転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0032話

「今回は大変だったな」

「いえ、事故ではしょうがないです」

 

 モントーヤ博士の葬式も終わり、現在は時流エンジン研究所で皆が持ち寄った料理を食べている所だ。モントーヤ博士の死因は交通事故。どうやら気分転換でドライブに出たのはいいが何らかの理由で車の操作をミスり、海に突っ込んでしまったらしい。

 

「それにしても、おじさんがいなくなっちゃってこれからどうしよう?」

 

 不安な表情をしながら口に出すフィオナ。

 フェル博士が亡くなり、後見人だったモントーヤ博士まで亡くなってしまった。

 フィオナ達の年齢も考えると、未来の事を思い不安になるのはしょうがない。

 

「そうだな。うちの部隊としてもこのままの資金援助をするのは難しいと上司に言われたな」

「そんな。アクセルさん、なんとかならないんですか?」

 

 ラウルの言葉に首を振る。

 

「俺だけの問題ならなんとでも出来るし、してみせるさ。ただ、これまでの資金援助も俺の上司がかなり無理をして連邦軍と交渉した結果だったんだ。だが、それだってモントーヤ博士という人物がいたからこそ出来た資金援助だ」

 

 俺の言葉にショックを受けた4人を見ながら、溜息を1つ吐く。

 実際、ヴィンデルからは今回の休暇をもらいに行った時にその辺に関して言われていた。 そしてもう1つ。

 

「ただ、幸か不幸か上司から1つ提案を貰ってきた」

 

 その言葉に、僅かな希望を見たかのようなラウル達。

 

「提案、ですか?」

 

 4人を代表してラージが口を開く。

 

「ああ、提案だ。現在の資金援助は時流エンジンの研究と、それを動力源にした人型兵器の開発に対するものだ。これらの比率は今までは大体7:3くらいの割合で使われていた。この比率を4:6にして時流エンジンを使用した兵器の完成を急ぐ。また、無条件で資金援助するのは3年が限界だ。それまでに何らかの成果を上げられない場合は援助を打ち切る可能性が高い」

「そんな……」

 

 ショックを受けた様子でミズホが呟く。

 まぁ、兵器よりはレスキューマシンを開発したいミズホにとってはあまり嬉しい話ではないか。

 

「悪いが、こっちとしても色々と頑張ってこの条件を引き出したんだ。これ以上の条件は無いと思ってくれていい」

 

 俺の言葉にラージが何かを考え込むように目を瞑る。

 数秒後、目を開けると何かを決意したようにこちらへと声を掛けてくる。

 

「アクセルさん、ちょっと見てもらいたいものがあります。……ミズホ、いいですね?」

 

 その言葉でラージが何を見せようとしているのか想像がついたのだろう。ミズホは大人しく頷く。

 頷いたミズホを見て、部屋を出て行くラージ。その後ろ姿を眺めながらラージが何を見せようとしているのかが予想できた。

 資金援助に関する話とミズホに確認した事を考えれば兵器関係。だが、この短期間で何らかの実物が出来ているとも思えない以上、設計図が妥当だろうか。

 

 部屋に戻ってきたラージは、1枚のデータディスクを持っていた。

 

「アクセルさん、これを見てもらえますか?」

 

 部屋にあるコンピュータにデータディスクを入れてモニタに表示させる。

 やはりそこにあったのは何らかの機体の設計図だった。ただし、俺の知っているエクサランスの姿ではない。どちらかと言うと、ゲシュペンストを簡単にしたような感じ? ガンダムの量産型であるジムみたいな感じか。

 

「これは?」

「一応、僕達で設計してみた時流エンジン搭載機の設計図です。ただ、見てもらえば分かる通りアクセルさんからもらった量産型ゲシュペンストのさらに量産型といった感じになってしまっています」

 

 量産型のさらに量産型ってのもある意味凄いな。

 だが、もちろんヴィンデルはこれを成果物としては認めないだろう。

 もしかして、気を回して量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの設計図を持ってきたのが原因か?

 本来、4人で相談しながらエクサランスを作っていく所に、既に設計図があったからそれを基に考えたらこうなった?

 

「さすがにこれはヴィンデルも却下するだろう。レモンなんかは面白がって欲しがるかもしれないが」

 

 俺の漏らした名前に反応したのはフィオナだった。

 

「アクセルさん、ヴィンデルとレモンって?」

「あぁ、言ってなかったか。ヴィンデルが俺の上司だ。時流エンジンの研究資金を援助するように上と掛け合ってくれたのもこいつだな。レモンは俺たちの部隊の技術班のトップだ。何と言うか、興味のある事に対しては天才的な能力を持っている」

「ふぅ、ん。ヴィンデルって人は名前からいって男の人だろうけど、レモンさんって人も男の人?」

「いや、女だ。年齢は俺とそう変わらないな。と言うか、ヴィンデルも俺とそう年齢は違わない」

 

 ん? なにやらフィオナが複雑そうな表情になっている。ミズホやラージが科学者や技術者として対抗心を持つなら分かるんだが、テストパイロット予定のフィオナが何で対抗心を持つんだ?

