転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0379話

「……マジか」

 

 目の前のモニタに映っている映像を見て、思わず呟く。

 呟いてから、着ていたローブのフードを上げて顔を隠す。咄嗟に周囲を見ると、同じくあやか達もフードを使って顔を隠していた。

 

『繰り返します。6日前に起こった世界各所で同時多発的に起こったゲートポートの魔力暴走事件の首謀者と思われる人物の写真がメガロメセンブリア当局から公開され、実行犯の主犯と見られる、外見10歳程度の少年、またその人物の仲間と思われる少年や少女に見える者達の懸賞金付きの国際指名手配がなされました』

 

 その言葉の後に映っているのは俺、あやか達4人、茶々丸。そしてネギパーティの面々だ。つまりは、あの場にいた中でも大河内達を除いた麻帆良関係者の面々だな。

 懸賞金の額は、俺が150万ドラクマ。ネギが30万ドラクマを筆頭に徐々に下がっていく。

 

「と言うか、何で俺だけこんなに高額なんだよ」

 

 150万ドラクマといえば、日本円に換算すると約9千万円の計算だ。

 

「それは、恐らくフェイトがアクセルさんを最大の敵だと認識しているからだと思います」

 

 俺の呟きに返したのは、俺達と同じくローブで顔を隠している茶々丸だ。

 

「……とにかく、なるべく人目に付かないようにして飛行魚が向こうに着くまでやり過ごそう。ここで騒ぎを起こして墜落なんて事になったら洒落にもならん」

 

 そう、現在俺達は飛行魚に乗っている。あのリッチの迷宮を脱出してから6日。幸い例の非合法奴隷売買組織による報復も無く、何とか飛行魚に乗り込めた訳だが……まさか飛行魚の中で賞金付きの指名手配される事になるとはな。

 恐らく今頃、あの街では俺達が賞金首になったと知って泊まっていた宿屋辺りに賞金稼ぎ達が殺到して……待て。あの街でTVを見た記憶は無い。となると、逆にあの街にいた方が安全か?

 いや、飛行魚での定期便が出ている以上はいずれ俺達を知っている者達が来るとも考えられるか。

 

「アクセル君、取りあえずここを離れましょう」

 

 くいくい、とあやかが俺のローブを引っ張る。

 確かに俺達の顔が流されている場所に堂々といるのは拙いか。

 小さく頷き、それなりに高額のチケットで取った客室へと向かう。

 客室へと向かう途中でも、フードを降ろして顔が周囲に見えないようにしながら何とか他人に見つからずに客室へと滑り込む事に成功した。

 

「あー、全く。あのフェイトって子。何か私達に恨みでもあるのかしら。……あるのよね」

 

 飛行魚の俺の部屋。そこで円がベッドに腰掛けながら一人ボケ突っ込みを行っていた。

 いや、まぁ確かに恨みは色々とあるだろうが。

 

「修学旅行、ヘルマン、そしてゲートでの遭遇戦……か。確かに恨まれる理由には事欠かないな。だが、こういう手を使われるとは思わなかった」

 

 俺の言葉に頷き、あやかが口を開く。

 

「ええ。少なくてもあの映像がMMから出たとなると、フェイトとMMの一部は繋がっていると思って間違い無いでしょう」

「俺達に濡れ衣を着せた相手と司法機関が繋がってる訳か。そうなると、このまま大河内達を探すというのはまず無理だと判断した方がいいだろうな」

「そうですわね。せめてもの救いは大河内さん達には賞金が掛かっていない事ですが……」

 

 その言葉を最後に、部屋の中での話し声は途絶える。

 何しろ顔写真付きで賞金が掛けられたのだ。街中で行動するのすら難しく……待て。確かに俺達の顔写真は公開された。だが、それは俺の今の顔が公開されたに過ぎない。そしてどういう理由かは知らないが、公開されたのは顔写真だけであって名前は伏せられたまま。そして俺には異形化という、人間ではない存在に変化するスキルがある。

 ただ、俺だけが素顔を誤魔化したとしてもあやか達が……

 頭の中でゴチャゴチャとこれからの事を考えていると、目の前に紅茶の入ったカップがおかれる。

 

「どうぞ。気分転換でもすれば何かいい考えが浮かぶかも知れません」

 

 茶々丸がそう言い、他の皆にも紅茶の入ったカップを配っていく。

 その様子を見ながら、ふと、何かに気が付く。

 茶々丸、姿を変える。……学園祭?

