転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0351話

 麻帆良祭2日目。まだ朝の6時過ぎだというのに、既に大量の人が龍宮神社前へと集まっていた。

 

「暇人が多いなぁ……」

「あらあら、そう言わないで。何しろこの人達皆がアクセル君達を見にやってきたんだから」

「そうそう、私達も応援してるんだから格好良い所を見せてよね」

 

 千鶴の言葉に美砂が続き、ニコリと笑いかけてくる。

 

「アクセル君、お早う」

 

 そんな雰囲気の中、声を掛けて来たのは高畑だった。

 

「そっちもこんな朝早くから大変だな」

「それはアクセル君も人の事を言えないと思うけど……」

「1回戦はネギとだったな」

「ああ。僕はこの日が来るのを楽しみにしてたんだ」

「ネギは前と比べて大分強くなってるぞ」

「もちろん知ってるさ」

 

 と、高畑と話をしているうちに選手控え室の入り口に到着する。

 

「じゃ、アクセル君。私達はこの辺で」

「頑張ってね」

「怪我だけはしないようにね」

「アクセル君、ご武運をお祈りしていますわ」

 

 円、美砂、千鶴、あやかの4人に順に激励の声を掛けて観客席の方へと去っていく。

 

「アクセル君も意外にもてるね」

「……それを言うならお前もじゃないか?」

 

 神楽坂はあからさまに高畑へと好意を抱いているし、噂では源ともいい雰囲気らしいと聞いている。

 

「さて、それはどうかな。……お、ネギ君だ。ちょっと挨拶をしてくるので失礼するよ」

 

 それだけ言って、ネギパーティの方へと向かっていく高畑。……逃げたな。

 その背を見送り、口を開く。

 

「で、正義の魔法使いを目指すのに何で武道大会なんかに出ているんだ?」

「……気づいていたんですね」

 

 俺の方へと向かって来ていた、全身をマントや覆面といったもので隠していたその人物へと声を掛ける。

 

「当然だろう。と言うか、本名で登録しておいて誤魔化せるとでも思っていたのか?」

「ぐっ!」

「お姉様ぁ……」

 

 俺の指摘に思わずといった様子で息を呑むグッドマン。

 

「私がこの大会に参加した理由は、ネギ先生に対するお仕置きの為です」

 

 ……ネギ、お前何をやったんだ。

 

「いえ。でした、と言った方が正しいですね」

「……でした? 過去形?」

「ええ。この大会に貴方が出ていると知った以上はネギ先生へのお仕置きだけではなく、貴方の更正もさせてもらいます」

 

 ビシィッ! とばかりに指を突きつけてくるグッドマン。

 

「幸い、私も貴方も勝ち上がれば2回戦で戦う事になるでしょう。前回の戦いは私が油断した為にああいう結果になりましたが、今度はそうはいきません」

 

 そう言えばトーナメント表ではそうだったか。

 そんな風にグッドマンを眺めていると、朝倉と超が姿を現す。

 

「皆さん、ようこそお集まり頂きました! 30分後より早速試合を開始させて貰います」

 

 朝倉のその挨拶と同時に、ルールの説明が行われる。

 15m×15mの試合会場で行われる15分の1ラウンド制。ダウン10秒、リングアウト10秒、気絶、ギブアップで負けとなり、時間内に勝負が付かなかった場合は観客によるメール投票で勝負の行方が決まるらしい。

 その後は細かい質問等をしながら時間が過ぎていき、早速第一試合開始の時間になった。

 一回戦は小太郎VS佐倉愛衣。

 

「へへっ、見てろやアクセル。きちんと勝ってくるからな」

「それはいいが、お前の相手は女だぞ? 確かお前は女に対して攻撃出来ないんじゃなかったか?」

「うっ、それは確かにそうやけど、そんなんは工夫次第でどうにもでなるわ!」

 

 そう言い捨て、試合会場へと進んでいく小太郎。その小太郎に向かい合う佐倉。試合が開始され、アーティファクトと思しき箒を取り出すが……瞬動で懐に入られて当たらないような一撃の風圧か何かで場外へと吹き飛ばされ、そのまま溺れてリングアウトとなってしまった。

 

「……おい?」

 

 俺の横で2人の試合を見ていたグッドマンに思わず声を掛ける。

 

「……」

 

 だが、試合の成り行きに呆然としたグッドマンは反応が無いままだった。

 まぁ、自慢の妹分がああもあっさりとやられちゃしょうがないと言えばしょうがないのか?

