転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0346話

 ヘルマンとの戦いから半月程。学園祭の準備が次第に進む中、半月程前とは色々と変化が見られるようになってきた。

 まず第1にネギや神楽坂の俺に対する態度が余所余所しくなっているのが上げられる。エヴァの別荘での言い合いをした翌日からその態度が露わになってきたのだ。

 ……まぁ、これに関してはしょうがないと思っている。そもそもエヴァが言っていたように俺とネギ、神楽坂の立っている場所そのものが違うのだから。ネギがそれを理解しない限りは幾ら話した所であの時の繰り返しになるだけだろう。ただ、神楽坂に関しては時々何か言いたそうにこちらを見ているので、いずれなんとかなるんじゃないかとは思っている。

 第2に、エヴァの言う通りに小太郎が俺のルームメイトになった事か。元々あやか達の部屋は2部屋分を3人で使っていたのだが、そこに俺と小太郎が転がり込んだ形だな。どういう手段を使ったのかは分からないが、ヘルマンと戦った翌日には部屋のリフォームが完了し、新しい部屋が出来ていた。……脅威の雪広財閥とでも言うべきか。

 ちなみに、さすがに5人全員の個室にするというのは無理があったのか俺と小太郎は2人で1部屋となっている。……俺が使っていたでかいベッドに関してはさすがに部屋に入りきらない、あるいは入っても部屋の大半を占領するという理由で普通のベッドに交換して貰った。今は部屋の広さを考えて2段ベッドになっている。

 巨大ベッドに関しては、俺の空間倉庫に収納済みだ。

 そして最後に、これは変わったと言うか、変わらないと言うか。ヘルマン戦に関しては近右衛門との交渉で高畑が倒したという事にしてもらった。ただでさえネギと関係があるというのでいらない注目を受けているのに、これ以上の注目は避けたかったというのが大きい。もっとも、高畑に面倒を押しつけたという形になったのでヘルマンとの戦いに関しての報酬はそれと相殺という形にされたのが残念と言えば残念だ。

 

「あら、ネギ先生とアスナさんですわね」

 

 そんな中、あやか、千鶴、円、美砂、夏美、小太郎と共に学校へと向かう途中で前を歩いているネギ達に気が付く。

 

「お、じゃあ俺はちょっとネギに挨拶してくるわ」

 

 小太郎がそう言い、ネギの方へと走っていった。

 ちなみに小太郎はネギとの仲はそれなりに良好らしく、エヴァとの修行にも時々付き合っているらしい。

 

「……アスナにも困ったものね」

 

 思わずポツリ、と漏らしたのは美砂だ。

 どこか寂しそうな様子なのは、元々美砂と神楽坂の席が隣同士でそれなりに仲が良かったからだろう。

 

「あ、やっぱり美砂とアスナって喧嘩してるの?」

 

 その声を聞きつけた夏美の言葉に苦笑を浮かべる美砂。

 

「ま、大人の女には色々とあるのよ」

「ちょっと、私と同い年でしょ」

「フフ。だって私は修学旅行で熱い思い出を作って大人への階段を一歩昇っちゃったしなぁ」

 

 指を唇に当てて意味あり気に呟く。

 あからさまに話を誤魔化そうとしているのは見え見えだったが、その手の話に耐性の無い夏美は顔を真っ赤にして沈黙するしか出来なかった。

 

「……あれは?」

 

 小太郎を除くいつもの面子で通学路を歩いていると、普段とは違う様子に気が付いた。なんと言うか、皆が皆落ち着き無いと言うか、はしゃいでると言うか。

 

「ふふっ、もうすぐ分かりますわよ。……ほら」

 

 あやかの視線の先を追うと、そこには何と着ぐるみやコスプレをした集団が存在していたのだ。数人がコスプレをしている状態なら、この麻帆良だし驚くような事もない。だが視界に入ってきた集団はその殆ど……と言うか、7割程がコスプレをしていたり、着ぐるみを着込んでいたりすれば違和感がある。

 さすがにこれは麻帆良でもおかしいだろう。

 

「やっぱり大学部の人達は気合いが入ってるわね」

「そうね。でもあれって出し物の宣伝も兼ねてるんでしょ?」

「そうらしいけど……そういうのを考えていないで殆どノリだと思うわよ」

 

 円と美砂の話を聞いて大体の予想はついた。

 

「大学の学園祭とかそういうのか?」

「ちょっと惜しい。正確には麻帆良全体の学園祭だよ」

「全体?」

「うん、ほら。あれを見て」

 

 夏美の指さす方向を見てみると、そこには巨大な門がそびえ立っており『麻帆良祭まであと15日』と書かれた垂れ幕が垂らされている。

 

