転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0367話

 あやか達との模擬戦を終えた翌日。つまりは明日にはイギリスに向かって出発する訳だが、そんな状況の中で俺はあやか、千鶴、夏美、円、美砂、桜子の買い物に付き合わされていた。

 既に俺の手には10数個の紙袋が抱えられ、それでも足りないとばかりに自分達でも買い物の紙袋を持ち、尚且つ次の店へと向かっている。

 とは言っても、買い物の殆どは千鶴とあやか以外の4人の物が中心だ。何せあやかにしろ千鶴にしろ、実家が財閥や会社を経営しているという関係もあって海外に行くのは頻繁……とまでは言わなくてもそれなりにこなしているので旅行の準備やそれに必要な買い物も特に困らなかったのだが、それ以外は普通の家の出であってイギリス……と言うか、海外に行くのも初めてらしい。なので、昨日の模擬戦でイギリス行きを決めた翌日の今日になって急いで買い物をしている訳だ。

 ちなみに、俺達やネギ達がイギリスに行くというのがどこでどういうルートを辿ったのかは不明だがクラス中に広まっており、さらにどういうやり取りをしたのかは分からないが、クラスの殆どを連れての『夏休み特別企画 皆でネギ君の故郷を見学に行こうツアー』とやらが開催され、凝ったことに旅のしおりとかまで作られていたりする。

 最初にその話を聞いた時には当然止めようと思ったのだが、行くのはあくまでもネギの故郷であるウェールズまでであり中学最後の夏休みなので思い出作りに、と言われて押し切られてしまった。飛行機代をどうするのかとも聞いたが、それに関しては3-A全員があやかの……というよりは、雪広財閥の自家用機で向かうらしいので心配はいらないらしい。

 それによく考えるまでもなく、既にクラスの殆どの連中が魔法について知っているという事もあるので今更感が無いとは言えないしな。

 ちなみに、現状の3-Aで魔法について知らないのは桜子、佐々木、和泉、大河内、鳴滝姉妹、明石、そして夏美の9人だけだ。……夏美に関してはヘルマンの時に巻き込まれたと思うんだが、特に記憶操作等もしてない状態でもまだ魔法については関わってなかったりする。小太郎が犬から人間になったり、ヘルマンが部屋を破壊したりをどう納得したのか疑問だが、藪蛇になりそうなのでスルーしている。

 

「アクセル君、次はあのお店に行くわよ」

 

 美砂がそう言いながら既に荷物で一杯一杯になりそうな俺の腕を引っ張って小物屋へと向かう。

 

「アクセル君も災難だねぇ」

 

 そんな俺を見て夏美が呟くが、その隣にいる千鶴は笑みを浮かべながら口を開く。

 

「あらあら。小太郎君が来なかったからって何もいじけなくてもいいじゃない」

「ちょっ、ちづ姉!? 別に私はいじけてなんか!」

「小太郎君?」

 

 そんな千鶴の声に不思議そうに尋ねるのは桜子だ。こちらも手に幾つかの紙袋を持っているが、まだまだ余裕らしい。

 

「あら、桜子さんは知らなかったかしら。ネギ君やアクセル君のお友達で、今は私達の部屋に居候中の子よ」

「ついでに言えば夏美が気になってる相手だな」

「へー」

 

 先程の仕返しとばかりに言ってやると、顔を赤くして夏美は首を振る。

 

「ないない。ないから。私は別にいいんちょの同類じゃないんだし」

「あらあら、まるでちょっと前までの円を見ているようね」

「ちょっ、ちづ姉!?」

 

 そんな風に言い合っている千鶴や夏美、桜子を置き去りに引っ張られていくのだった。

 こうして、海外旅行前日に買い物を済ませるというどこか行き当たりばったり的な旅行の準備は進められるのだった。

 

 

 

 

 

「皆さん、揃ってますわね。では付いて来て下さい」

 

 そしていよいよ旅行当日。俺を含む3-Aの面々は成田空港……では無く、雪広家の私設空港へと集合していた。いや、集合と言っても麻帆良からここまで雪広財閥から出して貰ったバスで運んで貰ったんだが。

 ちなみに、今更だが俺はこの世界の人間では無い。つまりは戸籍も何も無い訳だが……チラリと手元にあるパスポートへと目を向ける。

 これをあやかがどうやって用意したのかは、取りあえず気にしない事にした方がよさそうだ。それに出発数日前にイギリス旅行が決定したのにクラス全員分のパスポートとかがどうなっているのかも微妙に……いや、ちょっと待て。確か修学旅行で近右衛門がネギを特使に任命した時に行き先をハワイに変更する云々とあったな。となると、もしかして麻帆良は入学時にパスポートの取得が義務づけられているのか?