 

『第2試合、クウネル・サンダース選手と大豪院ポチ選手です』

 

 そんな俺達に関係なく試合は続いていく。今度の選手は昨日のバトルロイヤルに出ていた奴等と同レベルか、あるいはちょっと強い感じの男とフードを被った男の戦いだ。

 ……なんだ? あのフードの男、何かこう、妙に気に掛かる。

 何となく雰囲気が戦慣れしているような気がする。そういう意味ではある種高畑に通じている所があるような……

 そんな俺の予想はそれ程外れではなかったらしく、試合開始直後は大豪院とかいう男が一方的に攻撃をしていたのだがクウネル・サンダースとかいう巫山戯た名前の男はその全てを紙一重で回避し、カウンター気味に入れた一発で出された掌底が決まりそのままK.O.勝ちとなった。

 

『第3試合、アクセル・アルマー選手と長瀬楓選手です』

 

 さて、俺の出番か。

 

「グッドマン、悪いが呼ばれてるから行くぞ。早く我に返れよ」

 

 聞こえていないとは思うが一応念の為にそう声を掛け、試合会場へと進み出てバーテンダーが着ているようなスーツ姿の長瀬と向かい合う。

 

「アクセル坊主、以前は一度手合わせをお願いしたいとは思っていたのでござるが……」

「良かったな、望みが叶って」

「いや。正直、修学旅行の件ですっかりその気はなくなったのだが……ただ、諦めた途端に手合わせ出来る機会が来るとは思わなかったでござる」

 

『さて、3人目の子供参加者ことアクセル・アルマー選手と昨日の予選では分身の術を披露した長瀬楓選手との戦いです。では……始めっ!』

 

 朝倉の試合開始の合図と共に、瞬動を発動して長瀬の懐へと入り込み鳩尾を狙って拳を叩き込む!

 

「なるほど、これが分身か」

「そうでござるよ」

 

 鳩尾へと拳を入れたと思ったその瞬間。まるで煙でも殴ったかのように長瀬の分身が消え去ったのだ。それはまるで修学旅行で天ヶ崎千草が召喚した鬼や妖怪が致命的なダメージを受けて還された時と同じような感じだ。そして俺の近くに突然現れる気配。その数4つ。

 

『4の影槍!』

 

 長瀬が動く前に、と発動した影槍術により4本の影槍がそれぞれの目標へと向かって宙を走る。

 

『でたぁっ! 噂の分身だ! そして……おおっとぉ! アクセル選手の影から何か出たぞ!?』

 

 朝倉のそんな声を聞きながらも影槍は長瀬の分身へと……ちぃっ、仕留めたのは1人だけか。

 

「っ!?」

 

 襲い掛かる影槍から上空へと退避した長瀬達3人はクナイ、手裏剣、巨大手裏剣とそれぞれがそれぞれの武器をこちらへと向かって投擲してくるが、それ等の攻撃を瞬動を使って回避に成功する。一応刃物が禁止となっている武道大会なので、当然刃引き等はしてあるのだろう。朝倉も特に何も言ってないし。

 それにしても呪文詠唱禁止というのが俺に取っては地味にきついな。近右衛門との契約で空間倉庫やスライムといったものは使えないし、かと言って詠唱無しで使える俺の魔法なんてそう大した物じゃない。となると、精神コマンドと念動力が鍵を握るか。なら、まずは。

 

「加速」

 

 精神コマンドの加速を使い、同時に瞬動を使用。加速と瞬動の同時行使により通常の瞬動よりも速度の上がった瞬動を活かして長瀬達のうちの1人の腹へと横を通り抜け様に拳を打ち込み、分身が消滅。そのままの速度で床を蹴り、もう1人の長瀬の顔面を狙って飛び膝蹴りを叩き込む。

 

