転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0358話

『ネギ選手、ダウン! ……いや、違う。気絶、気絶です! 試合終了、勝者アクセル・アルマー選手!』

 

 顎を打ち抜かれた事による脳震盪で気絶したネギ。そのネギが床へと倒れ込んだのを見た朝倉がネギの気絶を確認する。

 

『麻帆良武道会、優勝はなんとアクセル・アルマー選手です! 大会が始まった時はアクセル選手のような子供が優勝すると誰に予想出来たでしょうか!? しかも、そのアクセル選手は試合の殆どで圧倒的な実力を見せつけながらダメージを殆ど受ける事なく優勝したのです!』

 

 子供とかなんとか、俺の正体を知ってる朝倉にしては妙にあざとい煽り方をしてるが……まぁ、観客席が盛り上がってるとなるとそれはそれでいいのか?

 大会スタッフと思われる数人が、ネギをタンカに乗せて運んでいくのを眺めながらそんな風に思っていると、超が現れて朝倉の側へと移動する。

 

『さて、大会主催者も現れたので早速表彰式に入らせて貰います。まずは大会主催者である超鈴音からの挨拶をどうぞ』

 

 朝倉からマイクを受け取って超が口を開く。

 

『麻帆良中の強者が出場したと言ってもいいこの大会。優勝はまさかのアクセル・アルマーという子供だったのはちょっと意外だったガ。それでもここで行われた全ての試合は見る者を虜にする程に非常にレベルの高い試合だったネ。主催者として大変満足したヨ。そんな猛者達が揃って出場したこの大会の優勝者の技量はまさに学園最強……否、地上最強と言っても過言ではないネ。尚、あまりに高レベルな……あるいは非現実的な試合内容が多かった為、大会側のやらせではないか推測する者もいるようだけど……真偽の判断は皆様に任せるネ』

 

 超のその言葉にテンションが上がっていく観客達。そんな中、田中とかいうロボットがその怪力で何かを運んできたのが見える。

 

「アクセル君、アクセル君。これから表彰式だから、あの表彰台の上に乗ってくれる?」

「……あぁ、何かと思ったら表彰台だったのか」

 

 朝倉の言葉に頷き、田中が置いていった表彰台へと上がる。

 

『では、これより大会主催者である超鈴音の手から優勝者であるアクセル・アルマー選手に優勝賞金一千万円が授与されます。尚、本来なら準優勝以下の選手も表彰式には出る予定だったのですが、準優勝者のネギ選手は今だ気絶中であり、3位のクウネル選手は行方不明。同じく3位の桜咲選手は表彰式を辞退するとの事でしたので残念ながら今回の表彰式に参加するのは優勝者のアクセル選手のみとなっております』

 

 ネギとアルビレオはともかく……桜咲はどうしたんだ? まぁ、近衛の護衛としては余り目立つ場所に出たくないというのはあるかもしれないが。

 そんな風に思っていると、超が1000万円と書かれた巨大な小切手風の物を手に近付いてくる。

 

「まさか本当に優勝するとは思わなかったヨ」

 

 ボソリ、と観客席には聞こえない程度の声で呟く超。

 

「その気にさせたのはお前だろうに。で、マーカーの修理に関してはどうするんだ?」

「今日の夕方、19時30分に麻帆良女子中の屋上で待ってるから、そこに持ってきて欲しいネ」

 

 19時30分か。確か円と美砂のライブは18時ちょっと過ぎぐらいだったから時間的に余裕はあるだろう。

 

「分かった。じゃあ今夜屋上で」

「再見」

 

 俺が頷くと、超は短くそう告げて試合会場から去っていく。そしてそれを待っていたかのように数十人近い連中がこちらへと先を争うように迫ってきているのが見えた。

 

「麻帆良スポーツです。アクセル選手、優勝の感想を是非!」

「優勝賞金の使い道は決まっていますか? ちなみにうちの部活で絶賛営業中の超高級レストランはいつでも大歓迎です」

「目にも止まらぬ速度で動いていましたが、あれはどうやっているのでしょうか?」

「出来ればサインをお願いします」

「試合の途中で手足が黒くなっていたようですが、あれは一体?」

 

 ……さて、どうしたものか。

 インタビューやら、技の秘密やら、果てには自分の部活のレストランに来いとか、煩わしい事この上ない。こういう場合は。

 

