転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0371話

 リビングアーマーに召喚術での契約を結べなかったという失態は取りあえず置いておくとして、リビングアーマーの持っていた剣を3本回収して1本を空間倉庫に。1本を自分用に。1本を茶々丸へと渡す。

 

「アクセルさん、私は自前の武器があるので」

 

 そう言って固辞する茶々丸だったが、現状でメンテを受ける事が難しい以上は代用品になる物があったらそれを使った方がいいと説得し、多少遠慮しながらもその説得に納得したのか、大人しく剣を受け取ってくれた。

 通路自体はそれ程狭くはないので、剣を振るう余裕は十分ある。

 ……最大の問題は、俺が剣の扱いに慣れてないという事か。

 なので少しの間素振りをして剣の具合を確かめてから探索を再開した。

 そして歩き続ける事10分程。唐突に茶々丸が口を開く。

 

「アクセルさん、止まって下さい」

 

 その様子は酷く真剣なものだった。

 

「どうした?」

「前方5mに罠と思しき反応。恐らく落とし穴かと思われます」

 

 ……さすが迷宮、とでも言うべきか?

 

「けど、リビングアーマーはここを通ってきたんだよな?」

 

 基本的に一本道なこの通路をあのリビングアーマーはどうやってすり抜けてきたのだろうか。そんな俺の疑問に茶々丸はあっさりと答える。

 

「通路に魔力の反応があります。恐らく、何らかの魔法で生き物かそれ以外で区別しているのではないかと」

「なるほど。……けど、そうなるとこの迷宮らしき場所には生物はいないと考えた方がいいのか?」

「そう思われます。あるいは登録か何かをしていると罠が作動しないとかの可能性もありますね」

「となると……大人しくあの罠を遠距離から魔法で破壊した方がいいと思うか?」

 

 そんな俺の提案に、頷く茶々丸。

 

「はい、それが手っ取り早いと思います。ただしアクセルさんが破壊した場合は感知魔法で生命反応のある相手に破壊されたとして何らかのアクションを起こす可能性がありますので、ここは私にお任せ下さい」

 

 茶々丸の言葉に数秒考えるが、それがベストだろうと判断して頷く。

 

「悪いが頼む」

「いえ、アクセルさんのお世話はマスターに頼まれておりますので。……ただ、ネギ先生の方も頼まれていたのですが……」

 

 どことなく悲しそうに呟く茶々丸を励ますように軽く叩く。

 

「エヴァに修行を付けて貰ったネギがそう簡単に遅れを取るなんて事は無いだろうさ。今はとにかくここから出るのが最優先だ」

「そうですね。では少々お待ち下さい」

 

 俺の言葉に頷き、茶々丸が通路を進んで行って魔力反応があると言っていた場所へと剣を数度振り下ろす。

 ガッガッガッ! という音を立てながら壁を破壊し終えた茶々丸は満足そうに頷くと口を開いた。

 

「アクセルさん、これでOKです」

「あ、ああ……」

 

 どことなく壁を攻撃している茶々丸の迫力に押されたものを感じながらも、そのまま茶々丸と共に道を進んでいく。

 

「ここが迷宮とかダンジョンだと考えると、通路が一本道というのはおかしくないか?」

「確かにそうですね。もしかしたらここは迷宮では無いのかもしれません」

「……その割にはリビングアーマーとか落とし穴とかあったが」

「防犯装置と考えてはどうでしょうか?」

 

 防犯装置ねぇ。物騒過ぎるようにも感じるが……あるいは魔法世界だとこのくらいが標準なのか?

