転生とらぶる   作:青竹(移住)

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時流エンジンのコストについては独自設定としています。


0026話

 模擬戦から1週間後、ヴィンデルからの命令通り俺達シャドウミラー隊は現在レイディバード2機に分乗しつつ攻撃目標へと向かっていた。

 レイディーバード。PTやAM等の小型機なら5~6機程搭載可能で、特機も1機なら搭載可能な連邦軍の輸送機だ。輸送機故に武装は貧弱だが、そのペイロードはかなり大きい。

 と言うか……

 

「ぶっちゃけ、どう見てもミデアだよな」

 

 思わず呟く。

 もっとも、ミデアと違い機銃の他にミサイルを装備しているのだが。

 これでジェットストリームアタックを喰らっても平気か? ……無理だろ。

 

「アクセル、何か言った?」

 

 向かいの座席に座っていたレモンが声をかけてくるが、首を振ってやり過ごす。

 現在、こちらのレイディーバードにはヴィンデルとレモン、そして俺が。もう1機の方にはマルティン、アル、ボビー、フルストの4人が乗っている。

 他にも整備員や通信士がいる筈だが、そちらは俺の管轄ではないので詳しくは知らない。

 

「ヴィンデル、相手は弱小テロ組織らしいがもう少し詳しい報告はないのか?」

 

 近くに座って何やら書類を読んでいるヴィンデルへと声を掛ける。

 と言うか、輸送機の中でも書類仕事をするってどうよ。

 

「そうだな。奴らはDC残党が中心メンバーとなっているのが判明した」

「あら、DC残党が中心メンバーなの? なら弱小とはいかないんじゃなくて?」

 

 ヴィンデルの言葉にレモンが疑問を返すが、俺もその疑問には賛成だ。

 DC戦争が終わってから結構な時間が経つが、それでもまだ活動しているDC残党はかなりの数が残っていると思われる。

 また、それだけ長期の間連邦軍と戦い続けてきただけにその腕前はその辺の新兵なんて相手にならない。

 

「まぁ、聞け。DC残党と言ってもドロップアウト組だ。それが街のチンピラやらマフィアやらを吸収して出来たグループになっている。人数的には大体30人弱。主な兵器は以前アクセルには教えたがF-28メッサーに71式戦車バルドングが数機ずつとなる」

 

 なるほど、手練れの熟練兵という訳ではなく脱落組がメインなのか。しかも吸収したのがチンピラやマフィアとくればヴィンデルの分析も当たっているだろう。

 

「ふぅ、ん。確かにそれなら安全ね」

 

 レモンも安堵の息を付く。

 いくら将来的にはエースパイロットクラスの腕を持つ事になるとは言え、今のレモンは科学者としてはともかくパイロットとしては初心者で、これが初の実戦となる。やはり不安を感じるのだろう。

 

「そうだな、まず大丈夫だと思うけどいざという時には俺が守ってやるよ」

 

 そんな風に声を掛けるが、恐らくそんな事態にはならないだろう。

 実際問題、敵機が戦闘機のメッサーに戦車のバルドングだけなら俺のアシュセイヴァーだけでも殲滅は可能な戦力だ。

 そして他にも特殊処理班の量産型アシュセイヴァーが1機に量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが3機。レモンのラーズアングリフとヴィンデルの……ヴィンデルの?

 

「あれ? ヴィンデル、お前の機体は? まだその辺は聞いてなかったよな?」

「そう言えばそうね。ラングレー基地で初めてアクセルに会った日も結局は私のラーズアングリフの話で終わったし」

 

 ……いや、あれはしょうがないと思う。

 見ると、ヴィンデルも溜息をつきながら口を開いた。

 

「私の機体は量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改だ」

 

 聞き覚えがなかったのか、不思議そうな顔でレモンが尋ね返す。

 

「量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改? カスタム機かしら?」

「いや、正確にはちょっと違うな。現状の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱに近代化や延命措置を施す、ハロウィン・プランとかいう計画の成果物だ。だが、あの機体は極少数しか作られていなかったんじゃないか?」

 

 最初の方をレモンに話し、最後の言葉をヴィンデルへと投げる。

 実際、原作のOG外伝でも量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改はカイの他にクライ・ウルブズで数機が使われているだけだった筈だ。

 

「なに、権力とは使うべき時に使うものなのだよ」

 

 いささか得意げなヴィンデルの言葉を聞きながらレモンが口を開く。

 

「でも、次期量産機のトライアルはエルアインスが有力だって話を聞いてるわよ?」

 

 科学者であるレモンにしてみれば、すでに次期量産機のトライアルが始まっているのに量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを延命させるのに納得がいかないのだろう。

 

「次期量産機とは言っても、実際にトライアルで決まるまでにまだ時間が掛かる可能性がある。それにもしすぐに決まったとしても、今現在ある機体をすぐに全機新型にする訳にはいかないだろう。そういう意味でも私の機体を作り出したハロウィン・プランは有用なのだ」

 

 ヴィンデルの言葉に頷くレモン。

 それぞれの認識の違いは、科学者と軍人としての認識の違いか。

 

「それで、ヴィンデルの機体はどういう風に強化されてるの?」

「俺が聞いた話だと、機体フレームの剛性を高めて各部可動範囲の拡大が図られているらしい。そして動力源は新型プラズマ・ジェネレーターに変更。装備拡張の為のハードポイント設置とか……他にもまぁ、色々だな」

「何それ。強化というよりは、殆ど再設計機じゃないの」

 

