転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0361話

 学園祭最終日。前日の超のさよならパーティが深夜まで続いた影響もあり、部屋で目が覚めると既に麻帆良祭最終日は始まっていた。

 もう1つのベッドを見ると、小太郎の姿は既に無い。もう出掛けたのだろう。

 歯磨き、顔洗いをして制服へと着替えてから居間へと向かう。

 

「あら、おはようございますアクセル君。今日は珍しくゆっくりでしたわね」

「ちょっと待ってね。すぐにアクセル君の分も用意するから。ベーコンエッグは半熟でいいのよね?」

 

 あやかに挨拶を返し、千鶴の言葉に頷く。和風の食事が多い千鶴にしては珍しく、今日はトースト、ベーコンエッグ、野菜サラダ、牛乳といった純洋食だ。

 自分の席に座りながら周囲を見回すと、夏美の姿も無い。

 そんな俺の様子を見て何を考えているのか分かったのだろう。あやかが紅茶を一口飲んで口を開く。

 

「夏美さんなら演劇部の方へと行きましたわ。何しろ今日が麻帆良祭最終日なのでとても気合いが入ってらっしゃいました」

「そうねぇ。夏美ちゃんの勇姿を見る為には是非最終公演は見に行きたい所ね」

 

 台所から俺の分の朝食を持ってきながら千鶴がそう話す。

 目の前に置かれたトーストにバターを塗って一口食べ、ベーコンエッグを食べ、野菜サラダを食べ……腹2分の朝食はすぐに食い終わった。

 何しろ今日は麻帆良祭最終日。屋台で買い食いをする分の余裕は空けておかないといけないのだ。

 食後の紅茶を飲みながら、あやかと千鶴の2人へと問いかける。

 

「それで、超に対してどうするかは決まったか?」

「ええ。私は基本的には静観とさせて貰いますが、協力を求められたら手伝おうと思っています」

「私は静観かしら」

「……そうか。お前等2人がそれでいいのなら構わんさ」

 

 頼まれたら協力するあやかに、静観の千鶴か。円と美砂はどうなんだろうな?

 そんな風に思ったのがフラグだったのだろう。ドアのチャイムが鳴らされる。

 

「アクセル君、おはよー」

「ちょっ、美砂! 返事も聞かないで勝手に上がっていかないの!」

 

 美砂がまず突撃してきて、その後を円が追いかけてくる。そんないつもの光景に笑みを浮かべながら軽く手を上げた。

 

「おはよう。2人共早いな」

「そんな事ないよ。朝起きたら桜子は私達を置いて1人で出掛けてるし、もう麻帆良祭の最終日は始まってるし……くーっ、昨日の夜はしゃぎすぎたわ」

「それにライブとかでも疲れてたからね。少しくらいの寝坊はしょうがないわよ」

 

 靴を脱ぎ、部屋へと入ってきて既に慣れた様子で腰を下ろす。

 

「で、超りんの件だけど……」

「私達2人は静観とさせてもらうわ。……まぁ、もっともまだまだ魔法の練習を始めたばかりの私達じゃネギ君達の助けになりそうもないってのも理由の1つだけどね」

「それに超りんと同じクラスになって2年以上経つけど、酷い事をしないって信頼出来る程度には付き合いもあると思ってるしね」

「そうか。あやかと千鶴にも言ったけど、お前達がそれでいいのなら構わない」

 

 俺がそう言うと、数秒部屋の中が静寂に包まれる。

 だが、唐突にパァンッ! という音が鳴り響いたのでそちらへと視線を向けると、そこには手を叩いた美砂の姿があった。

 

「さて、じゃあ昨日は委員長にアクセル君を譲ったから、今日は私達の番ね」

「なっ!? ……ま、まぁ、いいでしょう。私は昨日十分にアクセル君との逢瀬を楽しみましたし。今日は譲って差し上げても構いませんわ」

「あらあら、あやかったら。無理しちゃって」

「まぁ、美砂の言ってる内容はともかく委員長は10時からお化け屋敷の方があるでしょ?」

「そうねぇ。あやかと私は確かにもう少ししたらお化け屋敷の方に出ないと」

「って事で、アクセル君は私達に任せて」

 