 まぁ、多少苦しいかもしれないが俺の精神安定上の為にそういう事にしておこう。

 

「ね、ね。いいんちょの家の自家用機なんだから、やっぱり外側にアクセル君やネギ君の絵が描かれていたりするのかな? イタ車ならぬイタ飛行機みたいな感じで」

 

 俺の後ろを歩きながら明石がそう呟いてくるが……嫌だぞ、自分の顔が描かれている飛行機とかに乗るのは。

 幸いと言うか、そんな俺の嫌な予想は当たらずに、到着した場所にあったのは極普通の飛行機だった。

 

「あー、残念」

 

 明石が後ろで何かを言ってるが、無視だ無視。

 

「すいません、本来なら飛行機にアクセル君やネギ先生の絵を描く予定だったのですが私も色々と忙しくて、それに時間も無かったので……」

「あ、やっぱり。時間があったらイタ飛行機にするつもりだったんだ」

「……気にするな。俺は極普通の飛行機で全く問題が無い。と言うか、普通の飛行機が好きだ」

 

 さすがに自分の顔が描かれている飛行機に乗るというのは遠慮したい。

 

「アクセル君、どうしたの?」

 

 こちらの様子を見て不審に思ったのか、ネギが近づいて尋ねてくる。

 その手にはキャリーバッグや杖が持たれているが……麻帆良でも無いのに杖を持っていてよく目立たないな。あるいは認識阻害か何かを使ってるんだろうか。

 そんな風に思いつつも首を振る。

 

「いや、普通の飛行機で良かったと思ってな」

「普通?」

「ああ。あやかの希望としては俺やネギの絵を飛行機の表に描きたかったらしい」

「……そ、それはちょっと」

 

 さすがにネギもイタ飛行機は嫌だったのか、苦笑を浮かべている。その肩の上では人前という事もあり喋れないカモの姿もあった。

 

「さて、では皆さん。ここでこうしていてもしょうがありません。そろそろ出発しますわよ」

 

 手をパンパンと叩きながら皆の注目を集めてそう声を上げるあやか。この辺りのリーダーシップはさすがと言うべきだろう。

 3-Aの皆もあやかの声に従って飛行機の中へと乗り込み、20分程後には空港を飛び立つのだった。

 

 

 

 

 

 日本を飛び立ってから約1日程。飛行機での長旅も終え、ようやくイギリスへと到着していた。いや、さすがに雪広家の自家用機だけあって食事は美味いしサービスも行き届いているしで旅の苦労とかそういうのは全く無かったんだけどな。

 

「ネギ君、お疲れ様です」

 

 空港で俺達……と言うか、ネギに声を掛けて来たのは1人の女だった。金髪で顔立ちが整っており、どこかクールな雰囲気を漂わせている。

 

「マクギネスさん」

「あーーっ! あんたは!?」

 

 ネギの声と明石の声が同時に響く。

 ……イギリス出身のネギはともかく、明石とどういう知り合いなんだ?

 そう疑問に思ってマクギネスと呼ばれた女を観察していると、何故か唐突に脇腹に鋭い痛みが。

 横を見ると、円が眉を顰めて俺の脇腹を抓っていた。

 

「……円?」

「確かにあのマクギネスさんって人は美人だけど、私達がいる所で見惚れるってのはどうかな?」

「別にそういう訳じゃ……いや、確かに美人だが」

「アクセル君?」

 

 再び俺の脇腹に鋭い痛みが。

 

「ウフフ。円ったら」

「でもまぁ、確かに私達の前なのに他の女に目を奪われるとかは許せないわよねー。えいっ!」

 

 マクギネスとネギ、あやかがこれからのことを相談しているのを眺めていた千鶴や美砂だったが、俺と円の会話を聞いてこちらへと近寄ってくる。千鶴も美砂も笑みを浮かべているのだが、千鶴はニコニコ、美砂はニヤニヤと表現出来そうな笑みだった。