 っと、とにかく話を纏めないとな。

 

「とにかく、この設計図の機体じゃ駄目だ。ただでさえ、現在は次期主力機のトライアルが行われている。この意味が分かるな?」

「量産型ゲシュペンストMk-Ⅱのスペック以上の性能が最低ラインになるという事ですか?」

 

 さすがにラージは話を理解するのが早い。

 のんびりしているように見えるミズホもいつもなら理解が早い筈なのだが、今は何故かフィオナと一緒になってこそこそと何かを相談している。

 

「ああ。ただラージ達に取っては悪い事に、その量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを強化・改修する為のハロウィン・プランという計画も進められている」

「そうですか。ならボーダーラインがもっと高くなるという事ですね」

「ああ、だから……そうだな。もっと他の機体にないコンセプトの機体を考えてみるのはどうだ?」

「時流エンジンだけじゃ駄目なんですか?」

 

 横から口を挟んできたのはラウル。やはり自分達で作る機体だけに気になるのだろう。

 

「そうだな、確かに時流エンジンは大きい長所の1つだ。しかし、同時に一定以上のエネルギーを生み出す事は出来ないだろう?」

「うん、確かにそういう話をミズホから聞いた事があるな」

「例えば、だ。俺の機体はサンプル用にモントーヤ博士からもらった大型の時流エンジンを使っているんだが、世代的に古い時流エンジンだから他の動力源よりもサイズが大きいんだ。つまり、俺が使っているアシュセイヴァーに積む事は出来なかった。これを解決したのがさっき話に出てきたレモンで、時流エンジンを外付けにした」

 

 外付けという単語が聞こえたのか、ミズホとフィオナも話に入ってくる。

 

「外付けですか? でもそれじゃあ危ないんじゃ?」

「そうだな。普通ならそう考える。だが、レモンは逆に考えたんだ」

「逆、ですか?」

「つまり、外付けにして危険なら、外付けにした時流エンジンに装甲を纏わせるという風にな。ついでにという事で、追加ブースターやらビームガトリング砲やリニアレールガンやらの追加武器も纏めて追加統合兵装を作り出した」

「凄い」

 

 感心するミズホと、それに同意するラージとラウル。フィオナは何故かまた苦々しげな表情をしている。

 

「つまりレモンは外付けという危険な手段を取りながらも、最終的には機体をより強力に仕上げる事に成功した訳だ。まぁ、この例はあくまでもコンセプトの1つだからこれに拘る必要は無いが、お前達独自の発想というのは大事なものだと言うのを忘れないでくれ」

 

 俺のその言葉を聞き、ラージとミズホは考え込む。

 自分達の開発する機体の事を考えているのは明白だ。

 こうして見る限りではミズホもレスキューマシンを諦めた訳じゃないだろうが、今はエクサランスの開発に専念してくれるだろう。

 

「なぁ、ラージ、ミズホちょっといいか? 今のアクセルさんの話を聞いててちょっと思いついた事があるんだけど」

 

 何か考えついたのか、ラウルがラージとミズホの2人に声を掛ける。

 

「何かいいアイディアでも思いついたんですか?」

「えっと、アクセルさんの機体は時流エンジンを外付けにした理由はそっちに送られた時流エンジンが旧型で大きかったからなんですよね?」

「そうだな。ただ、旧型ではあるが1度に出せるエネルギー量と安定性に関してはモントーヤ博士が研究していた小型のものよりも上だったようだが」

「つまり、元々機体で使ってた動力源と時流エンジンの2つを使ってるという事ですよね?」

 

 ラウルの問いに頷く事で答える。それを見たラウルは、ラージとミズホの方へ振り向き口を開く。

 

「どうせ俺達が作る機体は1から設計するんだし、最初から元来の動力源と時流エンジンの2つを同時に使えるようにしてみるというのはどうかな? 時流エンジンをメインにして、元来の動力源をサブで」

「なるほど。確かにそれはありだな。俺の乗ってる機体でも時流エンジンを使う時にその案を検討したんだが、レモンにそれなら最初から開発するのと大して変わらないと却下された。だがお前達の場合はこれから新型機を作るんだしその問題は無い」

 

 ラウルのアイディアを素直に賞賛する。

 そう言えば、原作でも時流エンジンの他に補機を採用していたな。これはつまり。

 ふとそう考えた時、とうとうそのアイディアがミズホの口から言い放たれた。

 

「前から考えていたんですが、コックピットをメインにして機体を取り替える、というのはどうでしょう?」

「それは確かに有用ですが、なんで最初から言わなかったんです?」

 

 多少ではあるが、責めるようなラージに対して謝るミズホ。

 

「すいません。奇抜すぎて駄目かな、と思いまして」

「まぁ、そのおかげでアクセルさんがいる時に言えたんだからいいじゃないか」

「そうだな。機体フレームを換装するシステム、フレーム換装システムか。良いアイディアだと俺も思うぞ。軍人としての意見を言わせてもらえればフレームを換装するだけで水中戦・空中戦・地上戦・宇宙戦にも対応出来るようになってくれればパイロットとしてはありがたいし、連邦軍としても時流エンジンのコスト問題を抜きにしても飛びつく可能性があるな」

 

 俺のお墨付きに、4人とも表情を明るくする。

 フィオナもいつの間にか明るい表情になっていた。

 

「ただ、出来れば時流エンジンのコストをもう少し下げるべきだな。フレーム換装システムと時流エンジンというプラス要素を考えても、時流エンジンのコストというマイナス要素で差し引きゼロになったらつまらないだろ?」

「そう、ですね。その辺はこれからの研究次第でしょうか」

 

 これでようやくエクサランスの開発が始まる、か。俺のつまらないお節介で逆に遠回りさせてしまったな。まさに小さな親切大きなお世話って奴か。




名前:アクセル・アルマー
LV:11
PP:25
格闘:150
射撃:168
技量:160
防御:157
回避:185
命中:207
SP:230
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
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撃墜数:13

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