転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0357話

 試合開始の合図がされたと同時に瞬動を発動。ネギとの距離を詰める。

 しかし、ネギもまた同じ狙いだったらしく瞬動でこちらへと向かって来ていた。

 

「やぁっ!」

 

 お互いが瞬動を使い、すれ違い様に杖の先を使って突きを放つネギ。その一撃をグッドマンから盗み取った影精を纏うという技術を使って右手を黒く染め上げて弾く。すれ違い様の一瞬の交差の後、俺の位置はネギの開始位置に。ネギは俺の開始位置に立っていた。

 

『な、何が起こったのでしょうか? 試合開始の合図をした途端、いつの間にかネギ選手とアクセル選手の位置が入れ替わっているぞ! ネギ選手は杖を構えており、アクセル選手の右手は何か黒く染まっている!』

 

「なかなか出来るようになって来たな。その成長度合いはさすが、というべきか」

「あはは、まさかアクセル君に褒められるとは思わなかったな。でも、まだまだこれからだよ!」

 

 瞬動を利用し、俺の真横へと回り込んで脇腹目掛けて再度杖を突き出すネギ。

 真横からの一撃に、背後へと一歩下がって目の前に伸ばされた杖を掴み……そのまま強引に持ち上げて、試合会場の床へと叩き付ける! ……寸前に、ネギは杖から手を離して一端こちらと距離を取る。

 

「形見の杖を手放してもいいのか?」

「しょうがないよ。だってあのまま杖を握っていたら試合開始1分も経たないうちに僕の負けだったでしょ?」

「さて、それはどうかな」

 

 ニヤリ、とした笑みを浮かべながら杖を場外へと放り投げる。

 まぁ、ネギの場合は呪文を唱えればすぐに杖を手元に引き寄せる事が可能なのだから時間稼ぎ以外に意味は無いのだが。

 

「さて、次は俺から行かせてもらおうか」

 

 瞬動……を使わずに、悠然と歩きながらネギとの距離を詰めていく。

 

『これはどうした事か。今までのハイスピードバトルが嘘のようにゆっくり、ゆっくりとアクセル選手が歩を進める』

 

 こちらの様子を窺っていたネギだったが、そうしている間にも俺とネギの距離は次第に縮まっていく。

 そのゆっくりと事態が進行していく状況に耐えられなくなったのだろう。意を決した表情で無詠唱で唱えた雷の矢を身体に充填し、同時に瞬動で床を蹴る!

 

「甘い」

 

 緊張に耐えられない焦りの中で放った一撃だったからだろうか。真っ直ぐに俺の顔へと向かって来た拳を顔を僅かに傾げて回避し、そのままネギの右手首を掴み取る。

 

「あっ!?」

「駆け引きに関しては要修行だ、な!」

 

 そのまま、腕力を使って強引に一本背負いの形にして床へとネギを叩き付ける!

 

「ガッ!」

 

 エヴァへの弟子入り試験の時と違い、今度は叩き付ける寸前に浮かして衝撃を殺すような真似はしていない。その為にネギは床へと叩き付けられた衝撃をまともに背中で受けるのだった。

 しかし衝撃に咳き込みながらも大きく跳躍してこちらと距離を取ったのはさすがの判断力と言うべきだろう。この辺にネギの非凡な点が見え隠れしている。

 

「ケホッ。……アクセル君の腕力ってある意味で出鱈目だよね。僕は戦いの歌を使ってるのに」

「まぁ、元々の肉体性能が違うからな」

「……だろうね。あの時に見た記憶で理解はしてるよ。でもっ!」

 

 再度瞬動を使用し、こちらの懐に入ったかと思うとただ真っ直ぐに拳を突き出してこちらの鳩尾を狙ってくるネギ。

 

「そんな攻撃が……」

 

 通じると思うのか? と言い終える間もなく、ネギの拳は空中で軌道を変更してカウンターで放った俺の腕に巻き付くように絡みつき、瞬時にテコの原理を利用して肘を固め……

 

「ちぃっ!」

 

 反射的に自分から跳び、一瞬だけネギの腕が緩んだ瞬間に素早く引き抜いてネギの絡みついてくる腕から逃れる。同時に跳んだ反動を使用し、空中に投げられた猫のように回転しながら態勢を整えつつ床へと着地する。

 

「今のは惜し……何!?」

 

 ネギの方へと向けた視線。だがそこには既にネギの姿は無く、こちらへと近付いてくる気配だけがあった。

 上、いや……下かっ!