 そんな風に内心で考えていると、唐突に前方から爆発音が聞こえてきた。

 

「アクセルさん」

「ああ、行くぞ。何が起きてるのかは分からないが、何らかの変化があるのは確実なんだ」

「はい。先程のような罠があっては危険ですので、私が先に進みます」

「頼む」

 

 茶々丸の言葉に頷き、そのまま2人で剣を持ったまま通路を走っていく。

 そしてその先で俺の目に入ってきたのは……

 

「えぇいっ! しつこいわよ!」

 

 学校の体育館程の広さを持つ部屋の中でアーティファクトの純炎の涙を使い空を飛びながら炎でリビングアーマー3体に攻撃を仕掛けている円の姿だった。

 

「茶々丸!」

「はい!」

 

 茶々丸に声を掛け、瞬動を使い円へと意識を集中しているリビングアーマーの背後へと回り込み両膝を持っていた剣で斬り裂く。そのまま切り上げて剣を持っているリビングアーマーの右腕を斬り飛ばし、最後に兜へと振り下ろす。

 兜へと振り下ろした一撃はギャリギャリと嫌な音を立てながらそのまま刀身を下げていき、最終的にはリビングアーマーを左右2つに分断した。

 分断したリビングアーマーが左右に分かれて地面へと倒れる音を聞きながら茶々丸と円の様子を確認する。

 茶々丸は俺の渡した剣でリビングアーマーと切り結んでいるが、円は上空から炎を放っているだけだ。だがリビングアーマーも持っている盾で炎を防ぐ。

 ……盾持ちのリビングアーマーは初めて見るが、レア物か?

 

「茶々丸、そっちは任せても大丈夫だな!?」

「はい、お任せ下さい」

「分かった。なら俺は円の方を」

「アクセル君!? それに茶々丸さんも!?」

 

 ここまで来てようやく俺に気が付いたのか、円が驚愕の声を上げる。それだけこのリビングアーマーとの戦いに苦戦していたのだろう。

 

「円、こいつは俺に任せてくれ。お前は他の敵が来ないか警戒を」

「え、う、うん。分かった」

 

 俺の言葉を聞き、空を飛んで天井付近まで昇っていく円。その姿を見送ってから、目の前で剣と盾を構えているリビングアーマーへと目を向ける。

 

「丁度いい。お前で試させて貰おうか」

 

 先程出来なかった召喚の契約。それを試させて貰おう。

 まずやるべき事はこのリビングアーマーを弱らせて俺との力の差を見せつけて屈服させる事なんだが……

 そこまで思い出し、思わず眉を顰める。

 屈服する。つまりは自分の方が下だと認めさせるという事だ。自意識がないこの動く鎧にそれが出来るのか?

 いや、それが出来ないと召喚の契約は出来ないんだからやるしかないか。

 持っていた長剣を地面へと突き立て、俺に向かって剣と盾を構えているリビングアーマーに向かって指で来い来いと挑発してやる。

 

「……」

 

 だが、リビングアーマーはそれをまるで意に介さずに剣を構えたままジリジリとこちらと距離を詰めてくる。

 挑発には乗らないか。やっぱり自意識が無いのか?

 とは言っても、このままズルズルとこのリビングアーマーとの戦いを続ける訳にも行かないだろう。そう判断し、間合いを計ろうとしているリビングアーマーに対して無造作に歩を進めていく。

 

「っ!」

 

 それに対してリビングアーマーは無言で構えた剣を振り下ろすが、身体を捻り紙一重で攻撃を回避。

 そのまま振り下ろされた剣を踏み、致命的なダメージを与えないように加減して兜を殴りつける。

 それでも尚、ガァンッ! という甲高い音が周囲へと響いたが、幸いダメージ的に大した物はなかったようだ。俺が離れると再び剣と盾を構える。

 

「まだやるか?」

「……」

 

 またしても無言でジリジリと距離を縮めてくるリビングアーマー。

 そこに俺もまた先程と同じように歩を進めていく。

 繰り返された振り下ろし、回避、俺の攻撃。

 ……駄目だな、これは。

 同じような行動を数回繰り返し、そのいずれも似たような一撃しか放ってこないのを見て思わず溜息を吐く。

 恐らくこのリビングアーマーは鎧に魂を宿らせるとかでは無く、プログラムを入力しているようなものなのだろう。だからこそ決まった行動しか取れない。

 

「ねぇ、アクセル君。さっきから何をやってるの?」

 

 俺の行動を疑問に思ったのか、円が地上近くまで降りてきてそう尋ねてくる。

 ふと隣を見ると、茶々丸も既に任されたリビングアーマーを撃破してこちらを見守っていた。

 

