転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1ドラクマ60円として計算しています。


0378話

「ふぅ、ようやく人心地ついたわね」

 

 非合法の奴隷売買組織から10万ドラクマ、日本円にして600万円程を没収してからミノタウロスに紹介して貰った宿で宿を取り、現在はようやく落ち着いたといった所だ。この魔法世界で強制転移させられ、迷宮を抜け、街に辿り着いたかと思えば非合法の奴隷売買組織と揉めて、そいつ等を半殺しにしてようやく宿に辿り着いたのだ。千鶴の言いたい事も分かる。だが……

 

「女部屋2つに男部屋1つの合計3部屋借りたのに、何故俺の部屋に集合してる?」

 

 そう。円、美砂、茶々丸の3人。あやか、千鶴の2人と俺の1人。こうして3部屋に別れた筈だったのだが、何故か今は俺の部屋に全員が集合していた。

 何しろ1泊80ドラクマ。日本円にして約4800円程の部屋なので別にそれ程広くはない。その部屋に6人も集まっているのだから多少狭さを感じたとしてもおかしくはないだろう。

 あぁ、ちなみに宿に来る途中で色々と物価を調べた結果1ドラクマが日本円にして大体60円程度だという事が判明している。

 それを考えると、一泊二食にシャワー付きで80ドラクマというのはかなり破格な値段のように思える。まぁ、ジャングルなんて辺境にあるというのも関係しているんだろうが。

 

「それはほら、これからどうするかを相談しないといけないでしょう?」

 

 2人分の部屋という事で、2つあるベッドのうち片方に腰を掛けている美砂がそう言ってくる。

 

「どうするかと言われても……最大の目的は迷宮で話した通りにネギ達と合流する事と、大河内達を捜す事だが……」

「それは確かにアクセル君の言う通りなんですが、どうやって合流するか。あるいは大河内さん達を探すかですわね」

「こういう時に携帯とか使えればいいんだろうけど」

 

 円の言う通り、携帯が使えればネギや大河内達と合流するのは簡単……とまではいかないが、今よりは随分と合流の難易度が下がるだろう。

 だが当然魔法世界で携帯の電波が届く筈も無いし、かと言って俺が仮契約をしているメンバーは全員がここにいるのでパクティオーカードによる念話で連絡を取るというのも不可能だ。

 ……もっとも、パクティオーカードの念話が届く範囲はそれ程広くないというのもあるが。

 

「うーん、こうなるとあっちの世界にある携帯とかネットの便利さが身に染みるな」

「それは確かに。けどまぁ、無い物をここでぶーぶー言ってもしょうがないでしょ。まず出来る事から始めましょう」

 

 千鶴の言葉に従い、現実的に取れる手段を探って行く。

 

「まずは地図だな。俺達自身がどこにいるのかを確認しないと、どこに向かって移動すればいいのかも分からない」

「お金の問題に関しては、幸いさっきの人達のおかげでどうにかなったから暫くは心配しなくてもいいでしょうけど」

「その関係もあって、ここからは早めに出発した方がいいだろうな」

 

 美砂の言葉にそう返す。

 非合法奴隷売買組織に関しては普通なら数ヶ月は立ち上がれないくらいの半殺しにはして、アジトにあった金を粗方奪って来た。傷を癒してその金を奪い返しに来る……という可能性も普通ならしばらく心配しなくてもいいんだろうが、何せここは魔法世界なだけに近衛が使っていたような回復魔法が普通にあるからな。こんな辺境に凄腕の治癒魔法を使える魔法使いがいるとは思えないが……それでも可能性がある以上はなるべく早くここから出て行った方がいいだろう。

 まぁ、俺に与えられたダメージがきちんと警告として認識されているのならそう心配もいらないだろうが。

 ちなみに、あの建物をざっと調べてみたがあいつらに捕まえられている奴隷は存在しなかった。最初に俺達に声を掛けて来た亜人によると俺達が仕事始めの相手だったらしい。

 

「でも、移動手段はどうするの? ジャングルの中を歩いて行くというのはちょっと遠慮したいんだけど」

「あ、移動手段については宿の人に聞いてるわ。数日に1度飛行魚のような物が来ていて、それで行き来をする人が多いらしいわよ。あるいは、それこそ円の言う通りに歩いてという方法を取る人もいるらしいけど」