「悪いが、この後にも色々と用事があるんでインタビューは拒否させてもらう。技については人間頑張れば結構何でも出来るものだ、とだけ。レストランとサインは遠慮させて貰おうか。じゃ」

 

 それだけ素早く告げて、その場から跳躍。龍宮神社を回り込むようにして選手控え室へと向かう。ちなみに、超から貰った一千万円の小切手(?)は邪魔でしかないので空間倉庫に収納しておいた。

 

 

 

 

 

 大会が終了したという事もあり、選手控え室には殆ど人気が無かった。ただし、武道会の応援をしに来ていた3-A関係者……というよりも、魔法関係者が集まっていたが。

 まず目に入って来たのは橙色のドーム上の領域の中心で眠っているネギの姿。言うまでもなく千鶴のアーティファクトである虹色領域の腕輪であり、その中でも橙色となると自動回復効果のある魔法石だろう。

 また、その隣では近衛が治癒魔法を掛けている。

 

「どうだ?」

「そうね、少し時間は掛かるけど後30分もあれば回復出来るわ」

 

 千鶴は複雑な表情でそう告げてくる。

 元々暴力沙汰は好きではない……正確に言えば嫌いな千鶴だ。例え武道大会と言ってもやっぱり好ましくはないだろう。

 

「それよりアクセル君も領域の中に入って頂戴。脇腹、怪我してるんでしょう?」

「え? 本当? アクセル君、大丈夫なの?」

 

 千鶴の言葉を聞いていたのか、美砂が慌てて尋ねてくる。円やあやかも似たような感じだ。

 

「心配するな。確かに怪我はしたけど、ネギよりはよっぽど軽いからな」

「アクセル君?」

 

 ニッコリと笑いながらも、久しぶりに謎のプレッシャーを発してくる千鶴。その迫力に押された俺は、溜息を吐きながら領域の中へと入るのだった。

 

「アクセル君も回復魔法、いるんかー?」

「いや、俺のはそこまで重い怪我じゃないからな。この領域に入って数分もすれば回復するだろ」

「そか。痛かったらいつでも言ってな。うちのアーティファクトと違って完全回復とまではいかんけど、エヴァちゃんとの修行でそれなりに回復魔法の腕は上がっとるから」

 

 近衛の言葉に頷きながら、眠っているネギへと視線を向ける。

 俺との戦いで青黒く腫れていた部分は既に無くなり、外見だけでみればどこも怪我をしているようには見えない。気絶というよりは、深い眠りに落ちているというのが正確な表現だろう。

 近衛の回復魔法と千鶴の虹色領域の腕輪。その2つの相乗効果が圧倒的な回復力をもたらしたと思われる。

 

「確かに随分と回復魔法の腕が上がってるみたいだな」

「ネギ君とかが修行で結構怪我するからなぁ。それを治してたらうちの回復魔法もぐんぐんレベルアップしとるんや」

 

 なるほど、確かにエヴァの修行となれば……それも直弟子としての修行ともなればその厳しさは俺の予想を超えたものになっているだろう。それで怪我をしたネギ達の治療に近衛が回復魔法を使って……か。好循環って奴だな。怪我をする方にしてみれば堪ったものではないだろうが。

 そこまで考え、ふと気が付く。確か近衛は綾瀬や宮崎と一緒に武道会の応援に来ていた筈だ。そしてその3人が一緒となると、当然3-Aの噂拡散器の異名を持つ早乙女も一緒な訳で、けどその早乙女は魔法に関しては何も知らなかった筈だ。

 だが、その早乙女の姿はどこにも無い。

 

「近衛、早乙女はどうした?」

「あぁ、ハルナなら千雨ちゃんがどこかに連れてってくれたで」

「……長谷川が? と言うか、長谷川も来てたのか?」

「うん。ネギ君や小太郎君と客席で仲良く話をしてたけど」

 

 ……どうなっている? 少なくても俺の記憶じゃ長谷川は一般人だった筈だ。それが何故魔法使い達の手助けをするような真似をするんだ? それとも偶然か何かか? いや、そもそもクラスメイトと余り接点の無い長谷川が早乙女をまるでここから離すように連れていくというのは違和感がある。

 そんな俺の考えは、近衛の隣にいた桜咲の声で途切れる事になる。

 

「あの、アクセルさん。ちょっといいですか? 超鈴音の事についてちょっと聞きたいんですが」

「……超について?」

「はい。実は彼女、この学祭期間中に何か企んでいるらしいのです。それを探りに高畑先生が地下に潜入したら捕まってしまって……」

 

 その説明に思わずピクリとする。

 この麻帆良でも最強クラスの力を持っている高畑が捕らえられる?

