今日はその件もあってこれ以外にもう1話投稿しています。
夜明けの地平線団のいる場所に近付く。
ここまで来たら、もういつ見つかってもおかしくはない。
とはいえ、海賊船は一ヶ所に留まって遠距離から砲撃を続けるといった大人しい行動をしている訳ではない。
それこそ戦場を動き回っている。
そういう意味では、俺の出た場所は運が悪かったのだろう。
夜明けの地平線団の旗艦と思しき船がちょうど俺の出た場所から離れて行くところだったのだから。
一瞬だけミロンガ改の接近に気が付いたのか? とも思ったが、他の夜明けの地平線団の戦力の動きを見た感じだと、そういうのはないっぽい。
つまり、俺の運が悪かったのだろう。
とはいえ、エイハブウェーブの反応なしでここまで近付いた以上……いや、ここはASRSを使うか。
ASRSを起動させる。
動き回っている限りはASRSは効果を発揮し続ける。
だが、攻撃をすると即座にその効果は切れる。
……俺の持つスキル、気配遮断と似たようなものだな。
そんな訳で夜明けの地平線団の旗艦に向かっていると……
「は?」
流れ弾か、あるいは狙ったのか……とにかく、ミロンガ改に向かって砲弾が飛んできた。
それを回避しつつ戦場の様子を見る。
「は?」
再び俺の口からそんな声が漏れる。
その理由は、何故か戦場となっている場所が夜明けの地平線団側に傾いていたからだ。
当初の予想では、シャドウミラーと鉄華団で夜明けの地平線団の攻撃を引き付け、その隙に俺が戦闘宙域を迂回し、一気に夜明けの地平線団の旗艦を撃破するなり、降伏させるなりさせる筈だった筈だ。
つまり、本来なら戦場はもっとシャドウミラーや鉄華団側の方で行われている筈だったのだが……何で夜明けの地平線団を押し込むような形になっている?
スキップジャック級に通信を入れる。
普通ならこの距離での通信は難しいが、スキップジャック級にはシャドウミラーで使われている、フォールド通信を利用した通信装置を設置してある。
それを使えば、この距離であってもスキップジャック級と通信を行うのは不可能ではなかった。
「こちらアクセルだ。現在夜明けの地平線団のすぐ近くまで移動した。だが……戦場が随分と夜明けの地平線団側になっているようだが? 一体何があった? シノ辺りが暴走でもしたか?」
恐らくはないだろうと思いつつも、シノの性格を考えるとそういう事をしてもおかしくはないのは事実。
『いえ。……ギャラルホルンよ』
だが、映像モニタに表示されたシーラの口から出たのは、俺にとっては予想外のものだった。
「ギャラルホルン? 一体何でまた? マクギリスが援軍でも送ってきたのか?」
オルガを通して、俺達が夜明けの地平線団を潰すというのはマクギリスにも報告されている筈だ。
それを受けて、援軍でも派遣してきたのか。
そう思ったのか、シーラは首を横に振る。
『いえ、やって来たのはアリアンロッド艦隊よ』
「……マジか。一体何がどうなってそうなった?」
一応……本当に一応の話だが、今のシャドウミラーはアリアンロッド艦隊とは、より正確にはラスタルとは明確に敵対していない。
それは以前ラスタルがハーフビーク級を送ってきて、それを受け取った事からも明らかだった。
勿論、それはあくまでも時間稼ぎでしかない。
俺達は別にマクギリスの部下でも何でもないが、現状維持のラスタルと改革のマクギリスでは、どちらを選ぶのかは考えるまでもなく明らかなのだから。
あるいは、その辺りを察して先手を打つべくアリアンロッド艦隊を派遣してきたのか?
『一応、名目上はこちらの援軍という事らしいですが、指揮権は与えず独自に動くと』
「厄介な真似を」
もしラスタルが戦力を送ってきたとしても、それでも指揮権がこちらにあるのなら、まだ対処のしようはある。
ようはこっちの邪魔をさせないように動かせばいいだけなのだから。
極論、戦場の片隅で待機させておけば、それで問題はない。
……もっとも、それはそれで面子的な意味での問題は起きるだろうから、後方からの援護射撃というのがそれらしい内容になるか。
だが、それもこれも全ては指揮権があっての事。
俺達に指揮権がなく、自分達で独自に動くとなると、それこそ一体何をするのか分かったものではない。
それこそ、ドサクサ紛れに俺達に向かって攻撃するとか……もしくは、機体のデータを採取するとか、そういう事をしてもおかしくはない。
本当に邪魔だな。
こっちの援護という名目である以上、露骨にそれを断るのも不味い。
後々面倒な事になるのは、目に見えている。
だからといって、夜明けの地平線団との戦にちょっかいを入れられるのも面白くない。
そもそもの話、援軍に来ておきながらこっちの指揮に従わないってのはどういう事だ?
