転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0425話

 ネギ達の救出と援軍。その為に小太郎と古菲が出発しようとした時に突然近くに現れた気配。その気配へと反射的に攻撃しようとした時その人物が声を上げ、それが麻帆良にいる筈の高畑であると知った。

 

「やぁ、皆。無事なようで何よりだね」

「……いや、そもそもお前は麻帆良にいただろう? どうやってここに?」

 

 影槍を影へと戻しながら尋ねると、高畑は未成年が多いという関係もあり煙草の火を指で消しながら苦笑を浮かべる。

 

「実は僕はゲートが破壊されて現実世界と魔法世界が分断される直前になんとかこっちに来る事に成功してたんだよ」

「……その割りには、この魔法世界から現実世界に戻る今の今まで顔を出さなかったようだが?」

 

 そんな俺の言葉に、どこか疲れたような表情を浮かべる高畑。

 

「君達……と言うか、ネギ君とアクセル君、それに小太郎君は目立ちすぎだよ。まぁ、明石君達と連絡を取る手段が無かったからしょうがないと言えばしょうがないんだけど……MMの方で行動を起こすのを何とか押さえる者が必要だったのさ」

「では高畑先生。もしかして私達が賞金首になったにも係わらず名前が公表されなかったのは……」

 

 あやかのその問いに高畑が頷く。

 

「ああ。賞金首になるのは避けられなかったけど、名前の公表は何とか阻止できた。つい数日前まではMMで活動してたんだよ。それがどうにか目処が立ったからこっちに合流しようとしたら……この騒ぎだった訳だ。さて、僕がここにいる経緯はこれくらいにするとして、早い所ネギ君達を救出にいかないとね。2人共、準備はいいかい?」

「任せるアル! ネギ坊主と契約したアーティファクトを使ういい機会アルね」

「へへっ、しゃーないからネギの奴を助けに行ってやるとするか」

 

 高畑の言葉に古菲と小太郎がやるき満々といった感じで頷く。

 そして高畑がこちらへと視線を向け。

 

「アクセル君、ここの事は任せていいかな?」

「問題無い、そっちはそっちで早い所ネギを迎えに行ってやれ。クルトとかいう奴とネギだと戦闘の相性が悪すぎる」

「そうだね。皆も、もうすぐ現実世界に戻れるんだ。もう一踏ん張り頑張ってくれ」

 

 それだけ言い残し、古菲と小太郎の2人を連れて舞踏会の会場の方へと消えていく高畑。

 その背を見送り……こちらに近付いてくる多数の気配に気が付く。

 タイミングを見る限りでは、高畑が俺達から離れるのを待っていたんだろうな。まぁ、高畑は魔法世界では有名な腕利きらしいし、それも無理はない。

 ……あ、後ナギ・スプリングフィールド杯でラカンを倒して優勝した俺と高畑を一緒に相手にするのは嫌だったとかか?

 それはともかく。

 

「さて、お客さんのお出迎えの時間だ。あやか、指示は任せるぞ」

「分かりましたわ。戦闘に自信のない方は千鶴さんの側へ。千鶴さん、守護領域の展開をお願いします」

「任せて」

 

 明石や佐々木、大河内、和泉、早乙女、夏美、近衛といった戦闘力の無い面々があやかに指示されて千鶴の側へと移動する。

 

「ちづ姉、守護領域って?」

 

 千鶴の力を知らない夏美がそう尋ねるが、千鶴は笑みを浮かべながらパクティオーカードを取り出す。

 

「アデアット」

 

 その呪文を唱え終わると、千鶴の姿は先程までのパーティドレスではなくパクティオーカードに描かれている赤いドレスを身に纏っており、同時にその右腕にはアーティファクトである虹色領域の腕輪が嵌められていた。

 千鶴のアーティファクトやその姿を初めて見る面々が驚きに唖然とした表情をしている中で、虹色領域の腕輪を起動する。

 

「私を中心に半径5mに領域を指定。赤の石よ、その力を示せ」

 

 その言葉と共に、千鶴を中心にして半透明の赤いドーム状の領域が展開。周囲にいた面々をその中へと取り込む。

 

「ちょっ、那波さん!?」

「あらあら、大丈夫よ明石さん。この中に入っていれば危ない事はないから」

 

 そして丁度タイミング良く鎧を装備した連中がここへと姿を現す。

 クルトと街中で遭遇した時と同じ鎧の連中であり、その手には槍のような物を持っている。

 

