い取り、制服に戻って皆の所に戻るとそこには桜咲と近衛を中心にして1班と3班の面々が囲んでワイワイと賑やかにやっている。

 そんな中、目敏く俺と千鶴を見つけたのは当然の如くあやかだった。

 

「アクセル君、お帰りなさいまし。どうでしたか?」

 

 チラリ、と千鶴の方を見てからそう尋ねてくるあやか。傷の具合についてだろう。

 

「ああ、問題無い。もう動くのにも影響は無いしな」

「そうですか、良かったです。その、柿崎さんに声を掛けてあげて下さいな。随分とアクセル君の傷を心配していましたし」

 

 あやかの言葉に頷き、円と一緒にいる美砂の方へと移動する。

 

「大丈夫……なの?」

「言っただろう? アクシデントみたいなものだったって。ほら、全然平気だ」

 

 心配そうな美砂を安心させる為、その場で軽くジャンプしてみせる。

 その様子を見てようやく安心出来たのだろう。口元に小さな笑みを浮かべる美砂。

 ちなみに、既に顔を洗ったかどうにかしたのだろうが、美砂の顔についていた俺の血は綺麗さっぱりと消えていた。

 

「アクセルさん、お待ちしてました。その、大丈夫ですか?」

 

 俺を見つけた桜咲が近衛と共にこちらへと向かって来る。当然、周囲の面々も同じくだ。

 

「すいません、ちょっとアクセルさんと相談したいことがあるので失礼します」

 

 桜咲が周囲の人へとそう言い、少し離れた所まで移動する。

 

「それでこれからどうする?」

「ちょっと考えたのですが、相手が堂々と姿を見せて襲撃してきた以上はこっそりとするのは逆に危険です。ここはお嬢様の御実家、関西呪術協会の本拠地へ向かいたいと思いますがどうでしょうか?」

「なるほど、関西呪術協会は長が親関東派だったな。ならその庇護に入るのはありと言えばありか。もっとも敵の懐に飛び込むとなると、強硬派としても手を打ちやすくなるというデメリットがあるが……その辺はどうなんだ?」

「確かにそういうデメリットはあります。ですが、長は名を馳せた剣士でもありますので迂闊に動けばそれこそ強硬派として処断する事も可能でしょう」

「そうだな……なら、そっちがそれでいいのなら構わない。神楽坂達と合流するんだろう?」

「はい。ネギ先生とカモさんは既にあちらへと戻っていますのでその予定です」

「分かった。ならこっちも早速美砂や円達にも準備するように言ってこよう」

 

 俺のその言葉に、意表を付かれたかのような表情をする桜咲。

 

「え? あの、アクセルさん? 関西呪術協会に向かうのは関係者のみとするつもりだったんですが……他の方達も連れていくんですか?」

「当然だろう。今回の襲撃で少なくても1班と3班のメンバーは俺達の関係者だと奴等にも認識された筈だ。一応一般人に対する秘匿義務があるとは言っても強硬派だけにそれがどこまで守られるかは疑問だろう。なら一緒に連れていって纏めて保護して貰った方がいい」

 

 フェイトに関しても仮契約をしている美砂をこちらの関係者とみなして攻撃を仕掛けているのだ、他の強硬派がどう動くかというのは予想出来無い。もしこのままここで別れて、後で1班や3班の面子が人質として使われるなんて事になったら笑い話にもならない。それなら最初からこちらの保護下に置いておいた方がいい。

 

「そう……ですね。まぁ、取りあえず他の方が一緒に来るにしても魔法について知られないのなら構わないと思います」

 

 桜咲も俺の言っている可能性があり得ると判断したのだろう。小さく頷いて了解し、俺達2人は皆の近くへと戻っていく。

 

「皆さん、ちょっといいでしょうか」

 

 桜咲の声にその場にいる者達の視線が集まる。

 

「申し訳ありませんがちょっとした所用でお嬢様の実家に向かわないとならなくなりました。なのでもし良かったら皆さんを招待したいと思うのですが、どうでしょうか?」

「せっちゃん、おうち帰るん?」

「ええ。先程の件もありますので」

「このかさんの実家ですか? 私達が行ってもいいものなのでしょうか」

「ユエ、折角なんだし刹那さんの好意に甘えようよ。それに木乃香の実家って興味無い?」

「いえ、私は別にそれ程……と言うか、何故にハルナはそんなに乗り気なんですか?」

「どこからかラヴ臭が漂ってくるのよ!」

「まぁ、ラヴ臭はともかくまほら新聞の記事には……さすがにプライベートの写真を載せるのは拙いかなぁ」

 

 3班組はそんな会話をし。

 

「ちづ姉、私達も行っていいのかな?」

「そうねぇ。アクセル君が行くって言ってるんだしいいんじゃないかしら」

「那波さん、アクセル君がOKならそれでいいの?」

「……円、私も賛成かな。ちょっとアクセル君を休ませてあげたいし」

「美砂?」

「あ、ほら。さっきの劇でかなり激しい運動してたからさ」

「あー、確かに。にしても、さっきの劇は凄かったよねぇ。アクセル君が強いのは知ってたけど、悪役の子も同じくらいに強かったし。それにあの可愛い妖怪とか。随分と派手だったわね」

「……そうね」

 

 何だかんだで、皆近衛の実家に行くのは賛成のようだった。

 その後、着替えをした後にシネマ村の入り口で待ち合わせして近衛の実家へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

「この道を進めばお嬢様の実家に到着します」

 

 シネマ村を出てから1時間程、ようやく近衛の実家の近くまで辿り着いていた。

 結構長い歩きだっただけに体力のない面々はそれなりに疲れているらしいが、道の先にネギや神楽坂、宮崎の姿を見ると元気が戻ってきたのか大声で呼びかける。

 

「おーい、アスナー」

 

 何やらこちらを見て驚いている神楽坂へと皆で手を振るのだった。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    ???

撃墜数:376

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