 驚くレモンを見つつ、再設計機という言葉に納得する。

 だが、実際問題そのくらいしなければ次期量産機と同等に渡り合えないというのもまた、事実なのだ。

 

「にしても次期量産機、ね」

 

 呟き、脳裏に浮かぶのはエクサランスの事。

 まだまだ開発が始まったばかりだろうが、もしエクサランスが今回の次期量産機のトライアルに出ていればどうなっただろうか。

 純粋に性能だけで言うのなら、R-1直系の機体であるエルアインスが勝るのかもしれないが、フレーム換装システムによる汎用性の高さと、何より永久機関である時流エンジンを考えればエルアインスと互角に渡り合うのも可能だろう。

 だが……

 

「あら、どうしたのアクセル? 何か考え込んで」

「いや、もし今回のトライアルに時流エンジン搭載機が出ていたらどうなったかと思ってな」

 

 俺の言葉に何か少し考える様子を見せるが、すぐに首を左右へと振る。

 

「それはちょっと無理だと思うわ。時流エンジンの特性、つまりある程度の上限はあるとは言え永久機関であるというのは大きいアドバンテージになるでしょう。機体設計に関してもその点を有効に使えば決してエルアインスには劣らない筈よ。でも、現時点の時流エンジンには量産機用としては大きな欠点がある」

「コスト、か」

「そう。何日か前にヴィンデルから時流エンジンのレポートを回してもらったのだけど、あれに書いてある内容が事実なら動力炉の時流エンジンだけでエルアインスを3~4機は製造出来てしまうレベルよ。それに搭載する機体に関しても考えると、恐らく時流エンジン搭載機1機を用意するコストでエルアインス5機分くらいにはなると思う。いくら性能が良くても、まさか量産機に乗る一般の兵士が5倍の戦力差をどうにか出来る訳じゃないでしょう? 一部のエースパイロットはともかく」

 

 やっぱり無理、か。

 時流エンジンのコスト高は、以前モントーヤ博士に相談された事があり理解はしていた。もう何年かして技術的に進歩すればもう少しコストを低くするのも可能だとは言っていたんだが。

 モントーヤ博士とのやり取りを思い出していると、レモンの話が続く。

 

「私なら時流エンジンは量産機じゃなくて、エースパイロット用の機体強化に使うわね。それならある程度コストが高くなってもその分パイロットが活躍すれば十分に元は取れるんだし」

「なるほど、エースパイロット用か。それはありかもしれないな」

 

 レモンの話に頷いたのはヴィンデルだった。興味深そうに俺とレモンを見ている。

 

「どうしたんだ?」

 

 不思議に思い尋ねてみると、ヴィンデルは口元に笑みを浮かべながら話し始める。

 

「俺達にとってのエースパイロットは誰だ?」

「それはもちろんアクセルでしょ? 実行部隊の隊長なんだし」

「そう。つまり時流エンジンをアクセル用に使うというのは有用な使い方となる」

「は?」

 

 一瞬、ヴィンデルの言っている事が分からなかった。

 いや、俺がエースだというのは理解しているつもりだ。この1週間というもの、マルティン、アル、ボビー、フルスト等とかなり厳しい実機訓練を行ってきたが、その中で行われた演習では殆が俺の勝利だったのだから。

 問題は……

 

「ヴィンデル、時流エンジンが私達に回ってくるの?」

 

 そう、レモンの言う通りいくら俺がエースパイロットで時流エンジンを使った機体に乗るのにふさわしいと言われても、肝心の時流エンジンが無ければそれこそ絵に描いた餅だ。

 

「ああ。近いうちにサンプルという事で1基だけだが譲ってもらえる事になった。この点はアクセルに感謝だな。先方もアクセルのいる部隊なら信用出来ると話はスムーズに進んだのだから」

 

 うわ、モントーヤ博士も気張ったな。それともエクサランスの開発が難航していて、その為の点数稼ぎか?

 

「ちょっと待って。サンプルなら私に貰えるんじゃないの?」

 

 真剣な表情のレモンだが、ヴィンデルはそれをあっさりと却下する。

 

「確かに研究も大事だろう。だが、その研究はアクセルの機体に搭載すると出来なくなる訳じゃないだろう? ならアクセルの機体強化にも併用した方が合理的に進める事が出来るし、先方の印象も良くなるだろう」

「……しょうがないわね」

 

 諦めの溜息をつくレモンだが、すぐにその顔をこちらへと向けてくる。

 

「覚悟しておきなさい、アクセル。私の研究にも付き合って貰うわよ」

「あ-、俺って一応特殊処理班の隊長という役目もあるんだが、その辺の考慮もしてくれると助かる」

 

 無駄と判っていても思わず抗議をしてしまう。

 

「却下よ」

 

 だが、そんな俺の願いもレモンにあっさりと却下されてしまった。

 苦笑を浮かべて諦めたその時、レイディバードの機長から連絡が入った。

 

「ヴィンデル少佐、そろそろ目的ポイントに到着します。機体に乗っていつでも降下出来るように準備しておいてください」

「分かった。ここまでご苦労だった。もう1機にも同様の連絡をしておいてくれ」

 

 ヴィンデルが機長に礼を言い、俺とレモンの方へと振り向く。

 

「さて、仕事の時間だ。敵は弱小とは言えシャドウミラーとしては初の実戦となる。気を引き締めろよ」




名前:アクセル・アルマー
LV:9
PP:35
格闘:142
射撃:160
技量:152
防御:149
回避:177
命中:199
SP:214
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
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スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
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撃墜数:5

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