 

「っ!? そうか、ここは魔法世界か。なら何とかなる……か?」

「アクセル君、どうしたの?」

「ちょっと待ってくれ。もう少し考えを纏めたい」

 

 美砂の言葉に紅茶を一口飲んで考えを纏める。学園祭でネギと小太郎、そして長谷川が使っていた外見年齢を変える『赤いあめ玉・青いあめ玉年齢詐称薬』というのがあった。あれも魔法の道具、マジックアイテムだとカモは言っていた。そしてここは魔法世界であり、当然マジックアイテムを売る店もあるだろう。そして最大の難関がそのマジックアイテムを買いに行く時だが、そこで俺の異形化を使えば……

 俺が異形化を使えばその姿は散々悪魔やら大魔王やら悪者やら大魔王やら怪獣やら大魔王やら言われていた。……大魔王大魔王言われ過ぎじゃないだろうか、俺。

 そしてエヴァ曰く、そこらにいる一山幾らの魔族よりも余程魔族らしいと断言もしていた。なら俺は魔族として年齢詐称薬を買いに行けば……

 

「何とかなる……か?」

「考えが纏まりましたの?」

 

 思わず呟いた声にあやかが反応する。

 その言葉に頷き、俺が異形化して年齢詐称薬を買いに行くと話すと、あやかから多少の反対は出たが結局は代案が無いという理由で消極的に賛成するのだった。

 そしてそれからはずっと部屋に閉じ籠もって身を隠し、2日後……俺達は自由交易都市キズクモへと到着する。

 

 

 

 

 

「じゃあ、ここで待っていてくれ」

「アクセル君、お気を付けて」

 

 マジックアイテムを売っている店の近くにある路地裏。そこでフードで顔を隠している5人に声を掛け、表通りへと姿を現す。

 俺を見た数人の通行人が驚いたように微かに眉を顰めたが、あった変化といえばそれだけだ。

 俺の姿は既に異形化で変化しており、額から深紅の角が。左右の側頭部と後頭部からそれぞれ2本ずつの合計5本の角が生えている。また、同様に背中には魔力で作られた羽の姿もあり、顔立ち自体は賞金首として公表された物と殆ど変わっていないのだが、角と羽によって受ける印象が大分変わるのか特に見とがめられる事は無かった。

 そしてそのまま魔法店へと入っていく。

 

「いらっしゃい。お、魔族の坊主か。魔族が来るというのはちょっと珍しいな。それで何を探してるんだ?」

 

 色々な薬や道具、あるいは何らかの素材が置いてある店で、カウンターから俺の姿を発見した店主が声を掛けてくる。

 見た目は普通の人間で、年齢詐称薬なんて犯罪臭のする道具を売ってるようには思えない。……いや、別に法に触れる薬って訳じゃないんだから当然なのかもしれないが。

 

「年齢詐称薬をくれ。1万ドラクマ分」

「そ、そんなにか!?」

「当然、纏め買いするんだからある程度はまけてくれるよな?」

 

 カモに聞いた話では年齢詐称薬は1粒2000円。それを1万ドラクマ、つまりは60万円分となると大体300粒程度。ただし、1粒2000円というのは魔法世界ではない現実世界での値段だから輸送費やら何やらを考えると少しは安くなるだろう。そして纏め買いもあれば……

 

「350粒、でどうだい?」

「ちょっと吹っかけすぎだろう。500粒」

「おいおい、そんなんじゃこっちの儲けが無いどころか赤字だぜ? 380粒」

「ここで懐の深さを見せてくれればこれからも贔屓にするんだがな。550粒」

「おいっ、増えてるじゃねぇかっ! 普通ここはもう少し量を少なくする所だろう!? 400粒!」

「損して得取れ、という言葉を理解して欲しいんだがな。570粒」

「……坊主、お前さん本当に買う気はあるのか? 430粒」

 

 店主の声に、1万ドラクマずつ分けてある袋をドサッとカウンターの上に置く。

 

「1万ドラクマだ。冷やかしじゃないのは理解出来たか? 600……」

 

 600粒、と言おうとしてふと店の壁に貼ってあるポスターに視線が止まる。

 

「ナギ・スプリングフィールド杯?」

 

 そう、そのポスターにはネギの父親であるナギ・スプリングフィールドの名前を冠した大会名が書かれている。

 

「ん? 坊主、知らないのか? これは来月……いや、再来月にあるオスティア終戦記念祭の目玉イベントだよ。その予選、つまりはキズクモの代表選手を決める為の大会があるから、その選手の募集って訳だな」

「ほう……」

 

 ナギ・スプリングフィールド杯か。ネギが無事ならまず間違い無くこれに食い付くだろう。そして集合場所にこれ程丁度いいタイミングと場所も無い。

 

