転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0360話

 超鈴音。エヴァと協力して茶々丸を作りあげた人物であり、学園でもトップクラスの売り上げを誇る超包子のオーナーというのが麻帆良の最強頭脳という二つ名が伊達では無い事を証明している。

 そんな超が笑みを口元に浮かべながらも、決して笑ってはいない目で俺を見据えていた。

 

「まずは改めテ。武道会優勝おめでとうネ」

「ふん、参加せざるを得ないようにしておいてよくもまぁ」

 

 皮肉げに笑いながら言葉を返すと、超もまたアルカイックスマイルとでも呼ぶべき笑みを浮かべて口を開く。

 

「一応、私としても予想外だったんだヨ」

「予想外?」

「そう。アクセル・アルマー。君という存在が……ネ」

「……俺という、存在?」

 

 確認するような言葉に小さく頷く超。

 そのまま話を続けようとした俺だったが、先手を打つかのように超が口を開く。

 

「まずは約束の件ネ。マーカーは持ってきてるかナ?」

「……本当に修理出来るのか?」

 

 マーカーの事を知っているとなると、既に俺の能力についての大半は知っていると判断し、空間倉庫を展開して小さなケースを取り出す。ヘルマンに破壊されたマーカーを収めてあるケースだ。

 

「ほう、それが空間倉庫カ。確かに色々と便利そうな能力ネ。で、これがマーカー。……すなわち、平行世界間での座標を認識する為の装置」

 

 ケースを開け、2つに分断されたマーカーを真剣な表情で確認する。

 息の詰まるような緊張感を周囲に発しながらマーカーを見ていた超だったが、やがて大きな溜息を吐いて顔を上げた。

 

「どうだ?」

「……正確には何とも言えないが……出来るだけの事はさせて貰うヨ」

「直るのはいつくらいになるか分かるか?」

 

 その質問に首を小さく振る。

 

「それはちょっと予想出来ないネ。それとこの件を引き受けるのにもう1つ条件を付けさせて貰うヨ」

「……何?」

 

 自分でも予想出来なかった程の低い声が口から飛び出す。

 

「そんなに怒らないで欲しいヨ。このマーカーとかいうのを修理するとなると、こちらも相当の労力が必要だと思われるネ。その対価だと思って欲しイ」

 

 まぁ、その言い分は分からないでもない。この麻帆良より数十年、あるいは数百年も先の技術力を使って作られている装置なのだ。それをこの世界の技術力で修理出来るという方が異常である、という程度は理解出来る。そしてその為にもかなりの労力が必要だという点も。

 

「……いいだろう。その条件というのを聞こうか」

「その前に、1つだけ言っておきたい事があル。私が何故アクセル坊主の秘密を知っていたかダ」

「それは、条件云々の話に関係あるのか?」

「うム。とは言っても簡単な話なのだガ。知っての通り、私は茶々丸の制作者の一人であり、そのメンテナンスも行っていル」

「だろうな」

 

 あの機械音痴のエヴァに、この時代としてはオーバーテクノロジーと言ってもいい茶々丸のメンテナンスが出来る筈も無い……待て。ちょっと待て。メンテナンス? それはつまり。

 

「おや、気づいたかナ? そう、メンテナンスをする以上はどういう行動を取った結果どのように損耗しているのかというのを調べる必要があル。つまりは……」

「俺が麻帆良に来て以降、茶々丸の前で喋った話や見せた物は筒抜けだった訳か」

「一応言っておくと、茶々丸は最初データを見せるのを抵抗したヨ。それを強制的に見たのは事実。また、その件について他の者達に漏らすのを禁じもしタ」

「……何故、そこまで俺を警戒する?」

「例えば修学旅行。フェイトと名乗る者と戦うのはアクセル坊主ではなくネギ坊主だっタ」

 

 ……何?