 

 飛行魚か。……まぁ、魔法世界だけに俺の知ってるような科学の力で作られた飛行船とかじゃなくて何らかの魔法を使った物なんだろうが。

 

「そもそも、ここはどういう経緯で発展した街なんだ? 普通ジャングルのど真ん中に、街なんて作らないだろう? それもゲームに出て来るような魔獣がうようよいるジャングルの中に」

「どうも、その魔獣やジャングルというのが理由らしいわ」

 

 俺の質問に千鶴が頬に手を当てながらそう告げる。

 

「ジャングルや魔獣が理由?」

「ええ。ジャングルだけあって、自然が豊富でしょう? 中には貴重な薬になる素材とか、ここにしか存在しないような生き物とかそういうのが結構いるらしいのよ。で、この街の人達はそういうのを採取したり捕獲したりして生計をたててるって宿の人は言ってたわ。それに、私達が転移したあの迷宮も一種の伝承とかそういう風になってるらしくて、あそこを見つけようとトレジャーハンターとかもたまに来るらしいわね」

 

 リッチの遺跡狙いか。それは……

 

「ジャングルに道を付けてきたから、いずれ見つかるだろうな」

「でしょうね」

 

 遺跡からしばらく移動してからスライムを使って大雑把な道を作ったとは言っても、あの道はいずれ発見されるだろう。この街の住民達がジャングルの中にある物で生計を立てているというのなら、道が見つかるのは早まる事はあっても遅れる事は無い筈だ。そしてその道が何で出来たのかを探索しているうちに、いずれ俺達が出て来たリッチの迷宮も発見される可能性は高い。

 

「……やっぱりなるべく早くこの街を出た方がいいな。飛行魚のチケットは……」

 

 そうか、俺がチケットを買うとミノタウロスに見られたみたいに変な目で見られる可能性があるか。

 あやか、千鶴、円、美砂、茶々丸の順に眺め……

 

「千鶴、なるべく早い内に飛行魚のチケットを6人分買ってきてくれ。一応外に出る際には護衛として茶々丸も頼む」

「ええ、わかったわ」

「はい。お任せ下さい」

 

 俺の言葉に頷く千鶴と茶々丸。だが、それに疑問の声を出す者もいた。

 

「アクセル君、チケットを買いに行くのなら別に私でもいいんじゃないの?」

「チケットを購入する以上は年上に見られた方……が……」

 

 美砂の言葉に、最後まで言葉を出す事は出来無かった。何故ならいつの間にか……本当にいつの間にか俺の横に気配も出さずに立っていた千鶴が笑みを浮かべて俺を見ていたからだ。

 

「ホホホホホ。アクセル君、私がどうしたのかしら?」

 

 ゴゴゴゴゴ、とでも表現出来そうなプレッシャーを放ちながら、それでも口元には穏やかな笑みを浮かべている千鶴。拙い拙い拙い。

 頭の中で色々と千鶴を落ち着かせる言葉が浮かんでは破棄され、そしてまた思い浮かび……

 

「ほ、ほら。千鶴は人当たりがいいだろう? だからチケットを買う為の交渉……とまではいかないが、そういうのを経験しておいて貰いたいんだよ」

「あらあら、今日の所はそういう事にしておきましょうか」

 

 クスクスと笑いながら謎のプレッシャーを引っ込める千鶴。その様は実は千鶴だけでリッチ相手にも勝てたんじゃないか? と思ったのは内緒だ。

 そんな風に考えていると、再びチラリ、とこちらへと視線を送ってくる千鶴。思わず後ずさりかけるが、幸い千鶴はニコリとした笑みを浮かべるだけだった。

 

「じゃあ、早速だけど今から動く事にするわね。茶々丸さん、護衛をお願い出来るかしら」

「はい、千鶴さん」

「アクセル君、切符代をお願い」

「あ、ああ。幾らなのかは知らないから、ちょっと多めに持っていってくれ」

 