 

「あ、でもそれはもう大丈夫です。アスナさん達が助けに行きましたし、それ以前に自力で抜け出して来ましたから」

「だろうな」

 

 そもそも、ただ戦闘力が高いだけでは麻帆良最強とまでは呼ばれていないだろう。

 と言うか、俺が大会で戦っている間にそんな事が起こっていたとは。まぁ、近右衛門から援軍の依頼なりなんなりが来なかったとなると麻帆良の戦力だけでどうにかなると判断したのだろう。外様の俺がわざわざ自分から進んで助けに行くのも色々と問題があるし、この件についてはスルーしておいた方がいいか。

 

「で、武道会の表彰式が終わった後に魔法先生達が超鈴音を捕まえようとしたんですが……」

「その口ぶりから言うと、逃げられたか」

「らしいです。で、アクセルさんは何か情報を持っていないかと思って」

 

 情報、情報……か。少なくても、今夜の7時過ぎに麻帆良中の屋上で待ち合わせをしてはいるが、それを教えるというのは出来ない。何しろ事はマーカーの修理に関わるのだから。

 

「いや、悪いな。教えられそうな情報は持っていない。と言うか、エヴァとは接点があるが超に関しては茶々丸経由か、超包子で食事をする時くらいしか接点は無いぞ?」

 

 俺の言葉を聞いた桜咲が溜息を吐く。

 

「そう、ですか。そうなると完全に手掛かりが無いですね」

「それこそ超包子の方に顔を出してみたらどうだ? 武道大会もだが、基本的にあっちの屋台が超一味の本業だろう」

「魔法先生が数人行ってみたそうですが、いたのはアルバイトだけで超の姿はどこにもなかったそうです」

「そうか。そうなると俺としてはお手上げだな」

「よし、傷は殆ど全部治ったで」

 

 俺がそう言うのと、近衛が手をパンパンと叩いて治療の終了を宣言するのは殆ど同時だった。

 千鶴もまた、虹色領域の腕輪をカードに戻してネギを見ながら安堵したように笑みを浮かべている。

 

「ネギ先生はゆっくり眠って貰えばすぐによくなるわよ」

「そう。那波さん、ありがとう」

 

 千鶴へと頭を下げている神楽坂だったが、不意に俺へと視線を向けるとこちらへと近づいて来た。

 

「アクセル、ネギは……強かった?」

「まぁ、そうだな。あそこまで成長しているとは思わなかったよ」

「けど、アクセルが勝ったんだよね」

「ま、そこは地力の差でな」

「……ネギがこの大会であんたと戦って自分の力を証明するって言ってたけど……証明は、された?」

「さて、どうだろうな。その辺は結局ネギ自身が判断するべきなんだろうさ」

 

 ネギのスタンスと俺のスタンスが違うというのは、これはもう絶対に交わる事の無い平行線だ。ネギが俺に自分のやり方を強制する事は絶対にないだろうし、その逆もまた同じだろう。そしてお互いが退けない時が来たら、その時はそれこそ本当に全力を持ってぶつかり合う事になるんだろう。けど、その時が確実に来るとは言い切れないというのも事実なのだ。

 そんな風に考えていると、あやかが俺の方へと近付いていく。

 

「アクセル君、そろそろ行きましょうか」

「委員長、アクセルとどこに行くの?」

「フフフ。私、これからアクセル君とデートですの。……アスナさんは高畑先生とどうなのかしら?」

「ぐっ、そ、それは……」

「あらあら、この分ではまた私が一歩リードですのね」

 

 少し前のシリアスな雰囲気は何処へやら。あっという間にいつもの3-Aらしい雰囲気に戻るのだった。……まぁ、親友思いのあやかの事だ。わざとそういう風に話を持っていったんだろうが。

 それにデート……と言うか、一緒に学祭を回るというのは約束してたしな。

 

「分かった。じゃあ行こうか」

「ええ」

「アクセル君、コンサート忘れないでねー」

「委員長も襲っちゃ駄目だよー」

「誰が襲いますか!」

 

 円と美砂の声に送られて、俺とあやかは龍宮神社を出るのだった。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:655
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    異形化

撃墜数:380

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