 

「上級悪魔、ヘルマンの襲撃。本来の歴史ではその撃退をするのはアクセル坊主ではなくネギ坊主だっタ」

「……」

「私の言いたい事が分かって貰えたかナ?」

「本来の歴史。そういう言葉が出て来るという事は……」

「そウ。もう予想出来たと思うが答え合わせといこうカ。私の正体ハ?」

「未来人、または俺と同じような平行世界の住人」

「正解。まぁ、正確に言えば前者だけどネ」

 

 未来人、か。

 

「それでその未来人だというのと条件云々はどんな関係が?」

「おヤ? 思ったよりも驚いてくれないネ」

「当然だろう。異星人やら怪物やら、俺が今まで戦ってきた相手に比べれば未来人? それがどうした? というのが正直な所だ」

 

 インスペクターやアインスト、エアロゲイターに比べれば未来人がいても大して驚きは感じない。

 そんな俺の台詞に、呆れたような表情をする超。

 

「怪物とか異星人とか……アクセル坊主の世界はどれだけ危険な世界ネ……まぁ、いい。それで早速条件についてだガ」

「ああ。条件は?」

「単刀直入に言おウ。明日1日だけでいいから、麻帆良の味方をしないで欲しイ」

「つまり、何らかの騒ぎを起こすと?」

「そうネ。魔法の存在を世界に公表すル」

「魔法の存在を? 確かこの世界では魔法には秘匿義務があるという話だったが……それを意図的に破ると?」

「さすがにどういう手段を使うのかは教えられないが、そうする事で確実によりよい未来を掴み取れる筈ダ」

 

 よりよい未来、か。まぁ、そうだろうな。わざわざ過去まで来て歴史を変えようと言うんだ。恐らく未来で何らかの事件なり事故なりが起こるんだろう。

 

「……どうかナ?」

 

 こちらの様子を探るような超の言葉に、30秒程考える。

 超の言葉に従うメリットは、マーカーが修理出来る可能性が高い事だ。それは即ち、ホワイトスターへと戻れる可能性が高くなる。それに対するデメリットは魔法使い側との間に起きるかもしれない対立。……いや、麻帆良祭については近右衛門からの依頼を受けていないんだからそうなる可能性はそれ程多くはない……か? まぁ、いざという時にこちらに泣きついてくる可能性が無いとは言えないが。

 そして超の言葉に従わない場合。その場合のメリットは魔法使い側のと関係強化。デメリットはマーカーの修理が出来なくなる事、か。

 メリット、デメリットの両方で考えた場合は明らかに超の言葉に従った方がメリットが多い。いや、だからこそこの取引を持ちかけてきたか。

 

「……確認しよう。明日、動かないというのはあくまでも俺だけだな?」

「そうネ。本音を言えば私の側について欲しいとも思うが、それが無理だと言うのは理解しているヨ」

「だろうな。俺に出来るのはあくまでもどちらにも手を貸さない。最大限の譲歩でそうなる」

「という事は、こちらの取引を受けて貰えると判断してもいいのかナ?」

「ああ、いいだろう。超鈴音、お前との取引は成立だ。明日1日、俺は麻帆良からの依頼は受けない」

 

 こちらの言葉を聞いた超が手を差し出して握手を求めてくる。

 

「取引成立の記念のようなものネ」

「一応言っておくが、動かないのはあくまでも俺だけであって他の面子についてはノータッチとさせてもらうぞ」

「それでいいヨ。何しろアクセル坊主は最大のイレギュラーだからネ」

 

 超の差し出した手を握り、握手が成立する。同時に取引も成立した訳だ。

 

「マーカーについてだが、麻帆良祭が終わってから葉加瀬の所に取りに行って欲しイ。可能な限り修理して葉加瀬に渡しておくヨ」

「ん? 取りに行くのはお前にじゃないのか?」

 

 その疑問に小さく首を振る超。

 

「私の計画が上手く行けば、殺人的な忙しさになってアクセル坊主に会う暇はとてもじゃないが作れないと思うヨ。それに失敗した場合は……恐らく私は本来いるべき場所へと戻ってるからネ」