「クルト・ゲーデル総督の命により、賞金首であるお前達を拘束する。武器とパクティオーカードを捨てて大人しく投降しろ。そうすれば手荒な真似をしないで済む」

「ふん、これだけの人数で俺を……いや、俺達を止める気か? あやか」

「はい。美砂さんはいつものように補助魔法を。円さんと茶々丸さんもいつものように砲台として動いて下さい。桜咲さんは近衛さんを含めた非戦闘員を包んでいる守護領域の護衛を。長瀬さんは敵のかく乱を。アスナさんは……まぁ、適当でいいですわ」

「ちょっと! 私だけなんか適当じゃない!?」

「もう、五月蠅いですわね。じゃあアスナさんはあの方達が魔法を使ってきたら魔法無効化能力を使ってその身を盾にして下さいまし」

「余計に酷くなってない!?」

 

 そんなやり取りをしている中、守護領域に取り込まれた面々はさすがにこれだけの人数に槍を向けられて怯えているのが分かる。

 ……これ以上怯えられてパニックになられても困るだけだな。

 

「全員、敵はなるべく殺さない方向で進めろ」

「了解したでござる」

 

 俺のその言葉に長瀬が頷き、あやか、円、桜咲といった攻撃能力に優れた面子も同様に頷く。

 

「余り我々を舐められても困るぞ! 『魔法の射手、戒めの風矢!』」

 

 騎士団全員がタイミングを合わせて放たれた戒めの風矢。それは文字通りにこちらの動きを封じる為の魔法だ。だが……

 

「そっちこそ、俺を舐めてるんじゃないのか?」

 

 炎を自由に操るという額から伸びている角の能力を使ったように見せかけて混沌精霊としての能力を使い、数百本単位で飛んでくる戒めの風矢全てを燃やし尽くす。

 

「なっ!?」

 

 同時に、驚愕の声を上げている騎士団員達に届くのは耳に残るような澄んだ歌声だ。

 その発生元は千鶴の守護領域のすぐ側にいる美砂。先程まで着ていたパーティドレスよりも尚扇情的な、アラブの踊り子が着ているような赤いシースルーの衣装を身に纏っており、首に掛けられているアーティファクト、セイレーンの瞳をその手で握りながら歌っている。

 

「うわっ、美砂何それ。色っぽいっていうか、エロいよ!?」

 

 守護領域の中から明石にそんな風に言われつつも、むしろ見せつけるように胸を張って歌う美砂。

 そしてその歌声を聞いた騎士団の面々はその速度を目測で大体3割程低下させられる。

 同時に動きの鈍った相手目掛け、長瀬が巨大な手裏剣を投げつけて騎士達を吹き飛ばす。

 

「……おい、殺しは御法度だって言った筈だが?」

「峰打ちでござる」

「手裏剣の何処に峰があるんだよ!」

 

 そんなやり取りをしつつも、実際には吹き飛ばされた騎士達はピクピクと動いているのを確認して安堵の息を吐く。

 峰のない巨大手裏剣で峰打ちって本気でどうやったんだろうな。

 

「ふははははは! そして今こそ駄目押しとして私のグレートパル様号の出番ね!」

 

 早乙女の合図と共に、雲に紛れて隠されていた飛行魚が姿を現す。本人も言っていた通り金魚型の飛行魚であるグレートパル様号だ。

 そして甲板にはマシンガンのような物を構えた相坂の姿が現れる。

 

「さよちゃん、やっておしまい」

「りょーかいです。あのー、危ないから皆さん回避して下さいねー」

 

 そう注意をしてからマシンガンのトリガーを引く相坂。そこから炎、氷、風、光といった色々な属性の魔法の射手が大量に放たれる。

 

「フフフ。高価な魔法の射手の巻物を使いまくったマシンガンよ。……その消費する財力に比例してその威力は極上!」

 

 いや、確かに凄い。と言うか、俺達が魔法世界で転移させられた時に会ったリッチが得意としていたのが複数属性の魔法の射手だったんだが……こうもあっさりと同じような攻撃が再現されるとあのリッチ涙目だな。もしあの石像から元に戻す事が出来たらその辺を突っついてみるのも面白いか? ……いや、元々頭があちらの世界に逝ってるような奴だったからまともにコミュニケーションは取れないか。いざとなったらシャドウミラーの技術班に渡せばいいか? そう思った瞬間、リッチ+PTやAM+技術班=魔装機神のナグツァートという計算が……ま、まぁ、その辺はどのみちリッチを石化から元に戻す方法が確立しないと意味が無いから置いておくとしよう。

 そんな風に思った時、唐突に俺の足下へと氷の矢が撃ち放たれる。

 

「……おい!」

「ご、ごめんなさーい!」

 