「麻帆良祭、か。それは確かに楽しみだな」

 

 そう言えば確かに修学旅行前から夏美が演劇部の練習に熱心に通っていたな。

 そんな会話をしながら教室へと向かうのだった。

 その後、3-Aの出し物を決める時、メイド服やらバニーガールやら猫耳スクール水着やらミニスカ猫耳ナースやらで騒いでいると新田が登場して怒られるのだった。

 ……と言うか、うちのクラスはどれだけ猫耳が好きなのやら。

 そして翌日にもネコミミラゾクバーやらノーパン喫茶やらで盛り上がったが、再び新田が登場という流れに。

 さらに翌日、昨日の件でネギが落ち込みまくっているかと思ったが、意外な事にやる気を見せていて結局3-Aの出し物はお化け屋敷に決定した。

 

 

 

 

 

 週明け。お化け屋敷の準備をするという事もあり、いつもよりかなり早めに寮を出て四葉の屋台で朝食を調達。その後、校舎の中へと入ると、そこでは3-Aの生徒達を含めた他のクラスの生徒達までもが落ち着き無くざわめいていた。

 

「明石、何の騒ぎだ?」

「あ、アクセル君。幽霊だよ幽霊。っていうか、アクセル君達は昨日いなかったけど、どうしたの?」

 

 がーっとばかりに明石が話してくるが……幽霊?

 

「昨日は皆でちょっと用事があってな」

 

 正確にはエヴァの別荘で戦闘訓練だった。特に円と美砂はまだまだ魔法の世界に足を踏み入れたばかりなだけに、訓練の時間は幾らあっても足りないのだ。

 

「ふーん、そういえば最近ネギ君と仲が良くないみたいだけど……喧嘩でもした?」

「まぁ、ちょっとな。……それよりも、幽霊?」

「あ、そうそう。ほら、あの新聞見てよ」

 

 明石に誘われるようにして掲示板の前へと移動すると、そこには3-Aの教室に幽霊が現れたという麻帆良スポーツが貼られていた。

 

「……幽霊、ねぇ」

「あ、その言い方は信じてないんでしょ。でも、本当なんだから。私も実際に見たし、他の皆も見てるんだよ。それに新聞にもあるけど、前からうちのクラスには幽霊が出るって話はあったのよ」

「少なくても、俺は見た事がないけどな」

「いや、アクセル君が転校して来てからまだ半年も経ってないじゃん」

 

 明石の言葉を聞きながら、内心考える。確かに魔法があったり鬼や悪魔が普通にいる世界だ。幽霊の1匹や2匹いてもおかしくはないのだろう。

 その日の放課後、超や葉加瀬の作った発明品を装備した面々を含む3-Aの皆が教室に集まっていた。

 当然ネギや神楽坂もいるが、ネギは意地でも俺と視線を合わせようとはしていない。神楽坂に関しては微妙に居心地が悪そうだ。

 

「桜子、あんたも除霊に参加するの?」

 

 超達の作った装備に身を包んだ桜子へと声を掛ける円。その様子は半ば呆れているようにも見える。

 

「うん。ちょっと面白そうだしねー。円も一緒にやらない?」

「でも、幽霊でしょう? 何となくリアリティが……」

「そ、そうですわよね。ゆ、ゆ、ゆ、幽霊なんている筈がありませんわ」

 

 何故か酷く怯えているあやかに苦笑を浮かべながらも教室の隅まで引っ張っていく。

 

「ア、アクセル君。大丈夫ですわ。幽霊なんて存在しません。もしいたとしても私のアーティファクトで必ずアクセル君を守って見せます!」

「いや、それは分かったから取りあえずは落ち着け。と言うか、鬼神やら悪魔やらを見てきたのに、何で今更幽霊を怖がるんだ?」

「あららー、アクセル君も少しは女心を勉強せえへんと」

 

 あやかを落ち着かせようとしていると、背後から声を掛けられる。そこにいたのは近衛だった。

 ちなみに近衛や桜咲……と言うか、ネギ、神楽坂、宮崎以外のメンバーとは今でもそれなりに普通に会話をしている。こちらを避けてるのは基本的にその3人のみなのだ。

 いや、宮崎が俺を避けているのは男嫌いというのもあって前からか。

 

「女心?」

「そうやよ。……あ、のどかの出番やな」

 

 近衛の声に視線を宮崎の方へと向けると、そこにはアーティファクトである『いどのえにっき』を出している所だった。なるほど、あれで幽霊の内心を読み取ろうと……

 

「っ!?」

 

 そう感心したのも束の間。次の瞬間には机や教壇、椅子が空中へと浮き上がる。俺に比べれば威力は小さいが、それは間違い無く念動力だった。

 ……いや、幽霊が相手だという話だしサイコキネシスくらいは持っていても不思議ではないのか?