ラスタルは今のところ俺達と明確に敵対はしたくないと思っている筈だ。
なのに、こうして俺達に喧嘩を売ってくるような事は……普通ならしないだろう。
それとも、今の時点で既にはっきりと俺達を敵と認識してるのか?
『向こうがギャラルホルンとして行動している以上……そして、こちらと敵対する気がなく、援軍としてやって来たと主張している以上、どうにも出来ないでしょう』
「これなら明確に敵対行動をしてくれた方が助かるな」
あ、もしかしてだが、俺達がスキップジャック級を使ってるのが面白くなかったとか?
スキップジャック級はアリアンロッド艦隊においてはラスタルの乗る旗艦だ。
それだけに、俺達がそれに乗ってるのが気に食わないとか。
もしくは……ラスタルが贈ってきたハーフビーク級に乗っていないから敵対視してるとかはないよな?
その辺りの理由はともあれ、援軍として来たと言いながらも、こちらの作戦を滅茶苦茶にするのは困る。
「シャドウミラーとして、抗議は出来なのか?」
『したけど、向こうの指揮官……イオク・クジャンとかいう男は、こっちの言葉を全く聞く耳をもたないわ』
「それはまた……待て、イオク・クジャン? クジャン?」
『アクセルの想像通りでしょう』
俺の言葉にシーラがそう言ってくる。
なるほど。イオク・クジャンか。
その名前には聞き覚えがあった。
セブンスターズの1つにクジャン家というのがある。
今の当主の名前が、イオクだった筈だ。
そして俺が知ってる限り……別にマクギリスから聞いたとか、そういう事でもなく、普通に入手出来る情報に、イオク・クジャンは同じセブンスターズのラスタル・エリオンに心酔しているというのがある。
つまり、マクギリス達にとっては明確な敵な訳だ。
そうなると、この件で出張ってきたのはやはり俺達の邪魔をする為か?
とにかく、イオクがこっちの要望を聞かない以上、どうしようもない。
……いっそ、ここでアリアンロッド艦隊も倒してしまうか?
一瞬そのようなことを考えたが、すぐにそれを否定する。
何しろ、敵はラスタルだ。
その辺についても十分に考えた上で、イオクを派遣してきたのだろう。
それが本当にこっちの援軍としてなのか、それとも援軍の振りをして邪魔をしたいのか。
その辺りについては分からなかったが。
ただ、ラスタルの事だから、どのような事態になっても対処出来るようにはしてあるのだろう。
……となると、俺がやるべき事は決まったな。
夜明けの地平線団とアリアンロッド艦隊の戦線は、次第に……というか、あからさまに夜明けの地平線団側に向かっている。
無理もない。
夜明けの地平線団は大規模な海賊だが、それでも結局海賊でしかないのは事実。
それに対して、アリアンロッド艦隊はギャラルホルンの中でも最精鋭と呼ばれている戦力だ。
そんな2つの勢力が正面から戦ったら、どうなるか。
ましてや、アリアンロッド艦隊以外にもシャドウミラーや鉄華団がいるのだ。
夜明けの地平線団にしてみれば、それこそ一方的に押されまくるのも仕方がない。
……だからといって、こっちもそれを素直に見ている訳にもいかない。
自分達が不利になったと判断して逃げ出すよりも早く、夜明けの地平線団の旗艦を落とす必要がある。
逃げ出したり、あるいはアリアンロッド艦隊に倒されたりするのは絶対に避けたい。
そんな訳で、仕方がなくASRSを解除して進む。
さすがにミロンガ改を本気で操縦すると、ASRSが妙な反応を起こしたり、あるいはこちらの希望した通りに動かなかったりするし。
だからこそ、ASRSを解除する必要があり……そうなれば、当然のようにミロンガ改は敵に見つかる。
いやまぁ、エイハブウェーブだけで探索をしているのなら見つからないが、戦闘となっている今の状況……それも夜明けの地平線団側が不利な状況で、それだけで周囲の探索をしたりという事はないだろうし。
とはいえ、ミロンガ改の機動力を考えれば……ん?