 一瞬だけ下へと視線を向けると、そこには地を這うような態勢のネギの姿があり、既にこちらの足を刈るべく回し蹴りを放とうとしている所だった。

 

「っ!?」

 

 このままでは足を刈られると瞬時に判断。床を蹴って跳躍し、その次の瞬間には足の下をネギの蹴りが通り過ぎていった。

 虚空瞬動を利用し、空中を蹴ってネギとの距離を開けて着地する。

 間合いを開けた膠着状態というのは先程と同じだ。ただ違うのはどちらがそれを望んだか、という事。

 

「どうかな」

「ああ、なかなかだ」

 

 こちらの予想以上に成長しているネギに、小さく頷く。

 こうなってくると、俺が歩いて近付いた時に出された不用意な一撃も今のやり取りの為の伏線だったのだろう。

 

「認めよう。ネギ、お前は十分に力を持っている」

「……」

「だから、俺もまたここからは今の時点で可能な本気を出すと宣言しよう」

 

『なんと、アクセル選手の本気宣言! 今までのやり取りはお遊びだったとでも言うのか!? というより、そのお遊びのやり取りにも付いていくのが精一杯なんですが!』

 

 朝倉の言葉に苦笑し、影精を四肢へと巻き付ける。

 

『戦いの歌』

 

 同時に無詠唱で戦いの歌を使用。

 本来なら闇の魔法の初歩である『闇き夜の型』の方が『戦いの歌』よりも上がる能力値の方が高い。だが、その場合は影精を身に纏うというのが使えなくなる。何しろ現状の俺では闇の魔法と通常の魔法を同時に使用するというのが出来ないので、その点を考えるとこちらの方が総合的な能力では上なのだ。

 

「……行くぞ」

 

 そう告げ、瞬動を使用してネギの懐へと潜りこむ。そこまでは今までの流れとそう変わらないが、そこで振るわれた俺の拳の一撃は先程までと比べても数段上の威力を持っていた。

 ドンッ! という衝撃音が周囲へと響く。それは少なくても人が人を殴った時に出るような音ではない。そしてその音の出所の1つは俺の右手の掌底。

 そしてもう1つの音の出所であるネギはと言えば、何とかこちらの1撃をガードするのは成功したのだが、威力を殺しきれなかった為にその小さな身体を吹き飛ばされる。

 

「くっ!」

 

 それでも何とか空中で姿勢を整えて足から着地する事に成功し、ズサアアァァァッ! とばかりに床を擦りつつも場外まで吹き飛ばされずに舞台内へと踏みとどまった。

 

「続けていくぞ」

 

 再度の瞬動。同時に虚空瞬動を利用した三角跳びでネギの背後へと回り込み、先程の礼だとばかりに地を這うような回し蹴りでネギの足を刈る。

 

「うわぁっ!」

 

 立っている所で足を刈られれば当然そのまま転ぶ事になる。だが、俺は足を刈られた影響でネギの腰が床へと付きそうになった所でその首筋を掴んで上空へと投げつける。

 そして再度の瞬動を使い、空中にあるネギの身体の上まで移動。踵落としを……

 

「何っ!?」

 

 こちらの攻撃を耐えてるだけに思えたネギだったが、いつの間に準備したのかその周囲に無詠唱で唱えられた雷の矢が9本浮かんでいたのだ。そしてそれを収束し、右手へと集め……

 

「はぁっ!」

 

 気合いの声と共に放たれる拳。そこには9本分の雷の矢が乗せられている。さすがにこれを食らうのは拙い!