 そしてそのまま、まるでマクギネスに見せつけるかのように俺へと抱きついてくる美砂。そして当然マクギネスがこちらへと視線を向けているという事は、話していたネギ。そしてあやかも同じ事で……

 

「ちょっ、ちょっと美砂さん! 貴方何をしてますの!?」

「何って……ナニ?」

「ムキーッ! いつもいつも抜け駆けばかりして、許しませんわよ!」

 

 そんな風にじゃれ合っている美砂やあやかだったが、さすがにマクギネスが俺の方へと近付いてくると空気を読んだのかじゃれ合いを取りあえず横に置いておく事にしたらしい。

 

「お話中の所をちょっと失礼するわね。貴方がアクセル・アルマー君?」

 

 ……俺の事を知っている? いや、麻帆良にネギを送り込むという事はある程度の繋がりがあって当然か。恐らく近右衛門辺りから情報が流れたんだろう。

 

「ああ、アクセル・アルマー。一応そっちの同類だ」

「初めまして、ネギ君の学校の職員のドネット・マクギネスです」

 

 差し出された手は冷たく、まさにその冷静沈着そうな外見に違わぬ物だった。

 周囲には魔法について知らない者も数人いるので、微妙に誤魔化しながら挨拶を交わす。

 

「麻帆良の方からも色々と聞いています。ネギ君に負けない才能をお持ちだとか」

「さて、どうだろうな。ただ、基本的に独学だから体系的に学んできたネギの意見は参考にさせて貰ってるよ」

「……さて、挨拶はこのくらいにしてそろそろウェールズの方に行きましょうか。皆さんも待ちくたびれてるみたいだし」

 

 悪戯っぽい笑みを浮かべながら周囲を見回すマクギネス。それに釣られたようにして周囲へと視線を向けると、従者4人にはジト目を。それ以外の者達にはまるで面白い出し物でも見ているかのような視線をこちらへと向けているのだった。

 

「アクセル君」

 

 ガシリ、と俺の右肩に手の感触。誰かと思って振り向けば、そこには俺の従者達……ではなく、明石の姿があった。

 

「明石?」

「私が許可するから、あの雌狐を落とす……いえ、堕とすのよ!」

「ちょっ、ゆーな!? いきなり何言ってんねん!」

 

 何やら暴走し始めた明石だったが、その後頭部へと和泉がハリセンを叩き付ける。

 バシーンッ! と小気味よい音が周囲へと響き渡るが……そのハリセン、どこから持ってきた?

 

 

 

 

 

 電車で移動する事、数時間。辿り着いたネギの故郷は自然に溢れている場所だった。いやネギの記憶で知ってはいたんだが、こうやって生身の状態で見てみると実感が湧くと言うか。

 ……まぁ、魔法使いといえばやっぱりこういう場所に住んでるイメージだよな。麻帆良みたいに科学的な街に住んでいると言うよりは。

 

「ネギー!」

 

 そんな風に景色を眺めていると、突然ネギを呼ぶ声が聞こえて来る。

 声のした方へと目を向けると、そこには1人の女がこちらへと走ってきている所だった。どことなく……本当に、どことなくだが神楽坂から受ける印象に似ている。正確に言えば、神楽坂から尖った所を抜かしたような感じか。

 それが誰なのかは、これまたネギの記憶で覚えがある。ネギの従姉妹であるネカネ・スプリングフィールドだ。

 

「お姉ちゃーん!」

 

 ネギもまた、年相応の子供らしくネカネへと向かって走っていき……

 

「おいおい」

 

 その様子を見て、思わず突っ込みをいれた俺は悪くは無いだろう。何しろ、ネギがネカネを振り回して喜んでいたのだ。

 

「ちょっ、逆! 普通逆!」

 

 俺の近くにいた明石もまた、同じように突っ込むのだった。

 それからネギが俺達の事を紹介し、不味いと評判のイギリス料理を食べ――ローストビーフのサンドイッチは美味だった――その日はぐっすりと眠り、いよいよ魔法世界へと旅立つその日を迎えるのだった。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:655
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    異形化

撃墜数:380

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