夜明けの地平線団の旗艦まで大分距離を縮めた時、まるでそのタイミングを待っていたかのように、旗艦から2機のMSが姿を現す。
あれは……ユーゴーか。
いや、ユーゴーというだけなら、そこまで珍しい話ではない。
夜明けの地平線団にはロディ系のMSも使われているが、ユーゴーもそれなりの数、運用してるのだから。
実際、火星に下りてきたMSの中にも、ユーゴーの姿はあった。
とはいえ、明らかに2機のユーゴーのペイントは普通とは違う。
片方はピンク、ブラウン、ホワイト。もう片方は濃い緑、薄い緑、ホワイトの3色。
これはつまり、夜明けの地平線団の中でも精鋭だからこそだろう。
まさか、一般のMSパイロットだったり、ヒューマンデブリのMSがこういう風に塗られているという事はまずないだろうし。
であれば、そういう連中を引きずり出したという事になる。
狙いはあくまでも夜明けの地平線団を率いている奴の首なのだが。
それでもまだ夜明けの地平線団の戦意がかなり高いのは間違いない。
アリアンロッド艦隊を相手に押されているのに、その士気は素直に凄いと思う。
夜明けの地平線団の規模から、アリアンロッド艦隊を相手にしても対処は可能だと思っているのか、それとも率いている人物の能力か。
ともあれ、そんな無駄に高い夜明けの地平線団の士気を下げるには、やはりエースを倒すのがベストだろう。
それも、敵のすぐ側で。
そして向こうにしてみれば、ミロンガ改を……俺が乗っている未知のMS――正確にはMSではないのだが――を倒すのを見せれば、士気が今まで以上に高まるし、アリアンロッド艦隊はどうか分からないが、シャドウミラーと鉄華団の士気は下がる。
そういう意味でも、ここでこうして出撃したのは決して悪い話ではないのだろう。
……あくまでも、俺を倒す事が出来ればだが。
そんな風に思っていると、早速2機のユーゴーが俺に向かって突っ込んでくる。
ユーゴーの特長は、中距離と近距離に強いという事だろう。
また、装甲が薄く、その分だけ機動力が高い。
だが……それはつまり、防御力が弱いという事を意味しててもいた。
2機のユーゴーは、牽制のマシンガンを撃ちつつ接近してくるが……
「残念だったな」
マシンガンの攻撃を回避しつつ、エナジーウィングのエネルギーを掃射する。
刃状のエネルギーが広範囲に向かって放たれたのだ。
ユーゴーのパイロットにしてみれば、対処のしようがない。
これがもっと腕利き……それこそシャドウミラーの実働班の連中であれば、刃状のエネルギー掃射であろうとも回避したり迎撃したりといったことが出来るのだが。
だが……2機のユーゴーのパイロットに、そのような事は不可能だった。
パーソナルカラーが許されている以上、夜明けの地平線団の中でもエースなのは間違いないのだろう。
だが、例えエースであっても、それはあくでも夜明けの地平線団の中での話だ。
シャドウミラーは勿論、鉄華団やアリアンロッド艦隊、ギャラルホルン……そのような者達と比べると、どうしても数段劣る。
だからこそ、エナジーウィングによる掃射攻撃を回避出来ず……それどころか、ろくに近付くことも出来ず、2機のパーソナルカラーに塗られたユーゴーは爆散する。
……爆弾? オルフェンズ世界のMSで?
もしかして、エイハブ・リアクターを破壊したか?
エイハブ・リアクターというのは、このオルフェンズ世界においては破壊されるような物ではない……いや、破壊する事は出来ないとされている。
しかし、それはあくまでもこのオルフェンズ世界の技術での話だ。
シャドウミラーで開発した……いや、正確にはミロンガをシャドウミラーで改修したのが、ミロンガ改だ。
オルフェンズ世界での技術は無理でも、シャドウミラーの……異世界の技術であれば、エイハブ・リアクターを破壊するようなことが出来てもおかしくはない。
そういう意味では、ユーゴーのエイハブ・リアクターがエナジーウィングによるエネルギー掃射によって破壊されてもおかしなことは何もなかった。
……さて、ともあれこれでエース2機は撃破した。次はいよいよ旗艦だな。
アクセル・アルマー
LV:45
PP:650
格闘:313
射撃:333
技量:323
防御:323
回避:353
命中:373
SP:3003
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1988