転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0409話

 調との戦闘から数時間。現在俺の姿はリュボースが用意してくれたホテルの中にあった。当然、俺以外にあやか達5人の姿もある。そして……

 

「……私がフェイト様の不利になるような情報を話すと思いますか?」

 

 両手両足を俺の影によって縛られた調の姿も同様にだ。

 

「それで、アクセル君。この人を捕まえたのはいいのですが、どうするんですか?」

 

 あやかの言葉に、思わず考え込む。

 フェイトに対する人質? あの無表情さを考えると人質が役に立つかどうかは微妙だろう。情報を引き出すのならネギと合流して宮崎のアーティファクトを使うか? あるいはいっそこのまま殺してフェイト達の戦力を……駄目だな。他にも仲間がいるというのは確定しているんだ。フェイトだけなら殺してしまってもスルーしそうな気もするんだが、仲間がいる以上はそっちの恨みが俺達に向けられる可能性が高い。……いや、このまま捕らえていても助けに来るという意味では同じか。最低限、焔という仲間がいる事は判明しているのだから。

 そうなると、やっぱりベストの選択肢はネギ達に引き渡して宮崎のアーティファクトを使って貰う事だろう。そうすれば焔とかいうこいつの仲間もネギの方に向くだろうし。

 

「茶々丸、こいつからパクティオーカードを取り上げてくれ」

 

 近くにいる茶々丸へと声を掛ける。

 別に茶々丸である必要はなかったのだが、近くにいたからついでとばかりに頼ませて貰う。

 

「では、失礼します」

「ちょっと、止めて下さい! そんな所にカードは……どこを触ってるんですか!」

 

 そんな、ちょっと微妙なやり取りをしつつも茶々丸は無事にパクティオーカードを調から取り上げる事に成功する。

 

「で、アクセル君。その人のカードを取り上げてどうするの?」

 

 美砂の声に、調のパクティオーカードを確認しながら口を開く。

 

「こいつ自身には植物を操る能力というのもあるが、それよりもアーティファクトであるバイオリンの方がかなり危険だからな。音波を使って標的を破壊するという代物だから、ネギパーティの面々でもネギや長瀬、桜咲のような一部の者以外だとちょっと対応は難しいだろう。だが、アーティファクトというのは、パクティオーカードが無ければ召喚は不可能な訳だ」

「まぁ、確かに」

 

 俺の言葉に頷くあやか達。

 自分達もアーティファクトを最大限に利用しているのだからその重要性については理解しているのだろう。

 

「つまり、このパクティオーカードを……」

 

 喋りながら空間倉庫の中へと収納。

 

「ちょっ、アクセル・アルマー! 貴方私のカードをどこに……」

「俺が保存しておけば、こいつはアーティファクトを使う事が出来なくなる訳だ」

 

 調の抗議の声を無視して影でその目と耳を覆ってこちらの情報をこれ以上聞かれないようにしてから話を進める。

 

「まぁ、オコジョ妖精だったり仮契約屋とかいったか? そういう所に行けばまたフェイトの持っているマスターカードからコピーカードを作れるんだろうが……」

「なるほど。戦力的には大幅ダウンという事ですのね。それで、この人をこれからするんですの?」

「やっぱり無難にネギ達の所に連れていって宮崎のアーティファクトで情報をなんとか……って所だな」

 

 俺のその提案に、円が思わず苦笑を浮かべる。

 

「そうよね。私達ってば何でか基本戦闘に使うようなアーティファクトばっかりだもんね」

「あら? 私の虹色領域の腕輪は回復にも使えるわよ?」

「それを言うなら私のセイレーンの瞳だって別に戦闘特化って訳じゃないわよ」

「でも、基本は戦闘でしょう? 本屋ちゃんのようなタイプじゃないし。……まぁ、それもこれも私達のマスターであるアクセル君が好戦的なのが理由なんでしょうけどね」

 

 確かに仮契約はマスターと従者の影響によって行われるものなんだから、円の指摘が間違っている訳でも無い。しかし……

 

「それをいうなら、マスターである俺だけじゃなくて従者の方の影響も出てると思うんだがな。……まぁ、それはともかくとしてだ。今も言ったようにこいつはネギ達の所に連れていきたいんだが……あっちと連絡を取る方法は何かないか? 確か闘技場で解散した後に大河内や夏美達に会いに行ってきたんだろう?」