 魔法の射手を放つ反動で手元が狂ったのだろう。と言うか、良く見たら数発程全く関係の無い場所に飛んで行ったりしてるんだが……

 

「茶々丸、あっちに行って相坂のフォローを」

「はい、分かりました。アクセルさんもお気を付けて」

 

 茶々丸がグレートパル様号へと向かった後も、俺達の無双モードは続いていた。

 円のアーティファクトである純炎の涙を使い、甲冑を熱して着ていられなくする。そして脱いだ所に長瀬が素早く忍び寄り一撃を与えて気絶させていく。

 あるいはあやかの操る鮮血の鞭が魔力によって操られ、甲冑の隙間から首へと巻き付き締め落としていく。

 俺もまた致命的なダメージを与えないように、尚且つ気絶させられるように影槍を放ち次々と気絶させていく。

 あるいは、守護領域内にいるのが戦闘能力の無い者達だという事を見抜いてそちらへと攻撃を仕掛けようとする者もいたのだが、そいつ等は守護領域に辿り着く前に桜咲に甲冑を切り刻まれてそのまま気絶させられた。

 

「うわ、うわ、うわ。皆凄い。って言うか、円とか美砂とかいいんちょとかが何か凄いんだけど! おまけに皆が皆、美砂みたいにエロい格好になってるし」

 

 明石や佐々木の興奮したような声が周囲に響く。

 ……なるほど、確かに俺の従者達はそれぞれがパクティオーカードに描かれているパーティドレスやらシースルーの踊り子風の衣装やらで露出度が高くなっている。

 もしかしてこれも俺の影響だったりするのか?

 

「た、隊長。無理です無理! そもそもナギ・スプリングフィールド杯の優勝者がいるんですよ!? 俺達だけで敵う訳ないじゃないですか! 撤退しましょう!」

「ええい、情けない事を言うな!」

「じゃあ、どうするんですか!? あのアクセルって男は紅き翼のジャック・ラカンにも勝ったんですよ!? それも1対2で!」

「む、むぅ……しょうがない。こちらも切り札を使うしかないか。おい、合図を出せ」

 

 そんな風な声が聞こえた瞬間、空高くに照明弾のような物が打ち上げられる。まぁ、あれも何らかの魔法なんだろうが……切り札? ちょっと拙いか?

 影のゲートを経由し、照明弾を放った方の男の背後へと移動する。

 

「げっ!? 出た!」

「悪いな、寝てろ」

 

 その甲冑を殴りつけ、甲冑を破壊してそのまま腹へと拳を埋め込む。

 骨の1本や2本は折れてるかもしれないが、死んではいないだろう。治癒術を使えば簡単に治療も可能だろうし。

 

「さて、切り札とやらの話をちょっと聞かせて貰おうか」

 

 影から影槍を伸ばし、騎士団の隊長と思われる男の眼前へと突きつけてやる。だが……

 

「残念だったな。こちらの奥の手は既に動き出している。……見ろ!」

 

 隊長がそう言った瞬間。轟っという音を立ててグレートパル様号の横を巨大なビームのような物が通り過ぎていく。

 そのビームはSEED世界でストライクダガーが使っていたビームライフルよりは余程威力が高そうな代物だ。

 

「アクセルさん! あれは巡洋艦クラスの艦載精霊砲です! 幸い今のは威嚇射撃でしたがこのままでは!」

『こちらはオスティア駐留艦隊所属巡洋艦フリムファクシ。ただちに武装を解除して投降せよ。警告に従わない場合、我が艦の誇る精霊砲が貴艦を貫く事になる。次は無いぞ。繰り返す、武装解除せよ。次は無い』

「はっはっはっは。分かったか? 命中しないうちに降参しろ」

 

 巡洋艦からの降伏勧告に、勝ち誇ったようにそう告げてくる男を無視して茶々丸……というよりは早乙女へと視線を向ける。

 

「早乙女、動くなよ」

「分かってるわよ。次は無いなんて言ってるけど、この会場には各国のセレブが集まってるんだから無茶は出来ないってくらい。けど、どうするの!? このままじゃ結局捕まっちゃうよ」

「何、あのラカンでさえ大戦中は何百隻という戦艦を落としたんだろう? ならラカンに勝った俺がその程度出来ないと思うか? まぁ、俺の能力的に考えると間違い無く艦を破壊すれば何割かの乗員は死ぬ事になるんだが、それは自業自得だ……よ……な?」

 

 そう最後まで言い切れなかった理由。それは何故か雲海から伸びている存在に気が付いたからだ。黒い触手のような物がこちらを狙っている巡洋艦へと巻き付いていた。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:15
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊

撃墜数:392

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