「……これも偽物、か」

「全く、少しは手加減をして欲しいでござるよ。もし今のが本物だったらどうしたでござるか?」

「何、近衛にでも頼んで回復して貰えば問題無いだろうさ」

「む、むぅ。それは確かに……ではなく、仮にも女の顔面を蹴るというのは紳士としてちょっとどうでござろう」

「いや、俺は元々紳士なんてものじゃないし」

 

 ネギは英国紳士らしいけどな、といった感じでお互い軽い口調で言葉を交わしながらも、ジリジリと間合いを計る。

 

「では、次は拙者から行かせて貰うでござるよ!」

 

 鋭くそう告げると、瞬動を使って俺の真横へと姿を現す長瀬。入りも抜きも小太郎以上にスムーズだ。だが。

 一撃でこちらを気絶させようという狙いなのだろう。こちらの首筋を狙って振り落ろされた手刀をしゃがみ込んで回避し、空を切って振り切られた長瀬の右手を掴みそのままの勢いを利用して試合会場の床へと叩き……

 ゴキッ!

 

「何!?」

 

 俺の掴んでいた右手首が鈍い音を立てたかと思うと、強引に掴まれていた右手を引っこ抜いて跳躍。空中で態勢を立て直して着地し、こちらと向かい合っている。

 

「……ふぅ、危なかったでござるな」

 

 外れた……否、外した右手首の関節を無造作に嵌め直してこちらの様子を窺う長瀬。

 

『おおっとぉ、これは……もしかして投げられる寸前に自分で自分の右腕の関節を外したのか!? 想像しただけで痛そうだぁっ!』

 

 思わず関節を外した痛みを想像したのだろう。微妙に眉を顰めながら朝倉の声が周囲へと響き渡る。観客もまた、長瀬の行動が予想外だったのかざわついている。

 

「さすが忍者というべきだな」

「何の事でござるかな? にんにん」

 

 ……本人は忍者であるというのを隠す気があるのかどうか非常に微妙な所だが。と言うか、語尾のにんにんとか隠す気ゼロだろ。

 

「なら、次だ!」

「承ったでござる!」

 

 お互いが同時に瞬動を利用し、15m四方という比較的狭い試合会場の上で至る所に出現しては拳を交わし、蹴りを放ち、関節を極めようとする。

 

『何と、両選手消えたと思ったら違う場所に現れては、また姿を消すといった信じられない早業を披露する! これは昨日の予選で脚光を浴びた分身の術並の凄さだぞ!』

 

 朝倉の観客を煽る声を聞きつつも、コメカミを狙って放たれた長瀬の蹴りをしゃがみ込んで回避する。同時に目の前にある足を刈るように地を這うような回し蹴りを放つ。だが、長瀬は外した蹴りの勢いをそのままに……否、より勢いを付けて回転するかのように跳躍し、こちらの攻撃を回避する。

 

「ちぃっ!」

 

 空中に跳び上がったと思ったらそのまま身体を反転。いわゆるオーバーヘッドキックのような態勢からこちらの後頭部を狙って放たれる蹴り。そして同時に刃引きされた数個のクナイが放たれる。

 

「加速!」

 

 精神コマンドの加速を使い、その場を飛び退く。本来なら瞬動を使っても良かったのだが、瞬動は最低でも5m程度の距離を移動しないといけないのでこの場合は悪手だ。

 そして俺が急激に移動した事により、再度攻撃を回避された長瀬はそのまま空中で態勢を整えて着地を……今だ!

 

 長瀬が地面に着地した瞬間に念動力を発動。身動き一つ出来ないように固定する。

 

「む!?」

 

 自分の身に何が起きたのか分からなかったのだろう。一瞬だけだが混乱する長瀬。そしてその一瞬があれば俺には全く問題がなかった。

 瞬動を使って右前方へと跳躍。同時に虚空瞬動を使い三角跳びの要領で長瀬の背後に回り込み、その首筋へと手刀を叩き込む。

 

「ぐっ……」

 

 一声呻き、気を失い試合会場の上へと倒れ込む長瀬。

 それを見た朝倉の声が周囲へと響き渡る。

 

『長瀬選手、気絶です! 勝者、アクセル・アルマー選手!』




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:655
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    異形化

撃墜数:380

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