 美砂がそう言いながら、俺の手を引っ張っていく。円は苦笑を浮かべながら、あやかは多少悔しそうにしながら、千鶴はニコニコとした笑みを浮かべながら学祭最終日の活動を始めるのだった。

 

 

 

 

 

「ね、アクセル君。はい、あーん」

 

 美砂に差し出されたフランクフルトに、半ば諦め顔でかぶりつく。

 噛み締めた途端、口の中に広がる肉汁とパリッとした噛み応え。そこに混ぜ合わさっていくケチャップの微かな甘みに、マスタードのピリッとした辛みがアクセントになり非常に美味い。

 

「ね、美味しいでしょ。普通のフランクフルトってここまで皮がパリッとしてないんだけど、あそこの店は違うのよ。昨日、一昨日でかなりの売り上げを稼いだらしいよ」

「学祭長者って奴か」

「うーん。学祭長者は一千万円近く稼いで、初めてそう呼ばれるからそこまではいかないかな」

 

 ブルーコスモスなる青い液体が掛かったかき氷を食べながら円が俺の言葉を否定する。と言うか、そこは普通ブルーハワイとかじゃないのか? 何でブルーコスモスなんて某SEED世界の某テロリスト集団の名前がついたかき氷を選ぶ。

 俺の視線を感じたのだろう。ニコリとニヤリの中間のような笑みを浮かべながら円が口を開く。

 

「青き清浄なる世界の為に」

「って、おい!」

 

 俺の記憶を体験した円だからこそのネタに思わず突っ込みを入れる。

 

「あはは、ごめんごめん。でもさ、よく考えるとこのブルーコスモスって集団がいないと私や美砂、それにあやかや千鶴さんはアクセル君に会えなかったんだと考えるとどうしても完全に嫌いにはなれないんだよね。それでもやってる事は許せないけど」

「あー、確かに。言ってる事ややってる事は全面的に許せないけど、ブルーコスモスがいないとアクセル君が麻帆良に来る事もなかったんだよねぇ」

「ね、美砂。その場合って私達何をしてたかな?」

「どうだろ? ネギ君がいるって事は魔法関係に巻き込まれ……いや、それはアスナとかで止まってるか。じゃあ普通に生活してたんじゃないかな。今時の女の子らしく」

 

 円と美砂の会話を聞きつつ、たこ焼きを1船購入して爪楊枝で口の中へ。

 外はカリッと、中は……ボソッと。火を入れすぎだな。タコはそれなりに大きいが肝心の中身がボソボソなのはちょっとな。

 

「ね、アクセル君はどう思う? もしアクセル君が来てなかったら」

 

 美砂の言葉に、自販機で烏龍茶を買って外れのたこ焼きを流し込むようにして胃に収めながら考える。

 もし俺が来ていない時の円と美砂……か。

 

「そうだな、確かに美砂の言う通り普通に生活して、普通に卒業して……円は国家公務員、美砂はホテルとかで働いてる……とかはどうだ? まぁ、あくまでも予想と言うかなんとなくそんな感じじゃないかと思っただけだが」

「あー、円が国家公務員とかいうのはちょっとありそうだよね。意外に安定志向だし」

「それなら美砂だって流行の職業だから、とかいう感じで決めてそうじゃん」

 

 何となく口に出した意見だったんだが、妙にピンと来たらしい。じゃれ合うようにお互いがお互いの未来予想を口に出している。

 

「まぁ、結局俺は来たんだから今更言っても意味が無い話だけどな」

「そうだね。アクセル君はここにいるんだし……ね!」

 

 そう言いながら美砂が俺に抱きついてくる。幸いたこ焼きもフランクフルトも烏龍茶も既に手元になかったからいいが、もしまだ持っていたら落としていたかもしれない勢いだった。

 

「ちょっと、美砂!」

「きゃー。くぎみーがいじめるー」

「あー、もうっ! 何回同じネタをやるのよ!」

 

 そんな風に屋台を冷やかし、大学のサークルがやってる玉当てゲームとかいうので見事に命中させて食券を貰い、とやっているうちに妙に混雑している世界樹広場へと辿り着く。

 