「世界に対する魔法バレが成功しようが失敗しようが、もうこうしてゆっくりと話は出来なくなる……か」

「そうネ」

「ちょっと残念だった。今更だが超とはもう少し話しておくべきだったかもな」

 

 そんな俺の言葉に、今まで浮かべていたアルカイックスマイルを完全に消し去って苦笑を浮かべる。

 

「全く、委員長を始めとしてクラスの4人を誑し込んでおいて私まで口説く気カ? あ、いや誑し込んだのは5人、か。女誑しもいい加減にしておかないと刺される所じゃ済まないヨ?」

「……いや、そういうつもりはないんだがな」

 

 超の言葉に思わず脳裏に浮かんだ4人。……いや、5人目ってのは誰だ?

 まぁ、あの4人の事だ。俺が動かなくても自分で判断して動くだろう。それに動かないなら動かないで構わないと思っている俺もいる。

 全世界に対する魔法バレ。念動力が半ばオープンになっていたスパロボOGsで生まれ育った身としては、魔法に対する秘匿義務というのにどこか胡散臭いものを感じているのは事実なのだ。……まぁ、魔法に関して一般人が知ったらパニックになる可能性が高いというのは分からないでもないのだが。

 その理屈で考えるのなら、超に手を貸した方がいいのだろう。だが、俺は所詮この世界の異分子でしかない。この世界の事はこの世界の住人が決めるべきだろう。SEEDの世界の時のように。

 

「じゃあ、私はそろそろ失礼するネ。葉加瀬と色々と回る所があるのデ。恐らくアクセル坊主と会うのはこれが最後になるだろうけど、実りある時間だったネ」

 

 それだけ言って、さっさと背を向ける超へと声を掛ける。

 

「俺がどうこう言える事じゃないが、後悔はしないようにな」

「謝謝」

 

 俺の言葉に小さく呟き、屋上から去っていくのだった。

 

 

 

 

 

「また会ったな」

 

 目の前にいる超へと苦笑を浮かべながら声を掛ける。

 屋上で別れてから1時間程。思ったよりも早く俺は超と再会していた。

 

「あー……そうだネ」

「俺と会うのはあれが最後、とか言ってた割には随分と早い再会になった訳だが」

 

 あれだけ格好付けて別れたというのに、僅か1時間で再会とか。……お互い、どこか微妙な表情を浮かべながら相手へと視線を向ける。

 

「アクセル君、超さんと会ってたのかー?」

「デートですかー?」

 

 鳴滝姉妹からの追及を誤魔化しながらステージの方へと視線を向ける。

 そこには『超りんお別れ大宴会』と書かれた横断幕が張られており、その下ではでこぴんロケットの面々が演奏をしていた。

 

「アクセル君、その、ネギ先生に聞いたんですが……よろしいんですか?」

 

 乾杯の音頭を取ったあやかが、舞台から降りてきて尋ねてくる。その隣には先程まででこぴんロケットとして演奏していた円と美砂の姿もある。千鶴に関しては『オホホホホホ。夏美ちゃん』とか言いながら少し離れた所で夏美とスキンシップを図っていた。

 

「あー、一応言っておくか。超に関しては明日何かを企んでいるらしいが、俺は超側にも麻帆良側にもノータッチで通す事になる。お前達はお前達で自分の判断に従って行動してくれ。場合によっては超側に協力するのでもありだ」

「……アクセル君はそれでいいの?」

 

 俺の言葉を聞いた円が尋ねてくるが、小さく頷く。

 

「ああ。詳細は言えないが、超の目的自体はそれ程悪いものではないと思っている。それに反対する麻帆良側の考えも理解出来るしな。どっちの考えもありと言えばありな以上はどちらかに手を貸すっていうのも……な」

 

 俺のその言葉を最後に、超に対するプレゼントやらマジックハンドで笑い泣かせたりやら意味あり気に未来人云々という感じの言葉を告げて宴会は幕を閉じたのだった。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:655
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    異形化

撃墜数:380

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