転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0424話

 あやか達との踊りが終了したその直後、まるでタイミングを見計らったかのように――いや、実際にタイミングを計ってたんだろうが――現れた子供。それは街中でクルトと遭遇した時にも一緒にいた人物だった。

 ……この年齢を考えれば秘書って訳でもないだろうし、見習いか何かか?

 いや、年齢詐称薬を使ってる可能性は否定できないが。

 そんな風に考えている間にも、ネギと少年の話は進んで行く。

 まず最初に選ばれたのは神楽坂……では無く、宮崎だった。これはアーティファクトのいどのえにっきの存在故にだろう。そして2人目は朝倉。こちらも情報収集的な意味だな。そして3人目……となった所で、何故かネギの目が俺へと向けられる。

 

「アクセル君、頼める?」

「……俺か?」

「うん、出来ればアクセル君に来て欲しいんだけど……」

 

 縋るような目でこちらを見てくるネギだが、俺がそれに頷く訳にはいかなかった。何しろ、俺がこの舞踏会に来たのは念動力が危機を知らせたからなのだ。それなのに非戦闘員達が集まっているここを離れるというのはやめておいた方がいいだろう。

 

「いや、ネギにも俺がこの舞踏会に参加した理由は話したな? その対策の為にもここに残った方がいい」

「え? あ、なるほど。うーん、確かに。そう考えると……じゃあ、3人目は……」

 

 悩み始めたネギだったが、その時俺の視線に入ったのは年齢詐称薬で子供の姿になっている長谷川だった。

 

「長谷川でいいんじゃないか?」

「は? ……おいっ、アクセルちょっと待て! 何で私がそんな危険な場所に出向かなきゃいけないんだよ!」

「いや、この魔法世界でネギと一番長く付き合っていたのはお前だろう?」

「そりゃそうだけどよ。でも私が行っても何も出来ないぞ」

 

 俺と長谷川の話を聞いていたネギが、数秒程考えてすぐに決断する。

 

「いえ、アクセル君の言う事はもっともです。僕としても千雨さんにはいつも側にいて欲しいですし」

「っ!?」

 

 思いも掛けないネギのその言葉に、反射的に顔を赤くする長谷川。

 ……俺が言えた事でもないが、相変わらず無意識にフラグを立てていってるな。

 

「このナチュラルジゴロが。分かったよ、確かにここまでネギ先生にずっと付き合ってきたんだ。最後まで付き合わせて貰うさ」

「3人が決まったようですね。ではご案内します。他の皆さんはここでお待ち下さい」

 

 クルトのお付きの少年がペコリと頭を下げてネギ達を案内していく。

 その背を見送った後はしばらく雑談をしたり、料理を楽しんだりといった事をしていた。だが、それから10分程後に事態が動く。

 

「アクセル君、アクセル君。ちょっとこっちに来て」

 

 早乙女に有無を言わさず引っ張られ、舞踏会の会場の外で誰も来ないような場所へと連れて行かれたのだ。

 ……個人的にはリュボースのドレス姿とか見てみたかったんだがな。

 

「で、どうした?」

「ほら、これ。さよちゃんを経由して朝倉のアーティファクトで送ってきてくれたのよ」

 

 早乙女の指さす方を見ると、そこには通信モニタのような物が展開されていた。

 

「あらあら、さすが魔法ね」

 

 俺の後を追って来た千鶴もまた感心したように呟きながらその映像へと視線を向ける。

 そこに映し出されていたのは、ラカンが見せた映画の続きともいう内容だった。

 造物主を倒した後に襲ってきたのは広域魔力減衰現象。それがまさに魔法世界全土を飲み込む勢いで広がりつつあったのを、ネギの母親であるアリカが指揮をして何とか対処する事に成功する。だがその影響でオスティアに浮かんでいた浮遊島の殆ど全てが地上へと落下し、オスティアという国は消滅した。そしてアリカ王女……否、完全なる世界の協力者であった父親からクーデター紛いの事をして実権を奪い女王となったアリカ女王は、MMの元老院議員に嵌められて災厄の女王として逮捕される事になる。そして処刑が実行される2年後、MMの度重なる尋問からも親族である黄昏の姫巫女と共に封印された墓所の最奥へと至る道筋を隠し通したアリカは魔法の使えない谷であるケルベラス渓谷で処刑されようとしていた。……が、そこにナギ・スプリングフィールドが現れてギリギリで救出。MMの部隊もまた紅き翼の面々に奇襲を受けて全滅するのだった。