「このナギ・スプリングフィールド杯とやらに出るにはどうしたらいいんだ?」

「あ? そりゃお前、どこかの拳闘士団に入るか、あるいはソロで申し込みするかして各地で行われている予選を勝ち抜いて優勝すればいいんだよ。もっとも、ソロで出た場合は味方が少ないから色々と面倒事も起きるだろうし、予選の予選、みたいに戦闘回数も多くなるだろうがな。それと情報が少ない分賭けの倍率が高くなる事が多いな」

 

 なるほど。効率を考えれば拳闘士団とやらに入った方がいいのかもしれないが、賞金首になった事や諸々の面倒事を考えた場合はソロの方がいいな。

 

「いい情報を聞かせて貰った。450粒」

「……坊主、お前ナギ・スプリングフィールド杯に参加する気か?」

「ああ。ちょっと面白そうだからな」

「ふーむ……」

 

 頷き、真剣な目で俺へと視線を向ける店主。

 

「まだまだ餓鬼だが……いや、それでも魔族なら……取りあえず1回戦でも勝てば……」

 

 何やらブツブツと呟き、ドンッとばかりにカウンターの上に年齢詐称薬の入っている入れ物を出す。

 

「坊主、俺の提案を聞いてくれたら1万ドラクマで年齢詐称薬を600粒売ってやろう。……どうする?」

 

 突然のその言葉に多少怪しい物を感じながらも、600粒というのはかなりいい提案なので話の続きを促す。

 

「提案?」

「ああ。予選に出て勝った場合は少しだが勝利者インタビューみたいなのが行われる事がある。その時に俺の店、レイジング魔法店の名前を出して欲しい。どうだ?」

 

 ……ふむ。つまりはアレか。スポーツ選手が特定のメーカーの道具を使って大会に出るようなもの。一種のスポンサー的な扱いをして欲しいという訳だ。

 少し考えるが、特に俺に対する不利な条件は無いと判断。

 

「OK、その提案を呑もう。レイジング魔法店だな」

「ああ、期待してるぜ」

「ついでにもう1つ。俺に掛けられるだけの金を全て掛けるんだな。そうすればより多くの利益になるだろうさ」

「何だ、坊主。お前そんなに強いのか?」

 

 子供になる青を多めに、という注文を聞いてから赤200粒、青400粒の合計600粒を容器に移し替えたのを受け取りながら笑みを口元に浮かべる。

 

「そうだな。少なくても弱いとは言いたくない所だ」

「うーん……まぁ、魔族なら1回戦くらいなら何とかなるだろうから賭けてもいいかもしれないが。ちなみに、具体的にはどのくらい強い?」

「本気を出せば闇の福音とある程度は互角にやり合える感じだな」

「闇の福音? それってアレか? 子供に良い子にしてないと闇の福音が掠いに来るって話の」

 

 ……エヴァ、お前はどこのナマハゲだ……

 ふと脳裏に大魔王VSナマハゲの光景が浮かんだが、この場合勝つのはナマハゲなんだよな。

 

「まぁ、そんな所だ」

「ぶはははははっ! それは幾ら何でも盛りすぎだろう。まぁ、そうだな。坊主は魔族なんだし1回戦くらいは賭けてやるよ。俺の店の名前を宣伝して貰う為にも勝って貰わないといけないしな。っと、今更だが自己紹介をしてなかった。俺はレイジング魔法店のレイジング・キュズ・ラクスティ。ま、レイジングって呼んでくれ」

「そうか、俺は……」

 

 そこまで言って、本名を名乗るかどうか迷う。俺の顔写真はともかく、名前は公開されていないのだから名乗ってしまっても……あ、いや。どのみち年齢詐称薬と異形化で魔族の振りをするんだから問題は無いのか。もしネギ達がナギ・スプリングフィールド杯に出るんだとしたら俺の名前でこっちの意図を理解してくれる可能性もあるし。

 

「アクセル。アクセル・アルマーだ。予選にはこの年齢詐称薬を飲んで大人の姿で出るから賭けの対象を間違わないようにな」

「年齢詐称薬を買ったんだから予想はしてたが、坊主のままで出場した方が相手の油断を誘えると思うんだがなぁ」

 

 ぶつくさと言っているレイジングへと1万ドラクマの入った袋を渡す。

 

「出場する以上は俺の目標はナギ・スプリングフィールド杯の優勝だ。どうせなら優勝者は子供よりも大人の方がいいだろう?」

「……優勝ねぇ……まぁ、確かに優勝出来るんなら大人の方がいいだろうが……」

 

 さすがにそれは無理、という目で見てくるレイジングに軽く肩を竦める。

 

「ま、結果は見てのお楽しみってな」

「そうさせてもらうよ。それより、予選の受付は後数日で締め切られる筈だったと思うから早めに登録しに行けよ」

 

 そんな声を背中に受けながら、レイジング魔法店を出て行くのだった。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:715
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    異形化

撃墜数:392

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