 

 そう、キズクモにいる時から夏美の事を心配していた千鶴。クラスメイトが奴隷という立場になってしまって心配しているあやか、友達として心配をした円と美砂の2人は俺がオスティア祭を見て回ったり、フェイトと話している間に大河内達に会いに行っていたのだ。

 あやか達4人のうち誰かがあっちにいるか、逆にネギの従者達の中の誰かがこっちにいればパクティオーカードで連絡を取れるんだが……そんな俺の希望はあっさりと潰される。

 

「駄目ね。夏美ちゃんと話している時に小太郎君が急いで出て行ったけど、本当に急だったからそれどころじゃなかったし」

「っていうか、ネギ君達が泊まってる所に行けばいいんじゃないの?」

 

 美砂の言葉に首を振る。

 

「リュボースに調べて貰ったんだが、ネギ達は今拳闘士団の宿舎には戻ってきていないらしい。恐らくどこか他の場所で今回の件を相談してるんだと思うが……あぁ、そう言えば早乙女が飛行魚を持ってたから、あそこに集まっている可能性もあるか」

 

 移動基地みたいな扱いが出来るのなら、飛行魚を持っておくというのもそう悪くない選択肢かもしれない。何しろゲートが使えない今、現実世界に戻るのはいつになるのか分からないのだ。そして賞金首の身である以上は街中で泊まるというのは可能な限り避けた方がいいだろう。……まぁ、飛行魚を入手するにしても大河内達を解放してからになるんだろうが。

 

「……で、結局この人はどうするの? ネギ君達に連絡が取れないとなるとここに置いておくしかないんだけど……フェイト達が取り戻しに来るんじゃないかな?」

「確かにその可能性はあるな。ここを戦場にする訳にもいかないのも事実だ。俺達の正体がバレてしまったらリュボースに迷惑を掛ける事になるし、どうしたものか。……かと言って折角捕まえた捕虜を情報も何も引き出さないでそのまま解放するというのも……誰だ?」

 

 円の言葉に悩んでいる時、ふと気配を感じてドアの方へと視線を向けて尋ねる。

 一瞬フェイトの手の者かとも思ったのだが、覚えのある気配である事に気が付く。

 そしてその人物が姿を現し……

 

「あら、長瀬さん」

 

 あやかがその人物を見て口を開く。

 

「やれやれ。こうもあっさりと見破られるようでは拙者もまだまだでござるな」

「こんなに近くまで接近しておいて良く言うよ。で、用件は?」

「うむ。ラカン殿が何やら見せたい物があるとの事で、どうせならアクセル坊主達も連れてこいと仰ったのでな。その出迎えでござるよ」

「見せたい物? いや、まぁ俺達もネギに連絡を取りたかったから有り難いと言えば有り難いんだが」

「それはひょっとしてそこの御仁でござるかな?」

 

 長瀬が影によって縛られている調へと視線を向ける。

 

「ああ。長谷川達が襲われたのは聞いてるだろう? その時に捕らえた奴だ。ただ、捕らえたのはいいんだが……こっちには宮崎のようなアーティファクト持ちがいないんでな。そっちにどうやって連絡を取ろうか迷っていた所だ」

「……」

 

 俺の言葉に、難しい顔をする長瀬。……いや、難しい顔というよりはどこか気まずそうな顔といった方がいいだろう。

 調以外の皆が見守る中、やがて長瀬が口を開く。

 

「その、でござるな。実はフェイトに襲われた時のやり取りでのどか殿がフェイトにいどのえにっきを使う事に成功してござってな……大体向こうの目的とかは分かっているでござるよ」

 

 ……なるほど。確かに敵の幹部級と思われるフェイトの心を読んでいるのならそれ以上の情報は無いだろうが……

 

「一応、聞いておくがフェイトの仲間に焔という人物がいるというのは?」

「む? それは初耳でござるな。フェイトから情報は引き出せたのでござるが、全てを引き出せた訳ではないのでござるよ」

「それならこいつにも使い道はあるだろう。フェイトの部下がどういう能力を持っているのかを調べるとかな」

「……ふむ、そうでござるな。ならとにかくまずはネギ坊主達の所へ。詳しい話はそっちでして欲しいでござる」

 

 長瀬の声に頷き、一応リュボースに対して出掛ける旨の書き込みを残して出発の準備を完了する。

 