 その後は窓に血文字が書かれたり、明石が取り憑かれた云々の話があり、超達の開発した除霊銃を発射したら光が出たりとかなりの騒ぎに。最終的にはその手の本職とも言える桜咲や龍宮が登場してあわや強制的な除霊という流れになったのだが、結局はネギが何とかした……らしい。

 伝聞系なのは朝倉経由の情報だからだ。現在ネギと冷戦状態の俺が妙なちょっかいをかけるのは良くないしな。

 そして教室の殆どのメンバーが幽霊に関しての話をしている中、俺の目の前には超が立っていた。

 

「アクセル坊主。今、ちょっといいかネ?」

「何だ? 中華まんの試食なら……」

「悪いが今日は真面目な話ヨ」

 

 ……確かに目の前にいる超からはどことなく切羽詰まったような気迫が感じられる。

 

「……まぁ、いいだろう。どこで話す?」

「余り人のいない場所でお願いするネ」

 

 人のいない場所、か。喫茶店かどこか……いや、もう夜なんだしやってる店もないか。なら。

 

「屋上でどうだ?」

「OKネ」

 

 という事で、屋上で話す事になったのだった。

 ちなみにあやかは幽霊の件でテンパっており、千鶴はそんなあやかを介抱している。どうやら鬼や悪魔といった存在と実際に渡り合ったあやかでも幽霊は苦手らしい。それはそれ、これはこれ。という奴か。その辺が近衛が言っていた女心……なのか?

 円や美砂が多少気になる様子でこちらへと視線を向けてきていたが、軽く頷いて心配は無いと合図はしておいたので問題ないだろう。

 そんな風に考えていると、屋上へと出る為の扉が見えてくる。

 ギギっという軋んだ音と共に扉を開けると、当然の事ながら夜の屋上には誰の姿も無かった。

 既に6月に突入しているので夜になってもそれ程の寒さは感じられないし、周囲の校舎からの明かりで暗さに困るという事もない。密談をするのには最適な場所だろう。

 そんな風に、予想外に過ごしやすい状況の中で超が口を開く。

 

「話を始める前に、認識阻害を使ってもらってもいいかネ?」

 

 認識阻害という言葉にピクリとするが、よく考えれば超と葉加瀬は茶々丸の設計者でありエヴァとも繋がりがあるのだ。そうなると当然魔法に関しての知識はあるのだろう。それに超はステータスのスキル覧に呪紋回路というのがあるし魔法関係者であるのは疑いようもない。

 超の言葉に頷き、認識阻害を発動させる。

 

「で、話とは?」

「ふム。まぁ、色々とあるのだが……その前に戯れに一つ問おウ。正義と悪があったとして、正義はどうしても悪に勝てなイ。その場合の正義はどうあるべきだと思うかネ?」

 

 正義と悪、か。麻帆良の魔法先生に聞かれれば怒り狂われるかも知れないが、俺に取っては正義も悪もそう大差ない。そもそも客観的に見た場合、シャドウミラー自体が悪だと言われても反論出来ないだろう。

 

「そうだな。正義が悪を成すという所か」

「悪に堕ちてもそれは正義と言えるのかナ?」

「そもそも俺自身、正義や悪といった枠組みに興味はないからな。使えるのなら使う。使えないのなら処分するといった感じか」

「……確かにアクセル坊主はネギ坊主とは違うらしいネ。これでは対立するのは当然カ」

 

 俺の言葉に小さく頷く超。

 

「いや、すまなイ。本当は色々と話したい事もあったのだが……今日の所はここまでとさせて貰うヨ」

 

 それだけ言って、さっさと屋上から出ていく超。しかし、扉を閉める寸前に口の中だけで呟いたその言葉はしっかりと俺の耳に入ってきていた。

 

「本来の歴史には存在し得ないイレギュラー。彼の存在が吉と出るか凶と出るカ。エヴァンジェリンの言った通りにそれは私の行動次第……カ」

 

 ……本来の歴史? 普通に考えるのなら超が予知か何かの能力を持っているという事か。……あるいは、時流エンジンのような物を使って未来からやって来た?

 

「どちらにしろ、要注意人物であるのは間違い無いな」

 

 そもそも、以前から超は俺に関して注目していた節がある。時々感じていたこちらを探るような視線が俺の記憶には強く残っている。

 あるいは、超もまた本来この世界における俺のようなイレギュラー的な存在なのかもしれない。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:655
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    異形化

撃墜数:380

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