 そしてクルトはアリカの名誉が守られないというのが許せない為に政治家の道を歩み、高畑は紅き翼の後を継ぐことになる。

 

「ふええぇぇぇぇえぇぇ」

 

 映像が終わると同時に佐々木が涙を流し、明石は興奮する。他の面々もまた感想を言い合い……そして古菲はバカレンジャーの本領を発揮して内容が理解出来なかったと告白して再び大騒ぎになるのだった。

 そして……

 

「こんな歴史秘話があったなんて……」

 

 いつの間にかこっちと合流していた綾瀬が、その友人でアリアドネーで同期だったというメンバー2人と共に映像を見ているのだった。

 

「MM元老院議員、許すまじですわ! かくなる上はアリアドネー上層部へ報告して国際問題にするしか!」

 

 まるであやかのような口調で憤る褐色の女。

 ……いや、最近はあまり暴走しなくなったけど本当に似ているな。こうして見ているとどこか懐かしい感じすらしてくる。

 チラリ、と周囲を見ると夏美や千鶴といった面々もどこか面白そうに2人を見比べている。そんな事をしている間に、カモが長瀬に命じて褐色の女を押さえつけ、その後は綾瀬がアリカの件に関しての情報を開示する。

 創造神の娘であったというオスティアの初代女王が持っていたと言われる不思議な力。神代の魔法が宿ると伝承で伝わっていたが、それが真実だと先の大戦で明らかになった。そしてその女王の血を引く唯一の存在がネギ。

 

「つまり、ネギさんは存在自体が唯一無二の重要性を持つ事になるです」

 

 ……なるほど。今は滅びたオスティア王家の血を唯一継ぐ者、か。ネギが王族の血を引いているというのは舞踏会が始まる前にラカンがアリカの息子だと暴露していったからそれ程不思議でもないが……そう言えば、ラカンはどうしたんだ? トイレに行くとか言って消えてから姿を見せないが。

 まぁ、あのラカンだ。何か突拍子も無い事をしてるんだろうけど。

 

「そう言えばその王家の何とかって映画に出てたよね」

「うん。黄昏の姫君とかなんとか」

 

 明石の言葉に大河内が頷く。

 ……待て。黄昏の姫君。姫君? それはつい最近どこかで聞いた名称のような……

 そんな風に考えている間にも話は続き。

 

「あー、あったあった。サウザンドマスターが姫子ちゃん言うとった奴やろ」

「そうそう、今の映画で謎の姫子ちゃんの本名が出てて驚いたよね。アスナ姫とか」

 

 小太郎と早乙女が何気なくそう呟いたその時。

 

「っ!?」

 

 桜咲、近衛、そしてカモの2人と1匹が明らかに顔色を変えたのを見てしまう。

 なるほど、そうなると黄昏の姫巫女=神楽坂な訳か?

 

「えっ!? わ、私がお姫様? あ、でも渋くて格好良いおじ様とかが騎士団長とかだったらお姫様もいいかも?」

 

 そして神楽坂自体は何も気が付いていない、と。

 

「どうもー。皆さん、いかがでしたか?」

「バッチリだぜさよっち!」

 

 そんな風に考えていると、相坂が姿を現す。話を聞く限りでは、朝倉が持っていった相坂の依り代として使っている人形を通して相坂の霊体を介してあの会合を覗いていたらしい。……やるな、朝倉。さすが麻帆良のパパラッチと呼ばれるだけの事はある。

 

「さよちゃん、ネギはどうしたの?」

「その、今は仲間になれってあの眼鏡の偉い人が。3分だけ待ってやるからその間に決めろって」

「うわっ、世界を半分やろうとか3分だけ待つとかとことんラスボスフラグ立ててる人ね、あの眼鏡」

 

 苦笑を浮かべながら美砂が呟き、その隣では円やら早乙女やらが同意して頷いている。

 

「まぁ、あのネギが大人しくそんな奴の仲間になるとは思えないけどな」

「だよね、アクセル君もやっぱりそう思う? ならここから脱出する準備を整えておいた方がいいようね。交渉が決裂したら間違い無く荒事になるわよ。賞金首を解除するっていうのも無しになりそうだし。ほら、ユエ。あんたもいつでも行動を起こせるように準備しておきなさいよ」

「え?」

「馬鹿、麻帆良に帰るのよ」

「ちょっと、貴方。さっきからユエさんに馴れ馴れしすぎますわよ。それにユエさんはアリアドネーでもその……」

「お嬢様、そこで照れては台無しです」

「ビー!」

 