 虚空瞬動の出来ないネギをその場に残し、空を蹴りネギの拳の射程範囲内から一端離脱。

 俺が離脱した次の瞬間には空間を削るような一撃がネギから放たれ、その威力がどれ程のものであるのかを証明していた。

 

「だが、まだ甘い!」

 

 空を蹴り、攻撃を外したネギの懐へと飛び込み、胴体目掛けて影精の集中した右手で殴りつける!

 

「うわぁっ!」

 

 まるでバレーボールの選手がスパイクを打った時のボールの如く吹き飛ぶネギ。さらに虚空瞬動。ネギが吹き飛ばされた先へと現れ、さらにネギを上空へと向かって蹴り上げる。

 

「ぐぅっ!」

 

 蹴った瞬間、ネギの呻く声が聞こえてくる。しかし俺はそれに構わずにさらに虚空瞬動……といった風にネギを吹き飛ばした先に虚空瞬動で先回りしてそこからさらに吹き飛ばす、という連続攻撃を続ける。

 その攻撃回数が10回を越えた頃、ようやく攻撃をやめて舞台の上へと着地した。それに遅れて数秒後、何とかまだ意識を保っていたネギもまた舞台の上へとその身を落とす。

 それは着地したというよりも、半ば気を失ったまま落ちてきたと言ってもいいだろう。だが、それでもさすがネギと言うべきか顔面から着地とかではなく何とか足で着地する事に成功していた。

 もっとも、着地したその瞬間に足がもつれて床へと片膝を付くような有様だったが。

 

『こ、これは……言葉に出来ない程の凄まじい連続攻撃。私の目には半ば分身しているようにしか見えませんでしたが……ネギ選手、まだ戦えるのか!?』

 

 朝倉の声が聞こえたのだろう。よろよろとだがその身を起こす。

 

「……まだやれるのか?」

「やれまふ」

 

 こちらからの攻撃で顔は腫れ、赤黒く出血している箇所も多数ある。それでも、そう、それでも尚ネギは立ち上がり俺へと向かって拳を構える。

 その様子は、確かに英雄と呼ばれたであろう父親の血を引いていると感じさせる……いや、それはネギに対する侮辱だな。ネギ自身から微かにではあるが一種の英雄的なカリスマを感じさせるのに十分なものだった。

 

「そうか。けどそろそろ限界だろう。なら、次の一撃で決めさせて貰う。……構わないな?」

 

 俺の問いに、ネギは一言も漏らさずに黙って拳をこちらへと向ける。

 観客席がしんっ、と静まりかえる中で緊張感が周囲を包み込む。……ネギがバランスを崩すようにして上半身を倒れ込み……そのままの勢いを付け、最後の魔力を振り絞った瞬動を発動。一瞬にしてこちらの懐へと潜り込み、倒れ込んだ時の姿勢のまま俺に体重を預けるようにして動きを止め、そのまま左右の拳で俺の鳩尾と喉を狙った裏拳を放ってくる。

 まるでこちらに絡みついてくるようなその動きは、なるほど、中国拳法独特のものなのだろう。

 預けられた体重をいなし、ネギの重心をずらして拳の威力を殺す。この至近距離からでは攻撃を回避するのは無理と判断し、拳の威力を殺した上でさらに打点をずらす。鳩尾の一撃を脇腹に。喉の一撃は顎を引いて額へと。

 ミシィッという音が拳の命中した脇腹、いわゆる肋骨から響き……空いていた左拳でネギの顎を擦るような一撃を放つ。

 

「あ……」

 

 既に体力的にギリギリだったのに加えて、顎を打たれた事により脳が揺らされ……そのまま脳震盪を引き起こしてネギの意識は断たれ、床へと倒れ込んだ。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:655
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    異形化

撃墜数:380

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