 空間倉庫からドラクマの入っている袋を千鶴へと手渡す。

 何せ非合法の奴隷売買組織がのさばっている場所だ。普通に金を懐に入れておいたらいつの間にか無くなっているなんて可能性もある。それなら最初から空間倉庫に入れておけば盗まれる心配はないだろう。

 

「それと、さっきの話に出ていた地図も頼む。後は着替えなんかの必要そうな日常品も一応買ってきた方がいいな。これからどのくらいの期間、魔法世界にいないといけないのかは分からないし」

「あ、買い物とか私も行きたいなぁ……」

「美砂さん、さっきの事を考えると余り大人数で外には出ない方がいいと思いますわ。必要な物は千鶴さんにお任せしましょう」

「……しょうがないかな」

「じゃあ、行ってくるわね」

「行ってきます」

 

 ペコリ、と頭を下げて部屋から出て行く千鶴と茶々丸を見送る。

 

「あー……でもさぁ。このまま魔法世界で皆を捜して合流するとなると1ヶ月や2ヶ月じゃまず無理だよね」

 

 千鶴と茶々丸が去ってから数分。ポツリ、と円の呟く声が部屋へと響いた。

 

「まぁ、そりゃそうでしょ。魔法世界がどのくらい広いのかは分からないけど、1ヶ月や2ヶ月じゃ日本だって回れないわよ? それも人を探しながらなんて」

「だからよ! もしそうなったとしたら……私達、麻帆良に戻ってもまず確実に留年よ!?」

 

 あー、なるほど。確かに円達にはその問題があるか。俺が3-Aにいるのは方便のようなものだし、そもそもこの世界の住人ではないんだから留年しようと何だろうと気にしないのだが……と言うか、中学校で留年ってあったか? いや、以前病気か何かで中学生が留年云々という話を聞いたような覚えもあるから恐らくあるんだろう。

 

「せめてもの救いは、近右衛門がいる事だな。もしかしたら魔法関係のトラブルという事で何かの救済措置があるかもしれないし」

「と言うか、クラスの半分以上が魔法世界に来てるんだよね。そうなると2学期が始まったら3-Aはクラスの半分以上が欠席続きになるような……」

「おまけに担任のネギ先生すらもいないという有様だったりするのよ?」

 

 円のその言葉を聞き、脳裏に浮かぶのはクラスの半分以上の席がガラガラのままで授業を進める3-Aの姿だった。円の言葉通りに担任であるネギもこっちにいるとなると代理の担任は高畑だろうか? いや、魔法世界で次世代の英雄とも言えるネギが行方不明になっているのだ。こっちでは色々と有名だという高畑も当然忙しくなる筈だ。そうなると……

 

「新田か源が担任代理か?」

 

 新田、という名前が出た途端に円と美砂は顔を顰める。

 

「ちょっと、円さん、美砂さん。新田先生は生徒思いのいい先生ですわよ。そんな顔をする事はないでしょう」

「それはあやかが品行方正だからそう思うだけだよ……」

「まぁ、アクセル君やネギ君が絡むと一変して新田の世話になるんだろうけどね」

 

 基本的には問題児という訳でもない円と美砂だが、それでもやはり生活指導の新田は苦手らしい。……まぁ、問題児では無いと言っても3-Aの存在自体が問題児クラスだしな。

 そんな風に会話をして30分程。千鶴達はまだ帰ってこないが、小腹が空いてきた頃合い。美砂に頼まれて、空間倉庫から超包子でまとめ買いして放り込んであった肉まんを取り出して皆で食べる。

 

「んー。まさか魔法世界に来て超包子の肉まんが食べられるとは思わなかった」

「アクセル君の空間倉庫万歳よね」

「でも、千鶴さんを待たなくて良かったのでしょうか?」

「大丈夫大丈夫。肉まんはまだまだあるんだから、千鶴が帰ってきても先に食べてたからって怒らないわよ」

 

 

 

 

 

 この後、必死になって買い物を終えて帰ってきた千鶴に肉まんのおかわりをしていた美砂が見つかり、『ウフフフフフ』とプレッシャーを発せられたりしたが、どうにかこうにか俺達の魔法世界1日目は過ぎていくのだった。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:715
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    異形化

撃墜数:392

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