 綾瀬の仲間と思われる、これもまたあの時に街にいたショートカットの少女が現れて言い淀んでいる所へと突っ込みを入れる。

 何と言うか、あやかと神楽坂と言うか、エヴァと茶々丸と言うか。微妙に被ってるコンビだな、あの2人。

 そんな風に思っているうちに、映像の中では話が進んでいく。

 

「ちょっ、ちょっとちょっと。アクセル君!」

 

 ぐいぐいと円が俺の手を引っ張る。どこか慌てたその様子に何らかの進展、それも余りよろしくない進展があったというのは何となく予想出来た。

 

「どうしたんだ?」

「ネギ君があの眼鏡の仲間になるって言ってるのよ」

「……何?」

 

 それは確かに意外な展開だが……

 

「って、落ち着いてる場合じゃないっすよアクセルの兄貴! このままだとネギの兄貴はこっちに残る事になるかもしんないっすよ!」

「ちょっ、それは駄目でしょ。駄目駄目駄目! 早くあの馬鹿を止めないと」

 

 カモの言葉を聞いた神楽坂が興奮するが、そこに早乙女が待ったを掛ける。

 

「けどさ、アスナ。私達はこれで安全に現実世界に帰れるだろうし、ネギ君だって両親の意志を継げるって考え方もあるんだよ?」

「うー……それは分かるけど、でも何かおかしいわよ」

 

 神楽坂はそう言うが、映像の中では話が進んで行き、クルトがネギに何らかの契約書にサインをさせようとしていた。

 その様子を見ながら、神楽坂の肩を軽く叩く。

 

「安心しろ。あのネギがそうそう簡単にああいう奴の言いなりになると思うか?」

「アクセル……でも」

 

 チラリと映像へと視線を向ける神楽坂。そこではネギがペンを持ち、その書類にサインを……

 

「やっぱり駄目! 今すぐにでもあの馬鹿を止めないと!」

 

 そう言いながら走り出そうとする神楽坂の手を取る。

 

「ちょっと、離してよ!」

「そう慌てるな。映像をしっかり見てみろ」

「え?」

 

 俺の言葉に、神楽坂は再び映像へと視線を向ける。そこではサインをしようとしたネギの動きが止まり、クルトへと声を掛けていた。

 世界を救う、すなわち魔法世界の真実。火星に築かれた人造異界の崩壊の危機、と。

 その辺に関してはこの魔法世界が火星にあるという時点で予想されていた内容だ。……魔法世界が崩壊の危機というのはちょっと予想外だったが。

 だがそれを知っていたのはあくまでも俺やネギの周辺のメンバーだけであり、俺達から長く離れていた綾瀬やアリアドネーでの同級生達はいきなりのその発言に動きが固まっていた。

 そしてその間も映像の中で話しは続いていく。

 ネギが何故魔法世界12億人全てではなくMMの6700万人のみを助けると主張するのかと問いただしたのだ。父親なら、紅き翼を率いたナギなら全員を救う為に行動した筈だと。それなのに何故かつては紅き翼のメンバーでもあったクルトが18人に1人しか助けないのかと問うが、それにクルトが答える事はなかった。

 そしてクルトは説得を諦め、昼間に見せた仕込み刀を抜く。

 

「……な? 大丈夫だったろ?」

 

 心配そうに映像を見ていた神楽坂にそう告げ、あやか、千鶴、円、美砂、茶々丸。そしてネギパーティの小太郎、古菲、長瀬、桜咲を見渡す。

 

「交渉が決裂した以上は、ここももう安全とは言えない。恐らくそう遠くないうちにここに押しかけてくるだろう。古菲、小太郎。確かお前達2人はこういう場合にネギの救出を任されていた筈だな?」

「へへっ。全く俺がいないとネギも頼りないからなぁ」

「小太郎、嬉しそうアルね」

「古菲部長、別に俺は……」

「……じゃれてないでさっさと……っ!? 誰だ!」

 

 ふと気配を感じ、反射的に振り向く。まさかもう手が回ったのか!?

 混沌精霊としての力で影槍を放とうとして……

 

「待ってくれ、僕だ!」

 

 どこか聞き覚えのあるその声に影槍を止める。

 視線の先にいたのは、無精髭と眼鏡。そして咥え煙草がトレードマークになっている人物が両手を上げて降参のポーズを取っている。その目の前には突き刺さる寸前の影槍。その数200。

 苦笑を浮かべながら影槍を見ているその人物の名前を口に出す。

 

「高畑!?」




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:15
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊

撃墜数:392

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