「いや、こいつ等と召喚魔法の契約を結べないかと思ってな。少しでも駒が欲しい所だし」

「召喚魔法って……ゲームじゃないんだから。……いや、今の状況がゲームみたいなものだものね」

 

 自分で言った言葉に苦笑を浮かべる円。

 

「で、その召喚魔法の契約ってどうするの?」

「俺がエヴァから教えて貰った方法だと、まず相手を下して俺が上の存在だと認めさせて、それから召喚の契約を結ぶ流れだな」

 

 再び剣を振りかぶってきたリビングアーマーの攻撃を回避し、続いて横薙ぎにされた剣の一撃をしゃがみ込んで回避。そのまま目の前にある足へと回し蹴りで刈る。

 ズシャッという金属音を立てながら転ぶリビングアーマーの胴体へと足を降ろして押さえ込む。

 身体の中心である胴体を動かせないリビングアーマーは、無様に手足を振り回す事しか出来無かった。

 

「で、その契約とやらは結ばないの? 取り押さえるのには成功したみたいだけど」

「それが、どうもこいつらは自意識の類が無いようでな」

「……じゃあ、時間を掛けたのは無駄足だった訳?」

 

 円のその質問に目を逸らしながら、胴体を踏みつけていた足に力を入れる!

 グシャッ! という音を立てながら胴体を踏み抜くと、他のリビングアーマー同様に動きを止めるのだった。

 

「この盾はレア物っぽいし貰っておくか」

 

 呟き、盾を空間倉庫に収納してから改めて円の方へと視線を向ける。

 

「取りあえず、無事で良かった」

「……フン。アクセル君の従者になったこの私がそうそう簡単にやられなんかしないわよ。アクセル君も無事で何よりね。茶々丸さんも」

「はい。他の皆さんも無事だといいんですが……」

 

 茶々丸の言葉に、微かに眉を顰める円。あの強制転移にはクラスの半数以上の面々が巻き込まれたのだから無理もない。

 だが、小さく首を振り意図的にだろう明るい声を出す円。

 

「大丈夫よ! 何てったって皆エヴァちゃんの地獄の特訓を潜り抜けて来たんだから!」

「そうですね。マスターの訓練を受けた後は皆さん死んだような目をしていらっしゃいましたが、それだけに心身に刻み込まれていると思います」

「……あ、うん。確かにそうよね。……うん」

 

 茶々丸の言葉に、どこか遠くを眺めるような視線で宙を見る円。

 ……どれだけきつい訓練をしたんだ。

 まぁ、戦闘に関しては殆ど素人である円達が仮にも俺に一撃を与えるまでになったんだから、それ相応の訓練だったというのは予想がつく。

 

「話を戻すが、俺と茶々丸は物理的に接触していた為か同じ場所に転移させられていた。ここまではいいよな?」

「うん。でも、アクセル君と繋がっていたっていうのなら私や美砂、あやかや千鶴さん達だって同じだったわよ?」

「ああ。恐らくだが……スライムだと完全に物理的に接触していると判断されなかったんじゃないかと思う。けど、逆に完全に接触していなかったとも判断されずに俺と同じ場所とまではいかなくても近くに転移させられた。まぁ、あくまでも根拠のない俺の直感でしかないがな」

 

 俺の言葉に頷く円と茶々丸。

 

「可能性としてはあると思います。そうなるとアクセルさん、釘宮さん以外の3人もこの迷宮に転移している可能性が高いかと」

「そう……ね。私は気が付いたのがこの空間だったから何とも言えないんだけど……っていうか、ここって迷宮なの?」

「正確には分からないから恐らくだがな。何しろあんなリビングアーマーがウロウロしてたり、通路に落とし穴とか仕掛けられてるんだ。一般人の家、なんて事はないと思う」

「……それは確かにね。じゃあ、取りあえず今の目的は?」

「この迷宮内にいると思われるあやか、千鶴、美砂の3人を探し出してここから脱出する事だな」

 

 こうして、俺達の迷宮探索にまた1つ新しい目標が加わる。

 ちなみにパクティオーカードの念話機能を使ってはみたものの、何らかの手段で妨害されているのか、あやか、千鶴、美砂との念話は不可能だった。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:680
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    異形化

撃墜数:385

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