「長瀬、調を落とさないようにな」

「任せるでござる」

「あやか達も準備はいいな?」

「ええ、大丈夫ですわ」

 

 あやか達4人に茶々丸、そして長瀬が調を担ぎ上げているのを確認してから影のゲートを作りだして沈んでいく。

 人間だった時の異形化した状態ではこの人数をゲートで移動させるのは無理だったが、混沌精霊となった今の俺ならそれもそう難しい事ではない。……もっとも、相変わらず熟練度の関係でそれ程遠くまでは移動出来ないのが難点だが。この辺は要修行だな。

 そしてホテルの外へと影のゲートを繋げ、そこから何度か同じように影のゲートで移動していく。そして着いた場所はオスティアの外縁部付近。地上が一望出来る場所だった。

 

「ここでいいのか?」

「うむ。少し待って欲しいでござる」

 

 長瀬がそう言いながら、何かを打ち上げる。信号弾のようなものか。

 そして5分後、そこには早乙女の飛行魚グレートパル様号が存在していた。

 

「アクセル君、そっちも無事だったみたいだね」

 

 乗り込んだ俺達を出迎えたネギは笑みを浮かべていた。自分達が襲われたのだからこっちも襲われた可能性を考えていたのだろう。

 

「こっちは特に襲われるような事はなかったからな。それよりも土産だ」

 

 クイッ、と長瀬の背負っている調の方を見る。

 

「この人は?」

「あーーっ、こいつってば私達を襲った奴じゃない!」

「さすがに襲われた方はしっかり覚えてるな」

 

 早乙女の台詞に苦笑を浮かべながらも、何やらジタバタとしている調に視線を向ける。

 

「こいつはフェイトの仲間の1人で、調とかいうらしい。……まぁ、コードネームの可能性もあるが。とにかく、早乙女達を襲っていたのを俺が助けに入ったのは聞いていると思うが、その時についでに捕らえた。……捕らえたのはいいんだが、何しろこっちのチームは殆ど戦闘用のアーティファクトしか持って無くてな。出来れば宮崎の力を借りたいんだが」

「え? うん、それはもちろん構わないけど……でも、もうフェイトの……」

「あぁ、それは聞いてる。けど、それも確実じゃなかったんだろう? 幸いこいつは逃げる事が出来ないからな。十分情報は入手出来るだろうよ」

「あ、そっか。確かにそれはありかもしれないね。のどかさん、後でお願い出来ますか?」

「え? ええ。構いませんけど、今じゃなくていいんですか?」

 

 宮崎の質問に、ネギが苦笑を浮かべる。

 

「ラカンさんを放って置いてそれだとその、何て言うか……」

「正直に言えばいいだろ。あのおっさんがいじけそうだって」

「長谷川さん……」

「まぁ、こっちとしては土産代わりだからこいつの扱いはそっちに任せるが……そいつのアーティファクトはカードを奪ったから使えないけど、植物を操る能力があるから気をつけた方がいいぞ。幸い今までは捕まったのを逆手にとってこっちの情報を何とか得ようとでもいうつもりなのか脱出する素振りは見せなかったが」

「分かりました、その辺は注意しておきます」

 

 実際、飛行魚とは言ってもそれ程大きくないこのグレートパル様号だと中を植物で溢れさせられたりした場合は普通に墜落しそうだしな。

 

「それよりもフェイトの狙いが分かったんだって?」

「ええ、のどかさんのおかげです」

 

 そう言って、フェイトから読み取れた事をネギから聞く。それによるとここ最近の目的は以下のようだったらしい。

 

1:全世界11箇所のゲートポートの破壊。

2:オスティア周辺の調査。

3:アクセル、ネギの2人を無力化。

4:各国勢力の牽制誘発して旧ゲートポート周辺を空白地帯に。

5:旧ゲートポートの確保。

6:旧王宮深奥部への侵入。

 

 以上の6つ。1は成功、2は不明、3は失敗、4、5、6は不明って所か。

 そしてその中でも目を惹くのが……

 

「旧ゲートポート。……つまりは今は使われていないゲートがある訳か」

「うん。上手くすれば現実世界にも帰れるかも」

 

 こうして、ラカンをいじけさせては手間だと言いながらも、ようやく現実世界への道筋を見つけた俺達は情報交換を進めるのであった。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:15
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊

撃墜数:392

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