「……なんだ?」

「さぁ? 麻帆良祭の予定だとこの時間にここでやるイベントとかは無かった筈だから、突発的なゲリライベントか何かかな?」

 

 美砂の声に疑問に思いつつも道を進んでいくと、そこには見覚えのある連中が何かのチラシを配っていた。

 

「ゆーな?」

「まき絵も。何やってるの?」

 

 そう、そこにいたのは3-Aの面々。本来なら教室でお化け屋敷をやってる筈なのだが、何故かこの世界樹広場に集合していたのだ。

 

「お化け屋敷のチラシか?」

 

 ネギと仲がいい為に未だに俺に対する苦手意識を持っている佐々木ではなく、明石へと尋ねる。

 

「違う違う。実はネギ君の頼みでいいんちょが急遽学園かくれんぼからイベント変更するって言い出してさ。はい、これ」

 

 渡されたチラシには『火星ロボ軍団VS学園防衛魔法騎士団』と書かれていた。

 なるほど、ネギの頼み……となると、まず間違い無く超関係だろう。それを朝言っていたように頼まれたから手を貸したんだと思うが……学園の一般人を巻き込んでいいのか?

 そんな俺の疑問は、杖やらバズーカやら銃やらを持ち出した明石によって解決された。どうやらこれを使って一般人を戦力化するらしい。普通なら一般人に莫大な被害が出る所だが、あの超のやる事だ。恐らく一般人に対する怪我人は出ないように計算されていると思われる。

 

「なるほど、こう来たか」

 

 戦力的にはマジックアイテム頼りなのでそれ程強力、という訳でもないだろう。だが、何しろその人数を考えれば総合的にはかなりの戦力になると思われる。

 この作戦を考えたのは近右衛門か? ……確かに近右衛門ならやりそうな作戦だが、どこか匂いが違う。どちらかと言えばこれは……

 そう考えた俺の脳裏に一瞬過ぎったのは武道大会の決勝で俺と戦ったネギの姿だった。勝てないと知りつつも、それでも尚俺に挑んできたその意志の強さ。そして一瞬ではあったが見せた英雄の片鱗とでも呼ぶべき印象。

 

「ネギか」

「え? うん。だからネギ君がいいんちょに頼んで実現したイベントだってば」

 

 俺の呟きを聞いた明石がそう言ってくる。

 魔法について、そして今回の超の件についても何も知らない明石にしてみれば、ネギがあやかに頼んで開催したイベントだという点で納得しているのだろう。だが、誰かがこの作戦を考えてネギを通してあやかにお膳立てをして貰ったのか。あるいはネギが自分自身で作戦を考えてあやかに頼んだのか。それは同じようでいてかなりの違いがある。

 

「じゃ、取りあえずこれチラシね。アクセル君も柿崎も釘宮も絶対に参加してよね! じゃ、私はまだ他にもチラシ配りあるから」

 

 それだけ言って、何事かと様子を見に来た野次馬へとチラシをどんどんと渡していく明石。

 

「アクセル君との戦いで一皮剥けた感じ?」

 

 どこかからかうような口調でそう告げてくる美砂に苦笑を返す。

 

「ま、元々の素質はあったんだろうさ。それが開花するのが早いか遅いかだけの違いでしかない」

「ネギ君に関してはそれでいいとして、アクセル君は今回は静観なんだよね?」

「ああ。その点については超と契約済みだからな」

「そっか。じゃあゲームが始まるまではもう少し時間を潰そっか」

「そうね。今回は私達も静観するって決めてるし」

 

 そう言って手を引っ張ってくる2人に再度苦笑を口に浮かべる。

 

「別に俺に気を使わなくてもイベントに参加してもいいんだぞ」

「いいの。イベントも面白そうだけど、やっぱりお祭りは大事な人と一緒にいたいじゃない。それに、超のやる事も理解出来ない訳じゃないし……ね!」

 

 ガバッと俺に抱きついてくる円。

 

「ちょっと、円。アクセル君に対するスキンシップは私の役目でしょ!」

 

 がーっと円に対して言い募る美砂の声を聞きながら、もうすぐ始まるイベントの開始をある意味で楽しみにするのだった。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:655
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    異形化

撃墜数:380

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